季節の変化

活動の状況

ブラジルの通知表

2009-07-26 07:38:26 | Weblog
“世界の表彰・評価”から、“指標”を定めて、“数値”で、
日本の通知表”をみたが、同じ指標で、
ブラジルの通知表”は、どうなるだろうか?

「5歳のとき、両親に連れられて、ポルトガルからブラジルに移民した」
ポルトガルを去る時と、ブラジルに上陸したのを覚えている」
半世紀前の自分の記録映画を見るように、ブラジル人が言う。
「いま思えば、上陸したのはサントス港だった」
サントス港は、首都サンパウロの南75キロメートルにある移民船の受入港で、
日本の移民船、笠戸丸が入港したのものサントス港(1908年)である。

「ポルトガルには、何年か前に一度帰って、親戚に会った。
裕福になっているブラジル移民をみて、親戚はうらやましそうだった。
その後、親戚との交流はない」
移民という大英断をして、ブラジルに渡り、交易で成功した。

本国のポルトガル人から、うらやましがれているが、多くの苦労をした結果だ。
日本からの移民が、ブラジルで成功し、尊敬されるまでには、
多くの苦労と時間がかかったように。

「本場のポルトガル語は、ブラジルのポルトガル語とは少し違っていた。
ブラジルのポルトガル語は、400~500年前のもので、
意味が違ったり、ポルトガルでは使用していないものがあった」
「もう、自分はブラジル人だ、ポルトガル人ではない」
という思いを強くしている。

肉料理のレストラン、バルバコアBarbakoaシュラスコChurrasco

シュラスコは“岩塩”で味付けした肉を、串に刺して、炭火で焼く。
ビーフ、バッファロー、仔羊、チキン、ソーセージから、
セブ牛のコブ、心臓やレバーもある。サンパウロ。

テーブルには、お客さんに1枚、表裏が緑と赤の“”が置いてある。
6角形のプラスチック製で、大きさはビスケットほど。
”はYes, Please、もっと肉を!
”はNo, Thank You、満腹だ! もういらない。

ボーイが緑の札を見て、サーベルのシュラスコをもって近寄るから、
好みの肉ならば頼むと、ナイフでそいで、皿に落としてくれる。
そぐ回数は食べたいだけ、食べられるだけ。

うまいシュラスコに、ビールがゴクゴクとすすむ。
ビールのほかに、サンブカSambucaがある。セリに似たアニスから造る焼酎、
(Licor Anisというイタリア製だった)に、ライムを入れたもので、43度と強い。
このサンブカは、乾燥した空気とシュラスコに合って、クイクイと進む。

キリンビールが世界のビールの消費量を調査している。
国別ビール消費量 単位は1万キロリットル 2006年と2002年

中国が1位。2002年は、アメリカに次ぐ2位だったが、2006年は大差で1位。
ほかに、ロシアとメキシコの伸びが大きくて、順位を上げている。
このため、ブラジルは2002年の4位から、2006年は5位に落ちているが、
消費量は伸びている。やがて、ドイツを抜いて、4位にもどる。
日本は6位。しかし、伸びがないから、やがて、メキシコに抜かれる。

経済発展が著しいBRICs
(Brazilブラジル、Russiaロシア、Indiaインド、China中国)
のビールの消費量の伸びが大きい(インドを除いて)。
経済の発展はビールの消費量をうながす?

うまいシュラスコとビール、サンブカは、サッカーの選手を生み、
激しく踊るサンバのダンサーを育てる?
経済発展が著しいBRICsの“ブラジルの通知表”をみたい。

サンパウロの市街を望む。木立の先にアーチ型に並ぶ照明がある。

サンパウロのカーニバルの通り。左端には、照明つきの観客席が見える。

ランク…AA=3位以内 A=10位以内 B=20位以内 C=30位以内 D=40位以内。
1)創造力: ノーベル賞の受賞者はない→ランクF。
2)芸術力: カンヌ映画祭でパルム・ドール受賞作品1は11位→ランクB。
3)学力:  PISA2006の15歳の知識と技能は51位→ランクF。
4)文化力: 文化遺産は10で16位→ランクB。
5)運動力: サッカーのワールド・カップ優勝は5回で1位→ランクAA。
 陸上競技世界記録はない。
6)経済力: 国民総生産は10位→ランクA。
7)援助力: 政府開発援助を受ける国→ランクF。
8)総合力: ランクC。


ブラジルのレーダーチャート(2009年7月)。

[総合評価]
“創造力”は、ノーベル賞の受賞者がいないこと、
“学力”は、PISA2006が51位であること、
“援助力”は、援助を受ける国であるために、
いびつなレーダーチャートになっている。

しかし、注目するのは“運動力”と、“経済力”である。
経済力は、広大な国土は自然資源に恵まれているし、多くの人口がある。
石油、鉄鉱石を産出し、日本は鉄鉱石を輸入している。日本は、ほかに、
アルミ、コーヒー、バイオエタノール、小型ジェット機を輸入している。

ブラジルは、サトウキビのバイオエタノールの世界最大の輸出国である。
CO2を削減するバイオ燃料として、自動車に使われ、ガソリンと、
エタノールの混合に対応したフレックス燃料車が走っている。

国策会社エンブラエルの小型ジェット機は、世界に輸出され、
日本では、名古屋空港と、静岡空港に就航している。
さらに、バイオエタノールだけで飛ぶ小型ジェット機を、
エンブラエルは開発し、発表している。

ブラジルは、アルゼンチン、ウルグアイ、ベネズエラほかと、
南米共同市場メルコスールを形成して、域内の経済の交流が拡大している。

“運動力”のサッカーはピカ一である。
ワールド・カップの優勝国と優勝回数 1930年~2006年

ブラジルは最多の5回の優勝である。
2002年の日韓大会で、ドイツを破って、5回目の優勝をしている。

このときブラジルは、南米予選では、プレイ・オフからはい上がって、
やっとワールド・カップの本戦に出場した。
「ワールド・カップ史上、最も弱いチーム」
と、祖国から言われて、送り出された。
それが、本戦では、試合ごとに個人技に組織力がかみあって、
ブラジルは、引き分けもなく全勝した。
ロナウドが得点王になり、5回目の優勝に大きく貢献している。

空き地でサッカー。サンパウロの昼休み。


キング・ペレ」と呼ばれた“王様ペレ”は、ブラジルから外せない。
ワールド・カップでブラジルは、5回優勝しているが、
初優勝を含めて、ブラジルの3回の優勝に、ペレが代表で参加している。
ブラジルの初優勝は、17歳で代表となった1958年スウェーデン大会。
ペレの17歳は、大会最年少である(1940年生)。
決勝戦、地元スウェーデンに5対2で勝ったが、2点はペレの華麗なシュート。
これで、「キング・ペレ」と呼ばれ、ブラジルの国民的な英雄となった。

1962年のチリ大会は、ブラジルはチェコスロヴァキアを破って大会2連勝。
しかし、ペレは大会中のケガで、決勝戦には出場できなかった。
1966年のイングランド大会は、ブラジルはグループ突破ができなかった。

1970年のメキシコ大会で、ブラジルはイタリアを破って、大会3勝目をあげた。
ペレはケガもなく、全試合に出場して、優勝に多いに貢献した。

「キング・ペレ」のさらなる活躍は、1,283ゴールである。
サントスでデビューした16歳から、36歳で引退するまでの得点で、
これは、破られそうにない。

引退後、ペレはスポーツ大臣になり、青少年の教育に力を入れ、
ファヴェーラ(貧民街)に、スポーツ施設を造って、
子どもが、犯罪に巻き込まれることを防止している。
「ペレ自伝」白水社を参照。


ファヴェーラ(貧民街)。サンパウロ。

ブラジル人は人が良かった。
しかし、なじめないのは、セキュリティの厳重さだ。
警備員の腹にはがあるから、緊張が走る。

訪問したのは銀行や官庁ではない、製造会社である。
訪問を終えて出るときに、警備員は、車の中の顔と人数、
製品の持ち出しがないか? を確認してから、左手で鉄の扉を開けた。

銃はガン・ホルダーに収まっているのではない。
スラックスとシャツの間に突っ込んであって、
「撃たれる前に、撃つ!」
と、いつでも撃てるように右手は空けて、備えていた。
警備員は元軍人?  元警察官? おそらく相当の腕前だろう。

“経済力”の国民総生産GDPが10位とは、すばらしい経済発展であり、
G7の国を追いぬく勢いで加速している。そして、
国連安全保障理事会の常任理事国入りを、日本とともに目指していく。

広大な国土は自然資源に恵まれ、多民族国家だが、民族の抗争はない。
陽気で人のいい国、ブラジル。
うまいシュラスコ、ビール、サンブカがあり、カーニバルがある。
サッカーの強さは、ブラジル人に宿るDNAだ。
貧富の差を解決しながら、強大な国を目指す。

を! みなさんにを! この世にを!」
王様ペレの引退試合のスピーチである。


サンパウロの市街。
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ポーランドの通知表

2009-07-19 00:57:35 | Weblog
“世界の表彰・評価”から、“指標”を定めて、“数値”で、
日本の通知表”をみたが、同じ指標で、
ポーランドの通知表”は、どうなるだろうか?

「ポーランドといえば、なにを思い浮かべますか?」
と、ポーランド人から言われて、
「連帯のワレサ委員長、アメリカやカナダへの移民、アウシュビッツ」
と答えると、それよりも、
ショパンキュリー夫人コペルニクスはポーランド人なんです」
と、3人をあげて、誇らしげだった。そして、
アウシュビッツは、オシフィエンチムというポーランドの場所だが、
そこの強制収容所はナチス・ドイツが造った施設で、ポーランドの施設ではない」
と、迷惑そうだった。

ショパンの像と見学にきた学生、ワルシャワ。


キュリー夫人の生家は、博物館になっている。ワルシャワ。

キュリー夫人はノーベル物理学賞と、ノーベル化学賞の2つを受賞。

コペルニクスの像は、ワルシャワのポーランド科学アカデミーの前にあったが、
ここでは、ヴィエリチカ岩塩坑(世界遺産)の中にあった、塩で作った像を示す。

ニコラウス・コペルニクスは、右手に地球をかざしている。
台座には、ポーランド語でMikołaj Kopernikミコワイ・コペルニクとある。

コペルニクスは、太陽が中心で、地球が回っていることを、
小冊子(Piccolo Commentario)に書いているが(16世紀)、
この太陽中心説は、当時のキリスト教の地球中心説をくつがえすものだった。

のちに、ドイツ人のケプラーは、地球は太陽を焦点の一つとした楕円軌道を、
回っているというケプラーの法則を発見した。イタリア人のガリレオは、
発明した望遠鏡で、天体観測をして、太陽中心説を裏づけた(17世紀)。
しかし、異端審問にかけられて、太陽中心説を取り下げさせられている。

「前のローマ教皇ヨハネ・パウロ2世は、ポーランド人です」
と、さきの3人につけ加えて、ポーランドの誇りは4人になった。
「世界には、イタリアほか、カトリックの国がたくさんある中で、
ポーランドから教皇が出たことは、驚くことです。しかも、
共産政権下のポーランドから選ばれたわけですから」
と、うれしそうに言う。

ソ連による共産主義体制のもとにあったポーランドが、抑圧されていたときに、
ポーランドに凱旋したヨハネ・パウロ2世は、ワルシャワの広場の聴衆の前で、
「恐れてはいけない」
と、語りかけて、ポーランドの民主化運動を支持し、勇気づけた。そして、
選挙が行われ、共産主義体制が崩壊し、ワレサ大統領の誕生につながった(1990年)。

これは、白い服にショールで教会に向かう女の子。

ワルシャワの旧市街、5月下旬。
8歳になると、聖体拝領(コムニア)の儀式があって、カトリック教徒になる。
白い花輪をかぶり、白い花束とカラフルなパラソルを持っている。
まるで、天使のようだ。後方の家族も正装している。

男の子も白の服装。後方の家族はカジュアル姿。クラクフ、5月下旬。

左後方の女の子は、白いパラソルを下げている。パラソルは、空を舞う小道具?

アウシュビッツ第二強制収容所(ビルケナウ)の死の門。世界遺産。

ナチスは、ヨーロッパの各地からユダヤ人、政治犯などを貨車で、
この死の門から運び入れて、働ける人を選別し、ほかは殺害した。

アウシュビッツ第一強制収容所のガス室。世界遺産。

見学者が、ガス室と焼却炉に入っていく。

第二次世界大戦のドイツの侵攻で、街は破壊され、
600万人が犠牲となり、ポーランドは国の機能を失った。
「さらに、戦後のソ連の共産主義体制の抑圧に失望して、
400万人が、アメリカやカナダに脱出した。優秀な人がいなくなった」
と、ポーランド人は言う。

ポーランドが誇りとする4人、ショパン、キュリー夫人、コペルニクス、
ヨハネ・パウロ2世を生んだ“ポーランドの通知表”をみたい。

ランク…AA=3位以内 A=10位以内 B=20位以内 C=30位以内 D=40位以内。
1)創造力: ノーベル賞の受賞者1人は21位→ランクC。
2)芸術力: カンヌ映画祭でパルム・ドール受賞作品1は11位→ランクB。
3)学力:  PISA2006の15歳の知識と技能は23位→ランクC。
4)文化力: 文化遺産は12で12位→ランクB。
5)運動力: サッカーのランキングは41位→ランクE。
 陸上競技世界記録はない。
6)経済力: 国民総生産は18位→ランクB。
7)援助力: 政府開発援助を受ける国→ランクF。
8)総合力: ランクC。


ポーランドのレーダーチャート(2009年7月)。

[総合評価]
“援助力”は、援助を受ける国であるために、
いびつなレーダーチャートになっている。

“創造力”のノーベル賞の受賞者は1人になっているが、
キュリー夫人の2回は、受賞時の国籍からフランスとしてある。残念。

“文化力”の文化遺産は、12件の12位は、りっぱである。
人口は3,800万人で、国土は日本よりも狭いのだから。
日本の文化遺産は、11件で15位である。

“芸術力”のカンヌ映画祭でパルム・ドール受賞作品は「戦場のピアニスト」。
ポーランド、フランス、ドイツ、イギリスの合作で、
監督はポーランド人のロマン・ポランスキー。

第二次世界大戦、ドイツが侵攻して、ポーランドは徹底的に破壊されたが、
「戦場のピアニスト」の破壊のシーンを見ると、ポーランドの街は、
「さぞかし、こんなだったんだろう。しかし、よく再現できたものだ」
と、印象に残っている。

これは、復元されたワルシャワの旧市街のマーケット広場。

第二次世界大戦で、ドイツとソ連に徹底的に破壊された。
「戦場のピアニスト」の破壊のシーンのように、ガレキの山だった。

しかし、宮廷画家カナレットが描いてあった絵をもとに、戦後、復元した。
中央はワルシャワの象徴「人魚の像」で、右手に剣、左手に盾をもっている。

広場には、伝統のあるレストランがあって、イノシシ肉にウォッカがすすんだ。
ウォッカBolsがあまりにもうまくて、最初グラスでグビリと、飲んでいたが、
ボトルに代えて、クイクイと空けた。アルコール分40%、酔っぱらった。

3月のポーランドは、まだ極寒。吹雪だから、首までの目ざし帽がピッタリだ。
食事を終えてホテルまで、雪道を転ばずに、どうして帰ったか、覚えていない。

しかし、ウォッカBolsの香りは覚えていて、街の酒屋で買い求めた。
900円(28.10ズウォティ)。ほかにZubrowkaもうまかった。

「ポーランドに進駐したソ連兵が、ウォッカのうまさを知って、
ソ連でもウォッカをつくるようになった」
と、ポーランド人は誇らしげである。

“経済力”の国民総生産GDPが18位とは、目覚ましい経済復興である。
ソ連の共産主義体制のもとで、半世紀も抑圧されていたのだから。

古都クラクフで、にぎにぎしい集団と会った。

サッカーのサポーター? と思った。が、違っていた。
9か月の兵役を終えて、郷里に帰ってきた若者だった。
うれしくて、うれしくて、自然に叫びたくなる。

ソ連が崩壊して(1991年)、ポーランドは侵略される脅威がなくなった。
そして、NATOに加盟した(1991年)。NATOの加盟国が攻撃を受けたなら、
同盟国は集団で防衛するから、ポーランドの安全性は前より増した。兵役期間を、
これまでの18か月から、半分の9か月に短縮して、経済の復興に力を注いでいく。

ソ連を盟主としたワルシャワ条約機構に加盟していたポーランドは、
ソ連の崩壊とともに消滅したワルシャワ条約機構を離れて、NATOに加盟し、
ワルシャワ条約機構の機密を、NATOにオープンにした。そして、
NATOのミサイル配備計画にも、積極的に取り組んでいる。

ナチスの侵攻を受け、ソ連の共産主義体制のもとで、半世紀も抑圧された、
ポーランドは、EUに加盟して(2004年)、EUの援助を受け、国を復興した。
ポーランドは、労賃の安い労働市場で、ヨーロッパの工場だったが、
今では、PC、家電品の開発、製造へと、業態が代わっている。
“経済力”の国民総生産GDPの18位は、りっぱである。

ヴァヴェル城を中心に広がる古都クラクフ。世界遺産。

このヴァヴェル城の近くに、ユダヤ人街カジミエジュ地区がある。
クラクフに、68,000人いたユダヤ人は、今はわずかの人しかいない。

第二次世界大戦で、ナチスはポーランドに侵攻して、ユダヤ人はゲットーという、
ユダヤ人居住区に強制的に移住させられ、ユダヤ人街はカラッポになった。
ゲットーに閉じ込められたユダヤ人は、やがて強制収容所で働かされ、
さらに、アウシュビッツなどの絶滅収容所に移送され、殺害された。

クラクフは、「シンドラーのリスト」の舞台である。
スティーブン・スピルバーグ監督は、クラクフで撮影している。

ユダヤ人街、カジミエジュ地区のシナゴーク(ユダヤ教会)、イザーク。

礼拝に来るユダヤ人の住人はいない。カジミエジュ地区の、
ツーリスト・インフォメーション・センターとして遺している。
ユダヤ人が去ったユダヤ人街のシナゴーク、商店、学校、住居は荒れていく。

さて、偉大なショパン、キュリー夫人、コペルニクス、それに、
慕われた元のローマ教皇ヨハネ・パウロ2世を生んだ国、ポーランド。
さらに、観光資源である、ワルシャワの旧市街、ヴィエリチカの岩塩坑、
アウシュビッツの強制収容所、古都クラクフと、世界遺産が待ち受けている。
それに、うまいウォッカBolsやZubrowkaがある。

ポーランドはEUに加盟し、これまでの東欧は中欧となり、
ヨーロッパの中心にある地の利を生かして、国の発展を目指している。


文化科学宮殿。スターリンの贈り物。高さ237メートル、42階、3,288室。
入場料600円、エレベータで30階の展望台に上がると、眺望がすばらしい。
「スターリンの墓石」と、ポーランド人は呼んでいた。ワルシャワ。
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デンマークの通知表

2009-07-12 06:26:57 | Weblog
“世界の表彰・評価”から、“指標”を定めて、“数値”で、
日本の通知表”をみたが、同じ指標で、
デンマークの通知表”は、どうなるだろうか?

デンマークといえば、アンデルセンが思い浮かぶ。
「みにくいアヒルの子」は、ウォルト・ディズニーの映画にもなって、
みにくくて邪魔者扱いにされていたアヒルの子が、大きくなって、
湖面に映しだされた姿が、きれいな白鳥になっていたシーンを覚えている。

首都コペンハーゲンでは、“人魚姫”に会える。


衛兵の交代も見られる(アマリエンボー宮殿)。


それに、子どもに夢を与えるチボリ公園がある。

子どものおもちゃに、LEGOがある。
童話の国、子どもにやさしい国のイメージの“デンマークの通知表”をみたい。

ランク…AA=3位以内 A=10位以内 B=20位以内 C=30位以内 D=40位以内。
1)創造力: ノーベル賞の受賞者9人は10位→ランクA 。
2)芸術力: カンヌ映画祭でパルム・ドール受賞作品3は6位→ランクA。
3)学力:  PISA2006の15歳の知識と技能は22位→ランクC。
4)文化力: 文化遺産と複合遺産は3で57位→ランク 。
5)運動力: サッカーのランキングは15位→ランクB。
 陸上競技世界記録は1で16位→ランクB。
6)経済力: 国民総生産は28位→ランクC。
7)援助力: 政府開発援助は13位→ランクB。
8)総合力: ランクC。


デンマークのレーダーチャート(2009年7月)。

[総合評価]
“文化力”は、文化遺産が3で、低くなっているが、
人口が558万人、国土の面積が九州と同じことを考えると、
立派なレーダーチャートである。

文化遺産の一つ、クロンボー城。

シェークスピアの「ハムレット」の舞台になったところで、
中には、薄暗い監獄があって、ハムレットの父の亡霊が出るところとして、
しつらえてあった。

首都コペンハーゲンから、北へ電車で1時間。
海を隔てて4キロメートル先は、スウェーデンである。

“創造力”のノーベル賞の受賞者は9人で、10位である。



デンマークは、ノーベル賞の受賞に必要な人数が、3位である。
1位スイス、2位スウェーデンに次ぐ。日本は20位。

デンマークは、62万人から1人の割合で、ノーベル賞受賞者が生まれている。
岡山市から、1人の受賞者がでたことになる。
デンマークの人口が、日本と同じならば、ノーベル賞受賞者は205人になる。

“経済力”の国民総生産GDPは28位で、
“援助力”の政府開発援助ODAは13位である。
IMDスイスInternational Institute for Management Development Switzerland、
による世界競争力年鑑2009年World Competitiveness Yearbook 2009で、
デンマークは、高く評価されている。

デンマークの世界競争力は5位、世界のトップ・レベルにある。
日本は17位。

世界競争力年鑑World Competitiveness Yearbookによる、
世界競争力ランキングの推移はつぎである。

IMDスイスが調査を始めた1989年、デンマークは10位に入っていなかった。
しかし、ここ数年は、5位近辺である。
日本は1989年の1位だったが、落ち込みが続き、2009年は17位と上向いてきた。

デンマークはノーベル賞が10位、受賞に必要な人数が3位と、高い位置にいる。
それで、デンマークの教育費はどうだろうか?
教育費とGDP、教育費が財政支出に占める割合を調査した、
OECDのデータから、教育費の表を作成した。



日本の教育費と国民総生産GDPの割合は、3.5%で33位、
OECD各国の平均が5%よりも低い。OECD加盟の32か国の最下位である。
そして、日本の教育費が財政支出に占める割合は9.5%、30位で、
OECD加盟国の最下位である。
このことは、“スウェーデンの通知表”でお知らせした。

デンマークの教育費と国民総生産GDPの割合は、8.3%で、1位である。
デンマークの教育費が財政支出に占める割合は、15.5%で、6位である。

人口が558万人、国土は九州と同じ、天然資源に恵まれない国、
デンマークが、
ノーベル賞は10位、
ノーベル賞受賞に必要な人数が3位、
さらに、世界競争力年鑑による世界競争力が5位、
と、世界のトップ・レベルにあるのは、驚異的である。

教育費に、OECD各国の平均5%(対GDP)をしのぐ、8.3%をあて、
人的資源”を開発しているデンマークの成果とみたが、どうだろう。


国立美術館。コペンハーゲン。
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スウェーデンの通知表

2009-07-05 08:50:01 | Weblog
“世界の表彰・評価”から、“指標”を定めて、“数値”で、
日本の通知表”をみたが、同じ指標で、
スウェーデンの通知表”は、どうなるだろうか?

「季節の変化」で、宗教戦争の三十年戦争のはじまりは、
チェコのプラハ城に入ったプロテスタント派が、カトリック派の、
フェルディナント2世(後の神聖ローマ皇帝)の補佐官3人を、
窓から放り投げた(1618年)ことが、きっかけであるとお伝えした。

そのプラハ城の窓は、下から2番目、左の端。
地面に、とがったモニュメントがある。

放り投げられた補佐官は、窓の下にあるゴミの上で助かったが、
フェルディナント2世の逆襲がはじまって、
ヨーロッパ中を巻き込む戦争となった。

途中から参戦したスウェーデン国王、グスタフ・アドルフが、
フェルディナント2世の軍に、ドイツ北部で勝利したことが、
三十年戦争の転機となった。講和会議で、スウェーデンは、
ヨーロッパ大陸にも領土を得て、大国の地位を確保した。
その後、ナポレオンとの戦争に敗れて、縮小することになるが。

そして、スウェーデンといえばノーベル賞である。
ダイナマイトの発明で、巨万の富を得たアルフレッド・ノーベルは、
「国籍に関係なく、もっとも価値のあるものに賞が授与されることを願う」
との遺志で、ノーベル賞ができた。

1901年に制定されたノーベル賞は、1世紀以上の歴史があり、
世界でもっとも権威のある賞となっている。
賞金は1千万スウェーデン・クローナ、1億3千万円(2008年)。

日本の受賞は、制定から半世紀後の1949年、湯川秀樹さんの物理学賞である。
第2次世界大戦で敗戦し(1945年)、焼け野原から復興しているときの受賞で、
日本中が大喜びし、希望をもたらした。まだ小さくて、受賞の記憶はないが、
のちに、小中学校の先生から、
「日本は貧乏だから、金のかかる実験や研究はできない。
机に向って、頭脳を使う理論物理は、日本には向いている」
と、何度か聞かされたのを覚えている。

「目的を明確にして、研究テーマを決め、
成果が見込まれれば、研究予算は出してもらえる」
2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊さん(76歳)の言葉である。

BBC放送が、自然科学部門の受賞者9人による討論を放映したもので、
(アメリカ5人、日本2人、イギリス1人、スイス1人)
化学賞の田中耕一さんの43歳の若さの受賞が注目され、
研究者の年齢や、基礎研究の予算の獲得が、話題にあがった。

産業の発展にすぐに役立つ技術開発分野への投資は、得られやすいが、
基礎研究の予算を、どのように獲得するか?
を、討論したときの小柴さんの言葉から、湯川さんの受賞(1949年)から、
半世紀たった日本は、基礎研究にも予算がつき、豊かになったことを感じる。

2002年は、2人の受賞という日本にとって輝かしい年であったが、
2008年は、さらにすばらしい。物理学賞に南部陽一郎さん、小林誠さん、
益川敏英さん、化学賞に下村脩さんの4人が受賞した。
「日本人の独創性は、世界のトップ・レベルである」
ことを示した快挙である。

そのノーベル賞の国、スウェーデンは、ノーベル賞の受賞者が多い。
それに、ノーベル賞の受賞に必要な人数が、スイスに次いで少ない。さらに、
IMDスイスInternational Institute for Management Development Switzerland、
による世界競争力年鑑World Competitiveness Yearbookで、
スウェーデンの世界競争力は、世界のトップ・レベルにある。

まず、ノーベル賞の自然科学部門の受賞者はつぎである。

スウェーデンは、6位で16人が受賞している。日本は、9位で12人受賞。
南部陽一郎さんは、受賞時(2008年)の国籍から、アメリカとしてある。

ノーベル賞の受賞に必要な人数はつぎである。

スウェーデンは、スイスに次ぐ2位で、58万人から1人の割合で、
ノーベル受賞者が生まれている。浜松市から、1人の受賞者がでたことになる。
スウェーデンの人口が、日本と同じならば、ノーベル賞受賞者は220人になる。

白川英樹さんの講演会のポスター。

2000年にノーベル化学賞を受賞された白川さんは、
夢中で昆虫採集をされた少年時代のお話をされ、
「興味をもちなさい」と言われたことが、印象である。

IMDスイスInternational Institute for Management Development Switzerland、
による世界競争力年鑑2009年World Competitiveness Yearbook 2009はつぎである。

スウェーデンは6位である。高福祉、人の寿命が長い、教育費が多いなど、
インフラストラクチャーが、高く評価されている。日本は17位。

世界競争力年鑑World Competitiveness Yearbookによる、
世界競争力ランキングの推移はつぎになる。

IMDスイスが調査を始めた1989年、スウェーデンは8位である。
2009年は6位と、世界のトップ・レベルを維持している。
日本は、1989年は1位だったが、落ち込みが続き、2009年は17位と上向いてきた。

ノーベル賞の受賞者が多く、世界競争力が世界のトップ・レベルにある、
スウェーデンの通知表”をみたい。

ランク…AA=3位以内 A=10位以内 B=20位以内 C=30位以内 D=40位以内。
1)創造力: ノーベル賞の受賞者16人は6位→ランクA 。
2)芸術力: カンヌ映画祭でパルム・ドール受賞作品3は6位→ランクA。
3)学力:  PISA2006の15歳の知識と技能は18位→ランクB。
4)文化力: 文化遺産と複合遺産は13で11位→ランクB。
5)運動力: サッカーのランキングは42位→ランクE。
陸上競技世界記録は0→ランクF。
6)経済力: 国民総生産は22位→ランクC。
7)援助力: 政府開発援助は8位→ランクA。
8)総合力: ランクB。


スウェーデンのレーダーチャート(2009年7月)。

[総合評価]
“運動力”が低いが、ほかは高い。
人口が925万人だから、立派なレーダーチャートである。

運動力では、テニスのウィンブルドで5連覇したビョルン・ボルグ、
4大大会を制する、グランド・スラムを達成したマッツ・ビランデル、
それに、メジャーで6勝しているステファン・エドベリがいる。
女子のプロゴルファー、アニカ・ソレンスタムはメジャーで10回優勝している。
冬季オリンピックでスウェーデンは、アイスホッケー、スキーで、
金メダルを取っている。

“創造力”のノーベル賞の受賞者は16人で、6位である。
しかも、ノーベル賞の受賞に必要な人数が、スイスに次いで2位と少ない。

ノーベル賞の晩さん会を行う、レンガ造りの市庁舎を、
「巨大だな!」と、見ているが、写真が見つからない。
どこかに紛れ込んでしまったので、今回は写真なし。

“芸術力”は、カンヌ映画祭でパルム・ドール受賞作品3の6位である。
主演女優がスウェーデン人のイングリッド・バーグマンのアメリカ映画、
「カサブランカ」がある。パルム・ドール受賞とは関係がないが。
透きとおるような色の白さに、「こんな、美人がいるのか!」
と、映画館へ行き、テレビで再放送を見た。まだ、生まれる前の作品だが。
男優のハンフリー・ボガートが着ているトレンチ・コートが、カッコよくて、
アクアスキュータムで求めて、ハンフリー・ボガート気分になった。

“経済力”の国民総生産GDPは22位で、
“援助力”の政府開発援助ODAは8位である。
自動車のSAABがあり、ボルボがある。通信機器のエリクソンがある。
スウェーデン鋼は、切れ味のいい包丁として、知られている。
IMDスイスによる世界競争力年鑑2009年World Competitiveness Yearbook 2009で、
スウェーデンは6位にランクされていることでも、世界競争力があることがわかる。

さて、アメリカで登録される日本の特許は、どのくらいあるのか?
そして、スウェーデンの特許は、どのくらいあるのか?
The World Intellectual Property Organization(WIPO)に、
アメリカで登録された特許の国別のデータがある。
2007年と1995年を比べて、アメリカの特許登録数 国別の表をつくった。

アメリカで登録される特許は、もちろん、アメリカが1位で、
79,527件が登録され、全体の50.6%を占める。
日本は、ゆるぎのない2位で、33,354件が登録され、21.2%を占める。
スウェーデンは、1995年は10位で、2007年は12位で1,061件が登録された。
台湾はunknownの地域とされているために、登録数は明確になっていない。

1995年から2007年にかけて、伸びが著しいのは、韓国中国である。
韓国は、1995年の1,161件(7位)から、
2007年は6,295件(4位)で、伸び率は442%。
中国は、1995年はたった62件、底の23位から、
2007年は772件(15位)で、伸び率は1,145%である。

2008年度に登録された特許件数の企業別ランキング上位35社で、
1位IBMの4,186件に次いで、韓国企業は、2位サムスン電子3,515件、
18位にLG電子805件、31位LGディスプレイの524件の3社が入っている。
韓国と中国は、国策として、特許取得に力を入れているにちがいない。

日本企業は、3位キヤノン2,114件、6位パナソニック1,745件、
7位東芝1,609件、8位富士通1,494件、9位ソニー1,485件、
11位日立製作所1,313件、13位セイコーエプソン1,229件、
15位富士フィルム869件、16位リコー857件、20位本田技研工業747件、
23位デンソー708件、29位シャープ603件、30位NEC547件、
の13社が入っている。

2008年は、1位アメリカ、2位日本が23%、3位ドイツが6%、
4位韓国が5%、5位台湾が4%である。
人口が2,300万人と限りのある台湾が生き延びていくには、
労働集約産業から知識集約産業への産業構造の転換を図り、
半導体と液晶パネルのハイテク産業への重点投資をしてきたが、
この台湾政府の新戦略は、特許の登録で実っている。台湾企業は、
22位HON HAI PRECISION INDUSTRYの719件が入っている。

さて、スウェーデンはノーベル賞が6位、受賞に必要な人数が2位、
アメリカで登録された特許が13位と、高い位置にいる。
そこで、スウェーデンの教育費を調べてみた。
教育費とGDP、教育費が財政支出に占める割合を調査したデータが、
OECDにあるので、教育費の表を作った。


スウェーデンの教育費と国民総生産GDPの割合は、7.0%で、4位である。
OECD各国の平均が5%だから、スウェーデンの7.0%は平均以上である。
スウェーデンの教育費が財政支出に占める割合は12.6%で、16位である。

それで、スウェーデンが、ノーベル賞が6位、受賞に必要な人数が2位、
アメリカで登録された特許が12位と、高いのは、
教育費に、OECD各国の平均以上をあてている成果、とみたがどうだろう。

スウェーデンの良さのわけを探していて、日本の低さにガクゼンとした。

日本の教育費と国民総生産GDPの割合は、3.5%で、33位と低いのである。
OECD各国の平均が5%だから、日本の3.5%は低い。
この3.5%、33位は、さみしい。OECD加盟の32か国の最下位である。

つぎに、日本の教育費が財政支出に占める割合は9.5%、30位である。
30位とは、OECD加盟国の最下位である。

日本は、ノーベル賞の受賞に必要な人数が20位と低いが、上げていきたい。
それに、PISA2000→2003→2006が、1位→5位→10位と低落気味だが、
歯止めをかけたい。
教育費を、国民総生産GDPの割合の3.5%から、
OECD各国の平均の5%にして、改善を期待したいが、どうだろう。

日本は、キヤノン、トヨタ、ホンダで儲けた金で、
道路を造り、橋を造り、ダムを造り、箱物を造ってきた。
それでも足らずに、赤字国債を発行して、ムダな道路を造り続けてきた。
借金時計」によると、借金は940兆円になり、国民1人あたり736万円、
とふくらんできた。返済する見込みはなく、借金は、つぎの世代に引き継がれる。
今、借金をして、ムダなダムを造り、返済はつぎの世代にまかせようとしている。

日本の教育費が財政支出に占める割合9.5%の30位も、さみしい。
教育は、すぐには結果があらわれないが、ムダな箱物の後回しにすると、
ボディ・ブローのようにダメージがでてくる。そして、パワーがなくなる
資源のない日本は、人的資源を開発するしか、生きる道はない。
大国スウェーデンの良さのわけを探していて、日本への提言になりました。
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カナダの通知表

2009-07-01 07:33:16 | Weblog
“世界の表彰・評価”から、“指標”を定めて、“数値”で、
日本の通知表”をみたが、同じ指標で、
カナダの通知表”は、どうなるだろうか?

7月1日カナダ・デイ、カナダの独立記念日。
4つの植民地が統合してカナダ自治領をつくり、初代の首相を定めた(1867年)。
現在のオンタリオ、ケベック、ニュー・ブランズウィック、
ノヴァ・スコティアである。その後、北部、西部の州がカナダに加わる。

これは、プロ・ゴルファー、マイク・ウィアが、マスターズに優勝した、
記念キャップ。カナダ人として初めての、メジャー制覇(2003年)。

カナダの国旗は、紅葉したカエデの葉(メイプル・リーフ)。
7月1日のカナダ・デイの祝日には、国旗であふれるが、
この赤いキャップをかぶって、カナダ人に会おう。

中国系住人は、カナダの人口の4パーセントを占める。これには、
古い歴史がある。大陸横断鉄道の建設は、カナダ結束の悲願であった。
ところが、峡谷にかける橋やトンネルは難工事で、爆破、落石、転落で、
犠牲者の血で塗られた。このときに、低賃金で働く中国人労働者による、
多くの犠牲と危険をかえりみない作業で、大陸横断鉄道が完成した(1885年)。

この大陸横断鉄道で、西への移住が進み、交易が拡大し、軍隊の輸送ができ、
そして、ヨーロッパから政治的、宗教的な自由を求める移民が急増した。
これまでは、先住民族に、イギリス、フランスからの居住者だったが、
ヨーロッパ、アジアからの移民で、イギリスとフランスの居住者は、
20%までに縮小した(1912年)。

カナダには、チャイナ・タウンがあり、中国製品を売るショップや、
レストランがあって、にぎわっている。

トロントのチャイナ・タウン。
カナダには、ドイツ、イタリア、ギリシャ、インドのショップがある。

カナダは、強大な隣国であるアメリカの影響を強く受けているが、
「アメリカは、Melting Pot(るつぼ)で、
カナダは、Multicultural Mosaic(多文化のモザイク)です」
と言って、アメリカとの違いを強調する。
カナダの独自性や、特徴を出していかなければならない。

「アメリカでは、アメリカ人になりなさい、として、
アメリカに来たならば、英語を話しなさい、ハンバーガーを食べなさい、
ハリウッド映画を見なさい……アメリカ人のような生活をしなさい、となる。
ところが、カナダは、“多民族”、“異文化”の国で、母国語を大事にしなさい、
これまでの宗教を続けなさい、祖国の文化や伝統を大切にしなさい、としている」

カナダの公用語は、英語とフランス語である。
ケベック州は、第一母国語をフランス語とする人が80%以上いる。
フランスからの移住者が住んだところでもあり、独立の動きがあって、
住民投票をしたが、わずかの差で否決され、カナダにとどまっている。

移民の国カナダは、難民を受け入れる国である。
ヴェトナム人、香港人、チェコ人、ポーランド人、ウクライナ人……。
宗教や政治的な迫害を逃れてきた人である。

ヴェトナム人はヴェトナム戦争、香港人は中国への返還、チェコ人は、
ソ連侵攻によるチェコ事件、ポーランド人やウクライナ人はソ連の圧政……。

ヴェトナム人はよく働く。成功して小売店や、レストランを開く人、
優秀な頭脳を生かして、エンジニアになる人がいる。

ガーメジアンは、イランからの移民で、カーペットの商売から始めて、
ウエスト・エドモントン・モール”、という世界でも最も大きい、
ショッピング・センターをアルバータ州の首都エドモントンに造った。
冬でも快適な建物の中には、800のショップ、レストランのほかに、
大プール、水族館、潜水艦が浮かぶアミューズメント・パーク、
スケート・リンク、ホテルがある。
地元カナダのほか、世界から人が集まってくる。

チモシー・イートンは、アイルランドでジャガイモ飢饉があったときに、
カナダに移住して、品質とサービスの良さが特徴のデパートメントの、
チェーン店を築いた。
トロントの市庁舎の近くには、“イートン・センター”がある。

寒い冬でも、イートン・センターの中は、快適にショッピングができる。

移民、難民が能力を発揮することができ、成功する国、カナダ。
Melting Pot(るつぼ)がアメリカならば、
Multicultural Mosaic(多文化のモザイク)で発展してきた、
カナダの通知表”をみたい。

ランク…AA=3位以内 A=10位以内 B=20位以内 C=30位以内 D=40位以内。
1)創造力: ノーベル賞の受賞者8人は12位→ランクB。
2)芸術力: カンヌ映画祭でパルム・ドール受賞作品0→ランクF。
3)学力:  PISA2006の15歳の知識と技能は4位→ランクA。
4)文化力: 文化遺産は6で32位→ランクD。
5)運動力: サッカーのランキングは89位→ランクF。
陸上競技世界記録は、0個だった→ランクF。
6)経済力: 国民総生産は9位→ランクA。
7)援助力: 政府開発援助は9位→ランクA。
8)総合力: ランクC。


カナダのレーダーチャート(2009年7月)。

[総合評価]
“芸術力”と“運動力”が低いが、ほかは高い。
特に、“学力”のPISA2006の15歳の知識と技能が4位はりっぱである。
PISAが2000年に開始してからの推移をみる。

カナダは、PISA2000の当初から、4位→6位→4位と、高位置をキープしている。
日本は、1位→5位→10位と、試験をするごと落ちている。

PISAの試験で、カナダが好成績であることには、かねがね注目していた。
それで、カナダ人にわけを聞いてみた。
公立校の授業料はタダで、しかも、どの民族にも開かれていること、
ほかに、私立校と宗教学校のセパレート・スクール(Separate school)があって、
私立校は授業料を負担するが、セパレート・スクールも授業料がタダであること、
教員の資格とカリキュラムの決定は、州に委ねられていること、
イギリスのパブリック・スクールに似たボーディング・スクール(寄宿舎つき)、
があって、エリートを養成していること、
インターネットが普及していること、を挙げた。

国際電気通信連合(ITU)が、100人当たりのインターネット利用者数を、
公表している(2007年)。
PISAの成績とインターネット利用者数の関係をみる。

カナダの利用者は73.00人と高い。
ロシアに次ぐ広い国土であるから、利用価値は高い。
日本は68.85人である。

“運動力”は、ゴルフでは、マスターズで優勝したマイク・ウィアがいるし、
アイス・ホッケーは、国民的英雄ウェイン・グレツキー(背番号99)がいる。

冬季オリンピックは、カナダがいないと始まらない。
アイス・ホッケー、スピード・スケート、スキー、フィギュア・スケートで、
金メダルを獲得している。
2010年の冬季オリンピックは、バンクーバーで開催されるから、
さらなる金メダルの獲得が期待される。

バンクーバー美術館

カナダ西部で最大の美術館。

“経済力”の国民総生産GDPは9位で、
“援助力”の政府開発援助ODAは9位である。
カナダは天然資源に恵まれた国で、石油、天然ガス、石炭、鉄、金、
ダイヤモンド、ウラニウム、パルプがあり、平原からは、小麦、肉牛、
海からはサーモンが獲れて、日本に多くが輸出されている。
好きな馬刺しは、カナダ産である。

カナディアン・ロッキーのバンフ国立公園。


IMDスイスInternational Institute for Management Development Switzerland、
が発行している世界競争力年鑑2009年World Competitiveness Yearbookをみる。

カナダは、世界競争力が8位である。
日本は17位。

トロント市庁舎(1987年夏)。


IMDスイスによる世界競争力の推移をみる。

IMDスイスが調査を始めた1989年、カナダは4位である。
2009年は8位と、トップ・レベルを維持している。
日本は1989年の1位から落ち込み、2009年は17位と上向いてきた。

自然資源に恵まれた広大な国、カナダ、
所得税、消費税、州税、不動産税と税金は高いが、
医療費や教育費が無料、失業者には食糧や住居が供給され、
金持ち、貧乏にかかわらず老人医療保障制度がある福祉国家、カナダ、
先住民族と調和し、難民を受け入れ、Multicultural Mosaic(多文化のモザイク)の、
カナダは“多民族”、“異文化”の国として、発展している。

バンクーバーの冬季オリンピックによって(2010年)、
カナダの強さと豊かさが、さらに、世界に知られることになる。


スケート。トロント市庁舎前(2003年冬)。
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