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韓国はいかなる形であれ、日本の介入を想定していないが、実際に状況が発生すれば、米国は日本の支援を要請する可能性が高い。

2019-09-05 | 戦争だけはやめてほしい

米国、「朝鮮半島危機の際の国連軍司令部の役割」を強調…

日本の介入の可能性高まる

登録:2019-09-05 04:38 修正:2019-09-05 13:58

国連軍司令部の役割を拡大し、停戦協定を強調する理由とは 

国連軍司令部の任務、朝鮮半島の危機管理にまで拡大した場合は 
1970年代に結ばれた関係約定を根拠に  
休戦協定を名分に未来連合司令部の指揮が可能に  
韓国軍作戦統制権との衝突は必至  

国連軍司令部の後方基地がある日本の地位も高まる  
有事の際、戦力提供国として介入する可能性も  
米国、国連軍司令部再活性化プログラムなど  
「戦作権移管後、管理方式の変化を考えている」

 
チョン・ギョンドゥ国防部長官が今月4日、国会で開かれた国防委員会全体会議で議員らの質問に答えている=カン・チャングァン記者//ハンギョレ新聞社

 米国が戦時作戦統制権(戦作権)の移管後、朝鮮半島の危機管理に国連軍司令部(国連司)が参加すべきだという立場を示したことが明らかになり、一部では国連軍司令部を、韓国軍を統制する機関に発展させることを目指しているのではないかという声もあがっている。平時に停戦協定を順守するかどうかを管理する国連軍司令部の任務が、朝鮮半島の危機管理まで拡大されると、韓国軍の作戦統制権と衝突する恐れがあるためだ。

 国連軍司令部は1950年6月、朝鮮戦争勃発直後、国連の対応処置で設立された軍事機構だ。国連軍司令部はこれまで韓国軍に対する作戦統制権を行使し、1953年7月に締結された停戦協定にも当事者として署名した。国連軍司令部の韓国軍に対する作戦統制権は1978年11月の韓米連合軍司令部(連合司)が創設されてから、連合司令部に移された。

 
           国連軍司令部と韓米連合司令部の構成と役割//ハンギョレ新聞社

 米国が国連軍司令部の任務を朝鮮半島の危機管理まで拡大した場合、戦作権の移管後、韓国軍大将が司令官を務めるいわゆる「未来連合司令部」とどのような関係を結ぶかが争点になる。1970年代に結ばれた合同参謀本部-国連軍司令部-連合軍司令部の関係約定(TOR)に、停戦協定が維持される限り国連軍司令部が連合司令部を指揮するという内容が含まれているという。国連軍司令部の作戦統制権が連合司令部に移管されたのと相反する内容だが、在韓米軍司令官が連合司令官と国連司令官を兼任するこれまでの構造では特に問題にならなかった。

 しかし、未来連合司令部の指揮のもと、朝鮮半島の危機状況が発生した際は、事情が変わる。米国の主張どおり、国連軍司令部が危機管理に参加した場合、韓国からは未来連合司令官と合同参謀議長が、米国からは在韓米軍司令官(未来連合司令部副司令官)と国連司令官が入る形になる。ここに現在の関係約定を当てはめると、国連軍司令部が停戦協定の維持を掲げ、未来連合司に指揮権を行使できるようになる。米国が在韓米軍司令官と国連司令官を分離することで、戦作権の移管後も国連司令官の名で韓国軍を統制するという見通しもある。

 米国が朝鮮半島における軍事的衝突・挑発など有事の際、停戦協定が維持されるべきだと強調するのも、こうした論理を背景にしている。停戦協定が維持されてこそ、それに基づいた国連軍司令部の指揮権を主張できるからだ。

 そうなれば、国連軍司令部が連合軍司令部の代わりに朝鮮半島の安保状況に影響力を発揮できる構造になる。この過程で、国連軍司令部の後方基地がある日本の地位が高まる可能性があるという懸念の声もあがっている。国連軍司令部の後方基地は、有事の際、戦力提供国の兵力と装備の支援を受け、韓国に展開する役割を果たす。韓国はいかなる形であれ、日本の介入を想定していないが、実際に状況が発生すれば、米国は日本の支援を要請する可能性が高い。

 先月の韓米合同指揮所演習で、国連軍司令部主導で日本の介入状況を想定した訓練が実施されたとして議論になったことを受け、国防部は4日「日本は朝鮮戦争の参戦国ではなく、戦力提供国として活動できないというのが国防部の立場であり、今回の訓練で自衛隊の介入状況を想定した部分はなかった」という立場を発表した。

 米国が、いわゆる「国連軍司令部再活性化」プログラムによって、国連軍司令部を実質的な多国籍軍事機構へと強化しようとする動きを見せているのも、このような流れと無関係ではない。国連軍司令部は昨年7月以後、米軍ではなく外国軍将軍を副司令官に任命した。匿名を希望したある軍事専門家は、「国連軍司令部の役割や規模の拡大は、戦作権の移管後、米国の朝鮮半島管理方式の変化を孕んでいる」とし、「韓米の利害が食い違っているため、戦作権の移管日程にも影響を及ぼしかねない」と指摘した。

ユ・ガンムン先任記者、ノ・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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渡嘉敷さんは久米島に上陸した米軍に捕らわれるのを恐れて池に飛び込んで命を絶とうとしたところ、仲村渠さんの呼び掛けで思いとどまった。

2019-08-25 | 戦争だけはやめてほしい

「戦争終わったよ」投降を呼び掛けた命の恩人は

日本兵に殺された 沖縄・久米島での住民虐殺

沖縄戦での久米島で、米軍から逃れて自死しようとして住民の呼び掛けで一命を取り留めた渡嘉敷一郎さん=19日、東京都練馬区の自宅

 【東京】沖縄戦で本島における日本軍の組織的戦闘の終了後、久米島に配備されていた日本軍にスパイ容疑で虐殺された仲村渠明勇さんに命を救われた少年がいた。現在、東京都練馬区で暮らす渡嘉敷一郎さん(80)だ。渡嘉敷さんは久米島に上陸した米軍に捕らわれるのを恐れて池に飛び込んで命を絶とうとしたところ、仲村渠さんの呼び掛けで思いとどまった。同じ久米島出身の妻政子さん(80)が住民虐殺の歴史を語り継ぐ活動を続けており、一郎さんも参加して語り始めた。本紙に体験を語るのは初めてで「一番怖かったのは日本兵だった」と振り返る。

 沖縄本島で捕らわれた仲村渠さんは1945年6月26日、米軍と共に久米島に上陸し、住民に投降を呼び掛けていた。日本のポツダム宣言受諾後の8月18日、島にいた日本軍の通称「山の部隊」(鹿山正海軍通信隊長)の兵士に妻子と共に殺された。

 渡嘉敷さんは旧具志川村(現久米島町)仲泊の出身で、戦争中は50~60人で避難生活を送っていた。「ヒージャーミー(米国人)に殺される」との話が住民の間に広まっていった。米軍上陸後、母親の親戚と一緒に逃げていた渡嘉敷さんは、池に飛び込もうとしていた矢先、「もう戦争は終わったよ。もう死ぬことはないぞ」という仲村渠さんの呼び掛けを聞いた。「あれは西銘(集落)の明勇だ」と誰かが叫び、われに返った渡嘉敷さんは投身を思いとどまった。

 当時、島では日本軍の隊長からは「山に上がって来ない者は殺す」との命令が下されていた。上陸してきた米軍からは、日本兵が軍服を捨てて住民にまぎれこんでいることから「家に戻りなさい。戻らなければ殺す」と投降の呼び掛けが出ていたという。どちらを選択しても死を迫られるという苦しい状況に住民は置かれていた。

 渡嘉敷さんは「明勇さんは案内人として米軍に連れてこられていた。村人が隠れているところを回って、投降を説得するのが役割だった。明勇さんに命を助けられた。島の人にとっては恩人。それを、逃げるところを後ろから日本刀で切って殺されたと聞いた」と悔しそうな表情を浮かべた。


久米島であった日本兵の虐殺事件や、集団投身自殺寸前で思いとどまった体験などを話す渡嘉敷一郎さん(右)と妻の政子さん=19日、東京都練馬区の自宅

■ほかにも住民虐殺が…

 久米島では日本軍による住民虐殺がほかにも起きている。渡嘉敷さんの妻政子さん(80)=同村仲地出身=は「島の人も関わったとされタブー(禁忌)となってきたが、何らかの形にして事実として伝えていかないといけない」と東京で島の沖縄戦について語り続けている。

 日本兵による住民虐殺は当時から住民の間でうわさになった。政子さんは「大人たちが屋号で『どこどこの誰々が殺されたよ』『部落の方で異様なことが起こっているよ』と話していたのを聞いていた」と話す。

 戦後も虐殺があったと聞いた場所に来ると、カヤを結んだ魔よけを手に通ったものだった。「子ども心にも、その時のことが思い出され、たまらない気持ちになった」。大人になって久米島の戦争の本を読んで、「ああ、あの話はそうだったのか」と記録と記憶がつながっていった。

 小学校1年で教えてくれた教諭が、島に配置されていた中野学校出身で「上原敏雄」を名乗る残置工作員だった。ある時、学校に米軍の憲兵が来て、2人で教諭を羽交い締めにして軍用車両で連行していった。その後の消息は知らないという。

 住民虐殺というテーマを語り継ぐのは重いため、得意の三線も交えて伝えている。島の悲劇にあえて向き合う夫婦。「今も残された者も重荷を背負いながら生きている」との思いを背に語り継いでいる。

 今年の慰霊の日は午後2時から、東京都練馬区立男女共同参画センター「えーる」で、久米島の沖縄戦について政子さんと一郎さんが語る会が催される。

(滝本匠)

久米島における沖縄戦での住民虐殺

 久米島に駐留した日本軍の通称「山の部隊」(鹿山正海軍通信隊長)が、6月26日の米軍上陸後にスパイ嫌疑で住民20人を殺害した。米兵に拉致された住民を「スパイ」と見なし、目隠しのまま銃剣で刺し、家に火をつけて焼き払うなどした。朝鮮人家族も犠牲になった。島には残置工作員が具志川村に上原敏雄、仲里村に深町尚親を名乗る2人(いずれも偽名)が小学校に配置されており、住民虐殺への関与が疑われている。

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日本政府が敗戦を一カ月先に控えて、いわゆる「本土決戦」を準備するために各種の方案を探した風景の一つと見られる。

2019-08-14 | 戦争だけはやめてほしい

敗戦を控えた日本が、長野で英語堪能者を探した理由は?

登録:2019-08-12 22:08 修正:2019-08-13 10:33

 
長野県にある松代大本営地下壕の一部である象山地下壕入口付近に1995年に建てられた「朝鮮人犠牲者追悼平和記念碑」。日本は「本土決戦」のために東京から200キロメートル離れた長野に、戦時最高統帥機関である「大本営」を移すための工事を行なった=資料写真//ハンギョレ新聞社

 旧日本軍が一カ月先に敗戦を控えていた1945年7月、地方の長野県で英語堪能者を探していたという文書が新たに出てきた。日本政府が敗戦を一カ月先に控えて、いわゆる「本土決戦」を準備するために各種の方案を探した風景の一つと見られる。

 東京新聞は、1945年7月8日に長野県が県内の市町村に対し、日本軍の要請を受けて英語が堪能な米国移民2世の有無を調査するよう要請する内容の秘密指定文書が出てきたと12日報道した。文書は、長野県が旧中川地域(現在は松本市の一部)と旧今井地域(現在の松本市)に送ったものだ。国文学研究資料館の加藤聖文准教授が長野県の松本市文書館にあった資料を探し出した。

 文書には「作戦上緊急必要による軍の照会」として、地域内の居住者の中に「『米語(英語)堪能な2世』について調査してほしい」と書かれている。氏名、年齢、日本国籍取得時期を把握し、一週間後の15日までに回答してほしいという内容だ。理由は書かれていないが、米軍が「本州」に上陸する場合に情報収集できる人物を探すためだったとみられる。

 長野県内の長野市松代では、当時東京にあった戦時日本最高統帥機関である「大本営」を長野に移すための地下壕工事が真っ最中だった。長野県は、東京から約200キロメートル離れた内陸地方だ。「本土決戦」のためのこの工事には、朝鮮人6000人あまりが動員されたと推定される。1945年7月は、日本軍はもはや沖縄で米軍に対し組織的抵抗ができない時期だった。米軍の本州上陸は時間の問題と見られた時期であった。

 中川地域は、長野県の要請に対し「該当者なし」と答え、今井地域では答えたか否か確認できない。長野県には1902年から1924年までに米国に移民した県民が2000人ほどいたが、その後日本に戻った2世は多くなかった。

 文書を発見した加藤准教授は東京新聞に、今回の文書が「どういう形で(日本)国民が本土での戦いに巻き込まれつつあったのかを伝えている」と評価した。

東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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私は「米軍は、米国の権益や米国民を守るため・・・」だと勝手なことを言うな、と言いたい!

