共産政権の崩壊は、“経済戦争”が遠因である。
「計画経済は市場経済に負けた」という市民の反応を、
西ドイツのBMWと東ドイツのトラバントにみた。
それは、東ドイツのハレという町で開催された
国際見本市でのことである。
まだ、ドイツが東西に分割されていた1989年3月に、
訪れたハレの国際見本市の会場。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/93/41a7ccbb252ef950cc57ab2629bfb56c.jpg)
中央の尖塔に掲げられた、赤い星に目がいく。
それに、会場の前に、大きなレーニンの頭像がある。
――このレーニンの頭像は、今は残っていないだろう?
というのは、2006年にハンガリーを訪れたときに、
「1990年に共産政権が崩壊してから、共産主義色が一掃されました。
共産主義のときの像は取り払われて、一ヶ所に集められています」
と、ツアー・ガイドは説明したから、
ハンガリーの街からは、レーニン像は消えている。
ベルリンも東西に分割され、西ベルリンは、
“ベルリンの壁”で囲われていた。
そのベルリンの壁が崩壊するのは、1989年11月、
そして、東ドイツが崩壊するのは、翌年の1990年である。
東ドイツが崩壊する1年前に、東ドイツのハレに入ったわけだが、
まさか、8か月後にベルリンの壁が崩壊し、
1年後に東ドイツが崩壊するとは、思いもよらなかった!
東西ドイツが統一するのは夢であり、それに、流血の惨事がある、
と思っていた。
そのハレの見本市会場の脇には、赤いBMWが駐車していた。
ナンバープレートから、西ドイツからの出展者の車だ。
見本市をみにきた東ドイツの若者たちが、
ひきも切らずに集まって来ては、BMWの中をのぞきこみ、外を観る。
スタイルや性能、塗装、内装、材料、装備、環境対策……が、
東ドイツの国民車トラバントとは段違いだ。
「西側の連中は、こんなにいい車に乗っているのか?」
と、設計の思想と、それを実現できた技術力にショックを受け、
「追いつくのは難しい、トラバントは完全に負けている!」
と、いけないものを見たかのように、すごすごと去っていく。
これは、生きた見本市だ!
技術の差は歴然で、安全や公害対策も遅れている。
計画経済は負けていることを、東ドイツの市民は、肌で感じた。
くやしいだろうな? 自分の国が劣っているわけだから。
ハレの街でみたトラバント。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/c1/5135dfa7dd7060af258eb0e9d43342c4.jpg)
中心街から外れた街は、手入れが行き届かない。
トラバントが駐車している。右側はアパートメント。
歩道には、乳母車を押す親子がみえる。
チェコの車にシュコダがある。
チェコを訪れた2006年に、新モデルをみた。
フォルクスワーゲンの技術で、デザインも性能も一新した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/8e/1619dbd91b9b6b01ddf8bc84f61748f9.jpg)
シュコダは、トラバントと同じように技術レベルが低かった。
まったく魅力がない、売れない。これでは市場経済では、勝てない。
企業として生き残れないから、共産政権が崩壊すると1990年に、
ドイツのフォルクスワーゲンに買収された。
しかし、旧型のシュコダが、まだ使われていた(チェコ、2006年)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/81/bb764355fed242153cb60f25a083eaf1.jpg)
デコボコだし、つぎはぎだし、さびているし、部品はないし……。
――よく走るもんだ! よく使うもんだ!
これに感心する。
――となりの乳母車のほうが、りっぱだ!
デコボコではないし、さびていないし、部品はついている。
西の市場経済では、スタイル、性能、デザイン、価格、
品質、安全、環境対策……において、厳しい競争をして、
優秀な製品や、市場に適合したものだけが生き延びて、
“デファクト・スタンダード(実質的な標準)”になった。
日本のハイテク製品でも同じである。
車でも、DVD、ディジタル・カメラ、インクジェット・プリンタ、
薄型テレビでも、世界一を目指して開発し、市場で厳しい競争を勝ち、
生き延びてきた製品が、デファクト・スタンダードとなってきた。
あとから出す製品は、これらの機能を満たし、
さらに優れた付加価値をつけ加えないと、安くたたかれる。
「お上に逆らわずに、決められたとおりに働いていれば、給与はもらえる」
という、半世紀も続いた共産政権の無気力状態では、
市場経済では勝てない。
共産政権が崩壊したのは、内部の“腐敗や無気力”のほかに、
市場経済と計画経済による、“経済戦争”の結果が遠因である。
“武力戦争”の結果ではない……自由主義国家と共産主義国家が、
直接ドンパチして、共産主義国家が滅びたわけではない。
経済戦争やデファクト・スタンダードについて、
自費出版した『世界がみる日本の魅力と通知表』に、
記載してあるので、参考にしてください。
西のBMWと東のトラバント、西のフォルクスワーゲンと東のシュコダに、
市場経済と計画経済による“経済戦争”の決定的な優劣を
目の当たりにした。
「計画経済は市場経済に負けた」という市民の反応を、
西ドイツのBMWと東ドイツのトラバントにみた。
それは、東ドイツのハレという町で開催された
国際見本市でのことである。
まだ、ドイツが東西に分割されていた1989年3月に、
訪れたハレの国際見本市の会場。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/93/41a7ccbb252ef950cc57ab2629bfb56c.jpg)
中央の尖塔に掲げられた、赤い星に目がいく。
それに、会場の前に、大きなレーニンの頭像がある。
――このレーニンの頭像は、今は残っていないだろう?
