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リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

バッハのリュート組曲995タブ化メモ(2)

2009年03月10日 15時33分52秒 | 音楽系
リュートのための組曲ト短調BWV995は、バッハの自筆譜が残されています。その楽譜が自筆であるかどうかを判断する目は残念ながら私は持ち得ていませんが、シロウト目には間違いなくバッハの自筆に見えますし、そのことは定説になっていますので、これに疑念をはさむ余地はないでしょう。

この曲はバッハによるリュート曲とされる曲(BWV995~1000,1006a)の中で自筆で「リュートのための」と書かれている唯一の作品です。他の作品は、ラウテン・クラヴィーア用(注)用(996,多分997,998も)、当時のリュートタブラチュアが残されているのでリュート曲ということになっている(997,1000)、自筆ではないが筆写譜に「リュートのための」と書かれている(999)、音域や音型などからリュート曲と推定される(1006a)といったところが実際です。

(注)ラウテン・クラヴィーア : リュート・クラヴィーアとかラウテンヴェルクなどとも呼ばれる。チェンバロの金属弦の替わりにガット弦を張ってリュートの響きを得ることができる鍵盤楽器だとされるが、楽器が現存していないので、具体的にどういう構造の楽器であったのかは詳しくはわからない。

要するに間違いなくリュート作品だと言えるのは、995番だけだということになります。バッハが自分の手で「リュートのための組曲」って書いたのだから、確かに間違いなくリュートのための作品でしょう。では、ヴァイスの作品みたいにリュートに都合良く書かれているかというと実はそれが一筋縄ではいかないのです。