2019-07-09 | 戦争だけはやめてほしい

米、軍事対応示唆しイランに警告 

ペンス副大統領「権益守る」

7/9(火) 5:20配信

共同通信

 【ワシントン共同】ペンス米副大統領は8日、核合意の上限を超過しウラン濃縮を進めたイランに対し「米国の自制を決意の欠如と取り違えてはならない。米軍は、地域の米国の権益や米国民を守るための準備を整えている」と述べ、軍事的対応を示唆して警告した。イランと敵対するイスラエルを支持するキリスト教右派が、ワシントンで開催した会合で述べた。

エアフォースワンはいつでも出発できる トランプ大統領が会見で見せた「らしさ」

 国際原子力機関(IAEA)報道官は8日、イランのウラン濃縮度が核合意上限の3.67%を超過したのを確認したと明らかにした。イランを巡る緊張が高まっている。

 
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日本の哨戒機が韓国の艦艇に近接飛行する場合、軍事的措置を取ると韓国国防部が警告し、日本政府が撤回を要求していたことが22日明らかになった。

2019-04-23 | 戦争だけはやめてほしい

国防部「哨戒機が近接すれば軍事的措置」日本に説明していた

登録:2019-04-22 21:36 修正:2019-04-23 07:32

 
最近開かれた防衛省との非公開実務協議でも繰り返し確認 
「作戦の細部手続きなど、対応マニュアルは日本に公開せず」

 
ソ・ウク合同参謀作戦本部長(陸軍中将)が、国防部のブリーフィングルームで日本哨戒機の“威嚇飛行”の事実を発表している=国防部提供//ハンギョレ新聞社

 日本の哨戒機が韓国の艦艇に近接飛行する場合、軍事的措置を取ると韓国国防部が警告し、日本政府が撤回を要求していたことが22日明らかになった。昨年12月20日、東海で韓国の広開土大王艦と日本の哨戒機の間で起きた追跡レーダー照射-近接威嚇飛行に関連して生まれた韓日葛藤が、再発防止対策をめぐり再燃しそうだ。

 国防部関係者は「1月23日、駐韓日本大使館武官を呼び、日本の哨戒機が再び近接飛行で韓国の艦艇を脅かした場合、追跡レーダーを稼動する前に警告通信をすると警告した」と明らかにした。どこまでが近接飛行に該当するかは説明しなかったが、日本の哨戒機が韓国の艦艇から3海里(約5.5キロメートル)以内に接近すれば警告通信をするとのことだ。

 追跡レーダーは、艦艇から対空武器を発射する前に標的の距離と高度などを把握するために標的を追跡しながら照射するものだ。軍ではこれを追跡レーダーが標的に食いついたと表現する。艦艇がこれを稼動するということは、交戦が差し迫ったことを意味するので、国際法でも使用を厳格に規制している。この関係者は「当時は日本の武官に対し、日本側が低空威嚇飛行を中断し、再発防止対策を講じることを明確に要求する席であった」と説明した。

 日本政府は、これを哨戒機に対して火器管制レーダーを照準することがありうるという意味で受けとめ、撤回を要求したという。日本が言う火器管制レーダーは、国防部が言及した追跡レーダーを指す。日本防衛省は10~11日、韓国国防部との非公開実務協議会で、友好国に向けた火気管制レーダーの稼動は国際慣例にも反するとして撤回を要求したが、国防部は立場を守ったと伝えられた。国防部関係者は「当時、国防部は近接飛行が再発してはならないという点を強調した」と話した。

 
                日本海上自衛隊のP3C哨戒機//ハンギョレ新聞社

 これに先立って読売新聞は「韓国軍の新指針、安保協力に影」という見出しで「日本の軍用機が韓国の艦艇から3海里以内に接近すれば、射撃用火器管制レーダーを照射すると、韓国政府が日本政府に通知した」と報道した。新聞は「該当指針は米国を除くすべての国家に適用されるとし、韓日関係が悪化する中で韓国が日本に対して強硬な姿勢を強調するために取った措置と見られる」と解説した。

 これに対し国防部は立場文を出して「韓日間の海上における偶発的衝突防止のために、韓国軍の軍事的措置と基調について日本側に説明した事実はあるが、作戦の細部手続きなど対応マニュアルを日本側に通知した事実はない」と明らかにした。国防部関係者は「日本政府が、非公開とすることにした内容を公開したことに遺憾を表する」と話した。

 国防部はこの日、日本のマスコミの報道に関して午前と午後にそれぞれ異なる説明をし、混線をきたした。午前のブリーフィングでは「対応マニュアルを通知したことはない」としたが、約3時間後には「軍事的措置と基調を説明した」と訂正した。日本政府に軍事的措置の内容を説明しておきながら、対応マニュアルを通知したことはないという言葉で蓋をしてしまおうとしたわけだ。

 国防部は、昨年12月20日に東海で北朝鮮の船舶を救助していた韓国海軍の広開土大王艦が日本の哨戒機に向かって火器管制レーダーを稼動したと日本が主張すると、哨戒機の近接威嚇飛行問題を提起し、その後に対応指針を補完した。新しい指針は、外国の哨戒機が韓国艦艇と一定の距離内に進入した時に送りだす警告通信の文面を強化し、艦艇に搭載された対潜水艦探索用リンクス・ヘリコプターを機動し、武器システムを稼動する方案などを含んでいたことが分かった。

ユ・ガンムン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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 現在までに現れた米政府の反応は、刺激的対応よりは対話ムードを維持する側に重きがおかれた。

2019-03-18 | 戦争だけはやめてほしい

“対話中断”の強硬対応でボールを返された米国、

北朝鮮非難を自制し対応に苦慮

登録:2019-03-17 22:48 修正:2019-03-18 07:00

15日ポンペオ長官「対話継続」発言後は沈黙 
北が“行動”に出ればトランプ外交の成果は水の泡 
「朝米共に発言と行動を自制すべき」注文も

 
   マイク・ポンペオ米国務長官が15日、記者会見の途中で考えにふける表情を見せている=ワシントン/AFP 聯合ニュース

 北朝鮮が「対話中断を考慮」というカードを取り出して米国にボールを返したことにより、ドナルド・トランプ行政府が苦悶に陥ったように見える。米国はひとまず攻撃的対応を自制し、「北朝鮮と交渉を継続できることを願う」という信号を送った。対話ムードが失われないよう状況を管理し、北朝鮮の正確な意図を把握しようとしていると見られる。

 米行政府は15日(現地時間)、マイク・ポンペオ国務長官が北朝鮮外務省のチェ・ソンヒ副相の前日の記者会見に対して「対話維持」と「約束履行」というメッセージを同時に出したが、週末の16日には追加の言及はなかった。トランプ大統領もまた15日、国境の壁建設のための国家非常事態を無力化する議会決議案に対し拒否権を行使するなど国内イシューに注力し、16日まで北朝鮮問題には公開的反応を自制した。

 現在までに現れた米政府の反応は、刺激的対応よりは対話ムードを維持する側に重きがおかれた。ポンペオ長官は15日の記者会見で、北朝鮮非難を自制し「対話を継続していきたい」、「核・ミサイル試験を再開しないことを望む」という意向を明らかにした。当初、この日の会見はイエメン内戦でサウジアラビア主導連合軍に対する米軍の支援を終わらせよという上院決議案と、アフガニスタンでの米軍の戦争犯罪に対する国際刑事裁判所(ICC)の調査を批判するために用意された。しかし、記者たちの質問は前夜に出されたチェ・ソンヒ副相の発言にフォーカスされた。

 ポンペオ長官は「チェ副相の記者会見を見たか」という質問に「見た」と答え、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長が非核化を約束した点をまず強調した。彼は「私たちはシンガポールとハノイの間でそれを履行するために努力を続けてきた」とし、「抑留者が帰ってきており、北朝鮮はミサイルと核実験を中断した」と話した。彼は続けて「私たちは対話と交渉が継続されることを希望する」とし、「私はチェ副相の発言を見た。彼女は交渉が継続する可能性を明確に開いている」と述べた。チェ副首相が記者会見で「両首脳の個人的関係は相変わらず良く、相性も驚くほど素晴らしい」と述べたことを念頭に置いたものと見られる。ポンペオ長官は「私たちが対話を継続することが米行政府の希望だ」とも述べた。

 チェ副相がポンペオ長官とホワイトハウスのジョン・ボルトン国家安保補佐官を交渉決裂の主犯と名指ししたことに対しても、ポンペオ長官は否定しながらも、カウンターパートである金英哲(キム・ヨンチョル)労働党副委員長との対話を継続したいと強調した。ポンペオ長官は「彼ら(北朝鮮)は、その点について間違っている。私はそこ(ハノイ)にいたし、私と金英哲の関係はプロフェッショナルだ。私たちは細部に及ぶ対話をした」と反論した。さらに「私は私たちがそれを継続することを願う。彼(金英哲)は北朝鮮が私の前に出したカウンターパートだ」と話した。

 ポンペオ長官は、チェ副首相が「強盗のような態度」と批判したことに対しては「それは初めてではない」として「私が過去に北朝鮮を訪問した時も『強盗のようだ』と言われた記憶があるが、その後も私たちはとてもプロフェッショナルな対話を継続した。私たちは今後もそうできるだろうと十分に期待する」と話した。個人を狙った北朝鮮の攻撃は意に介さず、「ポンペオ-金英哲」の高官級ラインを維持し、対話チャンネルが継続稼動することを願うという希望を繰り返し明らかにしたのだ。

 ポンペオ長官は「北朝鮮と対話が継続されてきたというが、どのようなレベルでしてきたか」という質問には、「交渉については言えない。それは進行中だ」と話し、対話のための水面下の接触を試みている可能性も表わした。

 ボルトン補佐官も、チェ副相が自身を会談決裂の原因として名指ししたことに対して、15日記者たちに「不正確だ」と話した。しかし、彼は非難の強度を高めずに「私たちが反応する前に米政府内で多くの話をしたい」と話した。

 ポンペオ長官は、北朝鮮が核・ミサイル試験の中断状態を破らないことを願うということも繰り返し強調した。彼は「ハノイで数回にわたり金委員長はトランプ大統領に直接核実験とミサイルの試験発射を再開しないと約束した」として「これは金委員長の約束だ。北朝鮮が約束を守ることを十分に期待している」と話した。金委員長が直接約束した事案であることを強調することにより、それを必ず守ることを圧迫したわけだ。

 トランプ大統領はこれまで、対北朝鮮政策の代表的成果として、北朝鮮の核・ミサイル試験の中断を挙げ「実験がない限り急ぐ必要はない」とまで述べた。そのために万が一北朝鮮が核・ミサイル試験の再開に出るならば、トランプ大統領の外交成果もまた深刻な打撃を受けることになる。米国としては、まず北朝鮮の実験再開を防止することに努力を傾けると見られる。ポンペオ長官はもちろん、超強硬タカ派のボルトン補佐官も北朝鮮を刺激することを自制したのもこのような憂慮のためと見られる。

 だが、「北朝鮮の“段階的非核化”を拒否し、寧辺(ヨンビョン)以外のすべての核施設と大量破壊兵器(WMD)の除去までを含む“一括妥結”という基準線を明確にした米国としても、すぐには退きにくい状況だ。米国は、スティーブン・ビーガン国務省北朝鮮政策特別代表が14日に国連安保理理事国に会い、対北朝鮮制裁の履行を取り締まるなど「非核化するまで制裁維持」という方針にも変わりがない。そのために、朝米双方のかけひきが当分続く可能性が高く見える。チェ副相が公言した通り、金正恩委員長の核・ミサイル試験再開の有無などに関して直接的公表がなされれば、状況は一層悪化する可能性がある。それ以前に朝米間の直接的な、あるいは韓国政府の仲裁を通した接触がなされる可能性も排除できない。

