ラップランドの穴釣りは、厚さ40センチの氷にドリルで穴をあける。
昼飯は、具だくさんの鮭汁と、挽いたコーヒー豆をやかんに入れて、
蒸らしてからカップに注ぐラップランド方式?
火を見ながら、ホッとした時間を過ごしてから、
再びモータ・スキーにまたがって、別の湖に移動した。
そこで、穴釣りをする。
モータ・スキーを降りて、スノー・シューを履く。
釣りざおと、折りたたみのイスを持って湖の氷上に出た。
スノー・シューは、雪にズボッと埋まらないためと、
氷の上で、スッテンと滑らないためである。
数か所の金属の爪が、氷をグリップする。
スノー・シューで雪をどかして氷の表面を出す。
ラセンのドリルを回すと、ドリルが氷の中にもぐっていく。
直径15センチほどの穴が開いて、水がわいてきた。
ドリルを引き抜くと、氷の厚さは40センチ。
――しかし、こんな小さな穴で、だいじょうぶかな?
でかい鮭やマスが釣れたら、上がらないじゃないか?
エサは……ミミズだった。ラップランドにもミミズはいる?
長さ30センチの釣りざおに、ミミズをつけた糸をたらす。
釣りのねらいは、鮭やマスより小ぶりのパーチだった。
エスコは25センチくらいのパーチを、ひょいひょいと釣り上げる。
氷の上に放り投げると、口を開けたまま冷凍になる。
エスコは12匹、ティモは2匹。
私だけ0匹……釣れない。
場所が悪いのだ! パーチが群れていそうな場所に移動して、
ドリルで穴を開け、糸をたらす……上下させて誘うのだが、釣れない。
――おもしろくねェ!
いつの間にか、ティモが撮っていた。
しかし、フィンランド人は静かにしている……我慢強い?
――それにしても、音がしない。
「シーン!」
というのは、ラップランドのことをいうのだろう。
あたりは雪と松だけ。人工の音から完全に隔離された世界だ。
音がしないと、
――つぎの音は何だろう?
と、敏感になって、かえって恐い。
――まさか、ワシやオオカミが襲ってくることはないと思うが。
振り返って、ティモとエスコがいることを確かめる。
ラップランドは、音の予想がつかない未知の世界。
エスコが、話しかけてくれた。
「きのうは、快晴で“オーロラ”が見えた。
きょうもいい天気だから、オーロラが見られるかもしれない?」
透明で濃い青空を見ながら言うから、期待はいやが上でも大きくなる。
ラップランドの最大の目玉、
――それは、オーロラだ!
きのう晴れても、今晩、晴れなければ、しょうがない。
釣れない釣りを早く終わらせたい。コッテージへ戻りたい。そして、
――早く夜になってくれ!
ラップランドの本番は今晩だ。
こんなに夜が待ち遠しい、と思ったことはない。
これまでのモータ・スキーも、湖畔の鮭汁も、穴釣りも……
オーロラの序章だ。
昼飯は、具だくさんの鮭汁と、挽いたコーヒー豆をやかんに入れて、
蒸らしてからカップに注ぐラップランド方式?
火を見ながら、ホッとした時間を過ごしてから、
再びモータ・スキーにまたがって、別の湖に移動した。
そこで、穴釣りをする。
モータ・スキーを降りて、スノー・シューを履く。
釣りざおと、折りたたみのイスを持って湖の氷上に出た。
スノー・シューは、雪にズボッと埋まらないためと、
氷の上で、スッテンと滑らないためである。
数か所の金属の爪が、氷をグリップする。
スノー・シューで雪をどかして氷の表面を出す。
ラセンのドリルを回すと、ドリルが氷の中にもぐっていく。
直径15センチほどの穴が開いて、水がわいてきた。
ドリルを引き抜くと、氷の厚さは40センチ。
――しかし、こんな小さな穴で、だいじょうぶかな?
でかい鮭やマスが釣れたら、上がらないじゃないか?
エサは……ミミズだった。ラップランドにもミミズはいる?
長さ30センチの釣りざおに、ミミズをつけた糸をたらす。
釣りのねらいは、鮭やマスより小ぶりのパーチだった。
エスコは25センチくらいのパーチを、ひょいひょいと釣り上げる。
氷の上に放り投げると、口を開けたまま冷凍になる。
エスコは12匹、ティモは2匹。
私だけ0匹……釣れない。
場所が悪いのだ! パーチが群れていそうな場所に移動して、
ドリルで穴を開け、糸をたらす……上下させて誘うのだが、釣れない。
――おもしろくねェ!
いつの間にか、ティモが撮っていた。
しかし、フィンランド人は静かにしている……我慢強い?
――それにしても、音がしない。
「シーン!」
というのは、ラップランドのことをいうのだろう。
あたりは雪と松だけ。人工の音から完全に隔離された世界だ。
音がしないと、
――つぎの音は何だろう?
と、敏感になって、かえって恐い。
――まさか、ワシやオオカミが襲ってくることはないと思うが。
振り返って、ティモとエスコがいることを確かめる。
ラップランドは、音の予想がつかない未知の世界。
エスコが、話しかけてくれた。
「きのうは、快晴で“オーロラ”が見えた。
きょうもいい天気だから、オーロラが見られるかもしれない?」
透明で濃い青空を見ながら言うから、期待はいやが上でも大きくなる。
ラップランドの最大の目玉、
――それは、オーロラだ!
きのう晴れても、今晩、晴れなければ、しょうがない。
釣れない釣りを早く終わらせたい。コッテージへ戻りたい。そして、
――早く夜になってくれ!
ラップランドの本番は今晩だ。
こんなに夜が待ち遠しい、と思ったことはない。
これまでのモータ・スキーも、湖畔の鮭汁も、穴釣りも……
オーロラの序章だ。