季節の変化

活動の状況

オランダの通知表

2009-06-24 08:06:55 | Weblog
“世界の表彰・評価”から、“指標”を定めて、“数値”で、
日本の通知表”をみたが、同じ指標で、
オランダの通知表”は、どうなるだろうか?

「季節の変化」で“世界の通知表”をみていると、
いろいろな項目に、頻繁に出てくる国がある……オランダである。

1)「ノーベル賞の受賞に必要な人数」で、オランダは7位、
2)「PISA2006 15歳の知識と技能」で、オランダは7位、
3)「世界会議が開催される都市」で、首都アムステルダムは8位、
4)「世界競争力年鑑2009年World Competitiveness Yearbook2009」で、
オランダは10位である。

木靴と陶器。オランダの思いで。


1)「ノーベル賞の受賞に必要な人数」

1人のノーベル賞の受賞に必要な人数は、オランダは7位の130万人、
日本は20位で、1,060万人である。

2)「PISA2006 15歳の知識と技能」

PISA2006で、オランダは7位、日本は10位である。
推移を見ると、オランダは安定した7位、日本は下降気味の10位である。

木靴作り。

作業を撮らしてくれた。マルケン島。

3)「世界会議が開催される都市」

世界会議が開催される都市で、アムステルダムは8位、東京は33位である。
アムステルダムは、10位以内を維持しているが、東京は下降気味である。

4)「世界競争力年鑑2009年World Competitiveness Yearbook2009」

世界競争力で、オランダは10位、日本は17位である。

世界競争力の推移をみる。

調査が始まった1989年から、オランダは、10位近辺であるが、
日本は1位から下がって、2002年には30台まで落ち込み、
2009年は上がってきている。

アムステルダムの運河。

商業で得た富みか? 金融か? りっぱな家がならぶ街。

オランダは、
「ノーベル賞の受賞に必要な人数」は、世界のトップ・レベル、
「PISA2006 15歳の知識と技能」も、トップ・レベル、
「世界会議が開催される都市」も、トップ・レベル、
「世界競争力年鑑2009年World Competitiveness Yearbook2009」でも、
トップ・レベルである。その“オランダの通知表”をみたい。

ランク…AA=3位以内 A=10位以内 B=20位以内 C=30位以内 D=40位以内。
1)創造力: ノーベル賞の受賞者13人は7位→ランクA。
2)芸術力: カンヌ映画祭でパルム・ドール受賞作品0→ランクF。
3)学力:  PISA2006の15歳の知識と技能は7位→ランクA。
4)文化力: 文化遺産は7で24位→ランクC。
5)運動力:  サッカーのランキングは2位→ランクAA。
 陸上競技世界記録は2で12位→ランクB。
6)経済力: 国民総生産は16位→ランクB。
7)援助力: 政府開発援助は6位→ランクA。
8)総合力: ランクB。


オランダのレーダーチャート(2009年6月)。

[総合評価]
“芸術力”が、総合芸術であるカンヌ映画祭のパルム・ドール受賞で、
評価されているから、いびつなレーダーチャートになっているが、
芸術力以外の項目は、トップ・レベルか、それに近い。

“創造力”のノーベル賞受賞者は13人で、7位である。
オランダの人口は1,690万人で、日本の7分の1であることを、
考えると、りっぱである。
オランダの人口が、日本と同じならば、ノーベル賞受賞者は98人になる。

“学力”のPISA2006の15歳の知識と技能は7位である。
国際電気通信連合(ITU)が、100人当たりのインターネット利用者数を、
公表している(2007年)。
PISAとインターネット利用者数の関係をみる。

オランダは、インターネットの利用者数が、100人あたり84.00人で、
ほかの国が70人前後であるから、オランダは飛びぬけて多い。
ノーベル賞の受賞が多い国は、概して、インターネットの利用者数が多い。

“運動力”のサッカーのFIFAのランキングは、2位で、1位スペインに次ぐ。
3位ドイツ、4位イタリア、5位ブラジルが続く。
ワールド・カップで、1位スペイン、2位オランダが、優勝していないのが、
不思議である。

さて、“芸術力”だが、オランダには“天才事典”に載るような画家の宝庫、
であることに、触れなければならない。

フェルメールの「牛乳を注ぐ女」は、アムステルダム国立美術館にある。


「牛乳を注ぐ女」。

フラッシュなし、ならば撮ることができた。
自分美術館のコレクションとして、大事にしている。

フェルメールは、日本でも人気で、「牛乳を注ぐ女」は、
国立新美術館にやってきて(2007年)、再会できた。

レンブラントの「夜警」は、アムステルダム国立美術館の目玉である。
「夜警」は、火縄銃手組合からの依頼で、これまでのお客の王や教会から、
個人に代わってきた。
ほかに、アムステルダムの織物商組合の見本調査官たちからも、
依頼を受けて、グループの肖像画を描いている。

レンブラントは、自画像を多く描いているが、
「私に肖像画を注文すれば、こんなに、うまく描きますよ」
と、カタログ代わりに描いた? ことを想像してみた。

ベルギーで活躍したブリューゲルは、オランダ生まれといわれている。
「雪中の狩人」や「農民の踊り」は、オーストリアにある。
フランドル派の日常生活を再現する絵は、お客が資産家に代わった。

同じく、ベルギーのブルージュで活躍したヤン・ファン・エイクは、オランダ生まれ。
ブルージュやゲントに作品があるが、ロンドンのナショナル・ギャラリーで、
「アルノルフィーニ夫婦」を、みることができた。

これまでのパトロンは王や教会で、王の権威を示す肖像画だったり、
布教に使う宗教画だったが、資産家が富を誇示するようになった。

ゴッホ美術館は、アムステルダム国立美術館のすぐ近くにある。
世界にあるゴッホの作品を一堂に集めた企画展を見たが、堪能した。
ゴッホは、日本の浮世絵の影響を受けて、題材にしている。
歌川広重の「亀戸梅屋敷」を描いていた。

はね橋。アムステルダム。

ゴッホの絵にでてくる、はね橋とは、どんなものか? 見たかった。
ゴッホは、南フランスのアルルのはね橋を描いた。が、今はない。
はね橋は、アムステルダムで見ることができる。
船が通るときに、運河にかかる橋が“ハ”の字に上がる。
船の通過はなく、観光用に保存されているようだ(1978年)。
その後、マルケン島、デルフトの街の東門でも見た。
いずれも、機能はしていなかった。

日本とオランダの交流は長くて、1609年に交易を開始して、
2009年は、通商400年になる。
長崎の出島を窓口として、交易をし、西洋を学んだが、
面積の大きい“日本の通知表”は、オランダに恩返しができたようだ。


フェルメールが生まれたデルフトの街の東門とはね橋。
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ベルギーの通知表

2009-06-21 09:30:50 | Weblog
“世界の表彰・評価”から、“指標”を定めて、“数値”で、
日本の通知表”をみたが、同じ指標で、
ベルギーの通知表”は、どうなるだろうか?

