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リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

ヘリを活用したら?

2024年01月11日 15時41分26秒 | 日々のこと

能登半島地震はいまだ全貌がつかめていない状況で、救援もちゃくちゃくと進んでいるとはいうもののまだまだ不十分なようです。やはり半島という地形が困難さに輪をかけているようです。

道が寸断されていて物資が運べないのなら自衛隊のヘリ(民間でもいいです)どんどん使えばいいのにと思ったので、調べてみましたら、輸送用多目的用で陸上自衛隊は206機、航空自衛隊52機、海上自衛隊10機所有しているようです。(保有機数自体はもっと多いのですが戦闘用はさすがに使えません)

私は小学校低学年のときに伊勢湾台風で被災しましたが、近所の中学校に大きなヘリコプターが舞い降りるのを見たことがあります。その頃の救援物資の衣類は新品はなく古着ばかりでした。時代がかわったんですねぇ。アメリカ経由の救援物資の中にはコンビーフの缶詰があって、これは人気でなかなか手に入りませんでした。当時は多分普段コンビーフを食べている家庭はそう多くはなくというか多分ほとんどなかったので大人気でした。普段食べているものより美味しく栄養もある!それ以外はカスカスの乾パンばかりでしたが。

話が少しそれました。昨日テレビのニュースを見ていたら、実はちゃんと自衛隊のヘリも救援活動に参加していました。上陸用のホバークラフト揚陸艇なんかも活用していました。あんまり細かに報道するとどっかの国のスパイが虎視眈々とみている?そんなレベルではないか。

でもなんか多くのヘリをまだ活用し切れていないような感じもします。じゃんじゃん飛ばして物資を必要なところにもっと早い段階で運ぶことができたはずですが。あまり知識がないのでわかりませんが、災害の復興支援をする主体は県がやると聞いています。これってちょっと無理があるのでは。国が主体になって自衛隊も計画的に活用すればいいのではないでしょうか。いいものを沢山持っているのにうまく使えない。この国は災害支援だけでなく他の分野でもそういうことがいくつもあります。トップがだめなんですねぇ。


ペットと楽器のスペース

2024年01月10日 16時17分56秒 | 日々のこと

少し前、年始めの航空機衝突事故関連でペットを飛行機のキャビン内に入れてはどうかという、某女優のSNS投稿が話題になりました。いやぁそれはさすがに個人的には御免被りますねぇ。高いカネ払ってるし。電車なら移動したり途中下車もできますが、飛行機だとそうもいきません。

隣の席に犬を抱いた人がいて、ときどき吠えたりするなんて、私にとっては恐怖のフライトです。犬でなくとも、ロングヘアのお姉さんが前に座っていて、そういう人に限って大きくリクライニングしてきます。その場合手元に美髪が来てしまいますが、気の弱い私はなかなかシートを立てて下さいなんて言えません。ましてやその髪の毛をなんとかして下さいなんて言えるわけはありません。

ペット用のスペースを確保している航空会社もあるので、ペットと飛行機に乗りたい方はそういう航空会社を選ぶという手があります。以前スペインの製作家の楽器をスペインに取りにいって、帰りの飛行機では受け取った楽器をペット用のスペースに入れてもらったことがあります。そのスペースは乗客スペースとは隔たっていますが、適切な気圧、気温管理がなされているとのことでしたので、そこに楽器を置いてもらうことにしました。

それはシンガポールの航空会社でした。楽器をキャビンに持ち込みたいと申し入れましたが、断られました。向こうからはペット用のスペースがあるのでそこはどうかという提案がありました。さらに楽器は専門の係員に手渡し、手受けするということでしたので、安心してお願いすることができました。経費は無料でしたからなかなか良心的な航空会社です。

楽器を飛行機の荷物室に入れて、受け取ったときは壊れてしまった、というのは、ベルトコンベアで流れてくるときの段差で落下したとき壊れるのです。荷物室内の低温にやられるというのではありません。1970年代から80年代始めにヨーロッパに行ったときは、荷物が流れてくるベルトコンベアがまだ平面式でしたので、荷物として預けても楽器は無事でした。でも今は楽器を荷物として預けるのは絶対にだめですよね。


BWV1003のリュート編曲(4)

2024年01月09日 20時48分45秒 | 音楽系

バッハの無伴奏作品はヴァイオリンやチェロで弾くために最適化されています。従ってそれをそのまま別の楽器で弾くといろいろ問題が出てくる、というのが前回までのお話。

その解決策として参考になるのはバッハ自身が無伴奏作品をキーボード用にアレンジした作品です。BWV1003をバッハ自身の手で鍵盤楽器用にアレンジした作品がBWV964になります。

