季節の変化

活動の状況

家族でニューヨークのイエロー・キャブに乗る

2010-03-31 01:55:22 | Weblog
タクシー・ドライバーは、の代表者。
旅が楽しくなったり、とんでもないことがおきる。
街の印象が良くなったり、悪くなったりする。

26) 家族でニューヨークのイエロー・キャブに乗る
ロス・アンジェルスから、家族旅行でニューヨークへ行く。
ニューヨークでは、ジョン・エフ・ケネディJFK空港から、
マンハッタンのホテルまでタクシーを使う。

家族旅行で、初めて行くニューヨーク。
イエロー・キャブは、どんなだろう?
ボッタクリは、あるのだろうか?

時は、1988年の冬。
犯罪が多発していた地下鉄は、
ニューヨーク市交通局によって、落書きが消された。
あわせて、車内のパトロールを強化した。
それで、地下鉄の犯罪は激減してきたころだ。

この成功は、のちに、ジュリアーニ市長によって、
ニューヨーク市警に導入され(1994年~)た。
ニューヨーク市の落書きを消すとともに、
軽犯罪の取り締まりを強化した。
それで、ニューヨークから凶悪犯罪が減っていく。
「Broken Windows(ブロークン・ウィンドウズ)理論」
の導入で、ニューヨークの治安が良くなる。

さて問題は、タクシーのイエロー・キャブだ。
家族は5人、それにたくさんの荷物だ。
家族は、妻と中学生の長男、小学生の次男と娘である。
イエロー・キャブの乗客の定員は4人
だから、どうしても2台になる。

それで、親と子の組み合わせを決めた。
1台目は、妻と中学生の長男と小学生の娘の3人。
2台目は、私と小学生の次男の2人である。

中学生の長男は、英語を話せるから、妻といっしょになって、
ホテルの名前を、ドライバーに言うことができる。
それに、長男は私よりも背が高いから、用心棒になる。
小学生の娘は、妻といっしょになりたがっている。

2台目の小学生の次男は私が守る。
しかし、次男の英語は私よりうまい。
2台目は安心である。

そして、泊るホテルを確認し合っている。
ホテルの名前と住所、電話番号を書いた紙を、
妻に渡して、
「ホテルの名前を言えば、ドライバーはわかる。
もし、わからなかったら、この紙を見せるように」
と、話した。

あとは、1台目と2台目のキャブが、
同じホテルに着いてくれることだ。
まちがって、別々のホテルに着いたら、
どうやって、連絡を取り合えばいいのだろう?
まだ携帯電話はない1988年である。


滞在しているロス・アンジェルスを、
午前の便で発っても、ニューヨーク到着は夕方になる。
飛行時間の5時間に、時差3時間を加えるから、
朝10時の便は、ニューヨーク着は夕方の6時。

JFK空港は、多くの乗降客でゴッタ返していた。
この喧騒(けんそう)はロス・アンジェルスにはない。
異様な雰囲気に、子ども3人はこわばっている。

さて、カルーセルから荷物を取り出さなければならない。
こわばっている子どもに、
「まとまって、ここから絶対に離れるな!」
「ニューヨークは、ロス・アンジェルスより危険なところだ」
「知らない人から話しかけられても、親といると言いなさい」
「もし、連れていかれそうになったら、お父さ~んと、叫びなさい」
と、言い含めて、カルーセルに荷物を取りに行く。

カルーセルの見えるところで、子ども3人は、
一か所にかたまって、つっ立っている。
こちらを見ながら、不安そうだ。

カルーセルで、荷物を拾い上げて、カートに積み上げる。
荷物を盗られないように、妻が2台のカートを見守る。
冬の陽が落ちるのは早い。
家族5人分の荷物が、出そろうころには、
ニューヨークはすっかり暗くなっていた。

家族5人と、荷物を満載した2台のカートは、
1列になって、キャブ乗り場に向かった。
JFK空港は、多くの乗降客と見送りの人、出迎えの人でいっぱいだ。

混雑を避けながら進むが、白タクの客引きが、ウロウロして、
「乗らないか?」
と、うるさいこと、うるさいこと。
「マンハッタンまでXXドルだよ」
と、ひっきりなしに声をかけてくる。
一人に断っても、つぎからつぎへとくるから、切りがない。
こうなったら、つきまとう白タクの客引きと、
目を合わせないようにして進むしかない。

これからマンハッタンのホテルまで行くのだが、
家族5人とたくさんの荷物で、キャブ2台に分乗する。
2台のキャブが、「安寿と逗子王」のように、
別々の方向に行って、生き別れ? になったら、困る。
童話では、安寿と逗子王の姉弟の乗った舟と、
母の乗った舟が引き裂かれて、親子が生き別れになる。

それに、タクシーのボッタクリには、
1台目の妻と長男、娘は、まったく慣れていない。
✇目的地とは、反対の方向へ走る、
✇メーターを倒さずに、高い料金をとる、
✇勘違いをしたふりをして、遠回りをする、
✇恫喝する、
があったら、動転するだろう?

ぶじに、同じホテルに着けるだろうか?
「安寿と逗子王」のように、生き別れにならないだろうか?

