「北斎とジャポニスム」に見るエミール・ガレ。
国立西洋美術館の企画展、「北斎とジャポニスム」。
看板から。開催期間は、2017年10月21日~2018年1月28日。
訪れたのは2017年11月5日。
「北斎とジャポニスム」では、
Ⅲ「北斎と動物」と、Ⅳ「北斎と植物」に注目した。
「北斎漫画」や、浮世絵に描かれた動物や昆虫、植物が、
エミール・ガレのガラス工芸に、大きな影響を与えたことに興味を持った。
「北斎漫画」十三編。1819年。
「魚濫観世音」(ぎょらんかんぜおん)。2017年11月5日。
ミニ図鑑、「北斎とジャポニスム」から。国立西洋美術館発行。
この「魚濫観世音」に、並べて展示されていたのは、
エミール・ガレ、「双耳鉢:鯉」。1878-90年。
ミニ図鑑から、「北斎とジャポニスム」から。
エミール・ガレの作品は、長野県諏訪市の「北澤美術館」にある。
2017年11月10日に訪れた。4度目の訪問になる。
エミール・ガレ、「ひとよ茸ランプ」。1904年頃。
ガラス図録から、北澤美術館。
北澤美術館のシンボル的な作品で、
展示室に入ると、最初に迎えてくれる。
大きい! 高さ83センチ。奇抜なデザインだ。
「ひとよ茸」は、陽が落ちてから傘が開いて、一晩で枯れる茸。
ヨーロッパでは、森の奥深くにある、ジメジメした茸は、
芸術の対象として、採りあげられることはなかった。
エミール・ガレは、
葛飾北斎の浮世絵や北斎漫画を見てから、
題材に変化が生じた。花鳥風月を採り入れるようになった。
それまでは、古代エジプト、中世の貴婦人、神話、妖精…が題材だった。
エミール・ガレ、「ひとよ茸文花瓶」。1900-1904年。
ガラス図録から、北澤美術館。
「ひとよ茸」から、森を見上げている。
「北斎漫画」1~3巻を見ると、
昆虫、動物、鳥、花や植物が描かれている。
永田生慈監修・解説、東京美術刊行。
この「北斎漫画」や、
山口県立萩美術館・浦上記念館の「絵本の世界」を見ると、
昆虫では、トンボや蝶、カタツムリ、バッタ、セミ、キリギリス、蜂、クモ…、
動物や鳥では、カエルやネズミ、ウサギ、ヘビ、トカゲ、
雀、鶏、キジ、カモ、鶴、コウモリ、カラス、ペリカン、ウグイス、
犬、キツネ、ウサギ、猫、イタチ、馬、トラ、蛸、鯛、海老、カレイ…、
花や植物では、あじさいや菊、アサガオ、ハス、藤、ユリ、
牡丹、杜若(かきつばた)、ナス…。
全部では、4,000図ほどあるという。
エミール・ガレは、花鳥風月を題材にする日本美術に、衝撃を受け、
大きな興味を抱いた。日本美術にあこがれる、ジャポニスム。
日本の美意識を、さらに探求し、アール・ヌーヴォーを生んだ。
ガラス工芸、陶器では、エミール・ガレのほかに、ドーム兄弟、
ルイス・コンフォート・ティファニー…がいる。
国立西洋美術館の企画展、「北斎とジャポニスム」と同じ時期に、
北澤美術館では、創設35周年記念、
「ガレのジャポニスム展」、が開催された。
案内板から。開催期間は、2017年4月3日~2018年3月31日。
北澤美術館で、
「北斎漫画」十三編の「魚濫観世音」と、並べて展示されていたのは、
エミール・ガレ、「鯉文双魚形花瓶」。1879-1889年。
ガラス図録から、北澤美術館。
2匹の鯉が向かい合っている花瓶。
奇抜な形状だ。そして、鯉が泳いでいる。
国立西洋美術館の企画展、「北斎とジャポニスム」、