 こうした中で、朝米が共に発言と行動を自制すべきという注文が出ている。米国の時事誌「The Atlantic」は16日、「朝米が再び荒い発言に戻った」というタイトルの記事で、両側の強硬派であるチェ副相とボルトン補佐官が前面に登場した最近の状況を指摘した。このメディアは、強硬派の登場はそれぞれ国内の強硬派の声をなだめる性格があると分析した。このメディアは「しかし、圧迫を加えることと、軟弱で悪化する外交過程を粉々にすることの間には、微細な線(差)がある」と指摘した。メディアは「ムン・ジョンイン大統領統一外交安保特別補佐官が、シンガポール首脳会談開催を失敗させるところだったチェ副相とマイク・ペンス副大統領の言い争いを論じて指摘したように、交渉を蘇らせるには発言と行動の相互自制が必須」と強調した。また「交渉を軌道から離脱させ潜在的大災難を触発する最も確実な方法は、北朝鮮が核・ミサイル試験に関与すること」と指摘した。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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分断の最前線で“戦争の傷と痛み”をそっくり経験したこの場所の象徴性を考慮し、文化財庁は14日、文化財登録を推進すると明らかにした。

2019-02-15 | 戦争だけはやめてほしい

[ルポ]機関砲が外された空っぽの陣地には冷たい風…

580メートル前方には北陣地跡が

登録:2019-02-14 22:55 修正:2019-02-15 08:42

鍵のかかった南側最東北端保存GP 
北側の監視警戒所までわずか580メートル 
文化財庁「文化財登録を推進する計画」

 
「9・19南北軍事合意」に伴う非武装地帯(DMZ)内の試験撤収監視警戒所(GP)のうち、歴史的価値を考慮して原形を保存することにした江原道高城GPを13日、国防部がマスコミに初めて公開した=高城/写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 要塞に入る鉄門には鍵がかかっていた。周囲を囲む鉄条網は、67年の風雨に打たれ、赤く錆ついていた。江原道高城(コソン)保存監視警戒所(GP)は、南側の最北端にある最も古い要塞だ。1953年に停戦協定が締結されて以来、昨年の9・19南北軍事合意で撤収するまで南側の軍人はここで北側に銃を向けていた。

 高城の民間人統制区域に入り、一般前哨(GOP)の鉄条網をすぎればそこから非武装地帯(DMZ)だ。停戦協定以後、南側の非武装地帯には監視警戒所が60余り、北側には160余りが作られた。南北は「9・19南北軍事合意」により昨年10~11月にそれそれの監視警戒所11カ所から火器、装備、兵力を撤収した。ただし歴史的象徴性を考慮して、それぞれ一カ所ずつはその形態を保存することにした。南側は海抜340メートルに位置する高城GPを選んだ。このGPから軍事境界線まではわずか300メートル、向かい合う北側の監視警戒所までは580メートルの距離だ。「南側GPで大声を張り上げれば、北側ですべて聞こえるほど」と保存GPの関係者は話した。13日、軍当局は初めてこの警戒所をマスコミに公開した。ハンギョレが直接現地を見て回った。

 
 取り去られた窓。「9・19南北軍事合意」に伴う非武装地帯内の試験撤収監視警戒所(GP)のうち歴史的価値を考慮して原形を保存することにした江原道高城GPを13日、国防部がマスコミに初めて公開した。使われなくなった警戒所の内部=高城/写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 一般前哨の鉄条網を通過し、未舗装道にそって3.4キロほど走れば、その終端に古い城のように見える保存GPが姿を現す。この日の体感温度は零下11度。軍人も武器もすべて撤収した保存GPは、強烈な海風に吹かれてぽつんと立っている。鍵で堅く閉ざされた鉄門を開け、中に入ると冷気が漂っていた。武器と弾薬が積まれていた倉庫は、口をポカンと開けていた。中は黒くガランとしていた。

 昨年10~11月、警戒所から兵力が去るまでは、1個小隊規模(30~40人)の人員が常駐していた。警戒所の中には、将兵の勤務のための内務班、食堂、トイレが用意されていた。だが、どこがどんな用途で使われていたのか、すぐには識別できなかった。取材のために持っていった照明を隅々に照らすと、壁には取り外されそこねた“残飯”の標識が見えて、食堂だと思われた。白い便器が置かれているのでトイレだとわかる程度だった。

 1階の生活館から階段で最上階に上がると、45人程度が一度に入れる“部屋”のような施設がいくつか見えた。北側で異常兆候が捉えられれば、軍人が走って行った所だ。GPの関係者が「機関銃、機関砲などが北側に向けて据え置かれた共用火器陣地」と説明するまでは、コンクリートの塊りにしか見えなかった。今は空っぽの陣地には、砂袋10個程度だけが残されていた。警戒所の監視塔と防護壁の周辺にはためいていた太極旗と国連司令部旗もすべて外され、旗竿だけが煙突のように残っていた。

 GPの撤収で軍の警戒態勢に支障が生じるのではないかとの取材陣の質問に、この関係者は首を横に振った。「南側は北側とは違い、GPの後方に一般前哨を運営しており、保安装置が二重になっていて、科学化された警戒システムで監視システムを運用中」だと答えた。

 
「9・19南北軍事合意」に伴う非武装地帯(DMZ)内の試験撤収監視警戒所(GP)のうち、歴史的価値を考慮して原形を保存することにした江原道高城GPを13日国防部がマスコミに初めて公開した=高城/写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 警戒所に上がって北側を見れば、真下に軍事境界線を意味する黄色い旗がはためいている。少し視線を上げれば、うす赤い地肌をむき出しにした丘が目につく。昨年まで北側の監視警戒所があった場所だ。その後方には、朝鮮戦争当時に南北が接戦を行った月飛山高地が高くそびえている。東に視線を移せば、トンムヒョン展望台があり、かつて金日成(キム・イルソン)主席と金正日(キム・ジョンイル)委員長、そして2014年には金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が直接訪問し放射砲射撃を指揮した所だ。

 
撤収された北側GP。「9.19南北軍事合意」に伴う非武装地帯(DMZ)内の試験撤収監視警戒所(GP)のうち、歴史的価値を考慮して原形を保存することにした江原道高城GPを13日国防部がマスコミに初めて公開した=高城/写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 分断の最前線で“戦争の傷と痛み”をそっくり経験したこの場所の象徴性を考慮し、文化財庁は14日、文化財登録を推進すると明らかにした。

高城/ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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階級章のない黄色い服を着た日本人たちが、町の区長と班長を引き連れて家にやって来た。

2019-01-30 | 戦争だけはやめてほしい

「死んだら蝶になって飛び回りたい」と言っていた

93歳の平和運動家キム・ボクトン

登録:2019-01-30 06:33 修正:2019-01-30 07:55

享年93歳…戦時性暴力生存者であり平和活動家だったキム・ボクトンさんの人生 
1992年に「慰安婦」被害証言…紛争地域の性暴力に対する国際社会の世論を喚起 
日本政府の謝罪を受けられず他界

 
       日本軍性奴隷制の被害者であり、平和運動家のキム・ボクトンさんの生前の姿//ハンギョレ新聞社

 1926年生まれのキム・ボクトン。慶尚南道梁山(ヤンサン)で生まれた。小学校4年生を終えて、15歳になるまで家事を手伝いながら過ごした。「危ないから、出歩かない方がいい」という母親の言いつけを守っていた。1941年の春なのか秋なのか思い出せないが、ある日、階級章のない黄色い服を着た日本人たちが、町の区長と班長を引き連れて家にやって来た。「軍服を作る工場で3年だけ働けばいい」。15歳のキム・ボクトンが行かなければ、家族を追放し、財産も奪うと言われた。工場に行ってまさか死ぬようなことはなかろう。「母さん、私が行くよ」。15歳のキム・ボクトンは、その足で台湾を経て中国広東のある部隊まで行った。あの時ついていかなければ、93歳のキム・ボクトンの人生は少し違っていたのだろうか。

 日本軍性奴隷制(慰安婦)の被害者であり、平和活動家のキム・ボクトンさんが28日夜10時41分、日本政府の謝罪を受けられないまま他界した。享年93歳。

 「私は一生、(恋慕の)情を抱いたことがない」。15歳のキム・ボクトンは、土曜日は午後12時から午後5時まで、日曜日は朝8時から午後5時まで、平日は週末に来られなかった兵士たちまで相手しなければならなかった。広東を経て、香港やマレーシア、スマトラ、インドネシア、ジャワ、バンコク、シンガポールまで、行先も分からず、トラックに乗せられていた8年間、日本軍の性奴隷として生きた。

 1992年、66歳の生存者キム・ボクトンが政府に慰安婦被害届を出すまで、家族や親戚、知人の誰も、彼女が慰安婦として各地を転々としていたことを知らなかった。解放後、やっと生きて帰ってきた23歳のキム・ボクトンから、想像もできないことを聞いた母親は、誰にも明かせない苦しみを胸の奥にしまい込んだ末に、心臓病でこの世を去った。

 解放以来1992年のその日まで、子どもも、夫もなく、釜山で商売をしながら一人で生きてきた。「稼いだお金で、経済的に苦しい人を助けられた時」は嬉しかった。しかし、「慰安婦」の被害を証言し、顔が知られてからは、隣人とも関係が疎遠になった。

 「何度同じことを繰り返し言っても、口が酸っぱくなるほど語っても、テレビでも新聞でも、その話は一体どこに消えたのか、出るのは一言二言だけで、ただ『キム・ボクトン慰安婦』『慰安婦のキム・ボクトンハルモニ(おばあさん)』…(私が)慰安婦だと宣伝していることにしかならない。そうでしょう?」。“生存者”キム・ボクトンはわざと不満をぶつけてみせたが、その不満は無念の死を遂げたり、匿名で生きていくしかない性奴隷制の被害者たちの勇気を象徴するものだった。

 66歳で始めた日本軍「慰安婦」被害証言は、“生存者”キム・ボクトンを平和運動に導いた。キム・ボクトンは国連や米国、日本、フランスなど世界各地を回りながら、日本軍性奴隷問題に対する関心を促した。「戦争のない世界」を叫んだ。自分のような戦時性暴力被害者が二度と生まれないことを望む切実さが、66歳のキム・ボクトンを突き動かした。コンゴやウガンダなど世界各地の武力紛争地域で行われている性暴力問題を解決してほしいという“生存者”キム・ボクトンの訴えは、国際社会を震わせた。

 「私も日本軍『慰安婦』被害者ですが、それで今も毎週水曜日になると、日本大使館の前に立って、私たちの名誉と人権を回復するため闘い続けているが、いま世界各地で私たちのように戦時性暴力被害を受けている女性たちが、どれほど苦しんでいるか、私はよく知っています。だからこそ、その女性たちを助けたいです」(2012年3月8日「世界女性の日」を迎えて行われたナビ(蝶)基金設立記者会見で)

 2015年、89歳のとき“生存者”キム・ボクトンは紛争地域の被害児童支援と平和活動家の養成に使ってほしいとして、こつこつ貯めてきた5000万ウォン(約490万円)を「ナビ基金」に寄付した。ナビ基金はこの資金で「キム・ボクトン奨学基金」を設立した。同年、平和活動家キム・ボクトンは国際言論団体が選んだ「自由のために戦う英雄」に、南アフリカ共和国初の黒人大統領ネルソン・マンデラや米国の黒人人権運動家マーティン・ルーサー・キング牧師らと共に、名を連ねた。

 
今月29日、ソウル西大門区セブランス病院の葬儀場特別室に設けられた日本軍性奴隷被害者のキム・ボクトンさんの遺体安置所とキムさんの遺影=ユン・ミヒャン正義記憶財団理事長のフェイスブックよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 「団結しなければならない。団結して日本に勝たなければならない。第2次大戦当時、若い青年たちの名前を全部日本名に変えて、完全な日本人にして…そうやって連れて行って犠牲になったわが民族が、今もその国で苦しめられているということを聞いて、情けなくて言葉では言い表せなかった…朝鮮学校には朝鮮人が協力しなければ、誰が協力をするの?一人でも多く立派な朝鮮人を育てたい」(総連系日刊紙「朝鮮新報」2019年1月17日付、生前最後のインタビューで)