ボッタクリと、今生の生き別れ? を心配しながら、
家族5人とカート2台は、キャブ乗り場に急いだ。


自由の女神とマンハッタン。まだ、世界貿易センターがあった1988年。
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ニューヨークの地下鉄から落書きが消えた

2010-03-28 05:16:00 | Weblog
タクシー・ドライバーは、の代表者。
旅が楽しくなったり、とんでもないことがおきる。
街の印象が良くなったり、悪くなったりする。

25) ニューヨークの地下鉄から落書きが消えた
1980年代、ニューヨークは恐ろしい街だった。
犯罪の巣窟(そうくつ)で、年間2千件を超える殺人事件があった。

「夜の地下鉄に乗るな」
地下鉄は、スプレーで落書きだらけだった。
夜になると、ひったくり、強盗と、犯罪が多発した。

そのとき、ロス・アンジェルスに滞在していたが、
ニューヨークには、おっかなくて、行く気にならなかった。

どうしようもない犯罪都市、ニューヨークをジュリアーニ市長が改善した。
それは、「Broken Windows(ブロークン・ウィンドウズ)理論」である。

スタンフォード大学の教授が、カリフォルニア州で実験した。
ナンバー・プレートを外した乗用車を放置しておいた。
しかし、1週間なにも起こらなかった。

そこで、フロント・ガラスを割って、放置してみた。
すると、残りの窓ガラスが割られた。
そのうちに、部品が持ち去られ、
やがて、車は破壊されてしまった。

管理されていない街だ、とわかると、やりたい放題になる。
警察の監視が行き届いていない街だ、
と思われると治安は乱れていく。
やがて、凶悪事件が発生する。

そこで、ニューヨーク市交通局は、
「Broken Windows(ブロークン・ウィンドウズ)理論」
を取り上げた。

地下鉄の落書きを消した。
スプレーで汚れた車両や駅を清掃した。
1984年から5年かけて、落書きを消した。
それから、車内のパトロールを強化した。

すると、地下鉄の犯罪が、減っていった。
つまり、地下鉄は管理されていると思わせた。
そうして、凶悪犯罪が減ってきた。
地下鉄に安心して乗るこができるようになってきた。

この成功は、ニューヨーク市長ジュリアーニによって、
ニューヨーク市警に導入された(1994年~)。
ニューヨークの街の落書きを消すとともに、
軽犯罪の取り締まりを強化した。そうして、
ニューヨークから凶悪犯罪を減らすことができた。

1987年、ニューヨークへ行った。
ニューヨークというだけで、緊張する。
そして、はじめて地下鉄に乗ってみた。

落書きは、どこにもなかった。
イメージとは違っていた。まずホッとする。
そして、南のバッテリー・パークまで地下鉄で行った。
車内では、警戒した。キョロキョロした。
が、なにも起こらなかった。

「夜の地下鉄に乗るな」
でも、乗ってみた。
バッテリー・パークからホテルにもどった。
キョロキョロしたが、なにも起こらなかった。


フェリーから見たマンハッタン。
まだ世界貿易センターがあった1987年。
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ホテルでカメラが消えた

2010-03-24 03:55:01 | Weblog
タクシー・ドライバーは、の代表者。
旅が楽しくなったり、とんでもないことがおきる。
街の印象が良くなったり、悪くなったりする。

24) ホテルでカメラが消えた
外務省に「海外安全ホームページ」がある。

http://www.anzen.mofa.go.jp/index.html

「海外安全お役立ち情報」の中に、「海外安全情報」があり、
そこに、「なぜ君がねらわれるのか」がある。

http://www.anzen.mofa.go.jp/video/video01.html

「自分の身は、自分で守る」ための30分のビデオである。
「日本では予想できないことが、海外では起きる」として、
日本人が海外旅行で、被害にあう事例が紹介されている。

タクシーによる被害、集団スリ、ケチャップを使ったひったくり、
バイクによるひったくり、バイキング・スタイルのレストランでの接近、
ホテルでの盗難、いかさま詐欺賭博、白タク強盗、などがある。
海外で安全に旅行する手引きで、大いに参考になる。

その中のタクシーに関する事例では、
タクシー・ドライバーから、法外なタクシー料金を請求されたり、
「歴史のあるところを案内する」
と言って、いかさま詐欺にあったり、
白タクに乗って、強奪されていた。

ブログ「季節の変化」では、
タクシー・ドライバーは、街の代表者。
旅が楽しくなったり、とんでもないことがおきる。
街の印象が良くなったり、悪くなったりする。
として、
✇目的地とは、反対の方向へ走る、
✇メーターを倒さずに、高い料金をとる、
✇勘違いをしたふりをして、遠回りをする、
✇恫喝する、
などで、ボッタクリにあうことをお伝えしてきた。

同じようなことが、
「なぜ君がねらわれるのか」の中にあって、
「悲しいことに、同じような手口で、被害にあっているんだな」
と、ビデオを見た。

海外へ行かれる方は、外務省の「なぜ君がねらわれるのか」、
のビデオを見ることをお勧めする。
自分の安全は、自分で確保するために。


今回は、ホテルのできごと。
テーブルの上に置いたディジタル・カメラが消えたのである。

ルーマニアの首都、ブカレストの一流ホテル。
部屋は広い、テーブルは鏡のある化粧用、筆記用、
くつろぐ丸テーブルと3つあり、洗面台は大理石、壁は厚い、
インターネットにアクセスでき、テニスコートや屋内スイミングプール、
が備わっている、5つ☆ホテルである。

団体旅行の朝食は、レストランでビュッフェ形式である。
各人がてんでに行って、食べるようになっていた。

朝早いレストランには、団体旅行でいっしょの日本人女性が2人いた。
ほかに、外国人のお客が2人、それに、ウエイトレスが2人。

日本人女性が、
「ディジタル・カメラをテーブルに置いて、
料理を取りに行っている間に、なくなった」
と、探していた。

「このテーブルで食事をするために、置いておいた」
「ディジタル・カメラを袋に入れておいたが、袋ごとなくなった」
「ディジタル・カメラには、これまでの旅行の思い出が入っている」
と、オロオロしている。

