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リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

武満徹とフーガ

2021年05月30日 20時22分37秒 | 音楽系
今年は武満徹没後25年ということで、当ブログでも少し取り上げたことがあります。企画コンサートもぐぐってみますと多くはないですがいくつか出てきます。残念ながら名古屋地区で開催されるものはないようですが。

武満がなくなる10カ月ほど前、名古屋のしらかわホールでオール武満プログラムのコンサートがありました。24年前のちょうど今頃です。このコンサートにはなんと武満本人が来ていまして、本番開演前に1時間ほど指揮者の岩城宏之氏とトークショーがありました。(当日のオケはオーケストラ・アンサンブル金沢でした)

その中でどういう流れだったかはよく覚えていませんが、確か映画音楽だったかの話だったような感じがします。武満は若い時から沢山映画音楽を書いています。その話の流れで岩城がフーガに関する話題を出してきました。

武満は少し気色ばんで、

「ぼくはフーガなんていくらでも書けますよ。ちゃっちゃっとね。・・・」

なんて言っていたことを妙に覚えています。

彼の作品の中でフーガは多分相性が悪いので出てきませんし、多分映画音楽の中にもないと思います。岩城がフーガの話題を持ち出したのも武満がまだ書いていないからだったようです。

フーガはバッハのものがとても有名ですが、別にバッハの専売特許というわけではなく、フランチェスコ・ダ・ミラノだってフーガという名ではありませんが、沢山同様の曲を書いていますし、他のリュート奏者も一杯書いています。バロック以降もいろんな作曲家が書いていますし、20世紀に入ってからも例えばブリテンのヘンリーパーセルの主題による変奏曲とフーガという作品がありますし、日本人の作曲家だと戦前の橋本國彦の交響曲第1番第4楽章の紀元節の歌による主題と変奏曲とフーガとか、戦後の矢代秋雄の交響曲の最終楽章にもフーガ風の部分があります。

武満は書く機会がなかったんでしょうけど、トークショーを聞いていたときは、そのうち武満の書いたフーガが聴けるのではと期待がふくらみました。しかし残念なことにその翌年の2月20日、四日市市内の高等学校に出張に出かける車内で武満の訃報を聞きました。

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