 平和運動家キム・ボクトンにとっては、在日コリアンも他人ではなかった。幼くして日本軍に連れて行かれ、学校教育をまともに受けられなかったためか、日本政府の支援を受けることができない在日朝鮮学校を特に不憫に思っていた。2016年から在日朝鮮学校の学生6人に奨学金を支援したキム・ボクトンは昨年11月22日、新村(シンチョン)セブランス病室で病魔と闘っている最中にも、在日朝鮮学校の生徒たちの奨学金に使ってほしいとして、3000万ウォン(約290万円)を寄付した。昨年、公益社団法人チョン(理事長キム・ジェホン、キム・ヨンギュン)は「日本軍『慰安婦』被害者として、苦しみを抱えながらも、ほとんど全財産を後れている教育のために寄付し、平和と統一の信念と韓日の歴史問題に対する正しい歴史観を広めた」92歳のキム・ボクトンを「正しい義人賞」の初受賞者に選んだ。

 「私たちは大きな謝罪を求めているわけではない。自分(日本)が(慰安婦を強制動員)したと認め、記者たちを集めて許してくれと言えば、私たちも許せるのではないか」

 2018年9月3日。92歳の“生存者”キム・ボクトンは車椅子に乗って、ソウル鐘路区政府ソウル庁舎別館の前で「和解・癒やし財団」の解散を求める1人デモを行った。お腹に広がったガンのため、腹腔鏡手術を受けてから5日後のことだった。

 「年老いたキム・ボクトンが『一日でももっと仲良く過ごすためには、安部が出て来なければならない』と言っていたと、新聞に書いてほしい。そうしてくれるかい?」平和活動家のキム・ボクトンは、現場に取材に来ていた朝日新聞の武田肇特派員に「この話を安倍晋三日本首相に伝えてほしい」と何度も言った。武田記者は「がんばってみます」と答えた。

 93歳のキム・ボクトンが亡くなった今月28日、安倍首相は施政方針演説で、異例にも韓日関係について言及を避けた。安倍首相に続き外交演説を行った河野太郎外相は「韓日請求権協定、慰安婦問題に関する韓日合意など、国際的約束を守ることを(韓国に)強く要求する」と述べた。2015年12月28日に行った両国の合意が「最終的かつ不可逆的解決」という従来の立場の再確認だ。

 「いや、私が死んだら、火葬して、さらさらと撒いてくれといったんだ。面倒を見る人もいないのに、墓を作る必要はない。それであの山にひらひらと…水に撒くと水の霊になるというから、山に撤いてもらって、蝶になって世界中を飛び回りたいな(笑い)」

 93歳、戦時性暴力生存者であり平和活動家だったキム・ボクトンは、この世と別れる5時間前に、力を振り絞って最後の遺志を残した。「日本軍慰安婦問題の解決に向けて最後まで闘ってほしい」、「在日朝鮮学校の支援を任せるから、がんばってくれ」

 「死んだら、蝶になってひらひらと世界を飛び回りたい」と言っていたキム・ボクトンは、今どの空を飛んでいるのだろう。

ソン・ダムン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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こんなアメリカ言いなり政治でいいのか――異常な大軍拡にストップを

2019-01-02 | 戦争だけはやめてほしい

志位和夫委員長 新春インタビュー

日本を変えるたたかいに挑戦を

沖縄と憲法――二つの大きな成果を確信に

聞き手 小木曽陽司・赤旗編集局長

写真:新春インタビュー

 小木曽陽司 あけましておめでとうございます。

 志位和夫 あけましておめでとうございます。

 小木曽 今年はいよいよ統一地方選、参院選の年です。安倍政治とのたたかいも正念場です。昨年1年をふりかえりつつ、新年の抱負についてうかがいます。

 志位 昨年の「党旗開き」で、私は、「今年は絶対に負けられない二つのたたかいがある」と訴えました。一つは、沖縄県知事選挙で必ず勝利を勝ち取ること。いま一つは、安倍首相による憲法9条改定を許さないことです。

 沖縄県知事選では、「オール沖縄」の玉城デニー候補が、安倍官邸が総力支援した丸抱え候補に8万票の大差をつけて、知事選史上最高得票で圧勝しました。改憲を許さないたたかいでは、安倍首相は憲法審査会を動かして自民党改憲案を提示しようと執念を燃やしたわけですが、それを水際で撃退し、昨年の国会では断念に追い込んだ。この二つは大きな成果です。

 もちろん、どちらのたたかいも決着はついていません。今年は沖縄も憲法も正念場を迎えますが、安倍政権の思い通りにさせなかったことは、今年のたたかいを展望しても、大きな土台になるものです。

 小木曽 二つのたたかいでは、やはり「共闘の力」が大きかったですね。

 志位 そうですね。私たちは「市民と野党の共闘で政治を変える」という立場を堅持して、あらゆるたたかいにのぞみました。

 昨年を振り返って、野党の国会共闘の画期的な発展は特筆すべきです。昨年1年間で、5野党・1会派による「合同ヒアリング」が、通常国会、閉会中審査、臨時国会をあわせて167回も開かれました。野党が一致結束して安倍政権を追い詰め、政治を動かすいろいろな成果もあげてきました。

 「働き方改革」にかかわって、裁量労働制に関するデータのねつ造を暴いて、裁量労働制拡大の部分を法案から削除させたこと、外国人労働者の受け入れ拡大問題で、失踪した技能実習生から聞き取った「聴取票」のデータ改ざんを明らかにし、その実態を明るみに出したこと、などです。野党議員が力をあわせて「聴取票」を閲覧し一枚一枚書き写しする“写経共闘”も取り組まれました。安倍政権をボロボロになるまで追い詰め、そういうたたかいとあいまって、自民党改憲案を憲法審査会に出すことを許さない抵抗線がはられて、実際に水際でくいとめることができたのです。

 小木曽 なるほど。「オール沖縄」の共闘も、こうすれば勝てるという共闘のお手本を示すものでしたね。

 志位 ええ。何といっても明確な対決軸――辺野古新基地建設反対をひるむことなく掲げたことです。もう一つは、「心一つの共闘」――私たちは「本気の共闘」という言い方をしていますが、共闘の中にはいろいろな立場の人がいる、その立場の違いをお互いにリスペクト(尊敬)し合い、大義のもとに結束して頑張るということです。「沖縄のようにたたかえば勝てる」――このことをみんなの確信にして、今年は、日本を変えるたたかいに挑戦したい。

 統一地方選挙、参議院選挙は、日本の命運を分けるたたかいになります。市民と野党の共闘の勝利、日本共産党の躍進で、安倍政治を終わらせ、希望ある新しい政治に踏み出す年にしていきたいと決意しています。

安倍政治をどう倒すか――「忘れず、あきらめず、連帯して」

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(写真)志位和夫委員長

 小木曽 安倍政権とのたたかいは昨年暮れで7年目に入りました。安倍政治をどうみて、どうたたかうかは、引き続き大きなテーマです。委員長は昨年衆院在職25年を迎えましたが、安倍政治をどのようにみていますか。

 志位 戦後政治史に類を見ない悪質な政権ですね。この戦後最悪の政権にはメダルの表裏のような特徴があると思います。

 一方で、国民の民意を踏みつけにする強権政治です。国民多数が反対した安保法制=戦争法、共謀罪、秘密保護法を「数の力」で強行する。沖縄県民が何度選挙で「ノー」の審判をつきつけても辺野古新基地を力ずくで押しつける。

 もう一方では、ウソと隠ぺいの政治です。「森友・加計疑惑」にみられるように、総理大臣自身がウソをつく。そのウソにつじつまをあわせるために、まわりがウソをつくという“ウソの連鎖”が広がりました。隠ぺい・改ざんが、「森友・加計疑惑」だけでなく、「働き方改革」、南スーダンの自衛隊「日報」、外国人労働者問題などあらゆるところで起こった。政治モラルの一大崩壊が起こっています。

 強権政治を押し通すために、ウソをつき隠ぺいする。まさにメダルの表裏です。類をみない悪質さだと思います。

 小木曽 強権とウソ、そういうやり方に頼るしか、もはやこの国を統治する術(すべ)をなくしているということですね。その意味では大変もろい政権ですね。

 志位 そうです。どちらも決して政権の強さを示すものではなく、破たんの表れです。国民に説明がつかないことを無理押ししようとするから、強権に頼り、ウソや隠ぺいに頼る。

 小木曽 もっとも、これほど悪事を次から次へと続けられると、悪慣れし、あきらめてしまうということにもなりかねない。どう押し返していくか。

 志位 昨年各地で行われた演説会で、私は、「安倍政権がこれだけ悪事を重ねているのに倒れないのはなぜか。その理由と倒す方法をお伝えしましょう」(笑い)とのべ、安倍首相が権力を維持してきた「三つの卑劣な手口」を告発したんです。

 一つは、次々に目先を変えて国民に悪事を忘れさせる。二つ目は、強権に次ぐ強権を振るうことで国民をあきらめさせる。三つ目は、自分を批判する者は敵だと国民の中に分断を持ち込んでいくというものです。

 「忘れさせる」「あきらめさせる」「分断を持ち込む」というのが、相手側の常とう手段だとすると、国民がこれを倒す方法がはっきりする。第一は、安倍首相がやってきた悪事を一つ残らず覚えていて、忘れないで選挙で審判を下す。第二は、相手があきらめることを狙ってくるのだったら、沖縄のみなさんがやっているように、勝つまであきらめずにたたかい続ける。そして第三は、分断を持ち込むのなら、立場の違いを超えて連帯でこたえよう、市民と野党の共闘でこたえよう。「忘れず、あきらめず、連帯して」――この姿勢を堅持してたちむかうことが大切ではないでしょうか。

 小木曽 これは非常にわかりやすいですね。「忘れず、あきらめず、連帯して」を合言葉にたたかっていきましょう。

こんなアメリカ言いなり政治でいいのか(1)――沖縄への連帯のたたかいをさらに

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(写真)辺野古新基地建設は許さないと抗議集会に参加する人たち=2018年12月14日、沖縄県名護市辺野古

 小木曽 強権政治の最たるものは沖縄の新基地建設強行だと思います。昨年12月14日に辺野古の海を埋め立てるための土砂投入が強行され、怒りと抗議の声が一気に広がっています。

 志位 辺野古の海への土砂投入は、絶対に許せない。政府がここまで無法に無法を重ねているのは、もはや法治国家とはいえないし、民意を踏みにじるという点では、民主国家ともいえない。本当に許されないことです。

 ただ、展望がないのは政府の側です。沖縄の地元紙の報道によると、防衛省は2018年度に予定していた大浦湾側の護岸工事を20年度以降に見送ることにしたといいます。大浦湾には厚み40メートルものマヨネーズ状の「超軟弱地盤」が存在するため、大規模な地盤工事が必要となり、そのためには設計変更が必要です。設計変更には知事許可が必要ですが、デニー知事は断固反対です。だからこの報道によれば、防衛省担当者も大浦湾側での護岸工事に「着手できる見込みがない」といっているとのことです。

 追い込まれているのは政府の側です。デニー知事が頑張り、「オール沖縄」のみなさんが頑張り、全国が連帯すれば辺野古新基地は絶対つくれません。

 小木曽 土砂投入に対する怒り、抗議の広がりがすごいですね。

 志位 土砂投入という一大暴挙を転機にして、抗議の質が変わってきたと思います。

 一つは国内世論です。昨年12月の報道各社の世論調査では辺野古の土砂投入について、「反対」「不支持」がどれも50~60%台で多数です。沖縄のことを「わが事」として考える流れが日本列島に広がったというのは、大きな変化だと思います。

 もう一つ、世界からの批判が広がっている。ハワイ在住のロブ・カジワラさんが提起して、今年2月の県民投票までは埋め立てをやめるようトランプ米大統領に求める電子署名が始まり、16万人を超えたと報じられています。日本国内でも、タレントのローラさんなど多くの著名人が署名をよびかけ、大きな話題になっています。