それで、女性2人といっしょになって、
ディジタル・カメラを置いたテーブルの下や、イスの上、
それから、料理が置いてあるテーブルに行って、探してみた。
しかし、見つからない。

彼女たちに代わって、近くのウエイトレスに、
「テーブルの上に置いたディジタル・カメラがなくなった」
と、言った。

すると、若いウエイトレスは、
「知りません」
「部屋にあるのではないですか?」
「持ってこなかったのではないですか?」
と、英語で言う。

このことを、彼女たちに伝えると、
「そんなことはないです。確かに持ってきた」
そして、念のために、
「部屋にもどって、見てくる」
と、言う。

ここで、重要なことは、現場を離れてはいけない。
だから、1人だけが部屋に行って、ディジタル・カメラを探し、
もう1人はレストランにとどまってもらった。

だれもいなくなれば、ディジタル・カメラは移動されたり、
持ち去られて、わからなくなる。
まだ、レストランの中か、近くにあるはずだ。
テーブルから離れて、料理をとりに行ったスキのできごとだから。

外国人の2人のお客さんに聞いてみたが、
「知らない」
と言う。

部屋からもどってきた彼女は、
「部屋にはない。たしかにここに持ってきた」
と、確信している。
もう1人の女性も、
「彼女がディジタル・カメラを持ってきているのを、たしかに見ている」
「それから、テーブルの上に置いて、料理を取りに行った」
と言う。

すると、レストランのテーブルの上から、
ディジタル・カメラがこつぜんと消えたことになる。
つぎにすることは、“できごと”をホテルに知らせることである。

年長のウエイトレスに、
「ディジタル・カメラがテーブルの上からなくなった。
マネジャーと話したいから、呼んでほしい。
もし、マネジャーがいなければ、支配人をお願いしたい」
と、言った。

年長のウエイトレスは、すぐにマネジャーを呼びに行った。
若いウエイトレスはレストランに残っている。
もし、マネジャーが解決できなければ、
ポリスに連絡することになる。

その間、日本人の彼女たちといっしょになって、
レストラン中を探した。すると、
「あった!」
と、彼女が叫んだ。

それは、置いたテーブルとは、まったく離れたテーブルの、
しかも床の上だった。
「あそこは、さっきも、探したが、なかった」
「あのテーブルにあるのは、おかしい」
「あそこには、行っていない」
「それに、床の上にあった」
と、女性2人はあり得ない異常を話し合っている。

そして、
「若いウエイトレスが、ディジタル・カメラを置いたテーブルの近くにいた」
「若いウエイトレスだけが、テーブルの近くで動いていた」
と言う。

若いウエイトレスだろうか? だれかが、テーブルの上から袋を持ち去り、
どこかに隠していた。しかし、被害者たちは現場から離れなかった。
だから、さらに安全な場所への移動ができなかった。

食事中の2人のお客さんは、「知らない」、
と、言っている。

最初に疑われるのは、どちらかのウエイトレスだ。
そして、これから、マネジャーがやってきて、
騒ぎ”が、ますます大きくなる。
ホテルのセキュリティや信用問題にもなる。
一番疑われる人が、こっそりと、もどしたのだ。

マネジャーが、年長のウエイトレスとともにやってきた。
誠実そうなマネジャーだ。困惑した表情だ。

ことの成り行きをマネジャーに説明した。
「このテーブルの上に置いたディジタル・カメラがなくなった。
そして、ちがうテーブルの下から出てきた。
あり得ない話だが」

マネジャーは、すこしホッとしていた。
こちらとしては、ディジタル・カメラが、
出てきたから、それでいい。

犯人探しは、目の前でしなくてもいい。
ウエイトレスは懲(こ)りたはずだ。
その職業を失わせたくない。

犯人探しは、必要ならば、マネジャーがすればいい。
5つ☆ホテルとして、セキュリティや信用の問題だから。

ズーッと座って食事をしていた2人のお客さんには、
ディジタル・カメラが出てきたことを話し、
お騒がせしたことのおわびをした。
ことの成り行きを見ていたから、
納得し、喜んでもらえた。

教訓。
被害にあった現場を離れるな。
作り話にしないために、できごとを被害として、ホテルに伝えろ。
居合わせた人にも聞いてみよう、被害の証人になってもらえるから。
そして、責任のある人、マネジャーに被害の解決をしてもらおう。


旧共産党本部。ルーマニアの首都、ブカレスト。
故チャウシェスク大統領が、革命広場に参集した民衆に最後の演説をした。
そして、右の建物の屋上からヘリコプターで脱出した(1989年)。
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道をまちがえた差額を返すタクシー・ドライバー

2010-03-21 00:46:58 | Weblog
タクシー・ドライバーは、の代表者。
旅が楽しくなったり、とんでもないことがおきる。
街の印象が良くなったり、悪くなったりする。

23) 道をまちがえた差額を返すタクシー・ドライバー
ドイツのアウトバーンはスピードが無制限である。
時速200キロメートルで飛ばしていたタクシーは、
目指す会社に近づいて、アウトバーンを降りた。

アウトバーンを降りた市街地では、80キロメートルに落とした。
アウトバーンを降りて、ホッとしたのはFさん。
ダッシュ・ボードから手を放して、
半身の態勢を解いた。

