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ラーニング・ラボ

松尾睦のブログです。書籍、映画ならびに聖書の言葉などについて書いています。

PDCAサイクルと経験学習サイクル

2013年11月05日 | 組織・職場の学習
先日、QC活動が盛んなIT企業のマネジャーの方々とお話する機会があった。そのとき、次のような質問をしてみた。

「PDCAサイクルと経験学習サイクルは、どこが違うと思いますか?」

ご存じの通り、PDCAとはP(計画)→D(実行)→C(評価)→A(改善)であり、経験学習サイクルとは、経験→振り返り→教訓の引き出し→次回への応用である。まったく同じではないが、Dと経験、Cと振り返り、Aと教訓の引き出し、Pと次回への応用が対応する形になっている。

マネジャーさんから返ってきた答えは次の通り。

「PDCAサイクルだと、P(計画)にこだわり過ぎて、振り返りのときに、計画と実績のギャップのみに目がいきがちです。仕事ではさまざまなことが起きていて、いろいろな学びがあるにもかかわらず、それらを無視してしまうことが多いですね」

PDCAの利点は、計画を意識することだが、それゆえに振り返りが浅くなることがある、ということらしい。これは貴重な知見である。

PDCAサイクルと経験学習サイクルをミックスすると職場の学習が促進される、といえるかもしれない。


『魏志倭人伝 他三篇』(読書メモ)

2013年11月01日 | 読書メモ
石原道博編訳『魏志倭人伝 他三篇』岩波文庫

マルコムXが「自分の歴史を勉強しなさい」と薦めていたので、日本史で習った『魏志倭人伝』を読んでみた(もちろん現代語訳)。

本書には『魏志倭人伝』の他に、『後漢書倭伝』『宋書倭国伝』『隋書倭国伝』が収められているが、先進国である中国から見た日本の姿が表現されていて、興味深かった。

総合的な印象としては、今の日本と基本的に同じではないか、ということ。例えば、以下のような記述があった。

「その風俗は淫らではない」(p.80)

「人は、性、酒をたしなむ。多くは長生き、百余歳になる者がはなはだ多い」(p.88)

「人はすこぶるものしずかで、争訟はまれだし、盗賊は少ない」(p.98)

「性質はすなおで雅風がある」(p.99)

「気候は温暖で、草木は冬も青く、土地は肥えうつくしく、水が多く陸が少ない」(p.98)

1000年以上前の記述であるが、今の日本と基本的には変わりないように感じた。

ただ、少し驚いたのは「男子はみな顔や体に入墨し、その文(いれずみ)の左右大小によって、身分の上下を区分する」(p.87-88)という点である。入墨には、害を避ける効果があると信じられていたようだ。今の入墨とはだいぶ違う意味があったらしい。

国の文化というものは、そう簡単に変わるものではない、ということを感じると同時に、日本の文化を守り、大切にしなければならないとも思った。