田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

黒犬に変身した!!/さすらいの塾講師 麻屋与志夫

2010-06-13 06:45:27 | Weblog
黒犬に変身した!!

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「また通り魔事件だ」
携帯が振動した。純か開く。
「関西にいる友達からだ」
愛知県の一宮市の公園で女子高生が刺された。
と川久保が知らせてきた。
「塾の講師をして全国をさすらったから、
友だちの数は100人をこす。
みんなそれぞれ日本の未来について真摯に考えている仲間なんだ。
ただかれらには、吸血鬼はみることはできない。
だからこちらからも、
吸血鬼が事件にからんでいることを知らせることはできない。残念だよ」

ナイフによる通り魔。
その背後に吸血鬼の策謀がある。
必ずとは言えないだろうが。
 
百目鬼刑事の携帯が鳴った。
西武新宿駅前からエビ通りにはいるとその店はあった。
コスプレがウリのいかがわしい店だ。

婦人警官の服装をしたミグの目撃している前で変化した。
「タイホシチャウゾ!!」
彼女がおどけて、お客の男に迫った。
その彼女のキメ台詞が客の反応をひきおこしたらしい。
客は遊びと現実を混同している。
ほんとうに逮捕されるとおもってしまったようだ。
女のような白い肌にふいに黒い獣毛が生じた。
彼女をすくったのは漫画だった。
彼女の好きな「バンパイア戦争」によくこういうシーンがてくる。
まさかとはおもったが、留置場からとびだした。
これだけは本物の鉤をかけると店の外に逃げだした。――りは、しなかった。
交番に連絡した。
その場にのこった。漫画でもない。アニメでもない。liveだわ。
彼女は勇敢にも動画にして携帯をむけた。
夢中で、携帯をむけつづけた。

百目鬼刑事と純、翔子がほとんど同時にかけつけた。
「吸血鬼がらみの事件らしいのでな」
純に百目鬼が連絡した理由をいいながら店のおくにとびこむ。

鉄格子の中のモノは唇が裂けていた。
鋭い犬歯がナイフのように白く光っていた。
四足となって月のように丸い天井の照明にむかって吠えていた。
長く伸びた口吻を上にむけていた。
犬の遠吠えをあげていた。
「黒犬に変身するヤツははじめてだな」

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