ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

6月13日、シレット総理の記者会見

2023-06-14 15:19:06 | 徒然の記

 NHKのニュースで、岸田総理の記者会見の模様が伝えられていました。保守系のネットで総理の評判は相変わらず良くないのですが、1時間余りの会見を最後まで見てしまいました。

 もしかすると岸田氏は、故安倍氏を超える総理になるのではなかろうか ?

 サミット後の記者会見でもそんな印象を受けましたが、今回も同じ気持ちになりました。どうしてこのような思いにさせられるのか、後日のためブログに残して置きたいと思います。

 決断力がなく何も決められない政治家というレッテルが貼られ、「 検討大使 (遣唐大使 )」という字名がつけられ、私もそういう目で見てきましたが、総理就任以来人間が変わったのではないかという気もします。総理という立場がそれをさせるのか、少しずつ実績をあげている自信がさせるのか、マイナス評価を先行させず、しばらく観察したくなっています。

 国民多数の悲願である「憲法改正」と「皇室護持」については、相変わらず曖昧で、亡くなった安倍氏のように正面切って口にしません。記者に質問されれば、大事な問題なので党と政府で一丸となって検討しますと、遣唐大使の名に相応しい答えをします。

 記者会見が開かれた理由は、「こども未来戦略方針」が政府の「こども未来戦略会議」で策定されたためだそうです。

 日本の人口が減少していけば、国力が失われていきます。「少子高齢化問題」は、「憲法改正」、「皇室護持」と並ぶ重要案件です。就任時の高かった内閣支持率が、岸田氏のつまづきで低下している時なので、「少子高齢化問題」で実績をあげれば支持率の上昇につながります。

 「憲法改正」と「皇室護持」の旗を下ろしていないのですから、実現可能な問題から手をつけることについて反対する気はありません。

 「未婚率の上昇と出生率の低下は、若い世代の所得の問題に原因があります。」

 岸田総理の意見に反対する人は、おそらく野党にもいないはずです。結婚できない若者が増え、子供を作りたがらない夫婦が増える理由は、パート・アルバイトや派遣が増え、安定した収入が得られないためです。いつ首を切られるか分からない職場で、賃金も安いとなれば、未来への希望が生まれません。

 例外を設けない児童手当の支給、出産費用の支給、育児休業時の給付金の引き上げなど、きめ細かな支援策が実施されれば低賃金の若者が救われます。「経済成長への取り組み」と「子育て対策」は、車の両輪であるという総理の説明にも、納得する国民が大半でしょう。

 夢のような手厚い保護をどうのようにして実現するのか、その財源をどうするのか。ここが問題ですが、総理はいつもの曖昧戦略で、自信を持って公言しています。

 「国民に実質的負担が生じないよう、歳出改革を徹底します。」

 大蔵省が喜びそうな、「歳入歳出バランス論」を述べ、若者世代への給付は不要不急の歳出削減で作り出すといいます。

 「国債を発行すれば国の借金が増えて、将来の子供達に大きなツケを残すと大蔵省が言っていますが、これは大きな間違いです。国債発行は国の借金ではなく、未来への投資ですから国の財産です。」

 「必要な資金はどんどん国債を発行してまかない、国の発展のために使えばいいのです。」

 先日NHKの「日曜討論」で、れいわ新撰組の高井幹事長が力説していました。出席者の誰も賛成せず、無視されていましたが、私は正論でないかと思いました。それでもれいわ新撰組そのものに同意しないのは、高井氏が軍国化のための防衛費増額は不要という左翼特有の主張をするからです。

 国債発行をせず、増税もせず、経費削減改革だけで、「こども未来戦略方針」が実現できないことは目に見えています。14年前に民主党が政権を取ったとき、同党のマニュフェストには次の政策が掲げられました。

 ①  子ども手当の支給(初年度2.5兆円、11年度以降は5.5兆円)

 ②  高校の授業料無償化(0.5兆円)

 ③  ガソリン税などの暫定税率の廃止・減税(2.5兆円)

 ④  高速道路無料化(12年度以降は1.3兆円)

 巨額の歳出増と歳入減を伴う政策が豊富に盛り込まれ、国民を喜ばせました。政府内の無駄を徹底検証するとして、鳴り物入りで「事業仕分け」がテレビ放映されましたが、惨憺たる結果に終わりました。

 総理の言う「歳出改革を徹底」では、いくらの財源が生まれるのか国民は信じていませんし、おそらく総理自身も思っていない気がします。

 「財源は、歳出改革の徹底と、建設国債・・」、はっきりと聞こえませんでしたがどさくさ紛れにそう言っていたような気がします。大切なことをはっきり語らず、曖昧に喋ってその場をしのぎ、後で「知れっとして」重要政策を実行します。

 ・有事の際の海保指揮権を自衛隊の指揮下におくこと。

 ・防衛力強化と原発再活用の決定

 ・韓国ユン大統領との融和路線

 ・広島サミットへのゼレンスキー氏招聘 

 など、どさくさ紛れに重要政策を実行し、「知れっとして」います。このような芸当は愚昧な政治家にはできませんので、ここに氏の隠れた才と指導力を見る気がしています。

 ついでに記者会見で、LGBT法について質問された時の答えぶりを紹介しておきます。これを読みますと、私はやはり前回のブログのタイトル ( 岸田総理とLGBT法 ・大騒ぎする必要性 ? ) と同じ印象 を持ちます。

 「国会で議論されているさなかに、政府の立場から内容について評価することは控えなければならない。」

 「引き続きできるだけ幅広い合意が得られることを、期待したい。政府としては、多様性が尊重され、すべての人々が互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向け、さまざまな国民の声を受け止めてしっかり取り組んでいく。」

 「同性婚の法制化については、制度を法律として作ることになると、幅広い国民の皆さんにさまざまな影響が出てくるという課題もある。司法の動きなどを踏まえ、国民や政治の中でどういった議論が進むのかを注視しながら、多くの国民の声を聴き、政府としても責任を果たしていきたい。」

 党内の反日リベラル議員に忖度し、米国のエマニエル大使にも気遣いし、いい顔を見せているだけのような気がするのは私だけなのでしょうか。

 もう一つ参考のため、「こども未来戦略会議」の主要メンバーの名前と肩書を紹介します。

  権丈善一  ・・慶應大学教授

  清家篤氏   ・・元慶應大学塾長

  十倉雅和氏  ・・経団連会長

  中野美奈子氏 ・・フリーアナウンサー

  新居日南恵氏 ・・NPO法人「manma」創業者

  平井伸治氏  ・・全国知事会会長 鳥取県知事

  芳野友子氏  ・・連合会長

 経団連会長の十倉氏と連合会長の芳野氏の名前を見ますと、若者世代への「賃上げ」と「給与支給」の具体策が、絵に描いた餅でなく検討されていることが伺えます。連合を通じて、自由民主党と国民民主党の接近が感じられ、公明党との決別路線が垣間見える気がします。

 ということで、現在の私は多くの保守の方々と違い、岸田総理をマイナス評価せず注目していきたいと考えています。こんな時に思い出すのは、鄧小平氏の言葉です。

 「黒猫でも白猫でも、ネズミを取る猫はいい猫だ。」

コメント (4)
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