ベルギーの首都ブリュッセルは、世界会議が開催される都市として、
パリに次ぐ2位であることを、“フランスの通知表”でお伝えした。
世界会議が開催される都市のランキング。


世界会議を開くにあたっては、同時通訳の国際会議場が必要で、
近くにホテルがあり、会議場までの交通の便がよく、安全な街で、
しかも、会議を円滑に運営できるスタッフがいて、
会期が終わったあとでは、観光ができる、ところが選ばれる。

ということは、機能と文化があって、安全で楽しめる都市、
魅力ある都市”ということになる。
2位ブリュッセルは、1位パリに次ぐ、魅力ある都市である。

世界会議を開催する3位はイギリスのロンドン、
4位オーストリアのウィーン、5位はシンガポール、
6位はオーストラリアのシドニーである。

それぞれの都市には、会期が終われば観光があって、
3位ロンドンの観光は、世界遺産ロンドン塔があり、ゴルフ場がある。
4位ウィーンには、世界遺産シェーンブルン宮殿があり、足を延ばせば、
世界遺産ザルツブルク市街、世界遺産ザルツカンマーグート地方がある。
アジアのトップ、5位シンガポールには、マーライオン、エスニック料理がある。
6位シドニーには、世界遺産オペラ・ハウスがあり、足を延ばせば、
世界遺産グレート・バリア・リーフがある。

そして、2位ブリュッセルは、世界遺産の中世の街である。
市庁舎、広場グラン・プラス、囲むようにならぶギルド・ハウスを中心に、
街が広がり、教会、美術館、小便小僧がある。
石畳の広場グラン・プラスは、ブリュッセルのもので、観光客を魅了する。

ブリュッセルから、さらに、足を延ばせば、世界遺産ブルージュ、
ゲント、アントワープがある。
これらも中世の街で、庁舎とギルド・ハウスがならぶ石畳の広場を中心に、
教会や美術館が広がっている。

世界遺産ブルージュの街。

街の中心、マルクト広場にある鐘楼に登れば、中世の街がわかる。
ブリュッセルよりも小さいブルージュで、中世の街を説明する。
マルクト広場の右には州庁舎があり、マルクト広場を囲うように、
ギザギザの三角屋根の、フランドル様式のギルド・ハウスがならぶ。


石畳のマルクト広場の右に州庁舎があり、
正面に三角屋根のギルド・ハウスが見える。
昔のギルド・ハウスは、いまはショップやレストランになっていて、
観光客を待ちうけ、うまい食事を提供する。

ブルージュで活躍したオランダ生まれのヤン・ファン・エイクの、
絵がある美術館があり、運河がある。

ブルージュの運河めぐり。
倉庫は、船から荷物を、積み下ろしできるようになっていた。

港の街ブルージュは、交易によって繁栄していたが、
砂で港が埋まって、交易の機能がなくなった。
繁栄した街は、中世がそのまま止まったようで、世界遺産になっている。

ほかの街、ゲントにも、ヤン・ファン・エイクの絵があり、
アントワープには、大聖堂にリューベンスの絵がある。
これらの、庁舎、広場、ギルド・ハウスを中心に広がる中世の街、
ブルージュ、ゲント、アントワープ、ブリュッセルは、気に入った。

ロンドンから車でオランダや北ドイツを旅するときには、
フェリーでドーバー海峡を渡り、フランスのカレーから北上して、
ベルギーの中世の街ブルージュ、ゲントなどを経由する。
そして、帰りにも、寄っていくことにした。

魅力ある都市ブリュッセル、
世界遺産のブルージュ、
ヤン・ファン・エイクの絵がある教会のゲント、
リューベンスの絵がある大聖堂のアントワープと、
古都、京都や奈良が4つもある“ベルギーの通知表”をみたい。

ランク…AA=3位以内 A=10位以内 B=20位以内 C=30位以内 D=40位以内。
1)創造力: ノーベル賞の受賞者5人は15位→ランクB。
2)芸術力: カンヌ映画祭でパルム・ドール受賞作品2は8位→ランクA。
3)学力:  PISA2006の15歳の知識と技能は13位→ランクB。
4)文化力: 文化遺産は9で17位→ランクB。
5)運動力:  サッカーのランキングは63位→ランクF。
 陸上競技世界記録はない。
6)経済力: 国民総生産は19位→ランクB。
7)援助力: 政府開発援助は14位→ランクB。
8)総合力: ランクB。


ベルギーのレーダーチャート(2009年6月)。

[総合評価]
運動力以外は、世界のトップ・レベルか、それに近いレベルである。
人口が日本の12分の1の1,000万人、国土が日本の12分の1を考えると、
立派なレーダーチャートである。

“創造力”のノーベル賞受賞者は5人で、15位である。
人口をノーベル賞の受賞者数で割った、受賞に必要な人数を求める。


ベルギーは、1人のノーベル賞の受賞に必要な人数は、9位の213万人である。
1位スイス45万人、2位スウェーデン58万人、3位デンマーク62万人、
4位イギリス、5位オーストリア、6位ドイツ、7位オランダ、
8位アメリカに次ぐ。10位フランスが続く。
日本は、20位で1,060万人である。

ベルギーの人口が、日本と同じならば、ノーベル賞受賞者は60人になる。
ベルギーは、名古屋市から1人の受賞者がでていることになる。
日本は、1,060万人で、東京都から1人の受賞者である。

“文化力”の文化遺産は9で17位。
日本の文化遺産は11で15位である。
ベルギーの人口と国土は、日本の12分の1だから、りっぱである。

世界遺産ブルージュ。

運河と鐘楼。

“芸術力”のカンヌ映画祭でパルム・ドール受賞作品2は8位である。
画家リューベンスの「昇架のキリスト」と「降架のキリスト」は、
アントワープの大聖堂の中にある。

アントワープの大聖堂。

日本では人気の「フランダースの犬」には、アントワープの大聖堂がでてくる。
両親を亡くし、お爺さんと暮らす少年ネロは、愛犬パトラッシュと、
アントワープで牛乳を売りながら、偉大なリューベンスのような、
画家になりたい、と夢みていた。そのお爺さんが亡くなり、
応募した絵画展にも落選して、画家の夢を断たれたネロは、
クリスマスの夜に、アントワープの大聖堂へ行き、
偶然に開いていた扉から入り、かねてから見たかった、
「降架のキリスト」を見ることができて、愛犬パトラッシュと昇天する。

アントワープの大聖堂に入ると、リューベンスの、
「昇架のキリスト」、「降架のキリスト」があって、
「ついに、見ることができた!」
と、ネロと重なって、感激することになる。

アントワープのギルド・ハウス。


ベルギーには、機能と文化があって、安全で楽しめる、
魅力ある都市”ブリュッセルがあり、
庁舎、石畳の広場、ギルド・ハウスを中心に広がる中世の街
ブルージュ、ゲント、アントワープがあって、世界の人を引きつける。


夕暮れのブルージュ。
中世の香りがする街で育つと、
芸術が生まれ、ノーベル賞受賞者が生まれる?
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フランスの通知表

2009-06-17 07:23:37 | Weblog
“世界の表彰・評価”から、“指標”を定めて、“数値”で、
日本の通知表”をみたが、同じ指標で、
フランスの通知表”は、どうなるだろうか?