 土砂投入を契機に、沖縄の怒りが、全国に、さらに世界に、あふれるように広がっています。

 小木曽 街で訴えていても反応が変わったという声が全国から寄せられます。

 志位 思いがけないところから発言が飛び出しています。ロシアのプーチン大統領が、辺野古新基地に対する日本政府の姿勢を引き合いに、ロシアが領土を日本に返した場合に米軍基地が置かれる可能性について、「日本の決定権に疑問がある」とのべたのです。「知事が基地拡大に反対しているが、何もできない。人々が撤去を求めているのに、基地は強化される。みなが反対しているのに計画が進んでいる」と。千島を占領し、クリミア半島を併合したロシアに言われたくはありませんが(笑い)、「日本の決定権に疑問がある」というのは、従属国家の真実を言い当てています。

 朝鮮半島で非核化と平和への流れが開始されているというのに、20年も前に決めた基地の計画を「見直してくれ」ということを一言もいわず、ただ決まったことだからと押しつける。これは最悪の「アメリカ言いなり政治」ですよ。

 小木曽 2月には県民投票も予定されています。

 志位 大成功させたいですね。今年も沖縄への連帯のたたかいをさらに強めましょう。

こんなアメリカ言いなり政治でいいのか(2)――異常な大軍拡にストップを

 小木曽 昨年末、日本の新たな軍事方針「防衛計画の大綱」(大綱)と2019~23年度の武器調達計画を示す「中期防衛力整備計画」(中期防)が閣議決定されました。安倍政権は、これに基づいて総額27兆4700億円というとんでもない大軍拡をたくらんでいます。メディアも「軍事への傾斜 一線越えた」「『専守』の歯止め どこへ」と厳しい批判をしています。

 志位 この異常な大軍拡には二つの側面があります。

 一つは、安保法制=戦争法のもとで一線を越えた質的変化がはっきりあるということです。これまでまがりなりに掲げていた「専守防衛」をかなぐり捨てたことです。

 その象徴は、海上自衛隊「いずも」型護衛艦を改修し、米国製のF35Bステルス戦闘機を運用できるように空母化することです。政府は、「戦闘機を常時搭載しないから、攻撃型空母にあたらない」などといっていますが、横須賀を母港とする米空母ロナルド・レーガンでも、艦載機は1年のうち半分くらいしか載せていない。「戦闘機を常時搭載しないから……」というのは、専門家の間ではおよそ通用しないデタラメです。対地攻撃能力のあるF35Bを「いずも」に載せれば、その搭載頻度にかかわりなく、地球の果てまで行って対地攻撃ができる能力を得ることなる。文字通り空母化です。

 小木曽 まさに安保体制のもとでの日米共同での海外での戦争体制ということですね、「専守防衛」の一線は完全に越えてしまいます。

 志位 もう一つの側面として、トランプ大統領いいなりで、「言われたから買います」という「浪費的爆買い」の問題です。日本政府は米国製のF35戦闘機を147機導入しようとしています。関連経費をふくめると2兆円を超える。これは安保法制=戦争法からも合理的な説明がつかない。航空自衛隊の元幹部は「100機以上も買って、いったい何をするのか。目的が全く見えない」といっています。元陸将の山下裕貴氏は「トランプの言いなりで兵器を買うな」、「貿易摩擦が起きるたびにアメリカから兵器を購入していたら、安全保障上の自主性が失われてしまう可能性もある」(『文芸春秋』19年1月号)と批判しています。もともと日本政府に「安全保障上の自主性」はありませんが(笑い)、いよいよなくなるということでしょう。

 「専守防衛」をかなぐり捨てる、「浪費的爆買い」に走る――いま進められている大軍拡計画は、二重の意味で最悪の「アメリカ言いなり政治」といわなければなりません。

 小木曽 ここまで軍事費が膨らみますと暮らし・福祉への圧迫もひどくなります。

 志位 2019年度予算案をみても、低所得者の後期高齢者の医療保険料の値上げ、生活保護をさらに削るなど、社会保障はわずかなものまで削っているのに、兵器は「爆買い」。冗談ではありません。「軍事費を削って福祉と暮らしにまわせ」――これは私たちの一貫したスローガンですが、いまこのスローガンが切実な重みをもって国民のみなさんの心に響くと思います。ぜひ大きな運動を起こしたいと思います。

 私たちは、安保法制の廃止、日米地位協定の抜本的見直し、辺野古新基地を許さない、大軍拡ストップなど、日米安保条約に対する態度の違いを超えて、切実な一致点での共闘に誠実に取り組みます。同時に、こういう異常な「アメリカ言いなり政治」の根っこには日米安保体制がある。日本共産党は、この根っこまで変えようという大志をもっている党だ、日米安保条約を国民多数の合意で廃棄して、対等・平等・友好の日米関係に切り替えることを、日本改革の方針の根幹にすえている党だ、ということも大いに訴えていきたいと思います。

こんな財界中心の政治でいいのか(1)――消費税10%ストップで大同団結を

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(写真)消費税10%ストップ!ネットワークの街頭宣伝=2018年12月24日、東京・新宿駅西口

 小木曽 経済と暮らしの面で、今年の大きなテーマになるのが、10月からの消費税10%引き上げです。

 志位 私たち日本共産党は、消費税という税金そのものに反対です。立場の弱い方に重くのしかかる逆進性のもっともひどい悪税ですから。同時に、いまの経済情勢のもとで増税したらどうなるか。これは2014年4月に8%へ引き上げたときに証明されているわけです。

 8%への増税を引き金にして、長期にわたる消費の冷え込みが続いている。8%増税から5年近くたってもなお、消費の落ち込みがずっと続き、増税前に比べて1世帯あたり年間25万円も消費が落ち込んでいます。ここで10%となると、日本経済が破滅に落ち込むというのは、立場の違いを超えた声になっています。

 「しんぶん赤旗」日曜版に内閣官房参与の藤井聡京都大学大学院教授が登場し、「栄養失調の子どもに絶食を強いるようなものだ」「日本経済を破滅させる」と反対の声をあげました。『文芸春秋』1月号には、セブン&アイ・ホールディングスの名誉顧問の鈴木敏文さんが、「いまのタイミングで消費税を上げたら、間違いなく消費は冷え込む」と反対しています。消費税は必要という立場の方からも、いま上げるのは自殺行為だという声が共通して出されている。ここが大切なところです。

 小木曽 政府は総額5兆円もつぎこんで「増税対策」を行うとしています。

 志位 「増税対策」が、「ポイント還元」やら「プレミアム商品券」やら「複数税率」やら、奇怪な形で膨れ上がりました。これは10%への増税を実施した場合に、どれほど景気、経済を痛めるかわからない。そのことへの「怯(おび)え」の表れだと思います。

 ただ、これは、混乱必至の事態をつくりだす。オロナミンCが8%、リポビタンDが10%(笑い)。税率だけでも、3%、5%、6%、8%、10%と5種類の税率になる。食料品か非食料品かで違いが出てくる。大手スーパーで買うのか中小小売店で買うのかコンビニで買うのかでも違いが出てくる。現金かカードかでも違いが出てくる。この三つの要素の組み合わせで税率が変わるから、とてつもない複雑な税率になってしまう。(笑い)

 小木曽 とても覚えきれません(笑い)。消費者にとっても、業者にとっても、とんでもない負担と混乱を招くことは必至ですね。日本スーパーマーケット協会、日本チェーンストア協会、日本チェーンドラッグストア協会の小売り3団体がポイント還元は「混乱を招く」と政府に異例の再考を要求しました。

 志位 そんなに景気が心配で奇怪な「増税対策」をやるくらいなら、初めから増税しなければいい。批判の角度はさまざまですが、「10月からの10%は中止せよ」の一点で大同団結することが大切ですね。

 小木曽 やはり消費税に頼らない道を追求しないと。

 志位 そうですね。歴史的にみて、日本の経済の長期停滞がどこから始まったかというと、消費税を5%に上げるなどした97年の9兆円負担増が大きな要因の一つであることは誰も否定できません。それだけの破壊的影響を日本経済に及ぼすことが、すでに実証されているんだから、根本的に別の道を選択する必要があります。

 日本共産党は、富裕層と大企業に対する優遇税制をなくして、一番大もうけしているところに世間なみに払ってもらうという対案を出しています。さらに、下げすぎてしまった法人税、下げすぎてしまった所得税・住民税の最高税率を元に戻す措置を取っていく。軍事費、原発推進予算、大型巨大事業などの無駄遣いにメスを入れるなど歳出改革も進めていく。これらによって当面17兆円の財源をつくろうと提案しています。日本共産党が、消費税に頼らない別の道を示していることを大いに伝え、「この道にこそ未来がある」と大いに訴えていきたいと思います。

こんな財界中心の政治でいいのか(2)――財界主導の「成長戦略」の切り替えを

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(写真)小木曽陽司赤旗編集局長

 小木曽 もう一つ、財界主導の「成長戦略」がどれも行き詰まって、破たんが明確になってきているという問題があります。

 志位 安倍首相の「成長戦略」なるものは、大企業にもうけさせる、そうすればもうけの果実が国民に広く及び、日本経済が成長するという、大企業の応援政策だったわけですけど、その「成長戦略」がどれもこれもうまくいっていません。大企業にはたしかに巨額のもうけが転がり込み、空前の内部留保が積みあがっているが、日本経済はさっぱり成長しない。国民の暮らしは冷え込んでいる。ここでも行き詰まりなのです。

 そのなかで、武器輸出、原発輸出、カジノ解禁など、“禁じ手”に手を出し始めたというのが、この間の動きです。邪道に足を踏み入れた。

 小木曽 臨時国会閉会の議員団総会で委員長が、臨時国会で強行した悪法の名をあげ、すべて経団連発で“禁じ手”に踏み込んでいるという話を大変印象深く聞きました。

 志位 外国人労働者、沿岸漁業、水道事業という、きちんとした公的規制がなければ成り立たない分野まで規制緩和を押しつけ、財界の食い物にしようという法改悪をやりました。“禁じ手”中の“禁じ手”に踏み込んだものです。

 そうした“禁じ手”の政策の大破たんが目に見えてはっきりしたのが、原発輸出だと思います。年末に、日立のイギリスへの原発輸出計画が延期になったというニュースが伝えられました。日本の原発輸出の計画は、米国、台湾、ベトナム、リトアニア、トルコ、インド、そして英国と、軒並み断念・保留に追い込まれた。全滅ですよ。

 東京電力福島第1原発の大事故で、原発の危険性が全世界に広く明らかになった。同時に、原発事故で安全コストが急騰した。原発はもうビジネスとして成り立たないということです。輸出できないものを「コストが安い」とウソをついて再稼働などというのは、まったくの論外だと強くいいたいですね。

 小木曽 しかも、この問題は安倍首相自身がトップセールスで売り込んだものですから、首相の責任が真っ先に問われなければいけませんね。

 志位 その通りです。安倍政権の「成長戦略」――大企業のもうけ口を政治がつくってやって、大企業をもうけさせれば日本経済が成長するというのは幻想だった。それがこれだけ証明されているわけですから、大転換が必要です。働く人の所得を増やし、国民の暮らしを良くすることを最優先において、日本経済の安定した健全な成長をはかるというところに、大きく切り替えていかなければなりません。

 働く人の長時間労働を是正する、最低賃金を抜本的に引き上げる、非正規の方を正社員にする、大企業と中小企業の公正な取引を保障する――国民の暮らしを守るルールをつくっていく。ルールをつくることで働く人の所得を増やし、大企業のなかにたまった400兆円を超える内部留保が、働く人や中小企業にきちんと流れるようにする。そうしたまともな循環が起こるようにして、経済を草の根から温め、健全な成長をはかるというところに切り替えようということを、大いに訴えていきたいと思います。

安倍9条改憲を許さない――野党共闘と「草の根のたたかい」の力で

 小木曽 安倍9条改憲については、昨年は首相の思い通りにさせなかったわけですが、決着がついたわけではありません。首相は臨時国会の最終日に、「2020年は新しい憲法が施行される年にする意思は」と問われて、「その気持ちは変わりがない」と言い切っています。まったくあきらめていません。

 志位 安倍首相がここまで9条改憲に執念を燃やす理由はどこにあるのか。

 一つは、彼の個人的な野望があると思います。自分の祖父――岸信介首相は日米安保条約改定で歴史に名を残した。自分は戦後初めて憲法を変えた総理大臣として歴史に名を刻みたい。将来の学校の教科書にもそう書かれたい(笑い)。そうした個人的野望です。

