日々・from an architect

歩き、撮り、読み、創り、聴き、飲み、食い、語り合い、考えたことを書き留めてみます。

デジカメに苦言あり

2006-12-18 10:19:50 | 写真

早く書いておかないと次号が出てしまうのでバタバタと書き飛ばしてしまおう。
まあ愛読書といっても良いかもしれない雑誌アサヒカメラ12月号に、「ベストカメラ・オブ・ザ・イヤー2006」が発表されている。多少後ろめたいのか、表紙の文字は小さい。

グランプリはニコンD80だそうだ。TVのコマーシャルで`キムタク`(木拓)が名機だとつぶやく奴だ。そしてレンジファインダー部門もデジカメ、ライカM8である。このカメラは発売したばかりで、誰も手にしていない。何しろ高価だしなかなか手にできない代物、審査員だってメーカからの試写のための貸与でしか触っていないカメラ。ちょっとこの企画はおかしいと思った。僕のポン友の写真家が審査員を勤めたので `おかしい` といいたくないのだが、こうやって書いていてますます腹が立ってきた。

一眼レフ部門のD80の講評で選考した或写真家は「D200と比べて絵がよくなっている」とのたまう。更に価格は本当に安いと思う、と付け加える。まるでメーカーのお先棒を担いでいるように見える。
それではD200を「ニコン渾身のデジタル一眼」さらに3年満を持して発表した衝撃とまで称えた昨年12月号のアサカメのスタンスはどうなのか。あのべた褒めの記事、それを上回るなどと書く。

D80が出たとき新規参入ソニーを恐れ、あわてて出したと僕たち写真好きの仲間では冗談っぽく揶揄した。そうやって楽しむのも、ひと頃のPCのように買った途端新製品が出る有様に憤懣やるかたない思いを抱いた「消費者」の怒りと、まあそうとはいえ売る為にはそんなこともあるだろうと「この時代と企業の苦悩」を酒の肴にするそういう楽しみ方を僕たちはしているのだと言っても良いのだが。

どう考えてもこのカメラを賞賛した写真家が、このカメラを使う(仕事でも、自分の作品を撮る時でも)とは思えないところが馬鹿馬鹿しいのだ。
このカメラは確かに安いのかもしれないがさしたる特徴があるわけではない。でも凡庸の魅力ということも有るか! ごみ取り機能もないこのカメラを`名機だと言っていいのか。コマーシャルだからどうでも良いのだが、今の時代、デジカメに名機はあるのか。

さて僕は写真人間(必ずしも写真機愛好家ではない)だが、システムや機能など技術的なことについては何もわからない。でも今のデジタル一眼レフに欠けているもの、「これさえやってくれれば褒めてやる」ことを書いておきたい。

① マウントが同じならどのレンズでも普通に使えようにすること。つまりマニアルレンズ、ニコンで言えばAiレンズのことだ。エプソンR-D1だって、ライカM8だってマニアルのMマウントが使えるではないか。
シフトレンズを使えないのも問題だ。あとでフォトショップなどで補正すれば良いと公言している。
しかし写真はファインダーを通して瞬間を切り撮るものだ。後で勝手に細工しろというスタンスは容認できない。事実の捏造になるではないか。写真の原点、記録という側面を考えなくてはいけない。

② レンズ交換が普通に出来ること。要するに撮像素子につくごみ対策だ。僕はなるべくレンズ交換をしたくないのでフイルムカメラでは決して使わなかったズームレンズを使い始めた。
ディストーションに悩まされながらも背に腹は変えられない。でもなんとおかしなことか。そうやって注意しながらもごみが付き、メーカーのサービスステーションに何度も出かけた。東京にいるから気軽に行け、メーカーの対応も良いのでおや!良い会社だなあと思ったりしたものだが、身近にサービスステーションのないところではどうしているのだろうか。D80にはその対策がなされていない。選者やメーカーの問題意識のなさに唖然とする。

愚痴っぽくなるが、これは愚痴ではない。写真界が当たり前だと思うことと、僕たち写真人との乖離が気になるのだ。