ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

5年前の「年末特別対談」動画 ( 自称保守の人たち )

2023-06-18 20:24:58 | 徒然の記

 渡辺氏の著作の書評の合間に、息抜きのためネットの動画を見ました。先ほど見終えたのは、「年末特別対談」と言うタイトルで、チャンネル桜の水島氏と評論家伊藤貫氏の対話でした。平成30年の製作ですから、今から5年前、安倍内閣の時の動画です。

 「アメリカの重要な対日政策が二つあります。」

 そう言って伊藤氏が目の前で指を折り、一つずつ説明しました。

  1. どんなことがあっても、日本には再軍備をさせない

  2. たとえ中国、韓国、北朝鮮が核を持っても、日本にだけは核を持たせない。

 「つまりアメリカは、日本を永遠に保護国、というより植民地にすると言うことですね。」

 「日本に自衛隊があるからと言って、アメリカに逆らえば、自衛隊の武器は即座に使えなくなります。暗号化されたブラックボックスが組み込まれている武器ですから、アメリカはいつでも自衛隊の武器や装備を無力化できるのです。」

 「表向き、日本は独立国ということになっていますが、敗戦以来、防衛と外交についてはアメリカの保護国のままなんですよ。」

 そう言うことだろうと思っていましたから、驚きませんでしたが、楽しそうに、得意そうに喋る伊藤氏が不思議でならず、1時間半の動画をつい最後まで見てしまいました。

 「私がアメリカから帰ってきて、一番に感じたことは、日本の保守と呼ばれる人たちが、中国と韓国と北朝鮮の悪口ばかり言っていると言うことでした。」

 「中国経済は大したことはない、韓国は口先だけの国だ、北朝鮮は危険な独裁国だなどと、年から年中、悪口を言っているだけ、国の独立を考えようとせず、自己満足のための批判と悪口ばかりです。」

 「全くその通りです。」

 水島氏が、うなづいていました。

 「日本が外国に対して、資本と労働市場の解放をすることは政策として間違っています。」

 「全くその通りです。安倍内閣が作った移民法は、日本をダメにする悪法です。」

 水島氏は自分の番組の中で、色々な人物と対話し、馬渕睦夫氏や林千勝氏なども、常連メンバーだったと記憶しています。以前はよく見ていましたが、対談相手を持ち上げ、同調するだけで、信念の所在があやふやな氏に幻滅して以来、ほとんど見なくなりました。しかし伊藤氏を初めて知り、意見を聞くのも初めてなので、興味を覚えました。

 氏の意見には、私と共通する米国認識がありますが、楽しいそうに、得意そうに喋る話題でありませんので、水島氏みたいにうなづく気になれません。伊藤貫氏とはどう言う人物なのか、ウイキペディアで調べてみました。

 「東京都出身、昭和28年生まれ、東京大学経済学部卒。アメリカ・ワシントンD.C在住」

 「国際政治アナリスト、米国金融アナリスト、政治思想家、日本の評論家」

 「ワシントンのビジネス・コンサルティング会社とロビイスト事務所で、国際政治・金融アナリストとして勤務」

 一時帰国しているのか、それとも米国での仕事をやめたのか、このデータからは分かりませんが、騒々しく喋る博学な人であることだけは確認できました。相手の話に耳を傾けると言うより、自分の意見を機関銃のように喋る忙しい人です。

 米国だけでなく、フランスやドイツ、イタリア、イギリスなどに在住しているこう言う評論家には、共通するパターンがあります。

 「日本の政治家は、日本の学者は、日本のマスコミは、」と、常に見下したような口調で批判します。最後は、こうした人々に騙されている日本国民の意識の低さを指摘する・・暗い顔で脅さないところが違うだけで、話の中身は日本国民と日本の批判ですから、聞いていると不愉快になります。

 「日本の左翼と保守は激しく対立していますが、彼らはどちらも金の話ばかりです。左翼は貧乏人に金をばら撒けと言うし、保守はばら撒くための金儲けが先だと言います。」

 「どちらも、金勘定と計算ばかりして、生きている人間のこと、国民のことを忘れています。経済的余裕は大切ですが、人間の喜びは文化の中で生きることで、これは数字では計算できません。」