「季節の変化」で、フランスについて、つぎのことをお伝えしてきた。
フランスでは、なにを食べても、どこで食べても、うまい。

エスカルゴ。街角の気軽なレストランで。うまいから写真を撮った。

ワイン・カード”がある。クレジット・カードの大きさで、
ワインの産地と年代の“できばえ”が、ひと目でわかる。

ワインのできばえに等級をつけるというのは、
産地の利害がからむから、むずかしいが、それができたのは、
フランス人が“舌の基準”を持っているから。
ワイン・カードからは、ワインに情熱を注ぎ、育ててきた、
ワイン文化”の薫がしてくる。

パリは、街が美術館で、そこには、世界の一級品、“”であふれている。
それに、“天才事典”があるならば、載る芸術家の作品ばかりである。
オルセー美術館。

前はセーヌ川。

オルセー美術館のテラスから見たルーブル美術館。

2つの美術館は、セーヌ川の対岸にある。
どちらにも、世界の宝があり、天才に会える。
セーヌ川のクルーズ(手前)は、観光客でいっぱいである。

「一生に一度は訪れたい」
と、世界の観光客が集まり、
多くの世界会議が開かれるパリ、
その“フランスの通知表”をみたい。

ランク…AA=3位以内 A=10位以内 B=20位以内 C=30位以内 D=40位以内。
1)創造力: ノーベル賞の受賞者30人は4位→ランクA。
2)芸術力: カンヌ映画祭でパルム・ドール受賞作品11は2位→ランクAA。
3)学力:  PISA2006の15歳の知識と技能は25位→ランクC。
4)文化力: 文化遺産と複合遺産は31で4位→ランクA。
5)運動力: サッカーの優勝は1回で6位→ランクA。
 なお、陸上競技世界記録1人は16位→ランクB。
6)経済力: 国民総生産は6位→ランクA。
7)援助力: 政府開発援助は4位→ランクA。
8)総合力: ランクA。


フランスのレーダーチャート(2009年6月)。

[総合評価]
バランスのとれた、面積の大きいレーダーチャートでる。
“学力”以外は、世界のトップ・レベルである。

“学力”のPISA2006の15歳の知識と技能が25位と、
ほかの指標と比べると、振るわない。
学力の1位はフィンランド、2位は同点の韓国と香港、4位カナダ、
5位台湾、6位ニュージーランド、7位オランダ、8位オーストラリア、
9位ルクセンブルグ、10位日本と続く。

しかし、つぎの創造力、芸術力、文化力があって、
魅力ある国”となっている。
“創造力”のノーベル賞の受賞者が30人の4位である。
1位アメリカ232人、2位イギリス75人、3位ドイツ68人に次ぐ。
5位スイス17人、6位スウェーデン16人、7位オランダとロシアの13人、
9位日本12人、10位オーストリアとデンマークの9人が続く。

1人のノーベル賞の受賞に必要な人数は、217万人で、
名古屋市から、1人の受賞者がでていることになる。
日本は、1,060万人で、東京都から1人の受賞者である。

“芸術力”のカンヌ映画祭のパルム・ドール受賞作品が11の2位と、
すばらしい。1位アメリカの16に次ぐ。同じく2位にイタリア11、
4位イギリス10、5位日本4、6位スウェーデン、デンマークの3、
8位ドイツ、ロシア、ベルギーの2が続く。
日本は、5位で4である。

カルーゼル凱旋門。


“文化力”の文化遺産と複合遺産は31で4位である。
1位イタリア42、2位スペイン37、3位ドイツ32に次ぐ。
5位中国30、6位メキシコ25、7位イギリス23、
8位インド22、9位ギリシャ17、10位ロシア15が続く。
日本は11件で15位である。

フランスが、芸術力があり、文化力があって、
「世界の人があこがれて、やってくる国」
魅力ある国になっているが、このことは、つぎでもわかる。
世界会議”が開催される都市のランキング、
世界からやってくる“旅行者”のランキング。

世界会議”が開催される都市のランキングは、
国際観光振興会(JNTO)コンベンション統計のデータがある。
世界会議が開催される都市のランキングと推移を作成した。

世界会議が開催される都市の1位はパリである。
278回とは、10か月間、国際会議があることになる
2位は、ベルギーの首都、ブリュッセルで、EUの本部がある。
3位ロンドン195、4位ウィーンはオーストリアの首都で、157回、
5位シンガポールはアジアでトップ、124回の開催がある。
6位シドニーは、2000年のオリンピック、シドニー大会が開催され、
その発展ぶりが注目されて、国際会議が121回と急増している。

東京は、1991年には14位(84回)と人気があった。
それが、1996年に24位(64回)、2000年に33位(53回)と、
年ごとに、順位も開催回数も落ちている。

夜のカルーゼル凱旋門。


世界会議を開くとなると、同時通訳できる設備の国際会議場と、
できれば、併設する展示場がほしい。
参加者が宿泊するホテルが、近くに確保できて、
国際会議場まで移動が楽で、しかも、安全な街が望ましい。

それに、会議を円滑に運営する調整能力(コーディネーション)と、
管理能力(マネジメント)を持つ、英語の話せるスタッフが必要になる。

せっかく出かけるのだから、会議が終われば、観光したい。
これが、楽しみなのだが、美術館や劇場、文化遺産を見たい。
あるいは、公園やアミューズメント・パークがあれば、なお楽しい。
もちろん、食事や酒が、うまいこと。

世界会議が開催される都市とは、機能と文化があって、安全で楽しめる、
魅力ある都市”ということになる。
パリは、魅力ある都市のナンバー・ワンである。

凱旋門。

右後方は、エッフェル塔。

フランスは、どのくらい魅力があるのか?
2番目は、フランスを訪れる“旅行者”のランキングでわかる。
世界観光機関UNWTO(United Nations World Tourism Organization)が、
旅行者が訪れる国のデータをオープンしている(2007年)。
その世界観光機関UNWTOから、旅行者の行き先ランキングを作成した。

フランスを訪れる旅行者が、世界一で8,190万人である。
2000年と比べても、1位は変わらない。
2位スペイン5,919万人、3位アメリカ5,599万人、
4位中国5,472万人、5位イタリア4,365万人が続く

中国が5位から4位になり、トルコが8位、マレーシア10位、
日本が33位から27位、と上がってきた。
2000年から2007年の伸び率が75%と大きいのは、日本と中国である。
中国は、シルクーロードほかの世界遺産がたくさんあって、旅行者は、
150万人以上増えて、4位。さらに、3位が射程距離に入った。

