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Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

日本旅行での自主隔離有無

2021-01-03 | 文化一般
ノイヤースコンツェルトの休憩時の番組にヴィーナーフィルハーモニカーの社長でバシストのブラデラーがインタヴューに応えていた。楽団長のフロシャウワーが象徴的に外交的な存在であるに対して事務的で実質的な決定権もあるそうだ。だから二人体制の間での若干の表現の相違などにも留意してもう一度聞き返した。

最も興味深かったのは、楽団の伝統を下から支えて音色として高域成分と考えている氏が、アカデミーを始めて、二年一期生12人が本年卒業するという事だ。システムとしては何処の楽団もやっているようなものだろうが、劇場では無くヴィーナーフィルハーモニカーのアカデミーという事のようだ。全員を総勢148人のフィルハーモニカーとして受け入れることはできないが既にアメリカのトロムボーン奏者が入団試験に合格したらしい。そうした世界的な人材を集めることで初めて管弦楽団としての水準を維持できると考えている。

ムーティと自身の関係で五弦の楽器でザルツブルクから使ってもらえるようになったりと後進の指導に熱心な指揮者だと後で知ったという。イタリアでの活動も言及していた。

日本旅行での「悲愴」の後の鎮魂のことや前日から合宿泊りがけで飛行機に乗って、福岡でもし誰かが陽性ならば引き返していたという。そして旧年中の演奏会のハイライトを五月の再開からザルツブルク、日本公演へと挙げていった。元旦前も抗原検査を練習前にしたという。

そして、昨年55公演が没になって収益が落ちたことを示唆。ヴィーナーフィルハーモニカーは国立劇場の準公務員としてなんと2割の減給で、ベルリナーなどの4割よりは大分影響が少ない。その分劇場を開けて感染拡大の後押しをしたことは否めない。

フランクフルトでの2011年新制作「こうもり」のヴィデオが期間限定で劇場から提供されている。アクセス集中しているようで先ずはDLしてしまった。元旦の食事後にゆっくり観ようと思った。ゲルハーハーやナジとか魅力的な歌手が出ていて、なんといっても演出がザルツブルクで「コシファンテュッテ」を演出したロイだったからだ。

先ず序曲を聴いて、現在も音楽監督のヴァイクレが指揮をしているが、思っていたよりも悪い。日本で読売の交響楽団を振りに自主隔離までするだけのことがある。もう少しこなれた指揮をするかアンサムブルを作って行く指揮者かどちらかと思っていたが、及第点に至るかどうかとても疑問だ。

要するにドイツの劇場指揮者の平均的な実力なのだろうが、たとえ楽団は悪いと言ってもドイツ語圏で頂点に近いオペラ劇場の音楽監督である。勿論器用な指揮者は何処にでもいるのでなにもそれがいいわけではないが、ここまでキャリアを詰めれたと驚きである。

音楽家庭の出身ではライヴァルのシュトッツガルトのマイスターなどもいるが、大分落ちそうだ。もう一人を並べるとヴィーンのヨルダンぐらいだろうか。ヨルダンの方が何かやっているだけまたやろうとしているだけ良い感じはする。しかし先日流れていたパリの「指輪」は酷かった。アンサムブルなんとかいう割に最後の総決算の仕事があれだからヴィーンでも多くを期待できないだろう。

さてロイの演出は、オルロスキー男爵を男のカウンターテノールに歌わしたのはいいが、何たる歌手を呼んで来ていたのだ。これも音楽監督の責任だ。この十年程なら幾らでも上手な人がいた筈だ。

肝心の演出は、コシファンテュッテと同じ手法を使っていて、女中に泡立てをもたせて回らせたり、ディアローグなどでも体の向きなどの動かし方は明らかに芝居の緊張感がある。ゲルハーハーの声も演技も上手く、舞台装置も劇場の形状を印象させる舞台も全く悪くない。

フランクフルトから寄付のお誘いが来るほど何回も出かけた。とても不思議な劇場だと改めて思う。アスミク・グレゴーリアンとかの素晴らしい歌手を引っ張って来たりだけでなく、キリル・ペトレンコやヨアナ・マルヴィッツで新制作をしたりと画期的であり、且つ演出を含めての水準が取り分け高い。しかし奈落を含めてのアンサムブルがそれほど良くはない。指揮者の責任も大きいが客演指揮者に求めらることは多くはないだろう。それ故に、ペトレンコ指揮のCDなどが残っているところでの音楽監督の指揮振りはとても都合が悪い。



参照:
第三波までの再計画 2020-10-30 | 文化一般
女声につける女性指揮者 2020-09-11 | 女
ダポンテの最後の啓蒙作品 2020-08-07 | 文化一般
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