田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

85歳のスタートライン。 麻屋与志夫

2018-03-09 09:17:23 | ブログ
3月9日 Fri.

●雨は黎明になっても降りやまなかった。この時間帯がいちばん冷え込むのだが、さすがに3月ともなれば5°を下回ることはない。二階から見下すと解体工事は順調にすすんでいる。廃材の山に春の雨が静かに降っている。

●宝蔵寺がよく見えるようになった。ぼんやりと、お寺の山門を眺めながらもの思いに耽った。集団疎開のともだちにセッセとサツマイモをさしいれしてあげてから、お寺の外廊で、山中峯太郎「亜細亜の曙」などを読んだ。どんなことを話していたのか、すっかりわすれてしまっているが、読んだ本の内容はよく覚えている。そのころから、すでに小説家になりたいという無謀な希望をいだいていた。

●戦時中ということもあったのだろうが、本屋さんに本はなかった。図書館も、学校の読書室もなかった。上田町に「小野口さん」という古本屋、兼貸本屋さんがあって、わたしはそこの常連で、子どもが借りられる本はすべて読みつくしていた。病院や歯科院の待合室、友だちの家の本と、手当たりしだいに本を読んでいた。大きな風呂敷づつみをかかえて、街を右往左往していた。楽しくもほろ苦い思い出だ。

●小説家になりたいという少年は異物としか思われなかったから、いまの小学生ではとても耐えられないだろうというような迫害をうけた。クラスに朝鮮人の子がいて、彼とわたしが、イジメの対象だった。二人で、歯をくいしばって残酷なイジメに耐えた。

●わたしは小説家になって、この現実を書きとめて置くことが使命だと思っていた。

●ふと現実にもどると、わたしは85歳になろうとしている。ロクな作品しか書いていない。いつになったら、この作品がわたしの作家生活の出発となったといえるような自信作が生まれるのだろうか。

●これからだ。ここがわたしの作家としての85歳のスタートラインだ。と言いたいものだ。



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著者麻屋与志夫
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古い怪談のある栃木。いま新しい怪談誕生。恐怖、戦慄保証付き
栃木には大中寺の七不思議の伝説がある。特に『馬首の井戸』が有名だ。
上田秋成の日本吸血鬼物語の嚆矢(こうし)ともいわれている『青(あお)頭巾(ずきん)』も広く知られている。この物語も栃木が舞台だ。
―― その土地は、いま外来種ル―マニヤ吸血鬼の侵攻(しんこう)を受けている。
吸血鬼監察官の文子と龍之介は敢然(かんぜん)とその敵に立ち向かう。
龍之介のジイチャン翔太も愛する九(きゅう)尾(び)玉(たま)藻(も)と、命がけの抵抗をする。二組の恋人同士が最後にたどりついた境地(きょうち)。
1000年の時空(じくう)を超えた愛の不滅(ふめつ)の物語。
あなたは恐怖し、そして純愛に涙する。

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ジャンル文芸レーベル惑惑星文庫出版社名惑惑星








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