で見た、「北斎漫画」やエミール・ガレのガラス工芸、
北澤美術館の、創設35周年記念、「ガレのジャポニスム展」、
で見た、エミール・ガレのガラス工芸を追ってみる。
葛飾北斎、「和漢絵本魁」。1836年。
ミニ図鑑、「北斎とジャポニスム」から。
エミール・ガレ、「壺:ペリカンとドラゴン」。1889年頃。
ミニ図鑑、「北斎とジャポニスム」から。
怒り、闘うペリカンを採り上げている。
「北斎漫画」初編。1814年。
ミニ図鑑、「北斎とジャポニスム」から。
右上にカエル、右下に蜻蛉(トンボ)と、
エミール・ガレが題材にする昆虫が描いてある。
エミール・ガレ、「蜻蛉にカエル文扁壺」(へんこ)。1888-1890年。
ガラス図録から、北澤美術館。
1889年パリ万国博覧会出品モデル。
左の蜻蛉(トンボ)を、右のカエルが、
「好かれようと気にかける」と、うかがう。
蜻蛉もカエルも、これまでは、花瓶の題材ではなかった。
エミール・ガレ、「蜻蛉文鶴頸扁瓶」(へんびん)。1889年頃。
ガラス図録から、北澤美術館。
1889年パリ万国博覧会出品モデル。
1889年パリ万国博覧会で、エミール・ガレは、
ガラス部門で、グランプリを受賞。
アール・ヌーヴォーの萌芽。
「北斎漫画」二編。1815年。
山口県立萩美術館・浦上記念館から。
エミール・ガレ、「百合文水差」《暗い花》。1893年頃。
ガラス図録から、北澤美術館。
1894年ロレーヌ装飾美術展出品(ナンシー)。
サミュエル・ビング編、「芸術の日本」。
リーフレットから、北澤美術館。
サミュエル・ビングは、ドイツ人でフランスに帰化。
月刊誌「芸術の日本」を出版。1888 -1891年にかけて、
36巻を発行。日本の美術を世界に紹介する。パリで、
ギャラリ―「アール・ヌーヴォー」を開く(1895年)。
エミール・ガレ、「雪中笹に雀図花瓶」。1898年。
リーフレットから、北澤美術館。
雪が積もった笹に、雀が舞う。
植物の笹、雪の自然に、雀を組み合わせている。
エミール・ガレ、「蜻蛉文脚付杯」。1904年。
ガラス図録から、北澤美術館。
なんと大きな蜻蛉なんだ! カップ(杯)を取り囲んでいる。
葛飾北斎、「朝顔に蛙」。1831-1833年頃。
ミニ図鑑、「北斎とジャポニスム」から。
エミール・ガレ、「ランプ:朝顔」。1904年頃。
ミニ図鑑、「北斎とジャポニスム」から。
エミール・ガレは、植物園を作っている。
その際に、植物学者、松村任三(じんぞう)の、
「植物名彙」を参考にし、植生している。
エミール・ガレ、「蘭文八角扁壺」《親愛》(カトレア)。1900年。
ガラス図録から、北澤美術館。
1900年パリ万国博覧会出品モデル。
花弁が盛り上がっているではないか!
飴細工のように、熔着して盛り上げ、
冷めてから、彫り出すという、
アプリカシオンという技法。
エミール・ガレ、脚付杯「フランスの薔薇」。1901年。
ガラス図録から、北澤美術館。
カップ(杯)の形状が船のようだ。そして、
「フランスの薔薇」が盛り上っている。
「フランスの薔薇」とは、「ロサ・ガリカ」。
エミール・ガレは、フランスの北東部、
ロレーヌ地方のナンシーで生まれる。
1870年の普仏戦争で、フランスは敗れて、
ロレーヌ地方は、ドイツに割譲された。
ロレーヌ地方に咲く「ロサ・ガリカ」に、
フランスへの、熱い想いを込めている。
フランスに、乾杯!