タクシー・ドライバーは、商業地域にある会社を目指した。
しかし、グルグルと走り回って、同じ場所へ出てきた。
会社が見つからないでいる。道がわからないようだ。
また、グルグルと走り回った。
そして、同じ所へ出てきた。

どうするのだろう?
ついに、道路の端に車を寄せて、止めた。
そして、窓を開けて、通行人に道を確かめている。

どうやら、わかったようだ。そして、
道をまちがえた
と、ドライバーは言う。

タクシー・ドライバーのボッタクリの手段として、
「道をまちがえた」
がある。
そう言って、遠回りをし、
わざとらしく、通行人に道を聞き、
もっともらしく、道をまちがえたように振舞う。

「道をまちがえた」には、身構える習性になっている。
しかし、ドイツではちがう。本当に道をまちがえたのだ。
心配しなくていい。

「ちがう町に、下りたようだ」
そして、
「料金の差額は、返しますから」
と、タクシー・ドライバーは言う。

タクシー・ドライバーのミスでちがう町に下りて、
「グルグルと走り回った分の料金を、返します」
と言うのだ。
なんと誠実なタクシー・ドライバーだ。
自分のミスを認めるなんて!
そして、ドライバーは再びアウトバーンにもどった。

アウトバーンに乗ってからは、
ドライバーは前よりもスピードを上げた。
これまでの時間のロスを取りもどすかのように。
スピード・メーターは、220キロメートルを指している。

さすがに、ガタガタと振動がある。
Fさんに、再び緊張が走った。
ダッシュ・ボードに片手をつき、もとの半身の態勢にもどった。


しばらく走って、今度は正しい出口でアウトバーンを降りた。
そして、目指す会社には、約束の時間に間に合った。

さて、料金を払うが、ドライバーは差額を返そうとした。
しかし、メーター通りの料金に、プラスして切りのいい値にした。
ドイツのタクシー・ドライバーの誠実な態度が、うれしかったのだ。

メーター通りの料金に、おつりの少額をチップ代わりにしたわけだが、
ドライバーは、いたくうれしそうだったな。
“Danke Ser.”(ありがとうございます)、「良い旅を」


訪問した会社で、打ち合わせは無事に終わった。
これから、タクシーでミュンヘン空港にもどる。
訪問した会社の玄関先でタクシーを待っていると、
タクシーはメルセデス・ベンツだった。

Fさんは、どうするのかな?
「タクシーがベンツだ!」
とも言わずに、うしろの席にサッサともぐり込んだ。

ミュンヘン空港へ向かう道中、Fさんはドライバーに、
「あなたは、どんな車を持っているのですか?」
と、話しかけることもなかったし、
私にも、速いとも、楽しいとも、恐いとも、
話しかけてくることはなかった。

ただ、だまって、流れ去る景色を見ていた。
アウトバーンのスピード無制限を、
タクシーの前座席で味わうのは、
一度でいい。

タクシーは、時速200キロメートルで、
道をまちがえることもなくミュンヘン空港に着いた。

ドイツのタクシー・ドライバーは、
日本やフランスと同じで、ボッタクリはない。


ミュンヘンのノイエ・ピナコテーク(新絵画館)。


ゴッホの「ひまわり」。フラッシュなしならば撮影ができた。
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ドイツのタクシーはベンツ

2010-03-17 01:11:00 | Weblog
タクシー・ドライバーは、の代表者。
旅が楽しくなったり、とんでもないことがおきる。
街の印象が良くなったり、悪くなったりする。

22) ドイツのタクシーはベンツ
ドイツのタクシー・ドライバーは誠実だ。
初めてのホテルでも、知らない場所でも、
行き先を告げて、あとはまかしておけば、
目的地まで、最適なルートで行ってくれる。
タクシーには、安心して乗っていることができる。

だが、ドイツ人の乗客にはふしぎなことがある。
それは、タクシー乗場で列をつくらないことだ。
空港に降り立って、タクシー乗り場で列をつくって、
順番を待つのは、ドイツ人以外の外国人である。

ドイツ人は列に並ばない。
タクシー乗場より手前の適当なところにいて、
手を上げて、止めたタクシーに乗り込むのである。
マナーにうるさく、規則に従うドイツ人であるが、
これだけはふしぎである。

そのドイツのミュンヘン空港から、タクシーで近郊の会社を訪れた。
日本からヨーロッパへ出張したFさんといっしょに、
ロンドンからミュンヘンへ飛んだ。

ミュンヘン空港に降り立って、タクシーに乗るのだが、
とうぜんのように、タクシー乗場の列のうしろについた。

ドイツ人が、タクシー乗場よりも手前にいて、
タクシーをつかまえているのを見て、
「列がちっとも、進まないじゃないか!」
と、Fさんは、怒っていた。
ドイツに出張すると、いつも出くわす光景で、
ドイツ人は列をつくるのがヘタだ、と説明する。

やがて、順番になってタクシーが横に来た。
Fさんは、
「タクシーがベンツだ!」
と、大喜びで、スルスルとドライバー席の横にすべり込んだ。

Fさんは、タクシーがベンツであることに興奮気味だ。
興味深げに、ダッシュ・ボードの計器類を見ている。
私は後ろの席に座った。

動き始めると、ドライバーに英語でしきりに話しかけている。
「フロア・シフトだ」
「ベンツは、ドイツではいくらですか?」
「あなたは、どんな車を持っているのですか?」
「ヘェー、あなたの車もベンツですか?」
と、Fさんはうらやましそうだ。

