栃木県の国道に面して建っていた商家があった。長い年月空き家になっていたが、3.11で被災し、通し柱が折れたり壁が崩れたが、主要部材と取り外した建具などを使って、山梨県甲州市塩山に移築的な新築をした住宅が竣工した。
その興味深かった上棟式を想い起こしている。
縁があって、文化財などの仕事をしている地元の建築会社に建ててもらうことになり、上棟式のときにこの地のやり方で良いかと問われ、建て主と相談して是非それでとお願いした。
さてどうやるのかと興味津々だったが、僕の好奇心を上回る興味深いものだった。棟梁をはじめとする大工連と現場を担当する社員の法被(はっぴ)・・といって良いのか?・・姿が堂に入っている。
さて、上棟式の神様は女、本来なら二階に式典の設定をするが、今日の建て主は女性、神様がやきもちを焼くので神様は2階に鎮座していただくことにしてお供えは1階に設置する。お祈りをし、棟梁は屋根に上ってそこから餅をまく。(クライアントと設計した僕に屋根先から四角い大きな餅を落としてくれた)
クライアントは茂原に土地を持っていて、娘が生まれたときに植えた桐が大樹になった。それを伐採して塩山に運び、板取をして一階の廊下の床と、集会の場にもなる広い玄関の天井に貼った。
さてお披露目は!庭木の整備(造園)が整ってからだ。
昔は(かなり昔?苦笑)鳶が木遣りを歌うなど、その伝統のようなものが受け継がれていて、いかにも上棟式らしい風情があったものですが、いつの頃からか(多分車で現場に来る職人が多くなって)上棟式でもお酒も形だけ、料理も折に詰めて各々自宅に持ち帰るようになっていって、木遣りも受け継がれなくなってしまいました。
この山梨の地には、まだその伝統が受け継がれいているのだと(それも独自の形で)、それを大切にしていきたいものだっと思ったものです。
桐は見た目も材質も柔らかいので、床は歩行感が良く、天井は優しい空気感を醸し出すのでは?と想像します。
penkouさんの木造住宅作品、末永く愛着を持って頂けることでしょう(^^)v