リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

高い志はいずこ?

2008年02月06日 23時29分25秒 | 音楽系
先日某弦楽器専門店で楽譜を見ていましたら、気になる曲集がありました。いえ、中身に惹かれたのではなく、何かあまりいい出来の作品ではないんじゃないかと。(笑)それは某楽器関係者の作品集ですが、表紙の赤い色と漢字によるデザインががすごく印象的です。

後日実際に弾いてみたらいい響きがするのかなと思って実際に弾いてみましたが、ま、変わるわけがありませんよね。曲のファンタジーはおいといても、作曲技術的にも「ちょっとなぁ」って感じのところがいくつか見受けられました。

その曲集の出版は、弦楽器の専門誌を出している、その分野では日本を代表する出版社です。昔はなかなかホネのあるものも出していたんですけどねぇ。今はこんなもんでしょうか。作曲者の経歴を見ると、ある程度出版に至った経緯が推測できました。多分、この作曲者は沢山の生徒を有する某弦楽器教育機関の関連のある方で、それをバックに確実に売れ行きが見込まれるので、出版社はその作曲者の持ち込み企画に乗った・・・あくまでも私の妄想ですが。(笑)

まぁ、その妄想的経緯は置いておくとしても、もう少しレベルの高い音楽を出版しないと、ちょっと危ういんじゃないでしょうか。確かに売れてナンボということもあるでしょうけど、かつての高い志を曲げて金儲けに走るのはよくありません。え、その楽譜ですらそんなに儲からないって?うーん、今の日本の文化的な体力がとことん落ちてるんですねぇ。そういう状況だからこそ高い志は貴重だ、でもつぶれてしまっては何にもならん、だから売れるのを出す、でもこれは文化的な体力が・・・以下繰り返し。難しい時代です、今の日本は。