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『口笛吹いて』(重松清)

弟から『半パンデイズ』を薦められて、そのまま本棚に置きっぱなしの状態で2年。どうも読む気がしなかった。しかし、千歳空港の本屋さんで、『定年ゴジラ』を手にとってから、重松清を読むようになった。読ませる作家だなあ、と思う。特に、少年ものが上手い。

その後、『きよしこ』『口笛番長』『最後の言葉』『半パンデイズ』『ニッポンの単身赴任』を読んだが、どれもクオリティが高い。少年ものだけでなく、オジサンものも上手い。僕は、岡山に5年半いたので、小説によく出てくる岡山弁もなつかしいひびきがある。

そして、『口笛吹いて』を読んだ。昔のヒーローが冴えないサラリーマンになっていてがっかりする課長、リストラされたお父さんを負け組み扱いする息子、子供に翻弄されてうろたえる小学校教師、などが出てくる。世の中の弱者と強者、勝ち組と負け組みという視点でとらえがちな構図の中に、一点の希望が描かれているところはさすが。今まで読んだ重松さんの小説とは一味違ったリアルさを感じる作品である。

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