 ただそれだけではない。より本質的な理由は、安保法制=戦争法をつくって「戦争する国」づくりに向けて駒を大きく進めたが、その安保法制でも越えられない壁がある。武力行使を目的にした海外派兵はできない建前になっている。集団的自衛権の全面的行使もできない建前になっている。だから南スーダンに派兵したが内戦状態になると撤収しなければならない。まだ憲法9条――9条2項は生きているのです。これを文字通り亡き者にしてしまおう。そのためには、憲法9条に「自衛隊の保持」を書き込めばいい。そうなれば、「後からつくった法は、前の法に優越する」という法の原則から、9条2項を「立ち枯れ」にすることができる。海外での武力行使が何の制約もなくできるようになる。こうした執念・衝動が働いていると思います。

 小木曽 それだけに、この9条改憲の野望をどうやって阻むかが、今年の大きな課題ですね。

 志位 今年は、9条改悪の企てを、安倍政権もろとも葬り去るという年にしていきたいですね。

 そのために大切なことの一つは、野党共闘を揺るがないものにすることです。野党各党は、憲法に対する態度はさまざまですが、「これだけ憲法をないがしろにする安倍政権のもとでの9条改憲は認められない」という点では一致しています。「安倍首相に憲法を語る資格なし」――憲法改定という土俵に上がる資格がないということを大いに訴えて、結束して頑張りぬくことが第一です。

 もう一つ、何よりも強調しておきたいのは、勝負は「草の根のたたかい」だということです。自民党の下村博文憲法改正推進本部長が昨年末、日本会議系の集会で、全国289の小選挙区支部で、日本会議と連携しながら、地域の憲法改正推進本部設置を進めるよう要請したというニュースが流れました。下村氏は「国民投票に向けて連絡会をつくりたい。202(支部)までめどが立った。まだ90弱残っているが、何とか年内に達成したい」と発言した。相手は国民投票の準備を始めているわけです。

 私たちは、草の根で安倍改憲に反対する3000万人署名に取り組んでいますけれど、これを集め切って、圧倒的な世論をつくりあげ、相手が恐ろしくて改憲の発議などできないという力関係を草の根でつくりあげる。ここが何よりも重要です。

 小木曽 「国民投票にかけたら敗北必至だ」と、彼らにそう思わせるような草の根の運動をどれだけ広げることができるかにかかっていますね。

韓国訪問について――青瓦台でのやりとりで徴用工問題の解決への道筋が

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(写真)韓国大統領府で会談後、文在寅大統領(右)と握手する志位委員長=2018年12月14日、ソウル

 小木曽 志位委員長は昨年末、韓国とベトナムを訪問されました。どういう目的の訪問で、両国でどのような活動をし、どんな成果があったのか、お話しください。

 志位 まず韓国ですが、日韓・韓日議員連盟合同総会が12月13、14両日にソウルで開催されて、それに参加しました。今回の総会は、朝鮮半島の非核化と平和という新しい画期的情勢が進展する一方、徴用工問題などをめぐって日韓両政府の関係が悪化するというもとで開催されました。

 ですから、日本共産党としてはこの総会を重視し、議員6人、秘書3人の総勢9人を派遣して、この総会が、朝鮮半島の平和のプロセスを促進するとともに、日韓の歴史問題の解決にも資するものとなるよう、力を尽くしました。日本側の参加者は全体で30人だったので、共産党の“議席占有率”は20%、自民党13人に次ぐ“第2党”でした(笑い)。積極的な役割を果たせたと思います。

 小木曽 文在寅(ムン・ジェイン)大統領との会談もあったのですね。

 志位 14日に、日韓議連の代表団として青瓦台の大統領府を訪問し、文大統領と会談しました。日本共産党からは私が参加しました。会談では徴用工問題が焦点となり、やりとりのなか文大統領が、昨年10月の韓国大法院(最高裁)での徴用工問題での判決以降では初めて「被害者個人の請求権は消滅していない」という認識を表明したことは重要であり、韓国では大きなニュースとして報じられました。

 会談のやりとりを紹介しますと、冒頭、文大統領が、日韓議連代表団を歓迎し、「歴史を直視し、未来志向で、平和と繁栄に向けて協力していきたい。不幸な過去をともに克服し、真の友達の関係を築いていきたい」と表明しました。

 日本側からは、額賀福志郎日韓議連会長が発言し、「(出発前に)安倍首相と意見交換を行った。安倍首相と共有したことをのべる」として、「慰安婦問題で『和解・癒やし財団』が解散されたこと、『徴用工』問題で韓国大法院で(賠償命令の)判決が下ったことに、安倍首相も私も、韓国の今後の対応を憂慮している。韓国政府に適切な対応を期待する」とのべました。

 それに対して文大統領は、徴用工問題について、「この問題では、労働者個人が日本企業に対して請求した損害賠償請求権まで消滅したのではないと見ている。十分に時間をかけて、知恵を集めて解決したい。この問題で両国民の敵対感情を刺激しないよう、慎重で節制された表現が必要だ。両国間の友好な情緒を損なうことは韓日の未来の発展に役立たない」と語りました。

 ここで、私は発言を促され、日韓両政府には前向きな一致点があり、打開の方策もしっかりあるということを短い発言で表明しようと考え、こう発言しました。

 「私は、徴用工問題の本質は植民地支配と結びついた人権侵害というところにあると考えている。だから、『植民地支配の反省』を明記した(1998年の)『日韓パートナーシップ宣言』の精神に立って、被害者の名誉と尊厳が回復されるよう、日韓がともに努力していくことが大切だ。

 そのさい、(1965年の)日韓請求権協定によって、両国間の請求権の問題が解決されたとしても、被害者個人の請求権を消滅させることはないということは、日本政府も最近も国会答弁で公式に表明していることだ。(日韓)両国政府はこの点で一致している。この一致点を大切にして、被害者の名誉と尊厳の回復に向けた前向きな解決が得られるよう、日韓の冷静な話し合いが大切だと思う」

 私の発言を受けて、額賀氏が次のような発言を行いました。「個人の請求権については、志位委員長が言われたように消滅していないが、外交保護権については消滅している」

 それを受けて文大統領は最後にこう言いました。

 「額賀会長、志位委員長の発言に感謝する。不幸な歴史の解決に向けて両国の合意をはかりたい。個人の請求権は消滅していないということは重要なことだ。この立場に立てば、円満な解決がはかられるのではないか」

 小木曽 「個人の請求権」をめぐって、そんな重要なやりとりがあったとは驚きました。

 志位 このやりとりについては、青瓦台(大統領府)が発表した「書面ブリーフィング」でも詳細に明らかにされています。

 短い40分程度の会談でしたが、問題解決に向けての前進の手がかりになりうる重要なやりとりになったと思います。会談が終わったあと、私の発言に対して、同席していた他党の議員から「よく分かりました」「胸がすっとした」などの賛意、歓迎の声も寄せられました。

 小木曽 論点が整理されたということですね。

 志位 韓国大法院の判決というのは二重にできていて、(1)個人の請求権は消滅していない、(2)国と国においても請求権が解決していない問題があるというものです。私は、この論理は全体として検討されるべき論理だと考えています。同時に、両方をいっぺんに解決するのは、現状では不可能だと思います。

 ではどうするか。「被害者個人の請求権は消滅していない」という点では日韓両国政府が一致しているわけですから、まずは、その一致点を大切にして前向きの解決方法を見いだす。国と国との請求権の問題の解決は、将来の課題とする。こういう段階的な解決が、現実的な解決法ではないかと思います。

 2007年の日本の最高裁の判決では、中国の強制連行被害者が西松建設を相手に起こした裁判について、日中共同声明によって「(個人が)裁判上訴求する権能を失った」としながらも、「(個人の)請求権を実体的に消滅させることまでも意味するものではない」と判断し、日本政府や企業による被害の回復に向けた自発的対応を促しました。この判決が手掛かりになって、被害者は西松建設との和解を成立させ、西松建設は謝罪し、和解金が支払われました。朝鮮半島からの強制動員の場合も、同じように和解による解決が一番現実的な解決法ではないか。和解を促進するために日韓両国政府が冷静な話し合いを行うことが大切ではないかと考えています。

 小木曽 なるほど。「個人の請求権は残っている」という一致点で冷静に話し合うというのが、もっとも現実的な解決法といえますね。

 志位 ええ、ぜひとも、そういう方向で解決のために努力したいと思っています。青瓦台での会談は、そうした解決が可能だということを明らかにした話し合いになったと思います。

「戦争の危険が遠のき、平和への大転換が起こった」――このプロセスの成功を

 志位 それから、合同総会ですが、五つの分科会すべてに、わが党議員が参加し、それぞれ積極的に発言し奮闘しました。吉良よし子議員は、未来委員会の委員長代理を務め、閉会総会では、日本側の責任者として堂々と報告しました。

 採択された合同総会の共同声明では、歴史問題について、「被害を訴える当事者の名誉と尊厳が回復されるよう、日韓パートナーシップ宣言の趣旨に基づき、相互互恵の精神で共に努力する」と明記されました。これは重要な確認になったと思います。

 北東アジアの情勢の対応については、「南北・米朝首脳会談などが北東アジアと朝鮮半島の平和に寄与するとの認識で一致し、今後とも北朝鮮の核・弾道ミサイルの廃棄と平和体制の構築に向けて、国際規範の下での安全保障分野における協力を強化していく」と明記されました。

 共同声明は、全体として積極的な内容となったと思います。

 それから、韓国の国会議員のみなさんとさまざまな場で懇談する機会がありました。韓国の議員のみなさんからは、南北・米朝関係の前途については希望と懸念が入り混じる見方が語られましたが、「戦争の危険が遠のき、平和への大転換が起こった」ことへの喜びは共通して語られたことがとても印象的でした。「この時計の針を逆に巻き戻すことは、韓国国民の誰も望んでいない」という発言もありました。

 昨年、朝鮮半島で開始された、非核化と平和体制構築のプロセスを何としても成功させるため、今年、私たちもあらゆる力をつくしたいと考えています。

ベトナム訪問について――核兵器禁止条約早期発効、東アジアの平和へ協力強化

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(写真)会談前にチョン書記長(右)と握手する志位委員長=2018年12月18日、ハノイ(面川誠撮影)

 小木曽 韓国に続いてベトナムを訪問されました。これはどういう経緯だったのでしょうか。

 志位 ベトナム共産党中央委員会から私あてに「早い時期にベトナム訪問を」との招請があり、今回の訪問が実現しました。ベトナム側は、わが党の代表団の訪問をきわめて重視し、熱い友情をもって、丁重に迎えてくれました。

 12月17日に、ファム・ミン・チン政治局員、ホアン・ビン・クアン対外委員長と会談し、18日に、グエン・フー・チョン書記長・国家主席、チャン・クオック・ブオン書記局常務と会談しました。19日にはベトナム外交学院で講演、20日にはハノイの南に位置するニンビン省に行き、世界自然遺産のチャンアンの美しい自然に接し、地元のニンビン省の党のみなさんと交流するなど、とても充実した日程でした。

 小木曽 会談ではどういう話し合いが行われましたか。

 志位 チョン書記長、ブオン書記局常務との会談は、夕食会を含めて計4時間半に及びましたが、たいへん重要な合意が得られました。

 私は、今回の訪問では、両党が共通して直面している国際問題で集中して意見交換を行い、協力の強化をはかりたい考え、わが党の立場をまとまって話しました。

 ――署名69カ国、批准19カ国となっている核兵器禁止条約の一日も早い発効を国際社会が推進することが重要だとのべ、10番目の批准国であるベトナムとの協力の強化を願っていると話しました。

 ――東アジア地域に平和と安定を築いていくことについて、米朝・南北首脳会談など朝鮮半島の非核化と平和体制の構築へのプロセスを促進するとともに、北東アジア地域に多国間の安全保障の枠組みをつくることが重要だと考えていると話しました。東南アジア諸国連合(ASEAN)が果たしている中心的役割を支持するとともに、日本共産党が提唱している「北東アジア平和協力構想」を紹介し、両地域での平和の取り組みが東アジア全体の平和と安定につながるように力をあわせたいとのべました。

