ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

教師 - 3 ( 編集者と出版社 )

2021-01-28 20:34:09 | 徒然の記

 森口秀志氏は、有限会社 「結(ゆい)プランニング」の代表取締役で、さらには、運営会社として設立した、「ジョイカレッジ結(ゆい)」の校長も、兼務しています。いずれも平成10年の設立ですから、『教師』出版の1年前の会社です。

 ここには森口氏の略歴が、もう少し書かれていますので、会社概要と共に紹介します。

 《 有限会社 「結(ゆい)プランニング」の概要 》

  資本金 300万円   従業員 2名    本社 世田谷区

  事業内容  福祉・介護に関する教育・訓練・コンサルティング業務
        人材の教育訓練、指導及び育成事業
        編集制作物の企画・編集・執筆。イベント制作など

  補足説明  運営施設としての、「ジョイカレッジ結(ゆい)」が横浜市にある。

  【学  歴】   明治大学政治経済学部中退
  【職歴・経歴】・ 教育・音楽・若者風俗・在日外国人などをテーマに新聞・雑誌にルポ を発表。
         ・ 文化批評誌『HOLIC』編集長などを経て、平成10年に
                         企画・編集制作会社(有)結プランニング設立。
         ・平成17年から21年まで、国会議員秘書を務める。

 「ジョイカレッジ結(ゆい)」と言うのは、介護福祉士を育成する学校で、通信教育をメインとしています。森口氏の人物像は、知るほどに明確になると言うより、知るほどに分からなくなります。  

 今読んでいる『教師』と言う本が、信頼に足る書物なのかどうか、それが知りたいだけなのに、目的が達成されません。氏は本当に日本の教育を考え、この本を出版したのだろうかと、疑問の方が大きくなります。

 それならばと、出版社である晶文社を調べてみると、ネットでは、次のように説明されていました。

 「晶文社は、日本の出版社」「昭和35年、中村勝哉と小野二郎が設立」「資本金は1000万円」「代表者は太田泰弘、トレードマークは、動物のサイである」「人文社会科学書・実用書・ルポルタージュ・」「文芸・サブカルチャーなど、多彩なジャンルの書籍を出版している」

 これではサッパリ分かりませんので、中村勝哉、小野二郎、太田泰弘各氏について、ネット検索しました。

  《 1. 中村勝哉氏 》

  「晶文社の創業者。60年に晶文社を創業、46年にわたり社長を務めた。」
 「小野二郎と東大駒場の同期であり、学力増進会の経営をしつつ、メセナ活動として行っていたのが晶文社だった。」 
  「小野二郎や木島始に、筆者の選択から全てをまかせ、金は出すが口は一切出さない、パトロンとしての社長であった。」

  《 2. 小野二郎氏 》 

  「昭和4年、東京生まれ」「昭和57年没、53才」「日本の英文学者、思想家」「昭和33年、東京大学大学院卒業後、出版社弘文堂に勤務」

 《 3. 太田泰弘氏 》

  「小野二郎、中村勝哉と晶文社を設立し、のち編集顧問」「弘文堂を退職し、東海大学専任講師」「昭和38年、明治大学専任講師となり、昭和46年文学部教授」「ウイリアム・モリスなど、イギリスの思想家たちに学びながら、」「大衆芸術運動の実践を通じた、社会変革の実現を構想した。」

 メセナ活動とは、企業が資金を提供し、文化・芸術活動を支援することですから、慈善活動の一環です。私の考えでは、晶文社の設立者たちを調べれば、偏った反日左翼主義者が出てくる予想でしたが、当てが外れました。

 しかしウイリアム・モリスについて調べると、次のような説明を見つけました

 「彼は、プロレタリアートを解放し、生活を芸術化するために、」「根本的に社会を変えることが、不可欠だと考えた。」「マルクス主義を熱烈に信奉し、E.Bバックスや、」「エリノア・マルクス ( カール・マルクスの娘  ) らと、行動をともにした。」

 ここでやっと、晶文社の代表者だった太田氏が、左系の人物だと分かりました。『教師』と言う本が、左に傾いている事実も、納得できます。左系の教師の話が集められていると分かれば、信じるか信じないかは、読者の問題になります。本人たちは本気で喋っているのですから、全否定しますと、トランプ氏を否定したアメリカのメディアのレベルに落ちます。いくらなんでも、そこまでは落ちられません。

 全てを参考情報として、次回から紹介していこうと思います。息子たちと、「ねこ庭」を訪問される方々も、そのつもりで読んでくださるようお願いします。 

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教師 - 2 ( 教師と教授の区別 )

2021-01-28 09:48:54 | 徒然の記

 『教師』の第二回目になります。教師と、簡単に言っていますが、「大学教授」と「教師」は、同じ先生ですが、なぜ呼び方が違うのか。区別するのは間違いで、どちらも同じ先生でないのかと、そんな疑問が湧いてきました。

