田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

カミサンにはバラがよく似合う。 麻屋与志夫

2015-02-11 16:05:17 | ブログ
2月11日 水曜日
●作家が自作にについて、

解説じみたことを書くのは、よくない。

作品ですべてを語りつくさなければダメなのだ。

よくわかっているのだが。

屋上屋を重ねることにする。

●このところ、ショートショートを二本upした。

「孤独死」と「少年老い易く〈恋〉成り難し」だ。

●二作品とも老人を主人公にすえてみた。

●日本の認知症患者は10年後には、

5人に1人になるらしい。

厚労省の発表だから間違いないだろう。

●わたし自身も、

現在すでに、

最高齢者に属するので、

いつ病気で倒れないか、

歩けなくなったら、

どうしょうなどという不安をかかえている。

このところ、

カミサンが4カ月も風邪が治らない。

いくら薬を飲んでも、

効果がない。

効目がない。

2人で病床に伏せったら。

ボケたら。

などと老境の不安から逃れられなかった。

●そこで、

老いることによって生じる、

恐怖について書きたくなったというわけです。

●でも、

この作品では、

この書き方では、

恐怖が伝わらないのではないかと、

不安です。

作品を書き上げるのはたのしいのですが、

おもったように、

こちらの思惑がつたわらないのではと、

いつも不安です。

だからまいにち、

こうし努力しているのですがね――。

●いずれにしても、

これからしばらくは、

老人問題を作品にしていきたいとおもっています。

●さて、

このブログを書き終えて、

カミサンに呼びかけました。

返事が戻ってきません。

こういうときは、

広過ぎる家は困ったものです。

●やっと探し当てたカミサンは、

裏庭でつるバラの誘引をしていました。

●カミサンにはバラがよく似合う。

●病気は軽い蓄膿症とわかり、

気がらくになったのでしょう。

その治療のための薬をもらってきたので、

効果がでてきたのでしょう。

●どうやら、

わが家にも、

春が訪れそうです。


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とある田舎町の学校の怪談 21  麻屋与志夫

2015-02-11 11:20:08 | とある田舎町の「学校の怪談」
episode 21 少年老い易く〈恋〉成り難し。

こんな大雪になるなんて――。
ぼくが風邪を引いてしまうなんて。
美智子ちゃんを見送りに行くと約束した時には、おもってもみなかった。
クラスの皆が美智子ちゃんを見送りに行くのだろうな。
ぼくがいくと、からかわれるだろうな。
「やあい。マグロが美智子ちゃん、好きなんだ」
「ああい。マグロが恋をするのかよ」
マグロというのは、ぼくがぶら下がったままだ。
醜く、鉄棒にぶらさがったままでいる。懸垂が出来ないで――。
そんなぼくが、魚屋にぶらさげられて、うられているマグロに似ている。
そういって、体操教師につけられた〈あだな〉だ。
「寝てなさい。熱が下がるまでは起きたらだめよ」
非情な母の声が枕元にひびいた。
いまごろ美智子ちゃんは、省線鹿沼駅でひとりさびしくぼくをまっている。
どうしょう。会いたいな。
いま、会わなかったら、もう、一生会えないかもしれない。
どうしたらいいのだ。
ぼくらは国民学校の六年生。
戦争が終わって疎開児童は東京にもどっていった。
いま見送りに行かなかったら……。
これっきり、美智子ちゃんには、会えなくなってしまう。
 
省線駅は国鉄駅となった。
国鉄駅はJRの駅となった。
そんなことは老人にはわからない。

「わたしが、10年たってもどってきて、ふたりは結婚したのに、それも忘れてしまっているのですよ」
介護に疲れたのか、老婆はしょぼしょぼした目でベッドの老人を見下ろしていた。
「美智子ちゃんに会いに行く」
老人は同じ言葉を、まだくりかえしていた。

外はあのときの朝のように大雪。
五センチメートル先も見えないような大雪だった。
 

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