ナガミヒナゲシは外来種で、駐車場とか道路のちょっとした隙間などにたくましく生えています。クロード・モネの作品に真っ赤なケシの花が描かれたものがありますが、あれと同じ仲間です。あの花は英語でポピーと呼ばれ、花の色がずっと鮮やかです。
ヨーロッパのケシ(ポピー)
この花はヨーロッパでは「戦争の話」と呼ばれるそうです。というのは戦争で街が瓦礫になると、土の中に眠っていたケシの種子が発芽するからです。つまりケシの種子は土の中で何十年でも生きていて、土が露出すると光や温度などの変化で発芽が促されるのだと思います。
そうでなくても灰色の色を失った街に鮮やかな真紅の花が咲いたのを見て、人々の心が穏やかであったはずはありません。その赤を死んだ兵士の血と重ねたのはごく自然のことでしょう。たくさんの人が死に、破壊し尽くされた街に疑うことのない命が出現したのを見て、人の愚かさを思ったかもしれません。
ナガミヒナゲシはポピーに比べれば赤がくすんだ感じがし、私は好ましく感じます。ただ大抵は数株が細々と咲いているので、この群落を見たとき印象が全く違いました。