田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

骨肉の争い/夕日の中の理沙子(2)  麻屋与志夫

2009-04-03 19:31:21 | Weblog
あの森の奥での吸血鬼同士の戦いは、人間がみてはいけないものだ。

異界の住人の戦いだ。

人外魔境での戦いだ。

光のない場所での戦いだ。

だが翔太はその争そいの残酷さを想像してしまう。

バサッとふいに翼の風を切る音がした。

古老。穏健派の吸血鬼ミヤが虚空から落ちてきた。

「サブロウたちをとめられなかった。ただでさえ、ほとんど0に近い出生率だ。わ

れわれ穏健派は東欧のあんたらとの混血をうけいれたかったのに……」

ミヤはエレナを見ながら翔太に告げた。

エレナの兄ルーがこちらの気配に気づいた。

ミヤはずたずたに裂けた羽根を消した。

体中から青い血を流している。

とくに首筋から胸にかけての傷がひどい。

マグロの解体みたいにザックリと傷口がひらいている。

「エレナ。どういうことだ」

ルーはエレナに声をかける。

ミヤのことなど眼中にないようだ。

「わたしの彼。翔太よ」

「われわれの代で一族の血を途絶えされる訳にはいかないのだ。故郷をほでるとき

よくいいきかせた。われわれに必要なのは吸血鬼の血だ」

「翔太はただのヒトではないの。能力者よ」

「人はヒトだ」

そうゆってからじろりとミヤを見下ろした。

ミヤは立てたな。型でらい息をしている。

「ひとおもいに楽にしてやる」

「まて、おれの知りあいだ。そうはさせない」

「バカが」

さっとルーの鉤爪が翔太の首をないだ。

だがそこに翔太はいない。

ルーが斬ったのは翔太の残像だった。



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ああ、快感。