 出版社や編集者を調べるのなら、いっそのこと、初歩的な疑問から片付けたくなります。不可解な本のせいか、思ってもいない疑問が生じますが、何事も勉強ですから、ありがたいことです。

 ネットで調べますと、「教授」と「教師の」違いが、ちゃんとありました。別にあるのかもしれませんが、手っ取り早いので、最初に見つけた説明を紹介します。

 1. 幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校で教える先生は、それぞれの校種ごとの教諭の免許状を持っている。

 2. 教員免許を持っていなければ、先生になることはできない。

 3. なぜなら先生は、生徒たちが正しい知識を身につけ、心と体が成長していけるように教育していくことが、仕事であり、役割だから。

 4. 大学には授業はあるが、「教師」はいない。

 5. 大学は教育の場ではなく「研究機関」であり、学生も教授も、自分が興味を持ったことについて、研究を行う場所である。

 6. 指導を行う人は、教師ではなく「教授」と呼ばれる。

 7. 教授は授業は行っても、教えることが本職ではなく、あくまでも目的は研究。

 8. 教育者ではないので、教員免許のような、教育のためのライセンスは不要。

 9. 学生たちの研究の参考になるよう、自分の研究を説明したり、研究のやり方や発表方法を教えたりするのが主な仕事。「教えるプロ」ではないため、優秀なのに、授業を聞いても内容がさっぱり理解できない教授も、たまにいる。


 9番目の説明には、笑ってしまいますが、学生時代を思い出すと、そんな教授もいたような気がします。大学教授に教員免許が不要だったとは、目から鱗の話です。誰でも簡単になれると言うことでなく、学問の世界で認められる研究者ですから、教員免許よりハードルが高いのだと思います。

 一番分かるのは、やはり数字での比較です。日本の「教師の人数」と「教授の人数」を、文部科学省のデータで調べてみました。

 《 平成21年 教授の人数  18万人 》

   内訳 ( 教授  7万人 准教授  4万人 講師  2万人 助教授  4万人 助手  1万人 )

 《 平成17年 教師の人数  109万人 》

         内訳 ( 幼稚園  11万人 小学  42万人 中学  25万人 高校 25万人 その他校  6万人 )

 調査年は違いますが、傾向を掴むだけですから、私にはこれで十分です。そうなりますと今度は、この数字を使い、編者の森口氏に異論が述べたくなります。息子たちと、「ねこ庭」を訪問された方々は、この本の宣伝文句 ( キャッチフレーズ ) を思い出してください。

 「今学校で、何が起こっているか ?」「87人の教師たちが語る、ニッポンの学校・教育・子供」

 「北海道から沖縄まで、最前線に立つ教師は、何を考え、何をしているのか ?」

 「日本の学校、今の子供達の姿が見えてくる。」

 分厚い本に、87人の教師の言葉を集めたと得意になっていますが、109万人の中の87名ではありませんか。北海道から沖縄まで、満遍なくインタビューしても、左翼系の人間や、極端な少数意見を取り上げていたら、それで日本の教師像が掴めるのでしょうか。

 例えば、前回取り上げた、性教育をする原田瑠美子氏は、教師の一般像なのでしょうか。性教育の体験談で著作を出し、有名になり、性教育団体の幹部をしているのですから、氏は既に一般の教師というより、二足のわらじを履いた活動家です。教室での生徒の会話などを利用し、世間で名を売った人物が、氏の前に何人かいます。無着成恭氏もその一人でした。

 またインタビューを受けた教師の中に、平成11年出版の『学校崩壊』の著者、 川上亮一氏の名前を発見しました。氏は反日左翼と言うより、教師の立場に立ち、マスコミや子供の親たちを厳しく批判する人物でした。教師を批判する評論家や学者にも、反論していました。

 著作が話題作となって、テレビのワイドショーに出演するようになり、平成12年には、「教育改革国民会議」の委員も務めています。当時の小渕総理の私的諮問機関で、荒れる学校教育を改革するため、有識者を集めたものですが、次の森内閣まで、積極的に開催されたと言われています。

 氏はその後平成18年には、日本教育大学院大学の教授となり、平成24年には、埼玉県鶴ヶ丘市の教育委員会・教育長に就任しています。現場一筋の高校教師として終わったのでなく、多面的な活動をしているところが、性教育の原田氏と似ています。

 こういう野心家たちは、「自己実現」が生きる目的で、それ以外のものは、目的のためのツールでしかない、という面が多々あります。売れる本にふさわしい教師が集められていると、私が思うのは偏見なのでしょうか。

 編集者と出版社について調べる予定が、すっかり狂ってしまいました。次回こそ、日本の教育より、売れる本を作ろうとする彼らの意図を、明らかにできればと思います。予定変更に我慢していただける、寛容の方だけ、「ねこ庭」へお越しください。

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