自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

アファンのネズミ6 下顎

2011年01月22日 | アファンの森
 骨を見ながら、「これは顎の骨だ」などと言い当てるのは楽しいものです。でも、ばらばらになった骨からネズミの種類を言い当てるのはむずかしいことでした。頭骨は破損しているし、手足の骨や肩甲骨、寛骨などは種の違いはわかりません。そうした中で下顎の骨は使えそうでした。骨も丈夫なものではありますが、それよりも歯はよほど丈夫ですから、よい状態で残っていますし、下顎も頭骨ほど大きく、立体的でないので、壊れにくいようでした。下顎骨(したあごぼねとは読まないでカガクコツと硬く読む)。全体の形ははっきりちがいます。


アカネズミの下顎


ハタネズミの下顎

 そして森ネズミとハタネズミは食性が違うことを反映して、歯もまったく違うことがわかりました。使ったのは奥歯ですが、森ネズミのほうは私たちの奥歯と同じように数本の「根」(歯根)があって下顎につきささっています。その上のほう(歯冠部)は食べ物をすりつぶすために平坦で、私たちの歯のように中央が少しへこんでいます。それがちょうど臼のようなので「臼歯」(きゅうし)と呼ばれます。



これはアカネズミの下顎の臼歯の列で、臼のようすがわかります。




これはアカネズミの臼歯を横から見たところです。なるほど人の臼歯と似ていると思うかもしれませんが、下に見えているのはモノサシで、目盛りは1mmです。いかにミニミニであるかご想像ください。それにしても「くぼみ」が汚れているなあ。君ィ、歯をみがいてないな?

 これに対してハタネズミの奥歯はまったく違います。横から見ると、縦方向に溝があって、それがまっすぐに続いてプレートになっているので段ボールみたいです。



 これはハタネズミの臼歯3本を歯槽から抜き出したところです。右側が先端になります。これが歯槽に収まっており、その状態でみると上のように一枚のプレートにしか見えません。一番奥の歯は歯槽内でかなりカーブしています。



外側にはエナメル質という特別に硬い組織があって、トタン板のようで、これが硬い食べ物をすりつぶします。上からみるとそのトタン板の波模様が見えます。アカネズミのものと比べると臼歯列の長さも倍くらい長いので、「すりつぶし」l効果は大きいに違いありません。


このことからもハタネズミというのはそうとう特殊化したネズミだということがわかります。



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