BWV964
バンヤマン・アラールのクラヴィコードによる演奏です。聴くときは思いっきりボリュームをしぼって聴いて下さい。

無伴奏ヴァイオリン版と比べるとものすごく沢山の音が付け加えられています。

バッハによる無伴奏楽器から他の楽器への編曲はまだあります。

無伴奏チェロ組曲第5番BWV1011←→リュート組曲ト短調BWV995
無伴奏ヴァイオリンパルティータ第3番ホ長調BWV1006←→リュート組曲BWV1006a

単楽章だとリュートのためのフーガBWV1000とオルガンのためのフーガBWV539と無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番のフーガ/BWV1006&1006a第一楽章プレリュードとカンタータBWV29の冒頭シンフォニアとBWV120aの第4曲があります。

ここから得られることはバッハはそれぞれの楽器に合わせて最適化したソリューションを書いていることです。鍵盤楽器で無伴奏ヴァイオリンの曲を一音も変えないでアレンジしているわけではありません。

ではリュートではどのくらいのテクスチャが適切なのでしょうか。これはBWV995と1011、およびBWV1006とBWV1006aの「濃さ」の違いが参考になります。

まとめ:
リュートでそのまんまはいけません。バッハもそうはやっていません。
「濃さ」の違い(音を付け加える程度)はバッハの仕事を参考に。


Trinity College D.1.21

2024年01月08日 15時14分00秒 | 音楽系

昨日の日経新聞綴じ込み日曜版のNikkei The STYLEにアイルランドの「最も美しい本」を収める図書館が紹介されていました。

アイルランドのダブリンにあるトリニティ・カレッジ図書館です。実に美しい図書館です。ここにもっとも美しいとされる「ケルズの書」という中世の写本が収められているそうです。Wikipediaで調べてみましたら「ケルズの書」というのは、8世紀に制作された聖書の写本だそうです。

表紙です。

実はこのトリニティ・カレッジ図書館(Trinity College Library)にはエリザベス朝時代のリュート写本があります。写本の整理番号はTCD MS 408、Ballet Lute Bookと呼ばれています。実は50年以上前の1972年にこの図書館にBallet Lute Bookのマイクロフィルムコピーを注文したことがありました。当時の整理番号はD.1.21です。こんな美しい図書館だったんですねぇ。

その頃はまだ大学生で、大学の図書館にあるマイクロフィルムリーダープリンターで湿式のコピーをせっせとして、それをスクラップブックに貼り付けて冊子にしていました。当時はプリントや製本はとても手間がかかりお金もかかりました。湿式のコピーは1年もしないうちに退色していきます。写真の定着処理をすれば退色しないのですが、面倒なのでほとんど定着をしませんでした。残念ながら現在では読むのがほとんど不可能に近いくらい退色してしまっています。

これは一番ましなページで、まだ読めなくはないですけどね。すっかり乾燥しましたので、退色自体は止まっています。マイクロフィルムはネガではなくポジでもらっていますので、写真焼き付けをすると黒白反転します。

50年前は時間も手間もお金もかかりましたが、21世紀の現代では同図書館のHPから簡単にPDFをダウンロードができます。実際にアクセスしてダウンロードしてみましたが10分もかからずダウンロードが完了し、iPadのForScoreで読めるようになりました。実に便利な時代になったものです。

昔のやり方だと手紙を書いて封筒に入れ宛名を書く(20分くらい)→ポストに投函(往復10分)→返事を待つ(1,2ヶ月)→連絡が来て送金する(郵便局本局まで往復往復30分くらい)→マイクロフィルムが届くのを待つ(1ヶ月ほど)→大学図書館でハードコピー(2時間くらい)→スクラップブックに貼る(1時間くらい)とまぁこのくらいは手間暇がかかっています。でも半世紀前でも楽譜が手に入らないわけではなかったので、江戸時代の蘭学者よりはずっと恵まれていたと言えるでしょう。

 

 


BWV1003のリュート編曲(3)

2024年01月07日 10時54分05秒 | 音楽系

少し例を挙げてみましょう。

BWV1003の第3楽章アンダンテの冒頭です。

この部分のバスはヴァイオリンでは完全にレガートでは弾けませんが、リュートでは普通にモルト・レガートで弾けてしまいます。ヴァイオリンの場合だと件の箇所はメロディーをレガートで歌い、バスはノン・レガート気味に軽く弾いた方が効果的でしょう。冒頭部分は確かに限りなくモルト・レガートでやれなくはないでしょうが、少し先の小節で音が多くなってきたときには、バスを持続させるのは無理ですから、アーティキュレーションが不統一になってしまいます。もっともそのあたりをとても上手に処理している演奏もあるにはありますが。

