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最近の旅行記録とともに、以前訪れた場所の写真などを紹介し、見つけた面白いもの・鉄道・化石などについて記します。

私の化石組標本(その16)

2013年11月09日 | 鉱物・化石組標本
私の化石組標本(その16)
My set of fossil specimens, part 16

中生代の最後。


48 標本45-48  scale: 5cm
Specimen 45-48: Eutrephoceras, Crocodylus, Rebbachisaurus, dinosaur egg

標本45 ユートレフォセラス Eutrephoceras アメリカ産? 白亜紀 軟体動物・頭足類
いただきもの。ユートレフォセラスは主に白亜紀のオウムガイ類(ジュラ紀から中新世までの化石が報告されているという)。種類はたぶんEutrephoceras dekayi Mortonであろう。アンモナイトではないから、縫合線は単純、というよりほとんどまっすぐである。真珠光沢が美しい。他のアンモナイトを整理していて混じり込んでいたのをいただいたもの。
 Eutrephocerasは1894年Hyatt = 既出 = の命名。Eu-は「ほんとうの」とか「良い」、Trepho-は「養う」「食べさせる」といった意味。「良い栄養になる角(オウムガイ)」とは何の事かな? ちなみに Trephocerasという属も見当たらない。Eutrephocerasは白亜紀/第三紀境界を生き延びて、中新世ごろまで化石が知られる。

標本46 クロコダイル Crocodylus モロッコ産 白亜紀 爬虫類
これもいただきもので、たくさんのスピノサウルスの歯の中に混じり込んでいたものをいただいた。
 アランブルグ(C. Arambourg)は、1952年に「Les vertebras fossils des gisements de phosphates (Maroc - Algerie - Tunisie)」(燐鉱床(モロッコ・アルジェリア・チュニジア=いくつかアクサンが付くけど省略)からの脊椎動物化石)という論文を発表し、モロッコ付近の研究の基礎となった。私は図版の部分の悪いコピーしか持っていないが、その中にワニ類の図は第40図から44図までの5図版に出てくる。その中で41図に出てくる写真がこの標本によく似ているが、Crocodilus aff. spenceri とされているので、ここではCrocodylus にいれておく。つづりをCrocodilusとしている例は数多くあるが、もとのつづりはyの方である。なお、Arambourgの判定は後に研究が進められて変更されている。例えば、40図の「未定のワニ類」とされているのは、どう見ても現在の感覚ではSpinosaurusである。
 Crocodylus は1768年、Laurenti = Josephus Nicolaus Laurenti (1735-1805)、イタリア出身、オーストリアへ = の命名。ギリシャ語crocodilos はワニやトカゲを意味する。1768年と、今回現われる命名年の中で最も古いが、化石に対してつけられたものではないので、ありがたさもいまひとつ。

標本47 レッバキサウルス Rebbachisaurus モロッコ産 白亜紀 爬虫類・竜脚類
 これもいただきもの。ワニと同じく、スピノサウルスの歯の中に混じっていたもの。エナメルがはがれた所が多くて、いい標本ではない。
 属名Rebbachisaurus は、1954年にLavocat によって命名された。元になった化石は、モロッコ内陸のアルジェリア国境附近Daouraから産出したもの。Rebbachi- もこのあたりと関係があるようで、ベルベル族のAit Rebbach という人に献名されているようだ。
 種類はRebbachisaurus garasbae Lavocat (基本種)であろう。この属にはもう一種、R. tamesnensis Lapparent というのが記載されているが、ニジェール産であるし、属についても異論があるようだ。

標本48 恐竜(卵殻) dinosaur egg アメリカ産 白亜紀 爬虫類・鳥盤類
近年、中国では大量の恐竜卵の化石が発見された。この標本は、鉱物・化石ショーで購入したもので、袋入りの100片ぐらいのもので、非常に安い値段だった。しかし、一つ問題があって、中国は魚類を除く脊椎動物の化石の持ち出しを禁止していること。従って、この標本が中国から持ち出されるときには、なんらかの違法行為が想定される。私が東京で買うことには何の問題はないが。
 多くの恐竜卵化石は、種類の認識が難しい。この標本もどのような種類のものかはわからないが、大きさがそれほど大きくないことと、大量にあることを考えると鳥脚類かな、と思う。

今回は自分で採集した標本がない。これで中生代が終りとなった。
自分で採集した標本は、古生代と同じく15件。属名が不明なのは恐竜卵だけ。残り23属だが、勉強が足りないので包括的な属名を使ったから、命名の古い属名が多い。一番古いのは1768年のCrocodylus属。出てきた属の命名年の平均値は1873.5年古生代が1874.5だったから、ほとんど一致する。明治でいうと6年。日本人が出てきた(江口元起と矢部久克)。
中生代の全体はこんな感じ。


49 中生代の段


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