Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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バルプロ酸ナトリウム急速点滴によるてんかんの治療

2004年11月09日 | てんかん
緊急を要する神経内科疾患の代表として,てんかん重積発作が挙げられる.抗てんかん薬(AEDs)が早期に有効血中濃度に達するためには静注による投与が望ましいが,AEDsのさまざまな副作用のため使用しにくいことがある.すなわち,心肺機能および意識レベルへの悪影響が最小限であるAEDsの使用が望ましい.例えばBenzodiazepineは用量依存性に意識や呼吸に対して抑制が生じ,Phenytoinでは点滴速度に依存した低血圧や,不整脈,末梢血管へのダメージなどが生じる.
これに対し,バルプロ酸ナトリウム点滴は副作用が生じにくく使用しやすいという報告が散見されていた.今回,バルプロ酸ナトリウムの急速点滴を行い,その副作用の有無を検証する目的で,多施設による前向き研究が行われた(open-label, dose-escalation study).患者77例を点滴速度(3ないし6mg/kg/min),および総使用量(15ないし30mg/kg)により3群に分け,副作用を比較.いずれの群も血圧,心拍には悪影響はなく,針刺入部位の痛みや点滴時痛,めまい,眠気が少数で見られた程度であった.バルプロ酸ナトリウム急速点滴は安全な治療と考えられる.
それにしても,日本では欧米と比べ使用できるAEDsが少ないのはなぜなのでしょうか?バルプロ酸ナトリウム急速点滴も使用できれば本当に有難いと思うのは私だけではないですよね.

Neurology 63;1507-1508, 2004
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