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『テンペスト』(読書メモ)

シェイクスピア著(松岡和子訳)『テンペスト』ちくま文庫

シェイクスピアが47歳のときに書いた、最後の単独作である。ちなみに、テンペストとは「嵐」の意味らしいが、他の作品とはかなり異なる作風だ。

ミラノの正当な君主であったプロスペローが、弟アントーニオの策略にはまり、娘ミランダとともに孤島に流される。魔法を身につけたプロスペローは、アントーニオと関わる人々を遭難させ、復讐のチャンスを得る。しかし、自分を陥れた人々にリベンジするかと思いきや、あっさりと「赦してしまう」プロスペロー。

このストーリーは、どこか不自然である。なぜ、シェイクスピアはこのような作品を書いたのか?

解説を読むと、この作品が書かれた当時、若い劇作家が台頭していたことから、シェイクスピアは「もう自分の時代は終わった」と思っていたらしい。

「あのシェイクスピアでさえ、そうなるのか?」と驚いた。

本書を読み、歴史に名を刻む文学者も、衰えからは逃れられないのだな、と思った。










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