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その恐怖は平家物語より、
奈良時代よりさらに古い。
ひとが人となった頃から引きずってきたものだった。
それがなぜ怖いかというと、
じぶんの命にかかわるほどの恐怖であり、
痛みを伴う恐怖だからだ。
その恐怖をいまそこにあるものとして信子とカレンが感じている。
早く助けてあげなければ。
どこにいるの?
恐怖を感じているだけならまだいい。
血を吸われているかもしれない。
ともかくふたりを拉致したのは吸血鬼なのだ。
生臭くカビ臭い。
異臭を放つ薄闇の廊下を音を立てずに走る。
百子はクノイチだから走っても音がしない。
翔子は夢道流の後継者だ。
そしていまだにあらゆる術を技を学ぼうとする。
百子の忍者走りが翔子のものになっている。
廊下の行き止まり。
大きな木製の扉がある。
開く。
真っ暗だ。
おくのほうでなにか引きずっているような音がする。
そっと扉をくぐる。
ぱっと明かりがつく。
人体に反応してついた。
そしてそのさきは――飲み屋横丁という雰囲気だ。
濃厚赤ワイン。
新鮮赤ワイン。
人工でない生ワイン。
とりたてしぼりたての!!
赤ワイン。
翔子はゾクッと身震いした。
「エゲツナイ。いやなコピーね」
百子も赤ワインということから想像するのは翔子と同じイメージだ。
「はやく、ふたりを探さなければ」
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奈良時代よりさらに古い。
ひとが人となった頃から引きずってきたものだった。
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生臭くカビ臭い。
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人体に反応してついた。
そしてそのさきは――飲み屋横丁という雰囲気だ。
濃厚赤ワイン。
新鮮赤ワイン。
人工でない生ワイン。
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翔子はゾクッと身震いした。
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