そこそこの放送作家・堀田延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこのブログ。
人生そこそこでいいじゃない





ドイツの巨匠ヴィム・ヴェンダース監督の代表作。
カンヌで最高賞パルムドールを受賞。
全盛期のナスターシャ・キンスキーが出てくる。
その感想。

これはね、なかなか変わった映画だった。
主人公はオッサンなのだが、そのオッサンの行動動機というか、キャラの変容というか、全てが(ぶっちゃけて言うと)ムチャクチャなのだ。
「え、お前そんな奴だっけ?さっきと違くね?」ってことが結構起こって、少し面食らうのだけど、ワンシーンワンシーンのシークエンスが面白いので、なんとなく見ていられて、その内になんとなくの物語が展開していき、という感じの不思議映画。
見ている最中、撮りたいシーンを寄せ集めたような映画だなぁと思って、後で調べたら案の定、ヴィム・ヴェンダースってそういう人らしい。
物語を表現するために各シーンを撮るのではなく、シーンをつなぎ合わせたものが物語になる、という考え方らしい。
だから事前に用意した脚本なんてほぼなくて、現場で思いついたシーンを撮っていき、それに合わせて脚本も書き換えていくらしい。
だから主人公のキャラは支離滅裂になるし、突然別人のような行動を取ったりする。
でもそういう「常に変化し一貫性がない」のが人間じゃないかという議論も出来るので、ヴェンダースのやったことも1つの正解なのかも。
なんにせよ、映画として面白くないわけではないし、映像は美しいし愛らしいので、理屈抜きにすれば見るべき映画。
だてカンヌのパルムドールだからね、一応。
星2つ半。★★1/2

ナスターシャ・キンスキーが前面に押し出されているが、実はちょい役だ。
ナスターシャ・キンスキーの登場を待っていてもなかなか出て来ない。
むしろ彼女が出てくるのを待つ映画という側面もある。
で、いざ出てきたナスターシャ・キンスキーは圧倒的に美しい。
さすが80年代に「スクリーン」や「ロードショー」といった映画雑誌の表紙を席巻した美人女優だけのことはある。
しかも、演技も上手いんだから、言うことなし。
全盛期のナスターシャ・キンスキーを見るためだけでも、この映画は見る価値がある。

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