リュートの場合だと、冒頭部のバスをレガート、メロディーもレガートで難なく弾けてしまいますが、そうした場合1小節目の3拍目の裏拍(マルで囲んだ部分)で問題が起こります。すなわちメロディとバスが混ざってしまって分離されなくなるのです。ヴァイオリンの場合は、いやでもバスは多少は必ずノンレガート気味になりますのでよほどヘタに弾かない限りそういう問題は起こりません。ギター編曲ですがこの部分に全く気を遣っていない変な演奏がいくつかあります。

リュートでこの問題を避けるためには、よほど上手にバスを弾かないといけません。あるいはいっそのことバスをオクターブ下げるという方法が考えられます。バッハは同曲を鍵盤楽器用にアレンジしていて(BWV964)、そのアレンジではバスは1オクターブ下げられています。


BWV1003のリュート編曲(2)

2024年01月06日 20時24分07秒 | 音楽系

バッハが目指したソリューションは、ヴァイオリンの技術の範囲内でいかに少ない音数できちんとバスのラインを示し(あるいは示唆し)通奏低音がついているときと同じハーモニー感を得られるかを目指したものです。その点でバッハは完璧なソリューションを出しています。音を引いては当然いけませんが、加える必要も全くないのです。

それならばリュートで弾くときもバッハが書いた音符をそのまま弾けばいいという風に思われるかも知れません。実際そうやっている人もいます。でもそれは間違っています。

バッハの無伴奏作品はあくまでもその楽器を使った上でのソリューションです。BWV1003がそのために書かれたヴァイオリンとリュートとでは擦弦楽器と撥弦楽器という大きな違いあるため、ヴァイオリンのためのソリューションが必ずしもリュートで上手くいくというわけではありません。

擦弦楽器であるヴァイオリンは音が「持続しない」楽器であるのに対して、リュートは音が「持続する」楽器です。え?逆じゃないの?と思う方もいらっしゃるかも知れません。確かに弓でロングトーンを弾くことができるヴァイオリンは音が「持続」します。でもそれはメロディを弾いているときです。

無伴奏の作品で和音をたくさん弾いたり、バスを入れていく書法の曲だとむしろヴァイオリンは「音が持続しない楽器」なのです。そしてバッハはそのことを意識してあるいは利用して音符を書いています。

そうやって書かれた作品をリュートで弾くと今度は音が持続しすぎて妙なことになってしまいます。


BWV1003のリュート編曲(1)

2024年01月05日 20時28分49秒 | 音楽系

バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番イ短調をリュートに編曲する際の問題点や留意点をまとめてみます。

まず留意しておかなくてはいけないのは、弦が4本しかないヴァイオリンのためにかかれた一連の作品は、通奏低音を伴わないので不完全で音が不足しているととらえてはいけないということです。つまり弦や技術的な制約がある中でバッハが示したソリューションは完璧であるということです。

私は無伴奏チェロ組曲を全曲リュート用に編曲しました。リサイタルでは全曲演奏し、CDにも1~4番まで録音しました。(1番と4番はSpotifyで聴けます)それらを編曲していた頃は「バスが不足している」曲だと捉えていましたが、編曲を進めるにつれむやみに音を加えてはいけないと思うようになりました。実際バスを加えれば加えるほどいろんなところに不都合が出てきて、そのためにメロディラインを変更して、またバスを考えて・・・というような無間地獄に陥ってしまうのです。

こういうことを考えた形跡がない能天気なリュート編曲もあったり、そもそも和音を間違って理解しているような編曲もありますが、そういうものは相手にしてはいけません。そんなことを言っても一般のアマチュアの方でどの編曲を選ぶべきかはとても重要な問題です。ただここでは誰の編曲がよくて誰がよくないのかは書けませんが、全曲を録音している奏者のものなら大丈夫でしょう。確かそういう方はお二人しかいなかったと思いますが、その演奏のタブを耳コピでタブを書き演奏すればよろしい。え?耳コピなんてできない?そういう方は残念ながらもう少し修行してください。修行不足でバッハを弾くべきではありません。ましてやネットに転がっている「野良編曲」など相手にしてはいけません。

話がそれましたが、もうひとつ重要な留意点があります。それは次回に。


今年の抱負

2024年01月04日 12時13分23秒 | 音楽系

今年は新年早々不幸な災害、事故に見舞われてしまいました。改めて亡くなられた方々のご冥福をお祈りし被災された方々へお見舞い申し上げるとともに一刻もはやく被災地が復興するよう願っております。