近郊の会社へ行くのには、アウトバーンに乗る。
アウトバーンは、スピードが無制限である。
「120キロメートルを超えた……160キロメートルが出た」
と、Fさんはスピードの実況報告をする。

「180キロメートルだ!……ついに200キロメートルだ!
ほとんどの車を抜いている……」
そして、黙ってしまった。

時速200キロメートルで走るタクシーを追い抜くのは、
BMWかポルシェ。それか、ときおり爆走するフェラーリ。

そろそろ話題が尽きたのかな?
声が聞こえなくなった前を見ると、
Fさんの顔が強ばっている。

ガサゴソとシートベルトをした。
そして、半身になって、片手を伸ばしてダッシュ・ボードに手を当て、
ギューッとつっぱって、身体を座席の背もたれに押しつけている。

タクシーはアウトバーンを200キロメートルで走る。
Fさんにとって、初めて体験するスピードを、
振動と飛び散る景色、スピード・メーターからひしひしと感じている。
新幹線と同じスピードを、アウトバーンを走るタクシーで感じている。

Fさんは完全に黙って、前方とスピード・メーターを交互に見ている。
この先どこまでスピード無制限が続くのか?
という、恐怖と戦いはじめた。

前の座席のほうが、恐怖感が大きい。
景色が飛び込んできて、うしろに飛び散るから、
スピードを大きく感じる。

私は後部座席でシートベルトをして、深く沈みこんでいる。
Fさんは片手をダッシュ・ボードに当てて、
身体を座席の背もたれに押しつけ、
前に飛び出さない姿勢を続けている。
シビレがこないように、ときおり左右の手を代えながら。

スピードが無制限のアウトバーンでは、
時速200キロメートルは、メルセデス・ベンツにとって、
普通のこと。それが、タクシーであっても。
でも、Fさんにとっては、初めてのスピードである。


BMW社。タクシーから撮影。
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タクシー・ドライバーのかご逃げ

2010-03-14 05:03:14 | Weblog
タクシー・ドライバーは、の代表者。
旅が楽しくなったり、とんでもないことがおきる。
街の印象が良くなったり、悪くなったりする。

21) タクシー・ドライバーのかご(駕籠)逃げ
フランスのタクシーでイヤな思いをしたことがなかった。
それどころか、チップを払わなかった。
このことを話したら、パリ在住の商社マンEさんは、
「それが、あるんだよ」
と、クヤシそうな顔をした。

なにが、あったんだろう?
✇目的地とは、反対の方向へ走る、
✇メーターを倒さずに、高い料金をとる、
✇勘違いをしたふりをして、遠回りをする、
✇恫喝する、
などで、ボッタクリにあったのだろうか?

フランスに赴任して3年のEさんは、日常のフランス語はできる。
タクシーで、行き先を告げることは、まったく問題がない。

パリ市街にあるオフィスで、夜おそくまで仕事をした。
これから、アパートメント(アパルトマン)に帰るが、
タクシーを利用した。

タクシーはすぐに拾えた。
そして、アパートメントに着いた。
メーターは5フラン(1,000円)を示している。
チップを入れて6フランを払おうとした。
財布を見ると5フランの紙幣がない。
10フランの紙幣でおつりをもらおうとした、
が、それもない。

あるのは20フランの紙幣ばかりが何枚か。
20フランでおつりをもらおうと、紙幣を差し出した。
「20フランですか……おつりがない。
こまかいのはないですか? ムッシュー(旦那)」
「それが、ないんだよ」

「こまったな、おつりがないんです」
と、ドライバーもこまっている。
「この辺りに、くずしてくれる店でもないですか?」

アパートメントは居住地域だから店はない。
夜遅くまで営業しているレストランもバーもない。
しかし、3ブロック先に雑貨屋があったのを思い出したEさんは、
それを告げると、
「そこへ行ってみましょう」
と、ドライバーはハンドルを切った。

しかし、望みの雑貨屋は、もう閉まっていた。
辺りは街路灯だけで、店の明かりはとっくに落ちている。

「ほかに思い当たるところはありませんか?」
と、ドライバーは言う。
「ほかには? ないな……」
居住区の灯りが落ちるのは早い。

これから、アパートメントの周りをグルグル回って、
新しいところがあるか、どうか? は、わからない。
探し当てたとしても、時間と料金がムダになる。

「アパートメントへ戻ってくれ……家から細かい金を持ってくる」
ドライバーは呑みこめて、引き返した。

「すぐにもどって来るから、ここで待っていてくれ」
「本当にもどって来るんですか? ムッシュー」
「もちろんだ」
「アパートメントの部屋番号と、名前を教えてくださいな」
「それはできない。……が、信用してくれ」

アパートメントの部屋番号と、名前は、
Security安全から、教えることはできない。
プライバシーに関わることは、むやみに教えられない。

タクシーを待たしたまま、アパートメントに入って、
裏口から逃げる“駕籠抜け”をするつもりは、
さらさらないEさんは、
疑わしそうな顔つきのドライバーに、
「じゃ20フランを預けておくから。
5フランを持ってきたら、もどしてくれ」