日本に来る旅行者は27位、835万人で、
2000年は、33位476万人から大きく伸びた。
これは、小泉元首相の観光立国の政策による。
2010年には、1千万人を目指すが、韓国、中国からの観光客が増えている。
長野県の白馬村には、オーストラリアからの観光客が急増している。
しかし、1位フランスの8,190万人と比べると、9分の1である。

日本から、海外旅行に出かける旅行者は1,730万人(2007年)、
だから、来る旅行者が835万人と比べると、2倍以上、出かける。

夜のエッフェル塔。ホテルの窓から。


世界観光機関UNWTO(United Nations World Tourism Organization)が、
観光収入と支出のデータをオープンしている。
旅行収支を作成した(2007年)。

フランスは、スペイン、アメリカなどとともに、“観光黒字国”である。

日本は、ドイツ、イギリス、韓国、ロシアなどとともに、
海外旅行に出かける人のほうが、日本に来る観光客よりも多いことから、
観光赤字国”である。

特に、ドイツ人は旅行が好きで、世界のどこへ行っても、行き合う。
観光赤字国は、経済状態がいいから、海外旅行に出かけていく国である。

フランスへ行けば、世界の“”と“天才”に触れることができる。
"世界会議”の開催は、“魅力ある国”であることを示している。
機能”と“文化”があって、“安全”で“”しめるのだから。

「一生に一度は、行きたい」
と、世界の観光客は、フランスを目指す。
一度行った人は、「また、行きたい!」と、リピーターになる。
文化の国は、あこがれを生み、そして、尊敬につながる。


夜の凱旋門。
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香港の通知表

2009-06-14 09:05:55 | Weblog
“世界の表彰・評価”から、“指標”を定めて、“数値”で、
日本の通知表”をみたが、同じ指標で、
香港の通知表”は、どうなるだろうか?

スイスの調査会社、IMDスイスが発行する、
世界競争力年鑑」World Competitiveness Yearbookでは、
香港の評価が高いことを、“スイスの通知表”で、お伝えした。

香港は総合2位で、1位のアメリカに次ぐ。
3位シンガポール、4位スイス、5位デンマーク、6位スウェーデン、
7位オーストラリア、8位カナダ、9位フィンランド、10位オランダが続く。
日本は17位である。

クライテリアでみる香港は、経済の実績が57か国中、3位、
行政の効率が2位、ビジネスの効率が1位と、すばらしい。

香港島。


競争力ランキングの推移をみる。

香港は、2000年の初めは、10位であった。それが、一桁台になり、
ここ数年はシンガポールと2位争いをしている。

IMDスイスの「世界競争力年鑑」World Competitiveness Yearbookで、
世界2位である“香港の通知表”をみたい。

ランク…AA=3位以内 A=10位以内 B=20位以内 C=30位以内 D=40位以内。
1)創造力: ノーベル賞の受賞者はいない→ランクF。
2)芸術力: カンヌ映画祭でパルム・ドール受賞作品1は11位→ランクB。
3)学力:  PISA2006の15歳の知識と技能は1位→ランクAA。
4)文化力: 文化遺産と複合遺産は0→ランクF。
5)運動力: サッカーのランキングは143位→ランクF。
 陸上競技世界記録はない。
6)経済力: 国民総生産は36位→ランクD。
7)援助力: 政府開発援助はない→ランクF。
8)総合力: ランクA。


香港のレーダーチャート(2009年6月)。

[総合評価]
“学力”のPISA2006の15歳の知識と技能が2位と、すばらしい。
PISAは、義務教育が終わる15歳の生徒の学習到達度を調査するプログラムで、
2000年から始まって、3年ごとに実施している。
読解力、科学、数学の点数が公表されているから、
合計した総合点で、順位の推移をみる。

香港は、PISA2003に初めて参加して、いきなり3位である。

世界のトップ・レベルにあるフィンランド、韓国、香港の、
読解力、数学、科学のPISA2000、2003、2006の推移をみる。


香港は、PISA2003で、読解力が10位、数学が1位、科学が3位だった。
つぎの、PISA2006では、香港は総合で、韓国とともに2位になった。
読解力が3位、数学3位、科学2位である。

PISAの調査でトップ・レベルにあるフィンランド、香港、韓国に、
共通していること……それは、自然資源に恵まれていない、小さな国。
あるのは、“人的資源”だけ。その、
「人的資源を生かさなければ、国の未来はない」
と、教育には力を入れてきた。そして、その成果がでている。
自然資源に恵まれていない小さな国、これは、日本も同じである。

夜の香港島。

“経済力”は、国民総生産GDPが36位である。
香港は、ビジネスと観光で、世界から訪れる人であふれている。
活気のある国際都市”とは、香港のことではないか、と感じる。

香港国際空港は、ジャンボ機が離着陸できる滑走路が2本あり、
アジアのハブ”の座を獲得した。
旅客数と貨物の取扱量で空港の重要性を評価すると、
旅客数”は、シンガポールや成田を抜いてアジアのトップであり、
貨物の取扱量”は世界のトップで、成田、シンガポール、
台北、ソウルを抜いた。

それに、香港国際空港から、オフィス街の香港島までのアクセスがいい。
34キロメートルを高速電車AEL(Airport Express Line)は、23分で結ぶ。
観光客は、香港ディズニーランドで遊び、ショッピングをし、中華料理を味わう。

コンベンション・センターが、中国返還前に香港島にできた。
このコンベンション・センターで、香港返還のセレモニーが行われた(1997年)。
国際会議は、これまで、シンガポールの国際会議場や、
シドニーのコンベンション・エグジビション・センターで開催されていたが、
これで香港でも、国際会議が開けるようになって、世界から人が集まってくる。

ボートの奥、丸屋根がコンベンション・センター。

中国の経済特区では、香港人の進出で、中国経済が急成長している。
香港人による資本の投下、国際都市で鍛え抜かれた商才、国際感覚、
市場経済における経営ノウハウ……を伝授して、中国が発展している。
人口700万人、国土が東京都の半分の香港は、人の叡智でがんばる国である。

香港は、1997年にイギリスの統治から中国に返還された。
国が消滅して、特別行政区となって、共産政権の中国に組み込まれた。
自由主義は残されるとはいえ、“一国二制度One country, Two systems”という、
政治の激変を体験した。

毎年7月1日の返還記念日には、中国の要人が香港に来て記念式典を行うが、
会場のコンベンション・センターの周囲では、香港人の大規模なデモが行われる。
直接選挙を要求し、民主化運動を弾圧した天安門事件の解明を求めている。
自ら求めて返還を望んだわけではない香港人にとって、
経済の発展のために、人権の弾圧や犠牲は受け入れられない。
イギリス時代に根づいた民主化を進めて、一国二制度の統合を根づかせていきたい。

経済的には発展をみた中国は、
人権の犠牲の上に成り立つことは、考えていないと思う。
国際競争力が2位、学力が2位の国際都市、香港は、
中国の発展のため、世界の発展のために、大事な役割を果たしている。


夜の香港島。中央手前はコンベンション・センター。
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スイスの通知表

2009-06-10 07:06:55 | Weblog
“世界の表彰・評価”から、“指標”を定めて、“数値”で、
日本の通知表”をみたが、同じ指標で、
スイスの通知表”は、どうなるだろうか?

