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リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

ミキシングのバランス問題_ボーカル編

2024年02月17日 22時02分39秒 | 音楽系

ミキシング問題、今回はボーカル編です。

中学生の頃橋幸夫のチェッチェッチェを聴いていた(別に好きで聴いていたわけではありません)耳に突然ビートルズのノー・リプライが入り込み驚愕しました。

何もかも違いすぎました。音楽そのものが全く異なり、ハーモニーがあり、転調もあり、歌詞も英語でした。録音の仕方が異なり、歌と伴奏が対等に聞こえていました。あとで身につけた知識を使って言うと、ミキシングのコンセプトが全く違うのです。曲そのものも全く異なりますけどね。

橋幸夫の場合は楽器は奥に引っ込みとにかく歌のメロディだけがよく聞こえるようなバランスの取り方です。対してビートルズの方はベース、ボーカル、ギター、ドラムがそれぞれの役割を主張しているバランスの取り方です。

最近は少し変わってきているような気もしますが、橋幸夫以降のポップスや流行歌(どう区別するのかわかりませんが)は相変わらず橋幸夫型が多く、ビートルズ型のバランスの取り方は少ない感じです。

50年以上の歴史を持つユーミンの作品で見ると、実は70年代の録音ではどっちかというとビートルズ型が多いです。でも2009年以降のアルバムはボーカルを前に出す橋幸夫型に近くなってきています。日本化してきているわけです。もっとも橋幸夫のチェッチェッチェみたいに前奏で前に出ていた楽器が、ボーカルが入ると急に後ろに引っ込むというような極端なことはありませんが。

ボーカルハーモニーのバランスの取り方も、例えば2声の場合ビートルズは同じ音量バランスです。これはそれこそパレストリーナと同じで、西洋音楽の伝統というかそれが常識という感じです。

日本の場合はボーカルハーモニーのバランスの取り方はどれかひとつを大きめに、他は引っ込めてバランスをとることが多いようです。

全ての日本のポップスを調べたわけではないですが、私が聴いている範囲では同じ洋楽(橋幸夫は洋楽とは言えないでしょうけど)でも日本の洋楽は譜面上は洋楽ですが実際に音にする段階でアチラのものとはかなり異なる感じです。まぁ最近はその差もなくなりつつあるようにも感じますが。