「わかりました。
すぐにもどってきてくださいよ、ムッシュー」
と、ドライバーは物わかりがいい。
これまでの疑わしそうな顔がほころんだ。

Eさんは、大急ぎでアパートメントへ行って、
奥さんから10フラン紙幣をもらって、タクシーに引き返した。

しかし、どこにもタクシーが見当たらない。
「おかしいな、ここのはずだが」

1ブロックをぐるりと走って回った。
あちこち探してみたが、影も形もない。
ぜいぜいと息を切らしながら走り回ったが。

タクシー・ドライバーが逃げたのだ。
駕籠逃げ”されたのである。

「アハハ……、Eさん、バッカじゃないか。
そんなことをしたら、逃げるに決まっているじゃないか。
フランス人でなくても、私だって逃げるよ」

「20フランの預かり証を書いてもらって、名前とサインまでもらうのさ。
それに、タクシー会社の名前と車のナンバーを控えておくのさ」

「20フランをプレゼントするなんて、慎重なEさんらしくないな」
Eさんは、私にもボロクソいわれて、2度クヤシイ思いをした。


パリのタクシー。“駕籠逃げ”とは関係がない。
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犬はタクシー・ドライバーの友だち

2010-03-10 01:55:00 | Weblog
タクシー・ドライバーは、の代表者。
旅が楽しくなったり、とんでもないことがおきる。
街の印象が良くなったり、悪くなったりする。

20) 犬はタクシー・ドライバーの友だち
フランスのタクシーに乗って、嫌な思いをしたことがなかった。

タクシー・ドライバーには過酷な労働や、
売上げ確保のストレスがあるのだろうか?
金払いのいい日本からの旅行者をカモとして、
手っ取り早くかせぎたいのだろうか?

おのぼりさんからブッタクル常套手段として、
✇目的地とは、反対の方向へ走る、
✇メーターを倒さずに、高い料金をとる、
✇勘違いをしたふりをして、遠回りをする、
✇恫喝する、
がある。
ところが、フランスではこれがないのである。

乗客は、フランスばなれをした顔のアジア人。
フランス語のつたない発音でも、
ドライバーが道を捜しながら連れて行ってくれる。

別にフランス語をしゃべれるわけではなく、
行き先を、無理してフランス語読みしているだけ。
通じない場合は、行き先をフランス語で書いた紙を渡す。
これでだいじょうぶ……この場合のほうが多い。

シャンゼリゼ通りでタクシーをつかまえて、
ドライバーに行き先を告げた、
「Avenue de la Republique」
が、タクシー・ドライバーはわからない。
フランス語風に発音したつもりだったがな。

ドライバーはうしろを振り返って、
「どこへ行ったらいいのだろうか?」
という顔つきとフランス語である。

ドライバーは車を発進していいものか、どうか迷っている。
このときは、行き先を書いた紙を用意していなかった。
はて、こまった! どうしよう。

このさまを見ていた通りがかりの女性が、
つかつかと寄ってきて、
「どこへ、行きますか?」
ときれいな英語で、窓越しに話しかけてきた。

「Avenue de la Republique」
私のフランス語? を理解した若い女性が、
正しいフランス語に“通訳”して、
ドライバーに伝えてくれた。

ドライバーはわかって、
「ウィ」と、顔がほころんだ。

女性へのお礼は、フランス語でできた。
「メルスィ・ボークー、マドモワゼル」
フランスは、道行く人まで温かい気がする。

このことを、フランス人に話すと、
私の発音を聞いて、
「それでは、わからない」
やっぱりか!
フランス語風に、いっしょうけんめい発音したのに。


シャンゼリゼ通りと凱旋門。

パリ市内で、ホテルへもどるときにタクシーに乗った。
タクシー・ドライバーは、ホテルはすぐにわかってくれた。

それはいいのだが、助手席には“”がいるじゃないか。
それもプードルとか、コッカースパニエルとかの、
しっぽを振って、寄ってくる犬ではない。
番犬だ。黄色で、かなり大きい。
愛玩用ではない。

犬にとまどっていると、
「これは、私の“友だち”だ」
と、タクシー・ドライバーが言った。

タクシー・ドライバーは、おとなしそうだ。
それに、体が細い。60歳くらいだろうか。

フランスにも、タクシーを襲う悪いヤツがいるんだろう?
見るからに、ひ弱そうなドライバーだから、
護衛が要るのだろう?

とっさのときには、
「噛みつけ!」
と、お友だちに命令するのだろう?

お友だちは、頭を上げて後部座席の私を見ている。
――飛びかかってこないだろうな?
身構えていると、お友だちは、やがて、
元のようにあごを足の上に乗せて、うずくまった。

助手席は乗客の席ではない、お友だちの席である。
助手席の床には、お友だちの弁当とドライバーの弁当が置いてある。
ということは、お友だちはドライバーと1日中行動を共にしている。
おとなしそうなドライバーを、お友だちが護衛している。

ドライバーが知っている日本語は、
「ゲイシャ・ガール」
「スモウレスラー、ウルフ」
フランスでは、スモウ放送がある。
千代の富士はウルフ(オオカミ)と呼ばれて、
フランス人に人気があった。

ホテルに着くと、
ドライバーは左側と右側に数字が並んでいる料金表を見せて、
メーターの表示を指さしながら、フランス語で説明している。

ドライバーのフランス語を、
「左側はメーターの料金、右側はサービス料を含んだ料金」
つまり、チップ込みの料金と理解した。

あとでこれが間違いであることがわかるが、
右側の料金は、左側のメーターの料金と比べて、
15%ほど高くなっている。

「チップ込みのサービス料15%を含んだ料金だろう?」
面倒くさいチップの計算をしなくてもいいように、
チップ込みの料金表を用意してあるのだ。
これはチップをいくらにしようか?
と、いつも惑う日本人には便利だ。