というのは、2006年にハンガリーを訪れたときに、
「1990年に共産政権が崩壊してから、共産主義色が一掃されました。
共産主義のときの像は取り払われて、一ヶ所に集められています」
と、ツアー・ガイドは説明したから、
ハンガリーの街からは、レーニン像は消えている。
ベルリンも東西に分割され、西ベルリンは、
“ベルリンの壁”で囲われていた。
そのベルリンの壁が崩壊するのは、1989年11月、
そして、東ドイツが崩壊するのは、翌年の1990年である。
東ドイツが崩壊する1年前に、東ドイツのハレに入ったわけだが、
まさか、8か月後にベルリンの壁が崩壊し、
1年後に東ドイツが崩壊するとは、思いもよらなかった!
東西ドイツが統一するのは夢であり、それに、流血の惨事がある、
と思っていた。
そのハレの見本市会場の脇には、赤いBMWが駐車していた。
ナンバープレートから、西ドイツからの出展者の車だ。
見本市をみにきた東ドイツの若者たちが、
ひきも切らずに集まって来ては、BMWの中をのぞきこみ、外を観る。
スタイルや性能、塗装、内装、材料、装備、環境対策……が、
東ドイツの国民車トラバントとは段違いだ。
「西側の連中は、こんなにいい車に乗っているのか?」
と、設計の思想と、それを実現できた技術力にショックを受け、
「追いつくのは難しい、トラバントは完全に負けている!」
と、いけないものを見たかのように、すごすごと去っていく。
これは、生きた見本市だ!
技術の差は歴然で、安全や公害対策も遅れている。
計画経済は負けていることを、東ドイツの市民は、肌で感じた。
くやしいだろうな? 自分の国が劣っているわけだから。
ハレの街でみたトラバント。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/c1/5135dfa7dd7060af258eb0e9d43342c4.jpg)
中心街から外れた街は、手入れが行き届かない。
トラバントが駐車している。右側はアパートメント。
歩道には、乳母車を押す親子がみえる。
チェコの車にシュコダがある。
チェコを訪れた2006年に、新モデルをみた。
フォルクスワーゲンの技術で、デザインも性能も一新した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/8e/1619dbd91b9b6b01ddf8bc84f61748f9.jpg)
シュコダは、トラバントと同じように技術レベルが低かった。
まったく魅力がない、売れない。これでは市場経済では、勝てない。
企業として生き残れないから、共産政権が崩壊すると1990年に、
ドイツのフォルクスワーゲンに買収された。
しかし、旧型のシュコダが、まだ使われていた(チェコ、2006年)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/81/bb764355fed242153cb60f25a083eaf1.jpg)
デコボコだし、つぎはぎだし、さびているし、部品はないし……。
――よく走るもんだ! よく使うもんだ!
これに感心する。
――となりの乳母車のほうが、りっぱだ!
デコボコではないし、さびていないし、部品はついている。
西の市場経済では、スタイル、性能、デザイン、価格、
品質、安全、環境対策……において、厳しい競争をして、
優秀な製品や、市場に適合したものだけが生き延びて、
“デファクト・スタンダード(実質的な標準)”になった。
日本のハイテク製品でも同じである。
車でも、DVD、ディジタル・カメラ、インクジェット・プリンタ、
薄型テレビでも、世界一を目指して開発し、市場で厳しい競争を勝ち、
生き延びてきた製品が、デファクト・スタンダードとなってきた。
あとから出す製品は、これらの機能を満たし、
さらに優れた付加価値をつけ加えないと、安くたたかれる。
「お上に逆らわずに、決められたとおりに働いていれば、給与はもらえる」
という、半世紀も続いた共産政権の無気力状態では、
市場経済では勝てない。
共産政権が崩壊したのは、内部の“腐敗や無気力”のほかに、
市場経済と計画経済による、“経済戦争”の結果が遠因である。
“武力戦争”の結果ではない……自由主義国家と共産主義国家が、
直接ドンパチして、共産主義国家が滅びたわけではない。
経済戦争やデファクト・スタンダードについて、
自費出版した『世界がみる日本の魅力と通知表』に、
記載してあるので、参考にしてください。
西のBMWと東のトラバント、西のフォルクスワーゲンと東のシュコダに、
市場経済と計画経済による“経済戦争”の決定的な優劣を
目の当たりにした。