 間違っている意見ではありませんが、日本の政治家が国会で金の話ばかりしていると決めつけるのは乱暴な話で、単純化し過ぎです。

 「憲法改正」と「皇室護持」のため、国を愛する政治家と学者と国民がどれほど反日勢力と戦っているのか。全ては伊藤氏が言う「アメリカの保護国からの脱出」のためです。女性宮家と女系天皇に反対しているのは、日本の国の土台にある皇室を守ろうとするためです。多くの国民がこの二つを忘れているのは、GHQが日本の歴史と伝統を崩壊させるため、国際法違反の「日本国憲法」を作ったところから始まっています。

 1 時間半も喋りながら、「日本の独立のためには、憲法改正がその第一歩だ。」と、肝心のことには言及しません。米国から一時帰国して的外れな意見を述べているのか、氏の話を聞いていますと、常日頃批判・攻撃している反日・左翼の人々も弁護したくなりました。

 「日本の政治家と、日本の国民は劣化しましたねえ。」

 こんなつまらない意見にうなづいている水島氏にも、何度目かの幻滅をいたしました。国を愛する多くの国民は、彼らのお喋りに関係なく真剣に生きています。ずっと日本にいて、日本の政治を見ているはずなのに、水島氏は愚論に反論の一つもしませんでした。

 「金の話しかしない自民党は、日本の文化を壊しているとも言えますね。」

 最後まで見ましたが、伊藤氏にも水島に氏も感心するところはどこにもありませんでした。息抜きのための動画でしたが、逆効果で、こんな報告をする結果となりました。自称保守にも、色々な人がいます。息子たちがこういう人たちに惑わされないことを祈りました。

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『日本史の真髄』 - 119 ( 他山の石 ? )

2023-06-18 11:07:59 | 徒然の記

 〈  第二十一闋 朱器臺盤 ( しゅきだいばん )  「保元の乱」の複雑な内幕  〉

 今日からは、摂関家藤原一族の緊迫した話になります。鳥羽法皇から忠通の書いた文書を見せられ、忠実は果たして怒り、親子の縁を切ると宣言し次のように言ったとのことです。

 「摂政は天皇の授けたものだから、自分が奪うわけにいかぬ。しかし氏長者 ( うじのちょうじゃ ) の地位は自分が忠通に譲ったのだから、宮中とは関係がない。これを忠通から取り上げて頼長に与えても、なんの支障もないはずだ。」

 そして彼は、次のような強硬策に出ました。

 ・ 源仲行 ( なかゆき ) ・頼賢 ( よりかた ) らを忠通の邸につかわし、朱器臺盤をうばわせた

 ・朱器臺盤とは、氏長者が大饗 ( だいきょう ) の時に用いる食器と食卓のことで、全て朱塗りであった

 ・大饗とは、関白太政大臣の邸宅で行った大規模な饗宴のことで、年中行事の一つとなっていた

 ・倉の鍵が見つからないと言う報告を聞くと、「倉を破れ」と忠実は命じた

 ・さらに、忠通が相続した宅地・荘園も奪って鳥羽法皇に献じ、源頼賢には先祖の日記を押収させた

 ・自分の母、つまり忠通の祖母が亡くなった時も、忠通を葬儀に参加させなかった

 親子の縁を切ると言う言葉通り、忠実は徹底して長男である忠通のものを奪い、「氏長者」の印となる諸々 ( もろもろ ) を取り上げました。

 「こうしてついに、次男頼長は内覧になった。こうされながらも、忠道は公職をやめない。近衛天皇は頼長を嫌い、忠通と親しみ、実権は鳥羽法皇にあったので、忠実はどうしようもなかった。」

 その後頼長の驕慢とわがままの度が高じていくので、鳥羽法皇も頼長がいやになられます。それで近衛天皇が亡くなり皇位継承者問題が起きた時、鳥羽法皇は美福門院と忠道だけに相談し、忠実・頼長親子を関与させられませんでした。後白河天皇が即位され、後の二条天皇が皇太子になられた背景には、このような事情がありました。

 「忠実は、頼長をせめて皇太子の傅 ( ふ・お守り役 ) にするよう鳥羽法皇に乞うたが、許されなかった。宮廷は、完全に鳥羽法皇と美福門院と忠通の体制になった。」

 不平不満が溜まっている社会で、権力欲に満ちた人間が自己主張だけをすると、一つ歯車の狂いが誰も止められなくなります。右・左や愛国・背信の話でなく、譲り合うことを忘れ、自分可愛さに我欲を通そうとする人間の話です。次回はいよいよ頼山陽の詩の解説になりますが、過去の話でなく、現在に通じる「他山の石」として紹介しています。しかし果たして息子たちに通じるのかどうか・・

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