「わかった、メルスィ・ボークー(ありがとう)」
と、チップ込みの右側の料金を払って、
「オ・ルヴァール(さようなら)」
までつけ加えて、タクシーを出た。

ドライバーはキョトンとして、ホテルに入る私を見送っていたな。
このキョトンが気になって、翌日、フランス人に料金表のことを話すと、
「タクシー料金が改正されたばかりだ」
と言う。

「メーターは、すぐには新料金に改造することができない」
「それだから、新しい料金に換算する料金表を用意してある」
「左側はメーターの料金、右側はメーターに対応した新料金だ」
と、説明してくれた。

右側は、チップ込みの料金ではなかったのだ。
おやぁ、まあー、チップを払わなかったことになる。

お友達も、悪いヤツは撃退できても、
チップを払わなかった人への対応はむずかしい。

「私のフランス語は、まったくダメでした。
チップを払いませんでした、すみません」
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マネジャーあての手紙

2010-03-06 00:06:56 | Weblog
タクシー・ドライバーは、の代表者。
旅が楽しくなったり、とんでもないことがおきる。
街の印象が良くなったり、悪くなったりする。

19) マネジャーあての手紙
ホテルで、部屋を出るときには、貴重品は、
セキュリティ・ボックスに入れておくことにしている。

ホテルのヘルス・クラブを使用したが、
パスポート、航空券、財布、時計を、
セキュリティ・ボックスに入れて、
出かけたから、よかったものの、
鍵のかからない机の引出しや、まして、
机の上に置いたことを考えると、ぞっとする。

ルーム・キーには部屋番号は書いてないから、
万が一、落としても、部屋はわからないが、
ヘルス・クラブの利用者リストには、部屋番号を記入した。

ルーム・キーを受け取ったヘルス・クラブのお兄さんは、
「ルーム・キーは受け取っていない……」
と、シラを切った。
ルーム・キーは行方不明になったわけだ。

プールでのんびりと、泳いでいたから、
行方不明のルーム・キーで部屋に侵入して、
貴重品を盗られる時間は、たっぷりとあった。

しかし、思い出しても、不愉快だ!
あずけたルーム・キーが行方不明になるとは、
あってはならないことだ。ましてや、5つ☆ホテルだ。

机の中から、ホテルの便箋を取り出した。
そして、マネジャーあてに手紙を書いた。
夜、おそくまでかかった。


マネジャーへ。
貴ホテルのセキュリティには、問題があります。
きのうの夕方、プールを使いました。
ヘルス・クラブの受けつけで、
Dは、ルーム・キーを要求しました。
それで、ルーム・キーをDにあずけました。

フィンランドのホテルで、
サウナ・バスを使用するときに、
ルーム・キーをあずけたのと同じやりかたでした。
フィンランドでは、サウナ・バスの使用が終わると、
ルーム・キーを返してくれました。

ところが、貴ホテルの場合は、プールの使用が終わっても、
Dはルーム・キーを返してくれませんでした。
「ルーム・キーを受け取っていない」
と、ただ、言い張るだけでした。

あずけたルーム・キーは行方不明になりました。
貴ホテルのセキュリティの問題として、
改善しなければなりません。

貴ホテルのセキュリティには、問題がありますが、
フロント・マンのすばやい対応は満足できるものでした。
新しいルーム・キーをすぐに発行し、
古いルーム・キーは無効にしてくれました。

部屋に残した貴重品ほかは、
セキュリティ・ボックスの中でしたので、
幸いなことに、無事でした。

同じようなセキュリティの問題が起きたり、
不愉快なことが起こらないことを望んでいます。
敬具、○○。部屋番号19XX。


手紙をホテルの封筒に入れて、
翌朝、フロント・マンに手渡した。
きのうのフロント・マンではなかった。
はたして、効果はあるのだろうか?

リスボンでの仕事を終え、ホテルに戻った。
ヘルス・クラブの営業時間は、すでに過ぎていた。

今朝、マネジャーあてに、手紙を渡したが、
きょうのところは、なにも反応がない。
部屋にメッセージもない。
マネジャーに渡っているとは思うが?

この世の「エデンの園」、シントラの街。

リスボン郊外。

つぎの朝、ホテルをチェック・アウトするときに、
請求書を見た……ヘルス・クラブの使用料は?
どこにも書いてない。部屋代と朝食代だけが書いてある。

ヘルス・クラブのお兄さんDが、
「料金はXエスクードです」
と言い、
部屋にチャージすることにしたプール代が、
どこにも書いてない。

客に不愉快な思いをさせたことへの“おわび”だろう。
まけてくれたのだ。


日本とポルトガルとは、
種子島銃やパン、カステラの仲だ。
それに、ブラジルでは移民のポルトガル人と日本人が、
仲良く暮らしているじゃないか。

日本語の“ありがとう”は、ポルトガル語からきている。
“Obrigadoオブリガード”

タクシーにも、ホテルにも、心から、
ありがとうObrigado”と、言えるように、
そして、ポートワインを、うまく飲めるようにしてくれ。
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行方不明になったルーム・キー

2010-03-03 03:03:03 | Weblog
タクシー・ドライバーは、の代表者。
旅が楽しくなったり、とんでもないことがおきる。
街の印象が良くなったり、悪くなったりする。

18) 行方不明になったルーム・キー
ホテルの部屋に入って、真っ先にすることがある。
それは、セキュリティ・ボックスに、貴重品を入れること。
それで、パスポート、航空券、財布をセキュリティ・ボックスにしまった。

