チュニジアには、世界遺産が7つある。
都市国家カルタゴの遺跡が、チュニスにあり、
ローマ帝国時代の遺跡が、チュニジア全土にある。
日本は11(自然遺産は除いた文化遺産)。
チュニジアは、日本の国土の4割だ。
そのチュニジアに、世界遺産が7つもあるのはリッパだ。
劇場。世界遺産、ドゥッガ。
700年続いた都市国家カルタゴは、
ローマ帝国によって滅ぼされた。
ローマ帝国との戦い、ポエニ戦争では、
ハンニバルが象でスペインからフランス、
アルプスを越えて、北からローマを奇襲する活躍は、
歴史で習った。が、最後は、カルタゴは敗れて、
ローマ帝国の属州になった。
ローマ帝国の遺跡として、
“ドゥッガDougga”がある。
ドゥッガは、4世紀に最も栄えた。
しかし、ローマ帝国が衰亡し、
ビザンツ帝国に滅ぼされて、
歴史から忘れ去られてしまう。
100年前に、そのドゥッガの遺跡が発掘されて、
“古代都市”がそっくり現れた。
劇場、キャピトルや神殿、公共広場、凱旋門、
貯水場、倉庫、奴隷市場、金持ちの住居、公共浴場、
娼婦の館、アテバンの霊廟、水洗トイレット……が現れた、
というから、見たくなる。
(実際に、この順番に見ることになるが)
2回に分けて、世界遺産“ドゥッガDougga”の話。
問題は、首都チュニスからは、遠いことだ。
チュニスの南西、100キロメートルにあって、
電車がない。バスかタクシーで片道2時間かかる。
タクシー・ドライバーのアリと値段交渉をして、
ドゥッガ往復に、見学の2時間で、定額とした。
ドゥッガまでは、土漠(どばく)の中に、
畑や果樹園が広がる。平らなところは小麦、
起伏のあるところはオリーブやアーモンドの果樹園。
ぶどう畑はなかった、ぶどうは、地中海沿岸部で生育。
――この太陽だ、小麦は何回も、とれるのだろうか?
「年1回の収穫です」
と、アリは言う。
時おり店がある……カフェやレストラン、
露店は、衣服や頭がついたままの羊の皮の販売。
それに、草を食む羊と、動かない羊飼い。
羊飼いは、布をすっぽりかむって、日を除けている。
そして、長い棒をもって、立ったまま動かない。
平山郁夫画伯の“牧童”を見ているようだ。
あせっても、作物は大きくならないし、
羊も太らない……時間が、のんびりしている。
――ここは、ローマ時代のようだ。
が、アリは時間を気にして、猛スピードで飛ばす。
――急がなくてもいいよ、時間はあるから。
それで、アリはスピードを落とした。
ドゥッガに着いた。さて、ガイドを雇うが、
アリは、英語を話せるベテランを引き合わせた。
チュニジアの帽子、黒いシャシーヤをのせている。
――1時間のガイド料としては高いが、
限られた時間だ、ドゥッガを効率よく回りたい。
劇場は、円柱がニョキ、ニョキとそびえている。
――円柱を見ただけで、ぞくぞくしてくる。
半円の観客席の、段は高くて急だが、駆け上がった。
上から、舞台を見下ろすと、登場人物は小さい。
ドイツからの観光客が見えるが、写真の大きさになる。
遺跡の先には、小麦とオリーブ畑の起伏する緑が拡がる。
「ドゥッガは、ローマの穀倉地帯だった」
と、ガイドは言うが、
――穀物はもうかるんだ?
穀物のもうけで造った、文化都市か。
それも、1600年たっても、
見ごたえのある造形美の都市だ。
神殿も劇場も公共広場も公共浴場も、
モザイクも水洗トイレットもある、
この世の“天国”だ。
ユノ・カエレスティス神殿、ドゥッガ。
都市国家カルタゴの遺跡が、チュニスにあり、
ローマ帝国時代の遺跡が、チュニジア全土にある。
日本は11(自然遺産は除いた文化遺産)。
チュニジアは、日本の国土の4割だ。
そのチュニジアに、世界遺産が7つもあるのはリッパだ。
劇場。世界遺産、ドゥッガ。
700年続いた都市国家カルタゴは、
ローマ帝国によって滅ぼされた。
ローマ帝国との戦い、ポエニ戦争では、
ハンニバルが象でスペインからフランス、
アルプスを越えて、北からローマを奇襲する活躍は、
歴史で習った。が、最後は、カルタゴは敗れて、
ローマ帝国の属州になった。
ローマ帝国の遺跡として、
“ドゥッガDougga”がある。
ドゥッガは、4世紀に最も栄えた。
しかし、ローマ帝国が衰亡し、
ビザンツ帝国に滅ぼされて、
歴史から忘れ去られてしまう。
100年前に、そのドゥッガの遺跡が発掘されて、
“古代都市”がそっくり現れた。
劇場、キャピトルや神殿、公共広場、凱旋門、
貯水場、倉庫、奴隷市場、金持ちの住居、公共浴場、
娼婦の館、アテバンの霊廟、水洗トイレット……が現れた、
というから、見たくなる。
(実際に、この順番に見ることになるが)
2回に分けて、世界遺産“ドゥッガDougga”の話。
問題は、首都チュニスからは、遠いことだ。
チュニスの南西、100キロメートルにあって、
電車がない。バスかタクシーで片道2時間かかる。
タクシー・ドライバーのアリと値段交渉をして、
ドゥッガ往復に、見学の2時間で、定額とした。
ドゥッガまでは、土漠(どばく)の中に、
畑や果樹園が広がる。平らなところは小麦、
起伏のあるところはオリーブやアーモンドの果樹園。
ぶどう畑はなかった、ぶどうは、地中海沿岸部で生育。
――この太陽だ、小麦は何回も、とれるのだろうか?
「年1回の収穫です」
と、アリは言う。
時おり店がある……カフェやレストラン、
露店は、衣服や頭がついたままの羊の皮の販売。
それに、草を食む羊と、動かない羊飼い。
羊飼いは、布をすっぽりかむって、日を除けている。
そして、長い棒をもって、立ったまま動かない。
平山郁夫画伯の“牧童”を見ているようだ。
あせっても、作物は大きくならないし、
羊も太らない……時間が、のんびりしている。
――ここは、ローマ時代のようだ。
が、アリは時間を気にして、猛スピードで飛ばす。
――急がなくてもいいよ、時間はあるから。
それで、アリはスピードを落とした。
ドゥッガに着いた。さて、ガイドを雇うが、
アリは、英語を話せるベテランを引き合わせた。
チュニジアの帽子、黒いシャシーヤをのせている。
――1時間のガイド料としては高いが、
限られた時間だ、ドゥッガを効率よく回りたい。
劇場は、円柱がニョキ、ニョキとそびえている。
――円柱を見ただけで、ぞくぞくしてくる。
半円の観客席の、段は高くて急だが、駆け上がった。
上から、舞台を見下ろすと、登場人物は小さい。
ドイツからの観光客が見えるが、写真の大きさになる。
遺跡の先には、小麦とオリーブ畑の起伏する緑が拡がる。
「ドゥッガは、ローマの穀倉地帯だった」
と、ガイドは言うが、
――穀物はもうかるんだ?
穀物のもうけで造った、文化都市か。
それも、1600年たっても、
見ごたえのある造形美の都市だ。
神殿も劇場も公共広場も公共浴場も、
モザイクも水洗トイレットもある、
この世の“天国”だ。
ユノ・カエレスティス神殿、ドゥッガ。