国立西洋美術館の「北斎とジャポニスム」と、
北澤美術館の「ガレのジャポニスム展」から、
エミール・ガレは、
北斎漫画や、浮世絵に衝撃を受けて、
日本の芸術、ジャポニスムに傾倒して、
日本の美意識を理解し、さらに追求して、独自の芸術、
アール・ヌーヴォーへと発展させてきている、ことが伝わってきた。
国立西洋美術館の企画展、「北斎とジャポニスム」。
看板から。開催期間は、2017年10月21日~2018年1月28日。
訪れたのは2017年11月5日。
「北斎とジャポニスム」では、
Ⅲ「北斎と動物」と、Ⅳ「北斎と植物」に注目した。
「北斎漫画」や、浮世絵に描かれた動物や昆虫、植物が、
エミール・ガレのガラス工芸に、大きな影響を与えたことに興味を持った。
「北斎漫画」十三編。1819年。
「魚濫観世音」(ぎょらんかんぜおん)。2017年11月5日。
ミニ図鑑、「北斎とジャポニスム」から。国立西洋美術館発行。
この「魚濫観世音」に、並べて展示されていたのは、
エミール・ガレ、「双耳鉢:鯉」。1878-90年。
ミニ図鑑から、「北斎とジャポニスム」から。
エミール・ガレの作品は、長野県諏訪市の「北澤美術館」にある。
2017年11月10日に訪れた。4度目の訪問になる。
エミール・ガレ、「ひとよ茸ランプ」。1904年頃。
ガラス図録から、北澤美術館。
北澤美術館のシンボル的な作品で、
展示室に入ると、最初に迎えてくれる。
大きい! 高さ83センチ。奇抜なデザインだ。
「ひとよ茸」は、陽が落ちてから傘が開いて、一晩で枯れる茸。
ヨーロッパでは、森の奥深くにある、ジメジメした茸は、
芸術の対象として、採りあげられることはなかった。
エミール・ガレは、
葛飾北斎の浮世絵や北斎漫画を見てから、
題材に変化が生じた。花鳥風月を採り入れるようになった。
それまでは、古代エジプト、中世の貴婦人、神話、妖精…が題材だった。
エミール・ガレ、「ひとよ茸文花瓶」。1900-1904年。
ガラス図録から、北澤美術館。
「ひとよ茸」から、森を見上げている。
「北斎漫画」1~3巻を見ると、
昆虫、動物、鳥、花や植物が描かれている。
永田生慈監修・解説、東京美術刊行。
この「北斎漫画」や、
山口県立萩美術館・浦上記念館の「絵本の世界」を見ると、
昆虫では、トンボや蝶、カタツムリ、バッタ、セミ、キリギリス、蜂、クモ…、
動物や鳥では、カエルやネズミ、ウサギ、ヘビ、トカゲ、
雀、鶏、キジ、カモ、鶴、コウモリ、カラス、ペリカン、ウグイス、
犬、キツネ、ウサギ、猫、イタチ、馬、トラ、蛸、鯛、海老、カレイ…、
花や植物では、あじさいや菊、アサガオ、ハス、藤、ユリ、
牡丹、杜若(かきつばた)、ナス…。
全部では、4,000図ほどあるという。
エミール・ガレは、花鳥風月を題材にする日本美術に、衝撃を受け、
大きな興味を抱いた。日本美術にあこがれる、ジャポニスム。
日本の美意識を、さらに探求し、アール・ヌーヴォーを生んだ。
ガラス工芸、陶器では、エミール・ガレのほかに、ドーム兄弟、
ルイス・コンフォート・ティファニー…がいる。
国立西洋美術館の企画展、「北斎とジャポニスム」と同じ時期に、
北澤美術館では、創設35周年記念、
「ガレのジャポニスム展」、が開催された。
案内板から。開催期間は、2017年4月3日~2018年3月31日。
北澤美術館で、
「北斎漫画」十三編の「魚濫観世音」と、並べて展示されていたのは、
エミール・ガレ、「鯉文双魚形花瓶」。1879-1889年。
ガラス図録から、北澤美術館。
2匹の鯉が向かい合っている花瓶。
奇抜な形状だ。そして、鯉が泳いでいる。
国立西洋美術館の企画展、「北斎とジャポニスム」、
で見た、「北斎漫画」やエミール・ガレのガラス工芸、
