ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

1994年世界はこう動く ( 米中紛争の前に、軍の再建が不可欠 )

2020-07-29 20:11:11 | 徒然の記

 机の上に、二冊の本があります。

   1. 『1994年世界はこう動く』 ( 日高義樹氏著 平成5年刊 株・学習研究社 )

   2. 『1994年  世界は、』      ( 落合信彦氏著 平成5年刊   小学館 )

 同じ年に出版され、いずれの本も、1994年( 平成6年 )という年に注目しています。図書館の廃棄図書ですが、このような偶然があるとは気づきませんでした。米国はクリントン大統領で、日本の首相が細川氏の時です。ソ連が崩壊し、冷戦が終わりましたが、アメリカもEU諸国も経済が振るわず、停滞していました。

 しかしアジアは、昇竜のように発展する9ヶ国がありました。日本、中国、韓国、台湾、香港、マレーシア、シンガポール、タイです。停滞する米国とヨーロッパを尻目に、9ヶ国の経済が拡大を続け、1990年末には、この9ヶ国が世界経済の40%を占めるという予測もされていました。30年前には、9ヶ国の世界経済に占める割合が、わずか12%しかなかったことを考えると、驚異的な数字です。

 トップを走り、米国の脅威になっているのは日本でした。日高氏は日本人の学者というより、米国のシンクタンクのメンバーの一人として、米国の側から日本を眺め、意見を述べています。私が持つ当時の記憶は、アメリカによる執拗な「日本叩き」です。弱い日本が、大国アメリカの大統領から、貿易問題で無理難題を言われていると、そんな記憶しかありません。

 現在62ページですが、知らないことばかりで、やめられない面白さがあります。愉快な面白さでなく、自分の国に、こんな面があったのかという発見です。今と変わらない自分の無知と、マスコミ報道の客観性のなさを、ここでも教えられました。

 日本の「バブル経済」が崩壊したのは、平成3年から5年にかけてでした。土地神話が崩れ、銀行や証券会社が倒産し、不景気の風が吹き荒れていた時です。新聞もテレビも、国民に伝えていたのは、破綻した日本経済ばかりで、日高氏のような意見はありませんでした。

 27年前の本でも、マスコミの姿勢は今と同じで、新聞もテレビも、およそマスコミと名のつく組織は、客観的な情報を伝えないというのが、実態のようです。日本だけでなく、他国も似た状況だと分かった今は、特段の悲観もありません。偏向した報道をするのは、売れるニュースを探し、特種を求め、時々刻々を争うマスコミの、限界なのかもしれません。

 日高氏の著作に、知らない事実が書かれているからと、無闇に有難がらず、これも参考情報の一つと考えています。無残に崩壊した日本の経済を、連日記事にした日本のマスコミと、アメリカに脅威と警戒心をもたらした、日本経済の強さを叙述する日高氏の著作には、大きな隔たりがあります。

 単純に考えれば、矛盾した情報ですが、どちらも事実ではないのかと、そんな気がします。日本経済はひ弱に見えても、案外強靭な底力があると、そういうことではないのでしょうか。あるいは逆に、強固に見える日本経済も、一度躓くとと滅法に弱い・・・見る者の立場の違いで差が生じるのだと、考えます。戦前の日本を、反日・左翼は侵略的軍国主義国家だと言いますし、日本を愛する者は、列強の侵略から国を守るための自衛戦争だったと、真逆の主張をするのと似ています。

 それでも、参考になる、貴重な意見があります。世界の中の日本、アジアの中の日本、対米関係、対中関係など、私の知りたい情報があり、息子たちが、これからの日本を考えるきっかけにしてくれれば、と思ったりします。

 日高氏の著書は、氏の友人である6人の学者との分担で、書かれています。本の中から、日高氏の略歴と、6人の学者の肩書を転記します。

  1. 日高義樹  

   昭和10年名古屋市生まれ 東大文学部卒 元NHKアメリカ総局長   NHK退社後ハーバード大学客員教授 

            ハドソン研究所主席研究員 米政府と海軍のための、日米関係の将来に関する調査研究責任者

  2. スタントン・D・アンダーソン

   共和党顧問 国務次官補 フォード大統領補佐官 日米貿易交渉に携わった日米関係の権威

  3. アンジェラ ・ステント

   ジョージタウン大学教授 ドイツ政治・ドイツロシア関係論専門 米政府及び企業のアドバイザー

  4. ディヴッド・シルバーバーグ

   軍事問題で最も権威のある、「アームド・フォーシズ・ジャーナル・インターナショナル」誌の編集長

  5. ロバート・B・サハロフ

   ワシントン中東問題研究所のエグゼクティブ・デイレクター アラブ・イスラム問題の第一人者

  6. ジョセフ・フュースミス

   ボストン大学アジア研究所所長 ハーバード大学フェアバンク中国研究所研究員 中国の政治経済専門家

  7. ミハイル・S・バースタム

   スタンフォード大学教授 フーバー研究所主任研究員 ロシア政府顧問として、ロシア経済立て直しアドバイザー

 現在、世界の大ニュースは、激しさを増す米中対立と、「武漢コロナ」の二つです。核大国の米中が、一触即発の応酬を繰り返しています。しかし両国とも、核兵器は使いませんし、使えません。それをやれば、双方が自滅しますから、武力の誇示と情報戦の展開です。

