OK元学芸員のこだわりデータファイル

最近の旅行記録とともに、以前訪れた場所の写真などを紹介し、見つけた面白いもの・鉄道・化石などについて記します。

地形図の空白

2019年11月25日 | 50年・60年
地形図の空白

 以前は、地形図をよく買いに行っていた。最初に自分で購入した地形図は、五万分の一「蓼科山」図幅だった。中学校二年生の時である。「夏の生活」という学校行事で、宿泊を伴う旅行だった。その後高校生までは瑞浪の化石産地などの地図を買った。大学生になると、旅行の行き先で歩くところがあればなるべく買うようにしていた。そのうちに五万ではなく二万五千分の一地形図の方に変わっていった。
 五万分の一地形図の範囲は、二十万分の一地勢図を16等分したものである。縦横とも4等分ということで、横は東経1度ごとに、縦は北緯40分(1度の3分の2)ごとに機械的に割り振ってある。だから二枚の図は重複なく隣り合っている。ところが、そうでないところもある。下の写真は50年以上前に、東北に化石採集に出かけるために買い揃えた五万分の一地形図のうちの二枚。」

1 「三廏」図幅の右下端 1965.8.30発行


2 「袰月」図幅の左下端 1957.4.30発行

 ご覧のように、右側の「袰月」(ほろづき)図幅は一色刷りの古いもの、左の「三廏」(みんまや)は色が入ってやや新しい。どっちの地名も難読。二枚の地図を、鉄道と海岸線が連続するように並べると次のようになる。

3 「三廏」と「袰月」の間に隙間がある。

 実は、「三廏」図の右端の経度は「140度30分」、「袰月」の左端は「140度30分15.4秒」となっていて、図の端がずれていることは表示してある。本来は140度30分であるべきところ15.4秒(このあたりで360メートルぐらい✴︎)境界が東にずれている。

4 地図の空白に近いところの海岸 青森県今別町 2017.5.17

 昔、天体測量で経度・緯度を決定していたのだが、緯度は正確に測量できるのに対して、経度には時間に関わる誤差が生じるものだった。それで、前に決めた経度がずれていることがわかったので、とりあえずその15.4秒を枠に表示したわけ。順に新しい図では図の範囲を正していったためにこういうところがあったのだ。そうすると逆にダブるところもあったはず。
 後に、地図の境目のために、常に2枚(運が悪ければ4枚)購入する不便のために、本来の境界線から外側も少しだけ含むように変更された時代もあったが、そんなこともインターネットの普及で無意味になったしまった。

✴︎25日午後 空白の幅を計算して数字を変更した。