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『僕の姉ちゃん』(読書メモ)

益田ミリ『僕の姉ちゃん』幻冬舎文庫

「an・an」に掲載されていた漫画が文庫化されたもの。

30歳のOLの姉ちゃんと、新入社員の弟(僕)は二人暮らし(両親は海外に赴任中)。何ごとにおいても平均的な弟に対し、姉ちゃんはどこか変わっていて独特の空気感を漂わせている。そして、たまに哲学的なことも言ったりする。例えば、「ごみ捨て」というタイトルの回では、次のような会話が(p. 44-45)。

弟:姉ちゃん、明日ゴミの日だけど捨てるもんある?
姉:あるある。がんばりすぎる心(な~んて)

(中略)

弟:「がんばりすぎる心」以外は何かあんの?
姉:そうねえ。「バカにされた悔しさ」とか?

なかなか深い、と思った。



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だれでも、自分の利益ではなく他人の利益を追い求めなさい

だれでも、自分の利益ではなく他人の利益を追い求めなさい
(コリントの信徒への手紙Ⅰ・10章24節)


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自分らしい人生

今日、スポーツジムのランニングマシンでウォーキングしながら、『辰吉家の常識 世間の非常識』(NHK)を観たのだが(どうも再放送らしい)、これがまた凄い番組だった。

47歳の辰吉丈一郎は9年間試合をしていないけれども、なんと現役続行中であり、毎日練習を欠かさない。

スポーツ・ジャーナリストやボクシング雑誌編集長によれば「試合をするのは自殺行為」とのこと。しかし、そんなことはお構いなしにチャンピオンを目指す辰吉さんと、彼を支える妻るみさん。

ちなみに、辰吉さんはろれつが回っておらず「大丈夫?」という感じだったが、そんな彼を大阪弁で叱り飛ばするみさん(かなりの毒舌家)。

ただ、「るみは、ただ居てくれればいい」と語る辰吉さんと、「自分のやりたいことをしている辰吉を見ているのが嬉しい」と言うるみさんを見ていて、実は二人が一心同体であることが伝わってきた。

たぶん辰吉さんは、るみさんがいるからこそ「自分らしく」生きられるのだろう。

自分らしい人生を送るためには、それを支えてくれる人が必要であることがわかった。
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『陸軍中野学校』(映画メモ)

『陸軍中野学校』(1966年、増村保造監督)

戦前のスパイ養成学校である中野学校。陸軍主導で作られたとばかり思っていたが、設立当初は、陸軍内でもその存在は認められておらず、手探りで諜報部員を養成しているのがわかって興味深かった。

陸軍少尉だった三好次郎(市川雷蔵)は、突然スパイになるように言われ戸惑う。しかし、さまざまな訓練を通して、徐々にスパイとして一人前になっていく。その過程が結構怖い。

なぜか?

それは「間化」されていくプロセスだからだ。

三好を探して陸軍に勤めるようになった婚約者までも、「お国のために」冷酷に殺してしまう場面が凄かった。殺人マシーンのように冷たい目になっていく市川雷蔵の演技が上手い。

しかし、この映画を観て感じたのは、「会社のために」「仕事のために」家族を犠牲にしているビジネスパーソンも同じようなものかもしれない、ということ。

組織や仕事にのめり込みすぎると、間化してしまう危険がある、と思った。

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『青い鳥』(読書メモ)

メーテル・リンク(堀口大學訳)『青い鳥』新潮文庫

ノーベル賞作家メーテル・リンクの名作。

貧乏なきこりの家の子供、チルチルとミチルが、妖女の誘いで青い鳥を探す旅に出る。ただ、あまり青い鳥に対する執着はなく、「なんとなく」「ノリ」で旅に出てしまう二人。

「イヌ」「ネコ」「パン」「光」「火」「水」「砂糖」の精たちと一緒に、さまざまな世界を巡るのだが、一番心に響いたのは、幸福の花園を訪れて、幸福の精と語るシーン

チルチル:(困って)ええ、だって、ぼく知らないんです。きみたちに会った覚えがないんだもの
幸福:ね、みんな聞いたかい?きっとそうだと思ったが、ぼくたちに一度も会ったことがないんだってさ。(中略)ぼくたちはいつだってあなたのまわりにいるんですよ。そして、あなたといっしょに食べたり、飲んだり、目をさましたり、息をしたりして暮らしているんですよ。
チルチル:ああ、ああ、そうか。わかったよ。思い出したよ。だけど、ぼく、きみたちの名前が知りたいんだよ。
幸福:ほんとに何も御存知ないんですね。ぼくは「あなたのおうちの幸福」ですよ。ほかのものたちもみんな、あなたのおうちに住んでいる「幸福」ですよ。
チルチル:ぼくのうちにも「幸福」がいるの?

本書を読み、自分のまわりにいる幸福たちに気づいていない自分に気づいた。

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