 日本はどちらに着くか、広島・長崎のことは脇へ置き、現在は日米同盟が優先します。尖閣諸島と沖縄を、自国の領土だと主張する独裁国家に、与してはなりません。今は米国と共に戦い、国民に、安全保障の重要性を知らせる時です。一日も早く憲法改正案を、国会に提出し、軍の再建をすべきです。

 米中が武力衝突を始めれば、日本は必ず、巻き込まれます。自国の領土と国民を守るには、即座に動ける軍隊がいります。手足を縛られた自衛隊では、国民も領土も守れません。

 媚中の二階氏を政府から追い出し、蝙蝠のような公明党と手を切り、安倍総理は日本を取り戻す政治へ、舵を切る時です。ニュースを追いかけながら、緊張感を持ち、「温故知新」の生きた読書をする日々です。

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4 コメント

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1994年と言う年、そして日中関係 (成田あいる)
2020-07-29 21:05:41
1994年は、期待の元に始まった細川政権が1年も持たず頓挫した年でした。
阪神大震災の前の年でもあり、「日本社会党」にとどめを刺すきっかけになった村山政権の始まった年でもありました。
この頃から、総理は短期間でクルクルコロコロと変わるのが当たり前になり、政権の迷走が始まった年でもありました。
社会党党首が総理になったことから、「社会党」の支持や期待、そして残滓が残っていた時代でもありました。

「失われた10年」に突入したものの、まだバブルの余韻が残っていたというか、「いつかは復活できる」と言う期待が残っていたと思います。
この当時もよく言われていた「アメリカがくしゃみをすれば日本は風邪をひく」も懐かしいです。
この5年前までは米ソ冷戦がありましたが、今は米中の対立です。

落合氏に対しては、奥菜秀次氏のように「捏造ジャーナリスト」と批判するライターもいます。
日高氏はこの秋、『トランプは圧勝し、習近平は滅びる』と言う著書を出すそうです。
そしてこの書籍も興味深いタイトルで、読んでみたいと思います。
この時期コロナや、日中米がどうなっているかわかりませんが、「トランプvs習」はただならぬところまで来ていると思います。
習会談も、ほとぼりが冷めた頃に再燃しないとも限りません。
「GoToキャンペーン」に次いで、「追加アベノマスク」も炎上しています。
自民党も二階氏を更迭し、「媚中」から転換しない限り、日本を取り戻すことなどできないでしょう。
返信する
先入観を捨て、トレースをしたい (HAKASE(jnkt32))
2020-07-29 21:10:37
今晩は。今回の貴記事、日高義樹、落合信彦の各位は、
拙者も報道陣、作家のいずれの立場も高評価を致す方々です。

日高さんは、拙記憶が正しければ 平成初期のこの頃
「ワシントン・レポート」という時事 TV番組を担われていて
、毎回ではありませんでしたが折々拝見し、高い次元の
バランスを弁えた知見に好感した記憶がありまして。

落合さんも、優れた書き手と心得ます。貴記事の著書
は恐れながら未読ですが、他の著書で世界の情報戦
や今の様な非常時、緊急時の心構えを少しは学び得
たと思う所です。諜報機関やスパイ防止法の重要性、
憲法改正への揺るぎない道筋を築くべき事も、一つは
同氏のご見解から習得したものと心得ます。

他の読者各位の受け止めは自由ですが、拙者は必ず
、貴方が今回も「緊張感を持ち『温故知新』の生きた読書」
を遂げられる事であろうと信じます。末尾近くの「沖縄・尖閣」
を初めとする領土問題などにも、意を共に致します。

その事から、二階自民幹事長はその売国性からも、速
やかに放出される事を希望する次第です。次回以降の
貴連載からも、先入観を捨て 謙虚に拝読を心がける
所存ですので、どうか宜しくお願い致します。
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クリントン政権と中国 (onecat01)
2020-07-29 23:28:53
 成田あいるさん。

 まだ読み始めたばかりなので、十分な書評ができませんが、自分の生きた時代を、おさらいする気持ちで読んでいます。

 クリントン大統領は、中国と協力して、アジア経済圏の中に米国の主導権を確立しようとし、独走する経済大国の日本を、警戒すべきアメリカの敵として見ていたそうです。

 中国を育てたのは、クリントン大統領ですが、先鞭をつけたのは、ニクソン大統領だったと、私は見ています。常に彼らが警戒していたのは、アジアでの日本の支配権だったと、それは初めて知りました。

 次回からそのことをご報告いたします。
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温故知新 (onecat01)
2020-07-29 23:46:08
HAKASEさん。

 媚中の二階氏と、その取り巻きの害虫議員を、安倍総理は更迭すべきです。なんとなく、そんな動きがありますので、総理は国民の負託に応えているようにも見えますが・・・

 日高義樹、落合信彦両氏の著書を前にして、先入観を捨て、虚心坦懐に読もうと考えています。

 米国と中国が、互いにここまでやれるのは、彼らが核兵器を持ち、軍隊を持ち、反撃の実力があるからです。片方が、日本のように手足を縛られ、何もできない国でしたら、とっくの昔にどちらかが屈しています。

 日本は、私達が思っている以上に、他国から警戒され、恐れられているのだと、日高氏の著書で教えられました。だから彼らは、

 1. 憲法改正反対
 2. 皇室の崩壊

 の二つを、世界包囲網で狙っています。国内の反日・左翼は、彼らの手駒です。二階氏などの害虫も、彼らに利用されています。

 次回から、少しずつ書評にかかります。ご指導を、期待しています。
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