 ――南シナ海問題については、国連海洋法条約(UNCLOS)など国際法に従った紛争の平和解決などASEANの原則を支持し、法的拘束力と実効性ある南シナ海行動規範(COC)の制定などの外交努力を支持すると表明しました。

 小木曽 それぞれの問題について、ベトナム側はどういう態度を表明したのですか。

 志位 グエン・フー・チョン書記長・国家主席との間で、焦眉の国際問題への対応で多くの一致が確認できました。

 チョン書記長は、核兵器禁止条約の早期発効について、「ベトナムは禁止条約を10番目に批准しました。ともに全力をあげましょう」と語りました。

 朝鮮半島の非核化と平和体制構築の問題については、ベトナムが韓国、北朝鮮の双方と友好関係にあることを強調し、「平和と非核化を支持する」、そのためにあらゆる可能なことをやる用意があると発言しました。

 わが党の「北東アジア平和協力構想」について、支持が表明されました。

 ASEANについては、何よりも大事なのは自主独立、団結と統一だということが強調されました。南シナ海問題については、非常に複雑なこの問題について、日本共産党が共通の立場をもっていることへの感謝が表明されました。

 私は、これまでも何度かベトナムを訪問して、当面する国際問題の協力について話し合ってきましたが、これまでと比較しても、よりいっそう具体的に踏み込んで、意見の一致を確認し、協力することで合意することができました。たいへんに重要な成果だったと考えています。

両党関係の発展――新たな高みに引き上げる3点の重要な合意

 小木曽 日本・ベトナムの両党関係でも発展があったのですね。

 志位 私とチョン書記長は、この間の両党関係について、とりわけ2007年以来8回におよぶ理論交流と、国連やICAPP(アジア政党国際会議)など国際会議での協力などを通じて、両党関係が大きく発展してきたことを確認しました。チョン書記長は、「両党の理論交流はとても有益であり、とても必要だ」と強調していましたが、一連の会談で、理論交流が有益で重要だということが共通してのべられたことは、たいへんうれしいことでした。

 さらに、私とチョン書記長は、今後の両党関係について、(1)ハイレベルの交流を維持・促進すること、(2)理論交流を継続・発展させるとともに、急速に変わる国際情勢について国際部門で機動的に意見交換を行うこと、(3)世界と地域の平和と発展のために、国連、政党会議などさまざまな国際会合・フォーラムで緊密に連携していくこと――の3点について合意しました。これは両党関係を新たな高みに引き上げる重要な合意で、訪問の大きな成果となったと思います。

 今後の実際の活動を考えてみても、この合意のもつ意義は大きいと思います。ベトナムは2020年1月から国連安全保障理事会の非常任理事国になる予定です。これまでもベトナムとは核兵器廃絶にむけ国際舞台で協力してきましたが、今回の合意をふまえ、20年のNPT(核不拡散条約)再検討会議などでの協力がより緊密にできることになるでしょう。

ドイモイについて、「社会主義をめざす探求」の真剣さについて

 小木曽 ベトナムは、市場経済を通じて社会主義をめざすというドイモイの事業を進めていますが、今回の訪問ではどのように感じられましたか。

 志位 今回の訪問で、私は「二つの点に注目しています」と話しました。

 一つは、貧困削減に目覚ましい成果をあげていることです。貧困率を1990年の58%から、2010年には10%、近年には5・9%に激減させたとのことです。世界銀行からも、「7割の世帯が安定した生活を営めるようになっている」と高く評価されていることは、うれしいことです。

 いま一つは、原発輸入を中止するという勇気ある決断を行ったことです。5年前にチョン書記長と会談した時に、私は、原発を導入するかどうかはベトナムの内政問題だが、福島の原発事故をみても、原発はとても人類が使いこなせるような技術ではないと考えているという話をしました。その後、原発輸入の中止という決断をしたということは、社会主義の精神の発揮だと思います。

 小木曽 社会主義の精神の発揮と。

 志位 そう感じます。ドイモイの外交路線について、チョン書記長が次のように語ったことは、たいへん印象深く受け止めました。

 「ベトナムは、独立、自主、平和、協力、安定、多角化の路線をもっている。各国とは友邦になるが、自主独立を守り、溶解してはならないし、従属してもならない。諸問題に臨機応変に対応するが、社会主義、マルクス主義、ホーチミン思想を一貫して堅持する」

 この言葉は、今回の訪問における、わが党に対するベトナム側の誠実で真摯(しんし)な対応とあわせて、ベトナム党指導部の「社会主義をめざす探求」の真剣さを感じさせるものであったことを、報告しておきたいと思います。

 小木曽 ベトナムの技能実習生の問題も取り上げられて話題になりました。

 志位 ベトナム人の技能実習生の問題について、私たちの側から、「日本の政党の責任として劣悪な実態の解決に力をつくす」ことを約束するとともに、必要な情報の提供をお願いしました。ベトナム側は、「感謝し、歓迎します」と応じました。NHKもこの問題に注目して報道しました。

ベトナム外交学院での講演――「自由ベトナム行進曲」の大合唱

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(写真)志位委員長の講演を聞く外交学院の学生ら=2018年12月19日、ハノイ(面川誠撮影)

 小木曽 ベトナム外交学院ではどのような講演をされたのですか。

 志位 ベトナム外交学院は、1学年200人ぐらいの学院ですが、卒業生の4分の1ぐらいが外交官になり、他の学生も多くが政府などの重要な行政機関の働き手になると聞きました。

 「21世紀、世界と東アジアの平和の展望」と題して講演し、質疑に応じました。政治会談とは角度を変えて、日本共産党の綱領の世界論に立って、20世紀に進行した「世界の構造変化」とはどういうものだったか、ベトナム革命はどういう役割を果たしたか、21世紀の世界を全体としてどうとらえるか、東アジアにどうやって平和を築いていくかなどについて、わが党がこの間の理論と実践を通じて考えていることをまとまってお話しする機会となりました。(講演と質疑は4日付に掲載します)

 小木曽 歌も披露されたことが、話題になりました。(笑い)

 志位 講演の冒頭、「自由ベトナム行進曲」という、ベトナムがフランスからの独立を獲得した時の革命歌で、日本に1954年に紹介され、日本でもベトナム侵略戦争に反対する連帯闘争のなかで歌われていた歌について、若いみなさんに「知っていますか」と尋ねたところ、「知っています」との答え。私も、若いころよく歌った歌で、たいへん懐かしく、一節を歌いました。

 そうしたら、講演と質疑を終えて、最後に、司会の方が、「志位委員長に対するお礼に、みんなで『自由ベトナム行進曲』を歌いましょう」とよびかけ、全員で大合唱となりました。ベトナム革命の精神が、若い世代に受け継がれていることを感じ、とてもうれしい思いでした。

 小木曽 革命精神の「世代的継承」ですね。(笑い)

 志位 そうですね。抗米救国戦争に勝利してから40年余がたち、若い世代には直接の記憶はないわけですが、革命精神の「世代的継承」は成功しているように感じました。

 私自身、3回目のベトナム訪問となりましたが、回数を経るに従って相互理解と相互信頼の深まりを感じます。日本共産党への特別の信頼を強く感じました。また、ドイモイの事業に対する自信、ベトナムの国際的比重の高まりと役割への強い自信を感じました。そのもとで、両党が国際問題でのいっそう緊密な協力、両党関係の新たな発展について合意したことは、今後にとって画期的な意義をもつものとなったと思います。

統一地方選挙、参議院選挙での勝利に向けて

 小木曽 さて、今年はいよいよ選挙の年です。統一地方選挙、参議院選挙という連続した選挙をどうたたかいますか。

 志位 目前に迫っているのは統一地方選挙ですから、ここで躍進を勝ち取るということを前面にすえて奮闘しつつ、同時に「参院選は統一地方選が終わってから」という段階論に陥らないで、「比例を軸に」すえた参院選での躍進を一貫して追求していきます。参院選では、比例代表で「850万票、15%以上」を獲得し、7人以上を当選させ、選挙区では現有3議席を絶対に確保し、さらに増やす。こういう躍進にむけた取り組みを、統一地方選勝利と同時並行で追求していきたいと思います。

 統一地方選挙についていいますと、躍進するのは容易ならざる課題です。前回、4年前の選挙は、21議席に躍進した2014年の総選挙の直後の選挙で、道府県議の選挙では80議席から111議席へ31議席増となりました。ですから、現有を守ること自体が、なかなかの大事業で、それにプラスをしたら大勝利となります。現有議席を絶対確保することを最優先にすえ、新たな議席増に攻勢的にかつ手堅く挑戦する。そういう構えでたたかいたいと思います。

 前回の選挙では、すべての道府県議選で議席を獲得し、空白県議会をなくしました。これは史上初めての快挙でした。今回は、絶対に新たな空白をつくらないということも、とくに心がけたい。2回続けて空白ゼロとなりましたら、これも「史上初めて」(笑い)の大記録になりますから。

 小木曽 ぜひ、そういう記録を打ち立てたいものですね。

 志位 躍進するのは容易ならざる課題だとのべましたが、その条件は大いにあります。何よりも、安倍政治に対するもっとも痛烈な対決者として、いま共産党を伸ばしたいという期待を感じます。そして、市民と野党の共闘の推進者として、共産党を大きくしたいという期待も感じます。

 地方政治においては、全国の自治体の多くは、依然として共産党をのぞく「オール与党」なんですね。そういうなかで、福祉と暮らしを守るうえでも、巨大開発の無駄遣いをやめるといううえでも、議会と自治体の民主的な運営でも、あらゆる問題で、日本共産党議員団は抜群の役割を果たしています。前回、空白を克服した七つの県に伺いますと、共産党の議席が生まれて県議会の雰囲気が一変したということが、どこでも語られていました。

 そういう条件をすべて生かせば、躍進は可能です。

 小木曽 参院選では市民と野党の共闘をぜひ実らせたいですね。

 志位 その通りです。32の1人区での「野党候補の一本化」では野党の間で足並みがそろってきているわけですから、一刻も早く政党間でその具体化のための協議を始めることを、重ねて呼びかけたいと思います。「本気の共闘」を実現し、安倍政権を退場させる選挙にしていきたい。

 同時に、「本気の共闘」を成功させるうえでも、統一地方選挙で共産党が勝利・躍進することが決定的に重要です。

 「強く大きな党をつくりながら選挙に勝つ」ということを追求し、「前回参院選時比3割増」を目標に、党員を増やす、「しんぶん赤旗」読者を増やす、後援会員やJCPサポーターも増やす。そうやって党の新しい活力を強めながら、選挙を大いに楽しく、元気いっぱいたたかいたいと決意しています。頑張ります。

 小木曽 「しんぶん赤旗」も連続選挙勝利、安倍政権打倒へ全力をつくします。今日はどうもありがとうございました。

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「今回の着工式は、今後南北が鉄道・道路の連結および現代化のために積極的に協力していくという意志を示すことに意味がある」

2018-12-25 | 戦争だけはやめてほしい

離散家族キム・クモクさん、ソウル駅から列車で故郷の開城へ

登録:2018-12-24 22:13 修正:2018-12-25 08:21

 
18日午前、都羅山駅で1師団の将兵が、南北鉄道共同調査に出た南側列車の安全点検のために装備を設置している=2018.12.18[写真共同取材団]//ハンギョレ新聞社

 26日、開城(ケソン)板門(パンムン)駅で開かれる「京義線・東海線の鉄道・道路連結および現代化着工式」に、開城が故郷のキム・クモクさんなど、離散家族5人がソウル駅から列車に乗って参加する。当局代表として南側からは国土交通部長官、統一部長官らが、北側からは祖国平和統一委員会委員長が参加する。国連・中国・ロシア・モンゴルの代表も参加する。

 統一部は24日「着工式は午前10時から開城板門駅で祝辞(着工辞)、枕木書名式、軌道締結式、道路標識板除幕式、記念撮影の順で1時間余り進行される予定」とし、このように明らかにした。統一部は「着工式出席のために、ソウル駅から板門駅の間に特別列車9両を編成し運営する計画」だとし「私たちの参加者は午前6時45分にソウル駅を出発し、都羅山(トラサン)駅を経て午前9時頃に開城板門駅に到着する予定」と付け加えた。

