ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

『有事法制のすべて』

2017-10-26 18:45:05 | 徒然の記

 自由法曹団編『有事法制のすべて』( 平成14年刊 新日本出版社 ) を、読みました。

左翼の弁護士 ( 6名 ) が書いた反日の本で、今から15年前の、小泉内閣時代の出版です。本書が出されるきっかけが、「あとがき」で述べられていますから紹介します。

 「政府が提出した、有事法制関連三法案を目にした執筆者は驚き、そして激怒した。」「法案は、予想したものをはるかに超えた、恐るべきものだった。」「法案を目にしてから、最後の原稿にするまで十日間、この恐るべき法案の内容を、1日も早く知らせたいと、執筆者らは不眠不休の執筆を続けた。」

 「国家機密法や警察拘禁二法と同じように、戦争国家への道=有事法制関連三法案を、国民的な反撃で、葬り去る日がくることを念願してやまない。」「本書は、自由法曹団有事法制闘争本部などでの、論議を基にしているが、各パートは、それぞれの執筆者の責任でまとめている。」

 6名の執筆者が紹介されています。

 神原 元  川崎合同法律事務所    鈴木 剛   町田・相模総合法律事務所

 瀬野俊之  都民中央法律事務所    田中 隆   北千住法律事務所

 松井繁明  都民中央法律事務所    松島 暁   東京合同法律事務所

 どういう経歴の弁護士なのか、ネットで調べましたら、神原元氏についての説明がありました。朝日新聞記者・植村隆氏の、弁護団事務局長であり、元しばき隊のメンバーだったとのことです。これ以上は時間の無駄になりますので、他の弁護士の検索は止めました。

 私はブログで知った風なことを述べていますが、有事法制と安保法制の違いを知りませんし、具体的な中身も知りません。有事法制関連三法案とは、次の三つだと教えられましたので啓蒙の書としては役に立ちました。

 1. 武力攻撃事態法案  2. 自衛隊法改正案  3. 安全保障会議設置法改正案

 法案は、二度目の国会提出でしたが、どうやら可決に至らず「継続審議」となり、執筆者たちの希望通り廃案となっています。しかし本年(平成29年)の7月16日に、安保法制関連法として、ひとまとめで可決されましたから、執筆者たちの希望は叶わなかったということになります。

 今年の7月に、反日の野党が「戦争法案」だと騒ぎ、国会周辺でデモをし、文科省の前川喜平氏も参加しました。可決された法案の数が11本ですから、安倍総理も自民党も、本気だったことが分かります。大切な事実なので、ネットの情報から11本の法律名を転記します。

  1. 国際平和支援法 (新設)           2. 自衛隊法 (改正)      3. PKO法  (改正)

  4. 重要影響事態安全確保法  (改正)         5. 船舶検査活動法  (改正)

  6. 武力攻撃事態対処法  (改正)               7. 米軍等行動関連措置法  (改正)

  8. 特定公共施設利用法  (改正)               9. 海上輸送規制法  (改正)

 10. 捕虜取扱法  (改正)                         11. 国家安全保障会議設置法  (改正)

  結論から言いますと、自由法曹団の弁護士各氏が、15年前にこの本で懸命に反撃し、激怒した法案は、すべて成立したということになります。だからと言って私は、この本をいい加減な気持ちでは読まず、むしろ真摯に文字を追いました。

 反日の弁護士たちは、どんな思考のもとで政府の法案に反対するのか、どうしてここまで英雄気取りで意見が展開できるのか、不思議でならないからです。しかもこの本で彼らが主張している言葉が、現在野党の反対意見や、マスコミの報道で使われています。法律が成立したからと言って、問題が解決した訳でなく、依然として反日左翼の理屈が、生き続けているという訳です。

 私が発見した彼らの思考を、無作為に拾ってみました。

 「明治政権の成立から、昭和20年の敗戦まで、日本は絶え間なく戦争を行ってきた。」

 「多数の外国の人々を殺し、日本人も多くの生命を戦争の中で失った。」

 「その日本は、昭和20年から半世紀以上にわたって、戦争をすることはなかった。」

 「日本軍が他国の人々を殺すことも、日本の青年が戦死することもなかった。」

 「これは平和憲法と、それを支持し、擁護してきた国民の力があったからである。」

 これを読みますと、明治以来日本は戦争ばかりし、他国の人間を殺してきた国だと、そういう風にしか理解できません。江戸末期から明治にかけ、欧米列強のアジア侵略がどれほど激しいものであったか。当時の幕府や、朝野の知識人、あるいは多くの武士たちは、列強による侵略をどれほど恐れ、どれほど国を守ろうとしていたのか。