スイスのノーベル賞の受賞者数について、“オーストリアの通知表”で、
つぎのことをお伝えした。
人口をノーベル賞の受賞者数で割った、受賞に必要な人数が、
スイスは、世界一少ない。


右端のスイス比は、スイスを1として、受賞者1人に必要な人数を比較した。

マッターホルン(4,478m)。


ノーベル賞の受賞に必要な人数が最少はスイスで、
45万人に1人の割合で、ノーベル賞の受賞者がでている。
2位スウェーデン58万人、3位デンマーク62万人、
4位イギリス83万人、5位オーストリア93万人……が続く。
日本は20位で、1,060万人に1人の割合でノーベル賞受賞者がでている。

1位スイスの45万人は、金沢市から1人の受賞者がでたことになり、
20位日本の1,060万人は、東京都から1人の受賞者がでたことになる。

ノーベル賞の受賞者1人を輩出するのに、世界一少ない人数の、
スイスの通知表”をみたい。

ランク…AA=3位以内 A=10位以内 B=20位以内 C=30位以内 D=40位以内。
1)創造力: ノーベル賞の受賞者17人は5位→ランクA。
2)芸術力: カンヌ映画祭でパルム・ドール受賞作品1は11位→ランクB。
3)学力:  PISA2006の15歳の知識と技能は12位→ランクB。
4)文化力: 文化遺産は6で32位→ランクC。
5)運動力: サッカーのランキングは16位→ランクB。
 陸上競技世界記録はない。
6)経済力: 国民総生産は21位→ランクC。
7)援助力: 政府開発援助は15位→ランクB。
8)総合力: ランクC。


スイスのレーダーチャート(2009年6月)。

[総合評価]
バランスがとれたレーダーチャートである。
“創造力”のノーベル賞の受賞者が17人で5位は、
スイスの人口が757万人であることを考えると、すばらしい。もし、
スイスの人口が、日本と同じならば、23.8倍の286人が、受賞者になる。

“運動力”では、テニス・プレイヤーにロジャー・フェデラーがいる。
全仏オープン(2009年)で、初めて優勝したから、これで、全豪オープン、
ウィンブルドン選手権、全米オープンの4大大会で優勝したことになる。

複数年にまたがって、4大大会を制した“生涯グランドスラム”である。
生涯グランドスラムは、フェデラーを含めて6人で、同じ年度で達成する、
“年間グランドスラム”は、2人だけである(レーバーとバッジ)。

フェデラーの4大大会の優勝は、14回となって、サンプラス(アメリカ)の、
最多記録と並んだ。まだ、27歳であるから、新記録が期待される。

モンテ・ローザ(4,634m)。

ヨーロッパ・アルプスで、モンブラン(4,810m)に次ぐ高い山。

1)経済の実績、
2)行政の効率、
3)ビジネスの効率、
4)インフラストラクチャー、を評価して、
企業にとって、競争力のある環境を持つ国はどこか? の調査がある。
スイスの調査会社IMD Switzerlandが、毎年公表している、
世界競争力年鑑World Competitiveness Yearbookである。

IMDスイスとは、International Institute for Management Development Switzerlandで、
ネッスル社が幹部候補生の教育資材用とした研究を、発展させた調査会社である。

世界の57か国について、上記の4つのクライテリア(評価項目)、
1)経済の実績、2)行政の効率、3)ビジネスの効率、
4)インフラストラクチャー(社会基盤の整備)、を調査・分析をして、
企業にとって競争力のある環境を提供できる国の、ランクづけをしている。

世界競争力年鑑2009年(World Competitiveness Yearbook 2009)で、
総合競争力とクライテリア(2009年)。


スイスは、総合競争力4位である。
行政の効率が3位、ビジネスの効率が3位、
インフラストラクチャーが4位と、すばらしい。
日本は、17位である。中でも行政の効率が40位と、かんばしくない。

アジアは、香港2位、シンガポール3位が、高い位置にいる。
日本17位、マレーシア18位、中国20位、台湾23位、
タイ26位、インド30位、韓国31位が続く。

世界競争力年鑑2003年を購入すると、
日本強い項目と弱い項目は、つぎのように記されている。
1)経済の実績
強い項目: 経常収支が、30ヶ国中1位。
弱い項目: 経済の回復力が弱く、30ヶ国中29位。
2)行政の効率
強い項目: 金および外貨の保有高が、30ヶ国中1位。
中等教育への進学率が高く、49ヶ国中1位。
弱い項目: 移民規制が外国人労働者を締め出している、49ヶ国中49位。
公共事業には海外からの入札が十分に開かれていない、
30ヶ国中28位。
大学教育が産業の発展とはかけ離れていて、49ヶ国中49位。
3)ビジネスの効率
強い項目: 株式市場での株式発行高が多く、49ヶ国中2位。
弱い項目: 経済界に起業家意識が低い、49ヶ国中49位。
株主の権利と責任が明確ではなく、49ヶ国中49位。
株主の有用性が十分に活用されず、49ヶ国中49位。
会社の設立がまれで、49ヶ国中48位。
年長の管理者は国際経験が乏しく、49ヶ国中48位。
4)インフラストラクチャー
強い項目: 特許の登録件数が多く、49ヶ国中1位。
企業内の研究開発者が多く、49ヶ国中1位。
国内の研究開発者が多く、49ヶ国中1位。
資本金に対する研究開発費への投資が多く、49ヶ国中1位。
人の寿命が長く、49ヶ国中1位。
弱い項目: 文化が閉鎖的で外国の考えを受け入れず、49ヶ国中49位。
産業用の電気代が高く、49ヶ国中49位。
社員に柔軟性や適合性が低く、49ヶ国中46位、
若者が科学や技術に興味を示さず、49ヶ国中46位。

日本の強いところ、弱いところを、世界のランキングでずばりと指摘しているが、
まとめると、日本の強いところは、
“経常収支”が黒字、
“金を含む保有高”が多く
“中等教育への進学率”が高く、
“株式市場での株式発行高”が多く、
“特許の登録件数”が多く、
“研究開発者”が企業に多く、
“研究開発者”が国に多く、
“研究開発費への投資”が盛んで、
“人の寿命”が長い国、となる。

