ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

あれもこれも

2012年12月12日 | レッスンメモ
一つ一つの曲を集中的に確実に仕上げながら前へ進むか、必要だと思う課題はあれもこれも同時並行的に取り組むか、初心者のピアノ教育のアプローチとしてどちらが適切でしょうか?

町のピアノ教室というのは正式な学校ではないので、お国が定めた指導要領みたいなものはありません。それぞれのピアノの先生がそれぞれ自分で研究なさった指導法を、それぞれの生徒に応じて、時には試行錯誤しながら、指導しています。

国語や算数なら、1年生ではこれを教え、2年生ならこれを、というように教える課題と順番が決められています。しかしピアノの場合は、生徒に何をいつ教えるのかというのは、先生に任されています。先生が自分で一人ひとりの生徒に応じてどんな課題をいつ渡すかということを決めるわけです。

そういう中で、先ほどの疑問にぶつかるときがあります。ピアノという山には色んな山があるわけですから、子供たちにはなるべくたくさんの山登りの仕方を同時並行的に教えておきたい、というのが私の基本的な考えです。

ところが一方で、ある一つの山を集中的に訓練すれば、その山に関する限り、人よりも早く高く登れるようになるということも事実です。コンクールに取り組む場合などがそうです。ほかの練習をお休みしてコンクールの課題曲だけをひたすらやらせるという方法もあるでしょう。

ただ、そうすると「その曲」だけはすごく上手に弾けるのに、ほかはさっぱりという弊害がでてきたりします。これでは、将来、きっと困ってしまいます。コンクールに振り回されるのではなく、コンクールも上手に利用しながらその子に合った練習計画をたてるべきだと思います。

というわけで、私の教室の基本方針は、とにかくコンクールも含めて「あれもこれも同時にやる」という超欲張り方針です。練習の曲は、色々たくさん持つに越したことはないというのが私の考えです。質と量どちらも大事ですが、少なくとも初心者の間は、私は色んな種類の教材を同時に勉強して幅広い基礎を身につけること、そしてなるべく早い時期から量に慣れること、こういうことがとても大事だと思っています。

たくさんの教材や課題曲を同時に抱えるということは、楽ではないかもしれませんが、きっと後になって、「ああ、これやっといて良かった!」と思える日が来ると信じています。いずれにしても、生徒は目の前を見るのに精いっぱい。だけど先生はもう少し遠くを見据える姿勢を忘れてはいけないと思っています。

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