アンカラからバスでカッパドギア・ギヨルメ村へ行くことにした。
アンカラ工科大学での鈴木博之教授の行ったプロポーザルの翌日、大会を抜け出していく了解を得て、ギヨルメ村の洞窟を掘って作ったホテル「ケルベック・ブディック」を藤本さんが予約していた。
バスで行くと5時間もかかる。一泊しか出来ないので10時間という時間がもったいない。タクシーのほうが良いのではないだろうか。途中に面白そうな街があったら探検も出来る。カッパドギアツアーもありそうだ。何しろ世界遺産なのだから。でもお金の心配もあるので、アンカラに行ってからホテルで相談して決めようということになっていた。それなのに頼りにしていた藤本さんがいない。
どうやってフロントに切り出したのか覚えていない。しどろもどろの英語で明日行きたいというとバスだと言う。いやタクシーでは?と聞くとフロントの女性が驚いた。タクシーで行く奴なんていないようだ。いくらか掛かるのかと聞くとどうもアバウト600百ドルといったような気がした。エーと驚いてバスはときいたら?23YTL、2000円ちょっとではないか。思わずバスバスと叫んだ。ニヤリと笑った女性はすぐに電話をして時間を聞き、番号を書いたメモをくれた。乗ってみてわかったのだが一日に何本もギヨルメ行きの定期バスがある。予約をしてくれたのだ。それも窓際を。
翌朝、明日戻ってくるのでとホテルに荷物を預け、カメラと軽いバックを持ってタクシーでバスターミナルに向かう。
帰ってきてから鈴木教授に話したら、よく一人で行けたネとちょっとオーヴァーだ!と思うくらい驚いた。何しろアンカラのバスターミナルは、空港より遥かに大きくバス会社毎にブースがあり、それが大げさに言うと無数にあるし、案内看板はトルコ語なのだから。でもなぜかわかるのだ。何処に行けば良いのかと。ちょっと戸惑ったがメモに書かれた番号はブースと予約の番号だった。僕の乗るバスはNEVSEHIR・SEYAHATバス会社だ。旅感が少し戻ってきた。
それでも受け取ったチケットをバスの案内人に見せながら、何度もこのバスでよいのかと念を押した。
時間があったのでバスターミナルをうろつきながら写真を撮っていたら数名のガードマンに取り囲まれた。写真は駄目だと言う。アイシー!とうなずくと彼らもにこやかにうなずき返す。顔を隠しているイスラムの女性が沢山いるからだろうか。でもぎすぎすしていないのがうれしい。だんだん僕はトルコフアンになっていく。