一方で、日本の弱いところは、
“経済の回復力”が弱く、
“移民規制”が外国人労働者を締め出し、
“公共事業”の入札は、外国にオープンではなく、
“大学教育”は、産業の発展とはかけ離れ、
“起業家意識”が経済界に乏しく、
“株主の権利と責任”が不明確で、
“株主”が十分に生かされず、
“会社の設立”がまれで、
“年長の管理者”は国際経験に乏しく、
“文化”が閉鎖的で、外国の考えを受け入れず、
“産業用の電気代”が高く、
“柔軟性や適合性”が低い社員で、
“科学や技術”に若者が興味を持っていない国、となる。

2003年の指摘であるが、その後、改善されている項目もあれば、
指摘通りのままの項目もあるが、日本をちゃんと表している。

ブライトホーン(4,160m)。


世界競争力年鑑World Competitiveness Yearbookによる、
競争力ランキングの最近5年間の推移はつぎになる。


2009年の特徴は、2008年に比べると、
経済不況にもかかわらず、アメリカが2009年も1位を維持している。
ルクセンブルグ5位から12位へ、アイルランド12位から19位へ、
台湾が13位から23位へと、大きく順位を落としている。
一方、日本は、22位から17位と、大きく順位を上げている。

アメリカは、調査を開始した1989年は、
1位日本、2位スイスに次ぐ3位だった。
1994年から1位になって、維持している。

スイスは、過去5年、順位を上げて、4位である。
調査を開始した1989年、スイスは2位であった。それから、
2001年の10位が最下位で、その後は、上昇して一桁台を保っている。

日本は、調査を開始した1989年は、なんと1位だった。
それから、低落傾向で、2002年には30台まで落ち込んだ。
2009年は17位と上がってきて、低落傾向に歯止めがかかり始めた?

スイスは、
1)経済の実績、
2)行政の効率、
3)ビジネスの効率、
4)インフラストラクチャー、を調査した、
IMDの“世界競争力年鑑”では、世界のトップ・レベルにあり、
1)創造力、
2)芸術力、
3)学力、
4)文化力、
5)運動力、
6)経済力、
7)援助力、
8)総合力、を調査した、
スイスの通知表”では、バランスのとれたレーダーチャートになっている。


リスカム(4,527m)とゴルナー氷河。
こうゆう景色を見ながら育つと、ノーベル賞受賞者が生まれる?
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オーストリアの通知表

2009-06-07 07:55:06 | Weblog
“世界の表彰・評価”から、“指標”を定めて、“数値”で、
日本の通知表”をみたが、同じ指標で、
オーストリアの通知表”は、どうなるだろうか?

オーストリアは、天才の国、文化の国、そして観光の国である。
観光地として、氷河を抱く山と湖のザルツカンマーグートがある。
ザルツカンマーグートはザルツブルクの東に広がり、ともに、
映画“サウンド・オブ・ミュージック”を撮影した場所である。
世界遺産の美しい街ハルシュタットは、湖のほとりにある。
ザルツカンマーグートは保養地であり、岩塩抗があり、
そして、モーツアルトにゆかりの町もある。

モーツアルトにゆかりの町はザンクト・ギルゲンである。
モーツアルトの母の生家があって、モーツアルトの姉も住んだ。
モーツアルトはザルツブルクで育ち、ウィーンに出ているから、
ザンクト・ギルゲンには、来たことはないが、
ザンクト・ギルゲンの町役場の広場には、
バイオリンを弾(ひ)く少年のモーツアルト像がある。

ザンクト・ギルゲンの町役場。
モーツアルトの像は、ちょうど、左の窓と重なっているので、
場所を変えて撮った。


日本は、オーストリアと1869年に修好通商条約を結んで、
2009年は、“修好140周年”になる。
この通商条約は、日本に不利な不平等条約で、オーストリアに治外法権を認め、
日本には関税を決める権利がなかった。ほかの列強国も、最恵国待遇といって、
オーストリアと同じ恩恵が盛り込まれた通商条約を日本とつぎつぎに結んだ。

修好通商条約を結んでから4年後に、ウィーン万博が開催された。
1873年のウィーン万博から、日本は公式に参加した。

ロンドン、ニューヨーク、パリと万博が開催されてきて、ウィーンとしても、
万博は近代都市に追いついたことを、世界に知らせるいい機会だった。
これまでのウィーンは、オスマントルコの攻撃を防ぐ、城郭都市で、
城と空堀があったが、外側の空堀を埋め、都市計画で近代都市に変身した。

フランツ・ヨーゼフ皇帝から、ウィーン万博の招待状が届いた日本は、
近代国家であることを世界に示すチャンスとして参加した。
そして、不平等条約を修正したかった。

海外使節団の岩倉具視(ともみ)がウィーン万博を訪れて、大歓迎されている。
不平等条約の修正は実現しなかった。が、日本の万博は好評で、
メダル(200コ)、特別賞(5つ)を獲得した(アメリカは1つ)。

陶器や名古屋城の金シャチの展示があり、扇子は人気で売り切れた。
屋外の神社と日本庭園は、万博のオープンには、間に合わなかったが、
はんてん姿の職人による作業の様子が珍しくて、ウィーン人の目を引いた。

万博を機に“神秘的でメルヘンの国”として、“日本ブーム”となって、
“ゲイシャ”、“キモノ”、“浮世絵”は、オペレッタや絵画に取り上げられた。

一方、海外の文化の発展ぶりに、目を見張った日本は、万博後に、
留学生70人をウィーンに送って、医学、地理、ほかを学ばせている。

140年前、近代都市を誇示したかったウィーンと、
閉ざされた国から、近代国家を目指していた日本。
おたがいに刺激を受けた“オーストリアの通知表”をみたい。

ランク…AA=3位以内 A=10位以内 B=20位以内 C=30位以内 D=40位以内。
1)創造力: ノーベル賞の受賞者9人は10位→ランクA。
2)芸術力: カンヌ映画祭でパルム・ドール受賞作品1は11位→ランクB。
3)学力:  PISA2006の15歳の知識と技能は19位→ランクB。
4)文化力: 文化遺産は8で20位→ランクB。
5)運動力: サッカーのランキングは79位→ランクF。
 陸上競技世界記録はない。
6)経済力: 国民総生産は25位→ランクC。
7)援助力: 政府開発援助は18位→ランクB。
8)総合力: ランクC。


オーストリアのレーダーチャート(2009年6月)。

[総合評価]
“運動力”があれば、面積の大きいレーダーチャートになるのだが。
“創造力”のノーベル賞の受賞者が9人で10位は、
人口が836万人で、面積が北海道と同じ大きさを考えると、すばらしい。

人口をノーベル賞の受賞者数で割ってみた。
そうすると、ノーベル賞を受賞するに、何人必要かがわかる。

右端は、スイスを1として、受賞者1人に必要な人口を比較した。

オーストリアは5位で、93万人に1人の割合で、
ノーベル賞受賞者を輩出している。
1位はスイスで、45万人に1人である。
ノーベル賞の国、スウェーデンは2位で58万人に1人である。
スウェーデンは、研究者あたりの研究費が世界一多い。2位は日本。
3位のデンマークは62万人に1人、4位イギリスは83万人に1人である。
日本は20位で、1,060万人に1人の割合でノーベル賞受賞者がでている。

