― 8月14日―
カナダのモントリオールで開催されている「ATPテニス マスターズ1000」の3回戦で、錦織圭がベルギーのD・ゴファンにストレートで勝ち、準々決勝に進んだ。14日(金)(日本時間)の朝のその見事な勝ちっぷりに、人間の可能性を感じた。
その余韻の中で、ふと友人からのメールを思い出した。厚木市の南毛利のオムニ(人工芝)のテニスコートで行われている「第32回車椅子テニス大会」観戦への案内である。
彼女は嘗てのテニスの仲間、試合でペアを組んだことは無いが、東京都体育館や有明コロシアムの国際大会に誘われて出かけ、線審をやっている様を楽しんだりしたこともあったテニ友である。今はテニス倶楽部での試合には出るものの、審判に徹して活躍している。
南毛利といわれて思い出したが、嘗てこのコートで、海老名市の代表(シニア)として都市対抗戦に参加したことがあった。この夏休み、来宅している娘と妻君がなにやらごそごそとやっている。TVで観た錦織の活躍に浮き浮きとしていて、娘を誘ってみたが敢え無くNO!「ちょっと出かけてくるよ」というと、二人は「どうぞどうぞ」となにやら嬉しそうだ。
この全日本の大会は、ITFランキング男子20位以内・女子は10位以内・クアード4位以内の選手は参加申し込みできないともらったプログラムに記載されている。
車椅子テニスと聴くと誰しも描くのは、世界のトップ4冠を達成した国枝慎吾と女子シングルス・ダブルス同1位の上地結衣の名だ。しかし車で自宅から20分弱のこの地に全国から参集する大会のあることを知らなかった。
其れはさておき、この大会はITF(国際テニス連盟)と、JWTA(日本車いすテニス協会)の公認を受け『地域と気持(心)のストローク』という大会スローガンを掲げている。
会場に着いたときは、ジュニアのシングルスが行われていた。男女を問わない対戦によるこのジュニアの試合は昨年から行われるようになったようだ。コートから少し高い観戦通路から初めて見る試合にのめりこんだ。一緒に観る片足の無い車椅子の選手の明るい表情にちょっと救われるような気もしてくる。
家族や大勢のプレイヤーが子供たちの試合に見入る。そしていいプレイがされると大きな拍手が一瞬沸く。すると車椅子で観戦している選手たちから、拍手は控えようというささやきが起った。相手の選手を思いやってのこと、でもやられた選手もニコニコと笑顔、プレイできる喜びを謳歌しているようだ。
『可愛いね!』という観戦者の囁き声が聞こえてくる。
主催する神奈川県車いすテニス協会とともに、数多くの後援、協賛、協力者(企業)名称と、新幹線新横浜駅、羽田空港での送迎時間などがプログラムに記載されている。
― 8月15日― そして今日16日
錦織が準々決勝で、一度も勝ったことが無かったナダルに快勝した。素晴らしいフットワークと集中力、しかし16日のマレー戦で惨敗、試合を捨てる様は不可解としかいえない。満席の観衆から今にもブーイングが起きそうな気配、錦織はどうしたのだろう。脚をいためたのだろうか? TV放映も錦織のコメントなしでプッツンと切れた。
この一文を書きながら僕は、この炎天下の中に立って、幾つもの試合の審判する中年を超えても頑張っている女性陣と、其れを支えるボールボーイに密かに拍手を送りたくなった。
<写真 男子ダブルスの試合>