今年の新年は3月のリサイタルに向けてただひたすらバッハとヴァイスをさらっていました。年越し参りをした以外は正月らしいことはしていません。バッハは無伴奏ヴァイオリンソナタの第二番イ短調をリュートに編曲したものを演奏します。こういうアレンジ物は、たぶん本番直前までアレンジをいろいろいじることになると思います。弾き込んでは運指やポジションの修正、ときにはバスの追加・削除の連続です。

その点ヴァイスはそういった試行錯誤は作曲者自身が行っているのでこちらとしては弾くだけで楽です。逆にあれこれいじってはいけません。演奏予定曲はロンドン写本からソナタ32番ヘ長調です。ロンドン写本一番最後のソナタです。

リサイタルではあとロジー伯とブクステフーデの作品を演奏します。ブクステフーデは鍵盤曲からの編曲になりますが、こちらはバッハよりは扱いが楽です。

昨年はロバート・ダウランドのVARIETIE OF LUTE-lessonsの完訳本「とりどりのリュート曲撰」を上梓しましたが、今年はトマス・ロビンソンの「スクール・オブ・ミュージック」を訳してみようかなという気になっています。ざっと本文を見てみましたが、ロバート・ダウランドの本と異なり対話文が主なので文章としては簡単みたいです。分量も少ないし。ただ取りかかるとしても3月のリサイタル以降です。問題はその頃には翻訳をするということをコロっと忘れてはしないかということです。

あと今年の初め頃には新しいリウト・アッティオルバートができあがります。今私が使っているバロック・リュートの作者、スウェーデンのラース・イェンソンにコロナ前から頼んであった楽器です。5月と6月にコンサートを予定していますがこの楽器を使ってみたいと思っています。

2024年は不幸なスタートをきってしまったニッポンですが、この先好転していくことを切に願っています。

 


通信障害?

2024年01月03日 22時46分50秒 | 日々のこと

午前中はネットの障害はなかったのですが、昼過ぎにアクセスしてみましたら繋がらないサイトがありました。AmazonとかDropboxは繋がるのですが、Yahooやこのブログのサイトは繋がりません。繋がるところがある以上、こちらの接続方法に問題があるわけではありません。

通信障害で検索をかけてみましたら、繋がらない地域は確かにあるみたいですが、全国的に問題になっているようではありませんでした。ブログは通信障害があって書きようがないので、しばらく様子見をすることにしました。

夜になって接続してみましたが、やはり状況は同じです。Biglobeの光でネットを接続していますので、今度はBiglobeのサイトを見ましたところ、今日通信障害が発生していたようです。でも昼過ぎには復旧しているとありました。

やはり何かあるにはあったみたいです。でも今は復旧しているのにどうして?サイトにはもし繋がらない場合は通信機器をリセットする旨が書いてありましたので、モデムとルーターをリセットしてみたところ、全てのサイトに接続できました。

こういうことってあるんですねぇ。こちらに原因がなくともアクセスできたりできなかったりするサイトがあるなんて。ネットワーク障害だと普通全てのネットワークが繋がらないのですが。そして通信会社の方で復旧してもこちらがリセットしない限り復旧しないというのも初めての経験でした。これって今回の災害との関係はあるんでしょうか。


新年早々

2024年01月02日 15時24分04秒 | 日々のこと

今年のお弾き初め曲はBWV1003の最終曲アレグロでした。この曲でリサイタルを締める予定です。何回かさらって休憩に牛乳を一杯ということでレンジで65度の加熱を始めた直後、何か急にアラームみたいな音があちこちから響き出しました。最初は電子レンジからのアラームかと思いましたが、音は私の携帯からと一緒にいた家内の携帯からでした。

それは桑名市から(たぶん)の緊急アラームでした。大きな地震が来ます、と言っています。え?別に来てないじゃん?と思ってすぐゆらゆらと揺れ始めました。

1.3秒動画

大きな揺れではなかったのですが、なかなか収まらず1分以上は続いたでしょうか。なんか船酔いしそうな揺れでした。阪神大震災や東日本大震災のときとよく似ています。きっと遠くで大きな地震が起こったに違いありません。携帯を見て見ると能登半島の北端で震度7とありました。

あとで確認しましたが当地方では震度4、そう頻繁にある地震ではありません。かの地では大きな被害が出ている模様です。北陸地方には何人か知り合いがいますが、大丈夫だったでしょうか。