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日本語脳を活用する

英語はグローバル社会で競争する重要なツールである。日本人しか使わない日本語という言語を使っている私たちは「不利な立場に置かれている」と思うこともあった。しかし、それはどうも違うようだ。

アメリカで教育を受け、プリンストン大学やミシガン大学で日本近代文学を教えてきた水村美苗氏は、次のように語っている。

「日本は数多くの傑作を含め、世界でも稀に見る豊かな文学と歴史を持つ国語があるにもかかわらず、自分が恵まれていることを知らず、世界的視野で日本語を見ていない。だから、国語を大切にしようという問題意識もない。」

「日本語を読むということを通じて、私たちは英語の脳とは別の脳を持っているとも言える。ですから、それをきっちり作動させなくなることは、人類が貧しくなる、退化することを意味するわけです。」

なるほど、と思った。

言語と思考がつながっていることを考えると、私たちは英語脳とは違う日本語脳を持っている。日本語脳は、英語の世界の人々とは違う発想・発明を生む可能性を秘めているわけだ。

「当たり前と思っていたけど、実は凄いもの」を持っていることを自覚することは大切である。これからは「日本語で発想して、英語で伝える」ことが求められているのかもしれない。

出所:水村美苗『国語こそ競争力の源』日経ビジネス2009年9月21日号、p.106-108.
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