北澤美術館の、創設35周年記念、「ガレのジャポニスム展」、
で見た、エミール・ガレのガラス工芸を追ってみる。
葛飾北斎、「和漢絵本魁」。1836年。
ミニ図鑑、「北斎とジャポニスム」から。
エミール・ガレ、「壺:ペリカンとドラゴン」。1889年頃。
ミニ図鑑、「北斎とジャポニスム」から。
怒り、闘うペリカンを採り上げている。
「北斎漫画」初編。1814年。
ミニ図鑑、「北斎とジャポニスム」から。
右上にカエル、右下に蜻蛉(トンボ)と、
エミール・ガレが題材にする昆虫が描いてある。
エミール・ガレ、「蜻蛉にカエル文扁壺」(へんこ)。1888-1890年。
ガラス図録から、北澤美術館。
1889年パリ万国博覧会出品モデル。
左の蜻蛉(トンボ)を、右のカエルが、
「好かれようと気にかける」と、うかがう。
蜻蛉もカエルも、これまでは、花瓶の題材ではなかった。
エミール・ガレ、「蜻蛉文鶴頸扁瓶」(へんびん)。1889年頃。
ガラス図録から、北澤美術館。
1889年パリ万国博覧会出品モデル。
1889年パリ万国博覧会で、エミール・ガレは、
ガラス部門で、グランプリを受賞。
アール・ヌーヴォーの萌芽。
「北斎漫画」二編。1815年。
山口県立萩美術館・浦上記念館から。
エミール・ガレ、「百合文水差」《暗い花》。1893年頃。
ガラス図録から、北澤美術館。
1894年ロレーヌ装飾美術展出品(ナンシー)。
サミュエル・ビング編、「芸術の日本」。
リーフレットから、北澤美術館。
サミュエル・ビングは、ドイツ人でフランスに帰化。
月刊誌「芸術の日本」を出版。1888 -1891年にかけて、
36巻を発行。日本の美術を世界に紹介する。パリで、
ギャラリ―「アール・ヌーヴォー」を開く(1895年)。
エミール・ガレ、「雪中笹に雀図花瓶」。1898年。
リーフレットから、北澤美術館。
雪が積もった笹に、雀が舞う。
植物の笹、雪の自然に、雀を組み合わせている。
エミール・ガレ、「蜻蛉文脚付杯」。1904年。
ガラス図録から、北澤美術館。
なんと大きな蜻蛉なんだ! カップ(杯)を取り囲んでいる。
葛飾北斎、「朝顔に蛙」。1831-1833年頃。
ミニ図鑑、「北斎とジャポニスム」から。
エミール・ガレ、「ランプ:朝顔」。1904年頃。
ミニ図鑑、「北斎とジャポニスム」から。
エミール・ガレは、植物園を作っている。
その際に、植物学者、松村任三(じんぞう)の、
「植物名彙」を参考にし、植生している。
エミール・ガレ、「蘭文八角扁壺」《親愛》(カトレア)。1900年。
ガラス図録から、北澤美術館。
1900年パリ万国博覧会出品モデル。
花弁が盛り上がっているではないか!
飴細工のように、熔着して盛り上げ、
冷めてから、彫り出すという、
アプリカシオンという技法。
エミール・ガレ、脚付杯「フランスの薔薇」。1901年。
ガラス図録から、北澤美術館。
カップ(杯)の形状が船のようだ。そして、
「フランスの薔薇」が盛り上っている。
「フランスの薔薇」とは、「ロサ・ガリカ」。
エミール・ガレは、フランスの北東部、
ロレーヌ地方のナンシーで生まれる。
1870年の普仏戦争で、フランスは敗れて、
ロレーヌ地方は、ドイツに割譲された。
ロレーヌ地方に咲く「ロサ・ガリカ」に、
フランスへの、熱い想いを込めている。
フランスに、乾杯!
国立西洋美術館の「北斎とジャポニスム」と、
北澤美術館の「ガレのジャポニスム展」から、
エミール・ガレは、
北斎漫画や、浮世絵に衝撃を受けて、
日本の芸術、ジャポニスムに傾倒して、
日本の美意識を理解し、さらに追求して、独自の芸術、
アール・ヌーヴォーへと発展させてきている、ことが伝わってきた。