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アサヒビールのプロセス管理

先日、2年ほど前の週刊東洋経済を見ていて、面白い記事を見つけた。アサヒビールの子会社であるアサヒビールマーケティングの事例である。

同社には、店舗を訪問して在庫確認や販売企画の提案を行う「マーケットスタッフ」と呼ばれる女性パート社員がいる。しかし、営業力にバラつきがあり、提案営業ができる社員は多くないという現状だったらしい。

そこで、本部のマネジャーが、優秀な営業スタッフ100人に同行し、彼女らの営業活動を徹底的に洗い出した。その結果を、①回訪、②売場フォロー、③他社動向を集める情報活動、④売場拡大といった項目ごとにマニュアル化した。

ここまでなら普通なのだが、同社は、これらをベースに「POPを貼ってきたか」「販売企画が提案できたか」といったYes・No形式のチェックリストを作り、訪問後にPDAを使って送信を義務づけた。営業日報の替わりである。Yes・No形式なので、面倒くさくないし、数値で定量化されるため、自分の活動レベルが明確になる。

さらに、重要な顧客との関係性のレベルについても「S:ビールも含めた全酒類の売場作りを任せられている、A:ビールの売場作りを任せられている、B:販促提案は採用してもらえる、C:名前は覚えてもらっている、D:名前も覚えてもらっていない」という5段階で自己評価させる仕組みを導入した。この情報を基に、本部マネジャーと計画を練り、定期的にミーティングで進捗状況を確認するわけだ。

同社の事例は、営業マネジメントにおいて重要な「プロセス管理」の良いお手本だ。上記の試みの優れたところは、①業績アップにつながる重要な活動を意識させている、②本人の現状をフィードバックしている、③どうすればいいかは自分で考えさせている、という点である。

白石社長は、こうした試みを「上司と部下の成長対話のツールである」と評している。アサヒビールマーケティングの試みは、さまざまな業種にも応用できそうだ。

出所:週刊東洋経済2006.1.21
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