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『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる/パプワース16、1924年』(読書メモ)

サリンジャー(金原瑞人訳)『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる/パプワース16、1924年』新潮社

サリンジャー最後の作品「パプワース16、1924年」を含む短編9作品が収録された書。このうち最初の6編は『ライ麦畑でつかまえて』の主人公ホールデン・コールフィールドが関係する作品である。

本書を読んで感じたのは、サリンジャーの戦争体験が思いっきり出ているということ。最も感動したのは表題にもなっている「このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる」だ(ちなみに、内容とタイトルはほぼ関係ない)。

主人公はホールデンの兄ヴィンセント。34名の兵隊が乗るトラックの中で、ダンスに行く人選をする軍曹である。ダンスに行けるのは30名だけなので、4名は置いていかなければならない。その調整をしている最中に、戦争で行方不明になった弟ホールデンのことを思い出す

「行方不明、行方不明、行方不明。嘘だ!だまされているんだ。あいつは行方不明になんかなっていない。あいつほど行方不明になりそうにない人間はほかにいないくらいだ。あいつはいま、このトラックに乗っていてもおかしくない。ニューヨークの家にいてもおかしくない。ペンティ・プレップスクールにいるのかもしれない(「どうぞご子息をわが校へ。立派な大人に鍛えあげます―わが校の施設はすべて耐火建築で…」)。そうだ、あいつはペンティ校にいて、まだ卒業していないんだ」(p.87-88)

戦争の恐ろしさが強烈に伝わってくる作品である。

サリンジャーは1942年に陸軍に入隊し、1944年にノルマンディー上陸作戦に参加した経験を持つらしい。

彼の作品は、一見能天気な雰囲気に満ち溢れているが、その根底には「戦争」が存在することがわかった。









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