第3章 韓国「併合」から第二次世界大戦へ
日本が侵略した歴史と加害責任、その後遺症
1、明治からの「狂った時代」は、絶対主義的な天皇制にある。
日本が侵略した歴史と加害責任、その後遺症
さて、日本の義務教育で教えている歴史は、殆どの学校では、江戸時代まで教えると時間切れとなり明治・大正・昭和はあまり教えていません。明治になって日本の伝統は天皇中心の国だと説明しても、江戸時代までは武将が実権を握っていた歴史を教えるのですから、嘘をつくことになります。絶対主義的天皇制による「近代日本」の朝鮮侵略・日清・日露戦争、第二次大戦へという天皇と日本政府の戦争犯罪責任、他民族圧殺と日本国民への弾圧を教えてこなかったのです。
今、自民党や維新の会は、国際犯罪の歴史を、国際貢献を目的していたのだと歴史を書き換えて、憲法9条をはじめ国民が勝ち取ってきた民主的な権利を剥奪し、天皇を中心にした国を復活させようとしています。このことがアジア諸国と友好が結べない最大の原因です。
歴史の真実はどうだったのでしょうか、
大日本帝国は、アジア支配の野望のもとに韓国・朝鮮をアジア侵略の拠点とするため、軍隊を動員して韓国を植民地にし、土地を奪い、姓名を奪い、言葉を奪い、民族を奪い、国を奪い、女性を日本軍の性奴隷にし、命まで奪うという残虐な支配を行いました。
私は、これらの侵略行為は「間違いだった。」日本から朝鮮、韓国に「謝罪と補償は当然のこと」だと思うのです。
ところが謝罪と補償問題に関する日本政府公式見解の新しいものは、平成22年8月10日次の談話です。その内容は大変不十分なものです。次の談話は菅総理の時のものです。
平成二十二年八月十日 内閣総理大臣談話
本年は、日韓関係にとって大きな節目の年です。ちょうど百年前の八月、日韓併合条約が締結され、以後三十六年に及ぶ植民地支配が始まりました。三・一独 立運動などの激しい抵抗にも示されたとおり、政治的・軍事的背景の下、当時の韓国の人々は、その意に反して行われた植民地支配によって、国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷付けられました。
私は、歴史に対して誠実に向き合いたいと思います。歴史の事実を直視する勇気とそれを受け止める謙虚さを持ち、自らの過ちを省みることに率直でありたい と思います。痛みを与えた側は忘れやすく、与えられた側はそれを容易に忘れることは出来ないものです。この植民地支配がもたらした多大の損害と苦痛に対 し、ここに改めて痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明いたします
このような認識の下、これからの百年を見据え、未来志向の日韓関係を構築していきます。また、これまで行ってきたいわゆる在サハリン韓国人支援、朝鮮半島出身者の遺骨返還支援といった人道的な協力を今後とも誠実に実施していきます。さらに、日本が統治していた期間に朝鮮総督府を経由してもたらされ、日本 政府が保管している朝鮮王朝儀軌等の朝鮮半島由来の貴重な図書について、韓国の人々の期待に応えて近くこれらをお渡ししたいと思います。
日本と韓国は、二千年来の活発な文化の交流や人の往来を通じ、世界に誇る素晴らしい文化と伝統を深く共有しています。さらに、今日の両国の交流は極めて 重層的かつ広範多岐にわたり、両国の国民が互いに抱く親近感と友情はかつてないほど強くなっております。また、両国の経済関係や人的交流の規模は国交正常 化以来飛躍的に拡大し、互いに切磋琢磨しながら、その結び付きは極めて強固なものとなっています。
日韓両国は、今この二十一世紀において、民主主義や自由、市場経済といった価値を共有する最も重要で緊密な隣国同士となっています。それは、二国間関係 にとどまらず、将来の東アジア共同体の構築をも念頭に置いたこの地域の平和と安定、世界経済の成長と発展、そして、核軍縮や気候変動、貧困や平和構築と いった地球規模の課題まで、幅広く地域と世界の平和と繁栄のために協力してリーダーシップを発揮するパートナーの関係です。
私は、この大きな歴史の節目に、日韓両国の絆がより深く、より固いものとなることを強く希求するとともに、両国間の未来をひらくために不断の努力を惜しまない決意を表明いたします。
以上のとおりですが 歴史の真実に照らしてみれば大変不充分なものでした。しかし安倍新談話は、下線を引いた部分を一層曖昧にしようとしています。
この談話でも曖昧な点が残されてます。
①、文章の主語を「日本政府はとして、このように考え、こうします。というべきところを「私は、」とすることによって国家責任をあいまいにし、明確な謝罪・賠償責任を曖昧にています。誰がどんな方法で植民地にしたのか、についても曖昧にしています。
また今後の課題と解決方法がさらに曖昧なことです。
②、1910年の韓国「併合」に至る経過と[併合]そのものについて1945年8月15日までは国際法上正しかったとは言っていないが、違法だったとしていないこと。
③、在日朝鮮人の法的地位の扱いは一貫して間違っているのに何も触れていないこと。
④、談話発表後、具体的な問題を解決していくための交渉の進展は、朝鮮王朝儀軌返還以外は見られないこと、引き続く交渉の場が作られていないこと。
⑤、国連加盟国北朝鮮は、当時の植民地の一部であり、北朝鮮に対しても謝罪の気持ちをあらわし、現在は別の国家を形成しているので、その政府と誠実に話し合って解決することを述べるべきであること。などを指摘しなければなりません。
自民党安倍総理は、村山談話や先の平成22年談話の見直しを公言しています。
政府の韓国「併合」容認姿勢に勇気付けられ、今でも、侵略戦争を肯定・美化する歴史を書いた教科書の問題や、坂の上の雲のような当時の支配者意識を肯定する考えや大東亜共栄圏と言う考えのもとに、アジアの他国を侵略して当然だというような考えがまかり通っているのです。平成23年国会議員165名がそろって靖国神社参拝という行為は、歴史の流れに逆行し、決して新しいアジアを切り開くこと行為とは言えないでしょう。
さらに最近では、「在日特権を許さない市民の会」が進める運動など、歴史を歪めて宣伝する人がいますが、国際的に非常に恥ずかしく、「百害あって一利なし」です。維新の会の石原・橋下両氏の「慰安婦は必要だった。」「沖縄米兵には風俗店を利用すればよい」などの非常識な発言までマスコミをにぎわしており、世界中から非難の声が上がっています。
日本とアジアの平和を実現し、国民主人公の社会を創っていくためには、どのように考え、どうすればよいのでしょうか。歴史を見てみましょう。