1位スイスの45万人は、金沢市から1人の受賞者がでたことになる。
あるいは、東京都(1,257万人)からは、28人の受賞者がでたことになる。
5位オーストリアの93万人は、千葉市から1人の受賞者がでたことになる。
あるいは、東京都から、14人の受賞者がでたことになる。りっぱだ。
20位日本の1,060万人は、東京都から1人の受賞者がでたことになる。
オーストリアが、日本の人口ならば、11倍の受賞者になるから、りっぱだ。

“芸術力”のカンヌ映画祭のパルム・ドール受賞作品数は1つだが、
多くの天才を生んでいる。
音楽では、モーツアルト、ワルツ王ヨハン・シュトラウス、
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン、絵画では、エゴン・シーレ…。
天才事典”があるならば、載る人たちばかりだ。

モーツアルトの生家。ザルツブルク。

使用したピアノや楽譜があって、撮影が許可されていた(1989年)。

ヨハン・シュトラウスの“美しき青きドナウ”は、
ウィーンフィルのニューイヤー・コンサートで演奏される。
ウィーンフィルの本拠地、楽友協会の“黄金のホール”。
補修中だが、中を見せてくれた。

黄金のホールは、社交界の舞踏会が開かれる場所でもある。

クリムトの“接吻”(部分)。

平凡社の世界名画集(1966年)から。
これは部分だが、全体は1.8メートル×1.8メートルの正方形で、
この正方形は浮世絵の影響である。
クリムトは風景画にも、正方形の絵を描いている。
金箔が使われているのは、俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一の琳派の影響である。

クリムトの接吻は、エゴン・シーレの作品とともに、日本とオーストリアの、
修好140周年の記念行事として、2009年の9月に、高島屋で展示される。

“文化力”は、文化遺産が8は、国土が北海道と同じことを考えると、多い。
これは、ザルツカンマーグートのゴーザウ。

氷河を抱くダッハシュタイン山と、手前はゴーザウ湖。
ゴーザウから、文化遺産ハルシュタットまでは、10キロメートルである。

“サウンド・オブ・ミュージック”に出てくるような丘がゴーザウにある。
丘の展望台は牧場の中で、牛をわきに見て、下のウンチを避けながらの、
山歩きになる。だから、映画のように、両手を広げて歌いながら、
飛び跳ねることは、危険である!

しかし、丘からは、山やふもとの村が見渡せ、のびやかな気分になる。

ザルツブルクは、塩の砦の意味で、岩塩は食事のほかに、経済として重要であった。
これは、バーバリアン岩塩抗で、500年の歴史がある。ザルツブルク。

帽子をかぶり、作業衣を着て、すべり台で地下に、いきなりすべり落ちる。
地底湖ではボートで移動し、岩塩を見て、トロッコで帰ってくる。
トロッコでは、みんな笑みを浮かべている。

さて、日本とオーストリアの修好140周年を迎えた。
通知表をみると、おたがいに大きく発展している。
岩倉具視は、今の日本を見たら、なんと言うだろう?
「近代国家になり、さらに、経済大国に発展している。
それに、面積の大きい日本の通知表は、予想できなかった」
と、びっくりするだろう?

フランツ・ヨーゼフ皇帝が、今の日本を見たら、どんな感想を抱くだろう?
「ウィーン万博(1873年)に招待した時には、日本は閉ざされた国から、
近代国家へ脱皮しようとしていた。それに、売れるものは、
扇子や陶器の工芸製品しか、なかった。それが、
今やIT産業の国、経済大国になっている」

「日本の発展は、ウィーン万博を契機に、留学生を受け入れて、
オーストリアから多くを授けたことが、きっかけになっている」
と、おっしゃっているだろう?

そして、フランツ・ヨーゼフ皇帝は、
「オーストリアは、創造力、芸術力、文化力の国に発展している。
それに、人をなごませる国として、世界を魅了している」
と、満足しておられるだろう。


ウィーン国立オペラハウス。
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アルゼンチンの通知表

2009-06-03 07:25:00 | Weblog
“世界の表彰・評価”から、“指標”を定めて、“数値”で、
日本の通知表”をみたが、同じ指標で、
アルゼンチンの通知表”は、どうなるだろうか?

アルゼンチンの南東に“フォークランド島”がある。
人口2千人、羊毛や漁業で生計を立てている。
このフォークランド島の領有権をめぐって、
アルゼンチンとイギリスが戦争をした。
フォークランド戦争(1982年)である。

「イギリス国民が1人でも助けを求めている限り、世界中どこにでも救助に行く」
時の首相サッチャーが、イギリスから1万3千キロメートルも離れた、
フォークランド島にイギリス軍を派遣した。
原子力潜水艦から魚雷を発射して、アルゼンチンの駆逐艦を沈めた。
2か月間にわたる攻防で、イギリスが勝って、フォークランド島を領有している。

このフォークランド島のことを、アンドレスに聞いてみた。すると、
「“マルヴィナス島Malvinas”といって、アルゼンチン固有の島だ。
フォークランド島Falkland Islandsとは、イギリスの呼び名だ」
と、本来はアルゼンチンの領土だ、と怒っている。

アルゼンチンの地図(外務省のホームページの地図を使って作成した)。

「イギリスがアメリカと結託して、アルゼンチンに戦争をしかけてきたのだ。
マルヴィナス戦争で、アメリカは同盟国であるイギリスを支持して、
アルゼンチンが使用する武器の情報を提供した」
と、形相(ぎょうそう)が険(けわ)しい。
こんなにっている外国の人を、見たことがない。

「“地理的”にも“歴史的”にも、マルヴィナス島はアルゼンチンの領土だ。
地理的には、アルゼンチンから480キロメートルのところにある島だ。
イギリスからは1万3千キロメートルも離れている」
そして、アンドレスは、紙きれをさがして、アルゼンチンの地図を描き始めた。

アンドレスが描いた地図。

「アルゼンチンの本土から、深さ200メートルの大陸棚の範囲に、
マルヴィナス島は含まれるから、国際慣習上アルゼンチンの領土だ」
と、アルゼンチン本土の外側に深さ200メートルの“”を描いて、
マルヴィナス島がその範囲に含まれていることを示した。
そして、“MALVINAS”と書き入れた。

「歴史的には、スペインの植民地であったマルヴィナス島は、
アルゼンチンがスペインから独立した1816年から権益を継承した。
住居、電気、医療などの社会基盤は、これまでアルゼンチンが整備してきた。
イギリスはマルヴィナス島の主権をいったん放棄することにしたのだが、
“鉄の女”サッチャーになってから態度を一変させたのだ」
と、イギリスが、マルヴィナス島を領有していることに、
アンドレスは憤懣(ふんまん)やるかたない。
「今でも、アルゼンチンは、領有権の主張を継続している」
と、つけ加えた。

