ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

日航機123便墜落事故 - 48 ( ハルバースタム氏の意見 )

2024-07-29 15:41:59 | 徒然の記
   2. 平成5 ( 1993 ) 年刊  ・・宮沢内閣
    ・ディビッド・ハルバースタム氏著 『幻想の超大国』
 
 著者の略歴が、最終ページにありますので紹介します。
 
  ・1934 ( 昭和 9 ) 年、ニューヨーク生まれ
 
  ・ハーバード大学卒業後、1960 ( 昭和35 ) 年から1967 ( 昭和42 ) 年まで、ニューヨーク・タイムズ記者
 
  ・コンゴ、ベトナム、ポーランド特派員
 
  ・1964 ( 昭和39 ) 年、ベトナム戦争報道で、ピュリッツァー賞を受賞
 
 自国アメリカについての率直な意見や、歴代の大統領への飾らない批評など、興味本位の「暴露本」でなく、愛国の視線で語られる自国の欠点と暗部の告発と、こう言う表現が適切なのかも知れません。
 
  氏が、日本の真珠湾攻撃を語る部分を紹介します。

  ・太平洋と大西洋という巨大な水の防壁のお陰で、アメリカは数千マイル離れた地域での出来事には、影響を受けずに済むと確信していたが、その幻想は、真珠湾攻撃の成功によって徹底的に打ち砕かれた。

  ・戦後47年を経ても、アメリカの指導者及び国民の国家安全保障に対する考え方に、これほどの影響力を及ぼした事件が再び起こることはなかった。

  ・真珠湾で不意打ちを受けたという事実に、アメリカ人はショックを受け、自分の国が無防備であるかのように感じた。

  ・第二次大戦後、最新兵器の速度と破壊力は、大幅に増しており、もしミサイルと核弾頭を有する敵から、もう一度奇襲を受ければ、国全体が完膚なきまでに破壊されるのでないかという恐怖感が、アメリカ全土を覆った。

  ・第二次大戦後、日本はもはやアメリカの敵でなく同盟国となった。しかし冷戦の勃発に伴い、新しい敵が生まれた。

 それがソ連でしたが、ソ連崩壊後は核保有国の中国となり、核保有を狙う北朝鮮となり、イランとなっています。

  ・日本は今では同盟国になったが、奇襲される危険性が消滅したわけではない。

  ・真珠湾の記憶は、アメリカ人の意識に大きな影響を及ぼし、際限のない軍拡競争にのめり込んでいく一因になったのである。

  ・われわれはかって、眠っていてやられてしまった。だから、二度と眠らないようにしなければならない、というわけだ。

 「ねこ庭」はここに、アメリカの政治家、軍人、財界人、ジャーナリストたちが持つ偽らざる日本観を見ました。

 この言で行きますと真珠湾の記憶がある限り未来永劫に、日本への警戒心が残ります。敵対国である社会主義国やイスラム教国と同様、彼らは日本にも心を許していないということになります。

  ・ソ連が超大国としての地位を失った今、日本とアメリカは、異質な二つの大国として、世界情勢の中で並び立っている。

  ・日本は経済的な意味での超大国となり、アメリカは今では経済こそ弱体化したものの、政治的、軍事的には超大国としての地位を守っている。

 昭和57年の中曽根内閣以来、昭和62年の竹下内閣、短命だった宇野、海部内閣そして宮沢内閣と、日本では不安定な政治が続いていました。それでも氏の目には日本が「経済的な意味での超大国」として、見えていたのです。

 というより、もしかすると当時の日本は、つい先日までの中国のように年々経済発展をし、貿易大国として世界中から利益を得ていたのですから、実際にそうだったのかも知れません。

  ・この両国が互恵的な関係を維持することは、どちらの国にとっても必要だが、最近ではこの関係が危うくなり、不協和音が流れ始めている。

  ・それはおそらく、必然的な結果なのだろう。

  ・これほど健全な関係を保ち相互に依存していながら、この二つの国家は、社会、文化、言語などの面で全くかけ離れた存在だからである。

 息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々に紹介したかったのは、青色表示した氏の意見です。
 
 アメリカと日本は憎しみや敵対心からでなく、社会、文化、言語面でかけ離れているから、いつか不協和音が流れ、関係が危うくなるという見方です。
 
 これに日本の「真珠湾攻撃」の記憶が重なりますから、西欧各国との間でアメリカが築いている安定した関係は、生まれないということになるのか。ここで、「ねこ庭」が主張する次の意見と重なります。
 
 「アメリカは日本にとって大切な同盟国であると同時に、最大の敵対国でもある。」
 
 世界は一つ、人類は皆兄弟と考える人たちには、ハルバースタム氏と「ねこ庭」の意見は認められないと思いますが、敵対心を煽る危険思想ではありません。
 
 互いの相違点を認め合いながら、関係の維持を工夫をしようという意見です。今風の言葉にしますと、「多様性を認め合う意見」ということになる気がします。
 
 そうなると次は、ハンチントン氏の意見の紹介が必要になってきます。
 
 唯一絶対の意見と主張しているのでなく、多様な意見の一つとして紹介していますが、気に入らない方は次回をスルーしてください。
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