リスボン市街のホテルの部屋は19階だった。
街並みを望むタウン・ビューがある。
その先には、テージョ川にかかる橋や、
巨大なキリスト像が見える。
いい眺めだ。


リスボン市街。先は、大西洋にそそぐテージョ川。

真下には、水を青々とたたえたホテルのプールがある。
リスボンの6月は、夕方でも空気は生暖かい。
夕陽を浴びながら、チェアに寝そべっている数人、
のんびりと泳ぐ2~3人がいる。


ボッタクリのタクシー・ドライバーにあって、
イヤな思いをしている。
「この時間帯は、市街までは渋滞になる」と、遠回りをし、
「日本では、サッカーは人気があるか?」と、日本人であることを確かめ、
「道がわからなくなった」と、ほかのタクシー・ドライバーに聞き、
「リスボンには数100ものホテルがあるから、覚えきれない」と、言い訳をした。

プールで泳いで、さっぱりしよう。
それに、旅の疲れもとって、あしたに備えよう。

ヘルス・クラブへ行った。
もちろん、ルーム・キーを持って。
ルーム・キーはクレジット・カードと同じサイズで、
裏には磁気テープがある。
部屋に入るときには、ルーム・キーを、
読み取り装置にスライドさせると、鍵は開く。

ルーム・キーには、部屋の番号はどこにも書いてない。
たとえ、落としても、部屋番号はわからないようになっている。

ヘルス・クラブのカウターには30歳代のお兄さんがいて、
「料金は×エスクード(1,000円)です」
と、受けつけをしていた。
現金を持って出てきていないから、
プール代を部屋にチャージすることにした。

「台帳に部屋番号と名前を記入してください」
と、言われて記入した。
すでに、何人かの記入があって、一番下に書く。
記帳が終わると、ロッカー・キーを渡された。

「ルーム・キーをあずかります」
と、お兄さんは言う。

ホテルの客であることは、記帳した部屋番号で明らかになったわけだが。
さらに、ホテルの客であることの証(あかし)として、
客だけが持っているルーム・キーをあずかる、
と、言うのだ。

プールからあがるときに、ルーム・キーを返してくれるだろう。
フィンランドのホテルで、最上階のサウナ・バスを使用するときに、
ルーム・キーをあずけた。そして、あがるときには返してくれたから。

お兄さんから、ロッカーのキー、
それに、タオルとバス・タオルを受け取り、
ロッカー・ルームで、水着に着替えてプールへ。

ポルトガルの夕陽を浴びながら、
プールでのんびりと泳ぐのはいいものだ。
タクシー・ドライバーからボッタクリされて、
ムシャクシャした気分もおさまってきた。

ひと泳ぎして、さっぱりしてから、
ロッカー・ルームでシャワーを浴びて、着替え、
ヘルス・クラブのカウターにもどった。

カウターには、さきほど受けつけしたお兄さんはいない。
60歳代のおばさんがいて、ロッカー・キーを返すと、
“Thank you.”
と、受け取った。

これだけ……これでおしまい。
「ルーム・キーを返してください」
と、言うと、
「……? ルーム・キーはありません」
と、おばさんは、不思議な顔をしている。

「ロッカー・キーと交換にあずけた、ルーム・キーを返してください」
「………?」
おばさんは、キョトンとしている。

「ルーム・キーを、お兄さんに渡しました」
「…………?」
おばさんは、意味がわからないようだ。

「ルーム・キーをあずかったお兄さんを呼んでください」
おばさんは、ウロウロして、
お兄さんを探しにカウンターから出た。

しばらくすると、お兄さんを探し出してきた。
どこかで清掃をしていたのだろう?
モップを手にしたお兄さんは、
「ルーム・キーは受け取っていない……」
「まったく知らない……」
と、シラを切った。

おばさんは、2人の成り行きを、ジーっと見ている。
ヘルス・クラブでは、
ルーム・キーをあずかることには、
なっていないことがわかった。

このままでは、らちがゆかない。
「あなたのお名前は?」
と、お兄さんに聞いた。
「……Dです」
と、応えた。

念のために、
「名前を、紙に書いてください」
と、言うと、お兄さんは、Dと書いた。

これからすることは、ヘルス・クラブから、
フロントに電話することである。
ここから離れてはいけない。

「フロントに、あなたの名前を出してもいいですか?」
「いいですよ」
と、言うDの目の前で、
ヘルス・クラブの電話から、ホテルのフロントにつなげた。

「ヘルス・クラブのDに、ルーム・キーをあずけたが、返してくれない」
と、フロントに言うと、
「すぐにフロントへ来てください、新しいルーム・キーを発行しますから」

フロントへ行くと、フロント・マンの対応は早い。
新しいルーム・キーをすぐに発行してくれた。
そして、
「古いルーム・キーは無効ですから」
と、言う。

それにしても、フロント・マンの対応は早かった。
同じことが、起きているのだろうか?
Dは、ちょくちょくと、やるのだろか。

新しいルーム・キーを受け取って、すぐに部屋にもどった。
そして、セキュリティ・ボックスの中を調べた。
パスポート、航空券、財布は……あった!
ホッとした。

振り返ると、セキュリティ・ボックスに、
貴重品を入れておいたから、よかったものの、
鍵のかからない机の引出しや、まして、
机の上に置いたことを考えると、
ぞっとする。

ホテルの中で、ルーム・キーが行方不明になるとは、
あってはならないことだ。ましてや、5つ☆ホテルだ。
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