マルヴィナス島のことを、イギリス人にも聞いてみた。
「フォークランド島の人たちは、われわれイギリス人と姿かたちが似ているよ。
それに、フォークランド島には石油が出るからね、その権益を守りたい。
でも、石油が枯渇する数10年後には、どうなるのかな?
南アメリカにおけるイギリス軍の重要な基地として、残すだろうな」
と、遠く離れたところにある島には、どこか冷めている。
イギリス人にとっては、アイルランド紛争や、中東のイランや、
イラクへの派兵の方が、よほど身近な関心事なのだ。

第二次世界大戦では無傷の戦勝国、そして、マルヴィナス戦争を経験している、
アルゼンチンの通知表”をみたい。

ランク…AA=3位以内 A=10位以内 B=20位以内 C=30位以内 D=40位以内。
1)創造力: ノーベル賞の受賞者3人は16位→ランクB。
2)芸術力: カンヌ映画祭でパルム・ドール受賞作品はない→ランクF。
3)学力:  PISA2006の15歳の知識と技能は52位→ランクF。
4)文化力: 文化遺産は4で50位→ランクE。
5)運動力: サッカーのワールド・カップ優勝2回は4位→ランクA。
 陸上競技世界記録はない。
6)経済力: 国民総生産は30位→ランクC。
7)援助力: 政府開発援助はなし→ランクF。
8)総合力: ランクC。


アルゼンチンのレーダーチャート(2009年6月)。

[総合評価]
“創造力”のノーベル賞の受賞者が3人で、16位はりっぱである。
南米からは、アルゼンチンだけが受賞国になっている。
中米からはメキシコが受賞国で1人受賞している。

“芸術力”のカンヌ映画祭でパルム・ドール受賞作品はないが、
タンゴ・ショウ”がある。

「港湾労働者のつらい境遇とか、去って行ったガールフレンドに呼びかける歌です」
と、タンゴ・ショウを案内してくれたマリアは説明する。
「夢を抱いてアルゼンチンまで移民した。だが、生活はちっとも楽にならない……。
恋人よ、帰って来てくれ! あんなに愛し合ったのに、どうして去ったんだ……」

「イタリア移民の港湾労働者から発生したタンゴは、労働者の悲哀を歌う、
低下層の歌でした。でも、1930年代に優れた作曲家や歌手が登場して、
タンゴが高められて、普及しました」

「タンゴ界の第一人者にカルロス・ガルデルがいました。
フランスからの移民で、歌手として、作曲家として大成功しました。
それで“ガルデルのようになれ!”という言葉が、アルゼンチンにはあります。
“がんばって、成功しよう!”という意味です」


タンゴ発生の地、港(ボカ)にあるカミニート通り。ブエノス・アイレス。
外壁を青、ピンク、橙、黄色と原色が雑多に塗られた2~3階建ての家が連なる。
まるで映画のセットのようで、カラーフルな家並みは100メートルほど続く。
「屋根は、石の代わりにトタンが使われているところもあって、冬は寒く、夏は暑い。
1階は安酒場、上階はベッドで、当時は売春宿であった」
と、アンドレスは言う。
いまでは、みやげものや、アパートメントで、観光名所になっている。

“運動力”のサッカーでは強豪だ。
ワールド・カップでは、2回優勝している。
1978年アルゼンチン大会と、1986年メキシコ大会。

1位はブラジルの優勝5回、2位イタリア4回、3位ドイツ3回に次ぐ。
4位ウルグアイ2回、6位はイギリス、フランスで、ともに1回の優勝。

サッカーでは、国民的な英雄マラドーナがいる。
1986年のワールド・カップ、メキシコ大会は、マラドーナの大活躍で優勝する。
準々決勝で宿敵イングランドと対戦して、マラドーナの“神の手”による、
疑惑の1点”、それと、“華麗な5人抜き”で、2対1で勝った。

神の手とは、0対0で迎えた後半、マラドーナがイングランドの、
ゴールキーパーと、空中で競り合って、ヘッディングでゴールを決めた……
かに見えた。ところが、左手を上げてパンチングをして、ボールをネットに入れた。
イングランドは審判に激しく抗議したが、受け入れられなかった。

華麗な5人抜きとは、神の手から4分後のマラドーナの“ワン・マン・ショー”で、
アルゼンチン陣内から、巧みなドリブルでイングランドのディフェンスを、
つぎつぎと突破して、ゴールにボールを蹴り込んだ。

「1982年のマルヴィナス戦争の“あだ討ち”をしてくれた」
と、アルゼンチンの国民は歓喜して、マラドーナの凱旋を迎えた。
ブエノス・アイレスの名誉市民となり、“サッカーの神様”として、
アルゼンチンの国民的な英雄となっている。

“経済力”では、資源に恵まれた豊かな国だった。
パンパ”という大草原のトウモロコシや小麦、肉牛によって、
経済が大発展して、第二次世界大戦で世界が疲弊したときにも、
戦禍をこうむることがなかったから、巨額の黒字があった。
しかし、アメリカをはじめとした外国資本を国有化する国家社会主義政策を、
とってから、クーデターが起こり、政治、経済の混乱に陥った。

激しいインフレーション、“ハイパー・インフレ”に襲われて、
100万ペソ紙幣”を発行した。それを、
ブエノス・アイレスの骨董店で見つけて、400円で買った。

100万ペソ紙幣。Sampleと入れて撮影した。

1ペソを40円とすると、4千万円の大金持ちになった……わけではない。
「この100万ペソは、現在では流通していない。
それに、当時は4千円ほどの価値だった」
と、アンドレスは言う。

“マルヴィナス戦争”(1982年)は、結局アルゼンチンが敗れた。
国内情勢はますます悪化して、軍事政権は崩壊した。
ロシアの通貨危機(1988年)が中南米に飛び火して、1ペソを1ドルに、
連動させたままの固定相場制のアルゼンチンは、ペソの価値が上がって、
輸出競争力がなくなった。
そして、対外債務の支払い停止を宣言する非常事態に陥った(2001年)。
変動相場制へ移行して(2002年)から、輸出が復活し、観光による収入が、
増えてきた。
2003年からは、経済成長率が毎年8パーセント台と景気が回復している。
“ガルデルのようになれ!”で、成功を目指してがんばる国だ。
アルゼンチンは、南アメリカの政治、経済の中心である。

1982年のマルヴィナス戦争から8年たって、
イギリスとは国交を回復した(1990年)。
「アルゼンチンは、マルヴィナス島の領有権の主張を継続している」
「マラドーナの“華麗な5人抜き”で、イギリスにあだ討ちをした。
アルゼンチンは2回優勝しているが、イギリスは1回だ」
マルヴィナス島の領有権と、ワールド・カップの優勝をめぐって、
アルゼンチンとイギリスとのライバル関係は続く。


ブエノス・アイレスが、スペインからの自治を宣言した大聖堂(1810年5月)。
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