 彼らの頭には、そのような歴史がどこにもありません。日本という国を語ろうとするとき反日左翼の人間の話は、常に敗戦の前後から始まり、

「日本は無謀な戦争をした」「日本だけが間違っていた。」

「日本は酷い国だ。」

  と、こういう結論だけを強調します。

 このようなお粗末な、貧しい歴史観で、よくも日本を語れるものと、私はいつも情けなくなります。「日本だけが悪かった、間違っていた。」という意見が、東京裁判史観と言われるものだと、今では誰もが知っています。

 本の執筆者たちは、米国の横暴と危険性を書中で激しく否定しながら、自分たちの主張の正当化のためには、東京裁判史観を利用しています。自分の国を貶めるためだけに米国の捏造史観を使い、日本の長い歴史も勝手に省略するというのですから、呆れるしかない弁護士先生たちです。

 「ソ連崩壊後の現在のロシアには、侵略の意図も能力も欠けている。」

 「日本を侵略する可能性は、ゼロに等しい。」

 「また中国や北朝鮮との間にも、小さな島々の領有権や漁業などでの争いはあるが、戦争にかけてでも解決すべき重大紛争とはとうてい言い得ない。」

 「中国も北朝鮮も、地上兵力では強力であるが、海を渡っての作戦を遂行する能力はまったく持っていない。」

 「日本を軍事侵攻する可能性のある国は、存在しないのである。」

 「このように、過去にも現在にも、中・長期の視点から見ても、日本が軍事侵略を受ける可能性はほとんど絶無に等しい。」

 「したがって有事法制など、日本にはまったく、必要のないものと言わなければならない。」

 専門知識もないのに、たかだか市井の弁護士が、何を根拠に軍事を語るのかと、これが正直な気持ちです。「国の安全と国民を守るためには、一ミリたりとも妥協しない。」というのが、国際社会の常識です。一寸の土地のためでも、一人の国民の安全のためでも、国は全力を傾けて対峙します。

 北朝鮮の工作員に罪もない日本人が多数拉致されていても、竹島が不法に韓国から占拠されていても、執筆者たちには問題意識がありません。

 出版当時は、中国による尖閣の領海侵犯は起こっていませんでしたが、これなどは明らかな軍事挑発です。彼らの頭には、軍事侵攻と言えば即座の戦闘行為だと、そんな幼稚な理解しかありません。

 武力を背景にじわじわと押し寄せ、威力を誇示する軍事行動もあるのだと、そんなことも知りません。

 何年前だったか、テレビで、鳥越俊太郎氏が評論家の岡本氏と論争していたのを思い出しました。安全保障法案が国会で審議されていた時だったか、あるいは憲法改正についてだったのか、記憶が正確でありませんが、鳥越氏のバカにしたような口ぶりだけを覚えています。

 「よその国からの侵略だなんて、そんなものある訳ないですよ。」「一体どこの国がありますか。」中国だと、岡本氏が答えていました。

  「そんなのは、妄想、妄想ですよ。」

 しかしその妄想は現実となり、中国公船の領海侵犯が今も続き、治る気配がありません。漁船を装った中国工作船が、何百隻も大挙して押し寄せ、不法な漁をし、日本を威嚇しています。ついこの間から、沖縄は中国の領土だと言い出し、沖縄の独立運動を画策したりしています。

 自分の国のことは何も心配せず、中国や韓国・北朝鮮の為すがままにし、それでも日本が悪いと言い続けるのですから、彼らは果たして日本人なのかと、どうしても疑問が湧いてきます。鳥越氏も反日左翼のジャーナリストなので、この本の著者たちの仲間です。

  どのように立派な意見に見えても、前提が間違っていれば、すべて間違った意見となります。反日弁護士たちの犯している、大きな間違いは、

   1. 歴史認識が間違っている。( お粗末で、貧弱、しかも偏見 )

      2. 他国は決して日本を侵略しない。( 間違った思い込み、妄信、狂信 )

 有事法制の各論が詳しく解説され、国民への警鐘が乱打されていても、すべて間違った意見ですから、紹介するに価しません。

 本日はこれまでとしますが、私のブログを訪れる、心優しい「自然愛好家」や「動物愛護者」や「平和愛好」の方たちは、どうして反日・左翼のお話に感動されるのでしょう。

 自然や動物や他の国が愛せるのに、なぜ自分の国だけが愛せないのでしょう。自分のご先祖や、歴史や、文化が、足蹴にできるのでしょうか。不思議でなりません。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする