大間原発の放射線量を測った。
大間原発の建設現場。中央に見える緑の塀から奥が敷地。
電源開発が進めている大間原子力発電所は、
2008年に着工して、2014年に運転開始の予定だった。
ところが、福島第一原発の事故で、工事は中断した。
クレーンは止まったまま。工事現場は音がしない、人の気配がしない。
緑の塀の左は民家で、人が住んでいる。
手前はテトラポットの工場。
そもそも、大間原発はどこにあるのか?
青森県の下北半島である。地図は「下北ナビ」から。
下北半島の突端は、「まぐろ漁」で有名な「大間」。
大間から南へ4キロの海沿いに大間原発はある。
大間は、本州の最北端。
北海道の函館とは目と鼻の先。最短で17.5キロ。
津軽海峡フェリーは、大間と函館を1時間40分で結ぶ。
どうして、この大間原発に注目したのか?
それは、出力日本一の原発、138.3万kWになる。
それに、「世界初のフルMOX原発」になるからである。
使用済み核燃料を再処理して作ったMOX(Mixed Oxide)燃料、
ウランとプルトニウムの混合酸化物燃料を100%使用する。
現在、原発の日本一の出力は、新潟県の柏崎の東京電力の、
刈羽(かりわ)原発の135.6万kWの6号機、7号機である。
柏崎港の先にある刈羽原発。柏崎の番神堂から撮影。2004年。
大間原発ができれば、138.3万kWは、
刈羽原発の135.6万kWを抜くことになる。
ちなみに、東京電力の福島第一原発は、
1号機が46万kW(1971年3月運転開始)、
2~4号機が78.4万kW(1974年~1978年運転開始)である。
大間原発の138.3万kWは、福島第一原発の1号機の3倍になる。
むつ市まで来た。さて、これから大間原発に行くが、
「大間原発に一番近いバス停は、どこですか?」
と、下北交通のバスのドライバーに聞いた。
「白浜海岸が近い」
と、ドライバーは言う。
「だけども、白浜海岸は入口から建てやまで、
距離があるから、見ることはができない。
手前の、中磯なら、建てやを見ることができる」
というバス・ドライバーのアドバイスによって、
「中磯」で降りることにした。
大間を通る佐井行きは、むつ市の下北駅から、2時間に1本出る。
下北駅⇒大畑⇒下風呂温泉⇒大間崎まで1時間47分かかる。
大間崎で観光客と土地の人、数人が降りて3人になった。
大間崎。「まぐろ一本釣の町 おおま」で記念撮影。右奥の灯台は弁天島。
大間崎から5分ほどの津軽海峡フェリー乗り場で、
1人が降りて、乗客は2人になった。
さらに5分の「中磯」に来た。
「昔は、海岸線をバスが通ったが、今は原発の用地になったから、
通行止めになっている。バスは、新しい道を迂回する」
と、バスのドライバーは言う。そして、
「福島の原発事故があってから、
大間原発は工事を中止しているが、
ここで降りて、昔の道を行けば、門があるでしょう」
「中磯」で降りたのは、私だけ。
バスのドライバーは不思議そうに、私を見ていた。
お礼を言って、手を振ると、バスは出発した。
バス・ドライバー、ありがとうございました。
おかげで、大間原発にたどり着けました。
昔、バスが通った道を行くと、左右には民家や工場がある。
その先は、通行止めになっていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/03/c0cd3cef0cb6add3fd7de51dba00f711.jpg)
そして、建設用地は灰色の高い鉄板の塀で囲われている。
工事用のゲートはなかった。
引き返して、丘側に向かったが、丘にも塀があって、
建設現場は見えない。離れて見るしかない。
そして、撮ったのが最初の写真。
「中磯」のバス停にもどった。
「中磯バス待合所」、ちゃんとした小屋だ。
今日一日の利用者は、おそらく私、一人。
こんなに立派なバス待合所は「中磯」だけ。
ほかのバス停は、標識が立っているだけだったが。
「中磯」のバス停の奥は民家、さらに奥が大間原発の建設現場。
「中磯」のバス停のそばで、放射線量を測った。2011年9月4日。
0.19~0.08マイクロ・シーベルト毎時(μSv/h)だった。
なんで、大間原発で放射線量を測ったのか?
まだ、大間原発は運転していないのに。
いま大間は、安全であることを知っておきたい。それに、
「大間のまぐろ」が汚染されていないことを、確かめておきたい。
大間原発から大間崎にバスでもどった。
まぐろ焼き。海峡荘。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/77/c2b5008f85e57128d255520c0eab24ac.jpg)
右の台の上の頭は「70キロのまぐろ」、
うしろのバケツの左横の頭は「85キロのまぐろ」、という。
まぐろ焼きは、頭の肉をそいで、左の炭火で焼く。
「大間で獲れた生まぐろで、冷凍ではない」
おすすめの一皿、まぐろ焼き500円に生ビール、うまかったな!
大間港では、まぐろ船、イカ釣り船がとまっていた。
浜の小屋には、「美吉丸」の大漁旗が舞っている。
「2千20万円のまぐろを釣り上げた漁師の店!」とある。
向かいのレストラン、「大間んぞく」では、まぐろ料理を提供する。
「まぐろ目玉」コラーゲンたっぷり、一皿700円あり。
大間崎でも放射線量を測った。
津軽海峡の海辺に放射線量計を置いた。奥は弁天島。その先は函館になる。
海辺で放射線量を測るのは初めてだ。2011年9月4日。
0.19~0.08マイクロ・シーベルト毎時(μSv/h)。
こんぶを拾う女性が、だんだん近づいてくる。
「こんぶは、何日くらい干すんですか?」
「1日です。天気が良ければ」
大間では、「こんぶ」も「まぐろ」も汚染されていない。
「世界初のフルMOX原発」は、
使用済み核燃料を再処理して作ったMOX(Mixed Oxide)燃料、
ウランとプルトニウムの混合酸化物燃料を100%使用する。
ウラン235の資源には限りがあって、
このまま使い続けると、数十年で枯渇する。
それで、使用済み核燃料の再処理で、
ウランにプルトニウムを混ぜたMOX燃料を使う。
福島第一原発の3号機でも、このMOX燃料を6%使用した。
しかし、MOX燃料は、事故のときに危険が大きい。
低い温度で溶融すること、
濃縮ウランに比べて、汚染が2百万倍になること、
プルトニウム239の半減期が2万4千年であること、などである。
「フルMOX原発」は、
完成された技術とはいえない、
安全性の問題が大きいとして、
大間原発の建設には、反対がある。
炉心近くの土地は、地権者の反対で未買収となっている。
電源開発にとっては、大間原発が初めて手がける原発になる。
大間原発は本州の最北端でも、函館にとっては目と鼻の先。
事故の被害は、半径30キロ以内に入る函館が受けるとして、
函館市長や議会は、大間原発の無期限の凍結を求めている。
また、函館の市民団体からは、
津軽海峡にある活断層の地震対策が不十分など、
大間原発の「建設差し止め」の訴訟がでて、裁判が継続している。
一方で、青森県知事は、大間原発の工事を再開したい。
工事の4割が終わっている。
交付金は、これまでに68億円を受け取り、
漁業補償は150億円を受け取って、漁業権の一部を放棄している。
交付金、補償金で地域開発をしたい。
そして、電源開発は、福島第一原発の事故を受けて、
原子力安全保安院に、大間原発の安全強化対策を報告した。
1) 津波対策は4.4メートルから、高さ15メートルの防潮壁をつくる、
2) 20メートルの高台に非常用発電機を設置する、
3) 原子炉や使用済み核燃料貯蔵プールを冷やす水タンクや、
排水ポンプを新設する。
のどかに見える大間は、
大間原発の交付金で地域開発をするのか?
「大間のまぐろ」は安心・安全の道をいくのか?
原発の安全神話が崩壊して、津軽海峡は渦巻いている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/07/b9/3c31e6e5e7f98acaf314f88f7c050812.jpg)
大間原発の建設現場。中央に見える緑の塀から奥が敷地。
電源開発が進めている大間原子力発電所は、
2008年に着工して、2014年に運転開始の予定だった。
ところが、福島第一原発の事故で、工事は中断した。
クレーンは止まったまま。工事現場は音がしない、人の気配がしない。
緑の塀の左は民家で、人が住んでいる。
手前はテトラポットの工場。
そもそも、大間原発はどこにあるのか?
青森県の下北半島である。地図は「下北ナビ」から。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/94/d5bdb24934d6b258437f322eaece9e4c.png)
下北半島の突端は、「まぐろ漁」で有名な「大間」。
大間から南へ4キロの海沿いに大間原発はある。
大間は、本州の最北端。
北海道の函館とは目と鼻の先。最短で17.5キロ。
津軽海峡フェリーは、大間と函館を1時間40分で結ぶ。
どうして、この大間原発に注目したのか?
それは、出力日本一の原発、138.3万kWになる。
それに、「世界初のフルMOX原発」になるからである。
使用済み核燃料を再処理して作ったMOX(Mixed Oxide)燃料、
ウランとプルトニウムの混合酸化物燃料を100%使用する。
現在、原発の日本一の出力は、新潟県の柏崎の東京電力の、
刈羽(かりわ)原発の135.6万kWの6号機、7号機である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/07/6a0ef7ab95efb30fe885b8f8bc67f86d.jpg)
柏崎港の先にある刈羽原発。柏崎の番神堂から撮影。2004年。
大間原発ができれば、138.3万kWは、
刈羽原発の135.6万kWを抜くことになる。
ちなみに、東京電力の福島第一原発は、
1号機が46万kW(1971年3月運転開始)、
2~4号機が78.4万kW(1974年~1978年運転開始)である。
大間原発の138.3万kWは、福島第一原発の1号機の3倍になる。
むつ市まで来た。さて、これから大間原発に行くが、
「大間原発に一番近いバス停は、どこですか?」
と、下北交通のバスのドライバーに聞いた。
「白浜海岸が近い」
と、ドライバーは言う。
「だけども、白浜海岸は入口から建てやまで、
距離があるから、見ることはができない。
手前の、中磯なら、建てやを見ることができる」
というバス・ドライバーのアドバイスによって、
「中磯」で降りることにした。
大間を通る佐井行きは、むつ市の下北駅から、2時間に1本出る。
下北駅⇒大畑⇒下風呂温泉⇒大間崎まで1時間47分かかる。
大間崎で観光客と土地の人、数人が降りて3人になった。
大間崎。「まぐろ一本釣の町 おおま」で記念撮影。右奥の灯台は弁天島。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/9e/2683ee9fc665dd51a13af1230ceebe4f.jpg)
大間崎から5分ほどの津軽海峡フェリー乗り場で、
1人が降りて、乗客は2人になった。
さらに5分の「中磯」に来た。
「昔は、海岸線をバスが通ったが、今は原発の用地になったから、
通行止めになっている。バスは、新しい道を迂回する」
と、バスのドライバーは言う。そして、
「福島の原発事故があってから、
大間原発は工事を中止しているが、
ここで降りて、昔の道を行けば、門があるでしょう」
「中磯」で降りたのは、私だけ。
バスのドライバーは不思議そうに、私を見ていた。
お礼を言って、手を振ると、バスは出発した。
バス・ドライバー、ありがとうございました。
おかげで、大間原発にたどり着けました。
昔、バスが通った道を行くと、左右には民家や工場がある。
その先は、通行止めになっていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/03/c0cd3cef0cb6add3fd7de51dba00f711.jpg)
そして、建設用地は灰色の高い鉄板の塀で囲われている。
工事用のゲートはなかった。
引き返して、丘側に向かったが、丘にも塀があって、
建設現場は見えない。離れて見るしかない。
そして、撮ったのが最初の写真。
「中磯」のバス停にもどった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/29/bda11327378060b1ea2166bb69bb961d.jpg)
「中磯バス待合所」、ちゃんとした小屋だ。
今日一日の利用者は、おそらく私、一人。
こんなに立派なバス待合所は「中磯」だけ。
ほかのバス停は、標識が立っているだけだったが。
「中磯」のバス停の奥は民家、さらに奥が大間原発の建設現場。
「中磯」のバス停のそばで、放射線量を測った。2011年9月4日。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/48/5a05db2c427bc73e29cf06c4df79dfda.jpg)
0.19~0.08マイクロ・シーベルト毎時(μSv/h)だった。
なんで、大間原発で放射線量を測ったのか?
まだ、大間原発は運転していないのに。
いま大間は、安全であることを知っておきたい。それに、
「大間のまぐろ」が汚染されていないことを、確かめておきたい。
大間原発から大間崎にバスでもどった。
まぐろ焼き。海峡荘。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/77/c2b5008f85e57128d255520c0eab24ac.jpg)
右の台の上の頭は「70キロのまぐろ」、
うしろのバケツの左横の頭は「85キロのまぐろ」、という。
まぐろ焼きは、頭の肉をそいで、左の炭火で焼く。
「大間で獲れた生まぐろで、冷凍ではない」
おすすめの一皿、まぐろ焼き500円に生ビール、うまかったな!
大間港では、まぐろ船、イカ釣り船がとまっていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/7b/8a93c3aa7fcbffa7a8e0c030ae50a889.jpg)
浜の小屋には、「美吉丸」の大漁旗が舞っている。
「2千20万円のまぐろを釣り上げた漁師の店!」とある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/97/71f4c4466b7c41c68d6900a042f72be7.jpg)
向かいのレストラン、「大間んぞく」では、まぐろ料理を提供する。
「まぐろ目玉」コラーゲンたっぷり、一皿700円あり。
大間崎でも放射線量を測った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/92/9020c9c3821be66622424311bf698171.jpg)
津軽海峡の海辺に放射線量計を置いた。奥は弁天島。その先は函館になる。
海辺で放射線量を測るのは初めてだ。2011年9月4日。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/e4/64ad19193381f3d35ab0da263cc0f38b.jpg)
0.19~0.08マイクロ・シーベルト毎時(μSv/h)。
こんぶを拾う女性が、だんだん近づいてくる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/6f/4e14faeb95d10017d688da98fabc093b.jpg)
「こんぶは、何日くらい干すんですか?」
「1日です。天気が良ければ」
大間では、「こんぶ」も「まぐろ」も汚染されていない。
「世界初のフルMOX原発」は、
使用済み核燃料を再処理して作ったMOX(Mixed Oxide)燃料、
ウランとプルトニウムの混合酸化物燃料を100%使用する。
ウラン235の資源には限りがあって、
このまま使い続けると、数十年で枯渇する。
それで、使用済み核燃料の再処理で、
ウランにプルトニウムを混ぜたMOX燃料を使う。
福島第一原発の3号機でも、このMOX燃料を6%使用した。
しかし、MOX燃料は、事故のときに危険が大きい。
低い温度で溶融すること、
濃縮ウランに比べて、汚染が2百万倍になること、
プルトニウム239の半減期が2万4千年であること、などである。
「フルMOX原発」は、
完成された技術とはいえない、
安全性の問題が大きいとして、
大間原発の建設には、反対がある。
炉心近くの土地は、地権者の反対で未買収となっている。
電源開発にとっては、大間原発が初めて手がける原発になる。
大間原発は本州の最北端でも、函館にとっては目と鼻の先。
事故の被害は、半径30キロ以内に入る函館が受けるとして、
函館市長や議会は、大間原発の無期限の凍結を求めている。
また、函館の市民団体からは、
津軽海峡にある活断層の地震対策が不十分など、
大間原発の「建設差し止め」の訴訟がでて、裁判が継続している。
一方で、青森県知事は、大間原発の工事を再開したい。
工事の4割が終わっている。
交付金は、これまでに68億円を受け取り、
漁業補償は150億円を受け取って、漁業権の一部を放棄している。
交付金、補償金で地域開発をしたい。
そして、電源開発は、福島第一原発の事故を受けて、
原子力安全保安院に、大間原発の安全強化対策を報告した。
1) 津波対策は4.4メートルから、高さ15メートルの防潮壁をつくる、
2) 20メートルの高台に非常用発電機を設置する、
3) 原子炉や使用済み核燃料貯蔵プールを冷やす水タンクや、
排水ポンプを新設する。
のどかに見える大間は、
大間原発の交付金で地域開発をするのか?
「大間のまぐろ」は安心・安全の道をいくのか?
原発の安全神話が崩壊して、津軽海峡は渦巻いている。