 南側の主な参席者は、キム・ヒョンミ国土交通部長官とチョ・ミョンギュン統一部長官、イ・ヘチャン共に民主党代表と与野党の各院内代表、離散家族、京義線最後の機関士のシン・チャンチョルさん、韓国交通大学校学生、南北協力基金寄付者などだ。北側からは、リ・ソングォン祖平統委員長を主賓とし、民族経済協力委員会のパン・ガンス委員長とパク・ミョンチョル副委員長、キム・ユンヒョク鉄道省副相、パク・ホヨン国土環境保護省副相、チェ・ビョンヨル開城市人民委員会委員長の6人が参加する予定だと統一部が伝えた。

 これと共に、国連アジア太平洋経済社会理事会(UNESCAP)事務総長を含め、中国国家鉄道局次官補、ロシア交通部次官、モンゴル道路交通開発部長官とモンゴル鉄道公社副社長など外賓8人も着工式に参加する。

 統一部は「今回の着工式は、今後南北が鉄道・道路の連結および現代化のために積極的に協力していくという意志を示すことに意味がある」として「着工式以後に追加・詳細な調査、基本計画樹立、設計などを進めていく予定」と明らかにした。続けて「実際の工事は、北朝鮮の非核化進展と国際社会の対北朝鮮制裁の状況を見ながら推進することになるだろう」と付け加えた。

イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
コメント

南北がかなりのレベルの軍事的信頼を構築し、事実上戦争の可能性が消えた状態だと言える。

2018-12-11 | 戦争だけはやめてほしい

国防部、朝鮮半島の平和想定した「国防プランB」作る

登録:2018-12-10 00:09 修正:2018-12-10 16:47

「国防改革2.0推進現況」単独入手 
 
国防部、北朝鮮の非核化平和協定に備え 
「予備計画の準備」基本計画に明示  
北朝鮮の脅威抑制「3軸システム」の名称を変更 
20日、大統領府に報告した後推進へ

 
2017年9月15日、軍が相次ぐ北朝鮮のミサイル発射実験に対応するため北朝鮮の挑発原点を考慮し、地対地ミサイル「玄武2」実射撃訓練を実施する様子//ハンギョレ新聞社

 国防部が20日、大統領府に報告する予定の「国防改革2.0基本計画」に、今後北朝鮮の非核化と平和協定の締結など変化した朝鮮半島情勢と安保状況を想定した「プランB」樹立計画が含まれていることが確認された。国防部が国防基本計画を作成する際、基本計画に代わる予備計画を共に作成するのは今回が初めてだ。

 国防部はまた、北朝鮮の核と大量破壊兵器を抑制するための戦略の中核となるいわゆる「韓国型3軸システム(3K)」を、「戦略的抑制能力の構築」という意味を盛り込む方向で名称を変え、基本計画に明示することにした。このため、北朝鮮の核・ミサイルに対する先制的打撃を示す第1軸(キルチェーン=Kill Chain)は「戦略的打撃」に、大量反撃報復を意味する第3軸(KMPR)は「圧倒的な対応」に変更される。

 ハンギョレが9日に入手した「国防改革2.0推進現況」によると、国防部は、北朝鮮の非核化に具体的な進展が見られ、究極的には平和協定が締結される時に備えて、「プランB」を用意すると国防基本計画に明示した。北朝鮮の脅威を想定した国防基本計画は維持するものの、北朝鮮の脅威が減り、中国の軍事力強化による米中の覇権争いなど新たな脅威が台頭すれば、直ちに「プランB」に転換するということだ。

 
                      軍構造の基本計画とプランB//ハンギョレ新聞社

 国防部は「プランB」の目標達成時点を「米国が北朝鮮の非核化を宣言し、北朝鮮の潜在的な核能力は推定されるが、実質的な使用は制限される時」とした。「軍備統制が構造的段階に移行し、北朝鮮と偶発的な小規模衝突はあり得るが、全面戦争に拡大する可能性は稀薄な状況」と推定される。南北がかなりのレベルの軍事的信頼を構築し、事実上戦争の可能性が消えた状態だと言える。

 国防部は基本計画を「プランB」に転換した際、予想される争点として、在韓米軍の役割や性格の変化、韓米連合軍司令部の指揮体系の調整などを挙げた。常備兵力の規模調整や徴兵制の維持なども争点化する可能性があると明示した。国防部は資料で「今年10月から韓国国防研究院に『未来国防ビジョン概念研究タスクフォース』を設置し、『プランB』の細部計画を準備している」と明らかにした。

 国防部の「韓国型3軸体系」の名称変更は、北朝鮮の核と大量破壊兵器の脅威に対抗して作られた従来の用語が、心理的攻勢に偏り、軍の現実的力量を十分に反映できていないという反省から出発したという。南北が「9・19軍事合意」を次々に履行し、軍事的緊張が低くなる状況で、むやみに北朝鮮を刺激する必要がないと判断したものと見られる。

 国防部の名称変更方針に伴い、第1軸(先制的打撃・キルチェーン)-第2軸(韓国型ミサイル防衛・KAMD)-第3軸(大量反撃報復)で構成されている既存の3軸体系は、第1軸(戦略的打撃)-第2軸(ミサイル防衛)-第3軸(圧倒的な対応)に変わる。しかし、3軸体系の詳細な作戦および戦力増強計画はそのまま維持されるという点で、変わったのは表向きだけという指摘もある。来年の国防予算にも、3軸体制の構築に今年より7063億ウォン(約710億円)増えた5兆691億ウォン(約5100億円)が投入される。

ユ・ガンムン記者、ノ・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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「北朝鮮の偽装平和攻勢に翻弄され、大韓民国が共産化の危機に直面した」という極端な主張まで広まっている。

2018-11-27 | 戦争だけはやめてほしい

[ファクトチェック]

南北軍事合意で武装解除された?「安保不安」を助長する詭弁

登録:2018-11-27 00:25 修正:2018-11-27 07:51

「軍事合意の歪曲」検討してみると 
元国防長官、合同参謀本部幹部まで乗り出して攻撃 
「安保惨事、武装解除、降伏文書」激しく非難 
「北朝鮮の偽装平和に翻弄され、共産化の危機」極端な主張まで 
軍事専門家ら、事実と異なるか誇張・歪曲と反論

 「安保惨事、武装解除、降伏文書、軍事IMF(通貨危機)、国家的自殺…」

 「9・19南北軍事合意書」を攻撃する人々の声が激しさを増している。軍事合意書が韓国軍の安保力を根本から揺るがしただけでなく、ソウルを北朝鮮の奇襲攻撃に露出させるなど、軍事的災いを招いたと非難している。「北朝鮮の偽装平和攻勢に翻弄され、大韓民国が共産化の危機に直面した」という極端な主張まで広まっている。

 このような主張をする人々には、国防長官や合同参謀本部幹部を務めた人物がかなり含まれている。一時は韓国軍を指揮した彼らの主張を聞いていると、不安感を抱かざるを得ない。しかし、彼らの主張を詳しく検討してみると、誇張と歪曲が少なくない。いくつかの主張は軍事専門家という名を悪用した「偽り」に近い。

 
今月5日、南北共同漢江河口水路の調査が始まった中、江華喬桐島北端の漢江河口で、ユン・チャンフィ共同調査団長が北側調査団と挨拶を交わしている。軍当局や海運当局関係者、水路調査専門家などが参加した共同調査団は、南北それぞれ10人で構成された=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

■漢江河口を共同利用すると、北朝鮮軍の奇襲渡河を許す結果となる?

 シン・ウォンシク元合同参謀次長は「漢江(臨津江)河口が共同利用水域になれば、北朝鮮軍特殊部隊がいつでも漢江を渡ってソウルを侵攻できる」と主張する。金浦(キンポ)半島が第2次世界大戦当時、ドイツ軍がフランスを奇襲攻撃した「アルデンヌ」になる可能性があるということだ。ドイツ軍の機甲部隊が到底通過できないと信じて、防備を疎かにしたフランス軍の前轍を韓国軍が踏んでいるという主張だ。

 しかし、軍事専門家らは北朝鮮軍の特殊部隊の奇襲攻撃は事実上不可能だと指摘する。国防研究院のキム・ソンゴル研究委員は「ドイツ軍によるアルデンヌ奇襲攻撃は、気象悪化と夜の闇にまぎれて部分的に成功したもの」だとしたうえで、「韓国軍の偵察機に搭載されたレーダーは、北朝鮮軍の移動を天候にかかわらず探知できる」と反論する。さらに、金浦半島には海兵隊が強力な阻止線を構築している。

 軍事的にも漢江河口の渡河作戦は決して簡単ではない。朝鮮戦争当時も、北朝鮮軍精鋭6師団が同地域を渡るのに3日以上も足止めされた。秒速1.0~1.5メートルの速い流速や干潮の時に現れる広い干潟など、自然の障害物が渡河を妨げたのだ。これらの障害物を乗り越えるためには、大規模な装備が必要だが、そうすれば韓国軍の監視網にかかりやすい。

 
今月20日午後3時ごろ、非武装地帯の中部戦線で、北朝鮮の監視警戒所が爆破されている=国防部提供//ハンギョレ新聞社

■非武装地帯の監視警戒所がなくなると、北朝鮮軍がトンネル掘削を再開できる?

 監視警戒所(GP)が消えると、北朝鮮軍が非武装地帯まで密かに軍事力を接近させて奇襲攻撃する可能性があり、秘密裏にトンネルの掘削も再開できるという主張もある。これは監視警戒所の撤去で、韓国軍の前方に穴が開いたという主張につながる。

 軍事専門家らは、監視警戒所に対する理解不足によるものだと口をそろえる。合同参謀関係者は「このような主張は、監視警戒所が北朝鮮軍の奇襲攻撃を防ぐ砦であることを前提にしているが、実際に監視警戒所で監視できない非武装地帯の方がはるかに広い」とし、「監視警戒所の観測で奇襲攻撃を見抜くほどなら、既に北朝鮮軍の先制砲兵射撃が開始した可能性がかなり高い」と指摘した。彼は「山頂にある監視警戒所でトンネル掘削工事を探知することは、元々不可能だ」と一蹴した。

 軍事専門家たちはむしろ、監視警戒所の撤収が北朝鮮軍の警戒線を非武装地帯の外に押し出す効果があると指摘する。北朝鮮軍は人力中心の警戒作戦を展開しているため、監視警戒所を撤収すれば、境界線は後退せざるをえないということだ。国防研究院のアン・グァンス軍事発展研究センター長は「韓国軍は以前から科学化した警戒体系を構築して運用している」とし、「監視警戒所の役割は中長期的に縮小される対象」だと話した。

 非武装地帯の監視警戒所の撤収を批判する人々は、南北が試験的に10カ所ずつ(1カ所ずつ保存)を撤去することは、公平性に欠けると主張する。北朝鮮の監視警戒所は160カ所にのぼる一方、韓国軍の監視警戒所は60カ所にとどまるため、算術的に韓国軍に不利だということだ。しかし、このような主張をしている人たちは、北朝鮮が監視警戒所160カ所すべてを撤去することで合意した事実は言及していない。

 
                     韓米合同上陸訓練の様子=浦項/キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

■訓練できない軍隊は烏合の衆、北朝鮮と戦えば百戦百敗は必至?

 イ・サンフン元国防長官は、相手に対する一切の敵対行為の中止を決定した軍事合意書によって、韓国軍が「烏合の衆」になったと主張する。地上や海上、空中をはじめとするすべての空間で、大規模な軍事演習を中止したことで、韓国軍が事実上武装解除されたということだ。

 このような主張に対し、軍事専門家らは過度な非難だと反論する。砲兵射撃訓練や連隊級以上の野外機動訓練を中止した地上には、砲兵標的地及び射撃陣地が2カ所ずつあるが、代替物を活用すれば訓練に与える影響は微々たるものと指摘する。合同参謀関係者は「すでにこの地域では連隊級機動訓練をほとんど行っていない」とし、「連隊級機動訓練は緩衝区域の南側で主に実施する」と明らかにした。

 海上砲射撃および海上機動演習の中止については、韓国軍よりも北朝鮮の制約が大きいという分析もある。アン・センター長は「当該地域に配置された北朝鮮軍の戦力の規模は韓国軍の3~5倍であるため、南側への脅威減少の効果がより大きい」とし、「有事の際には自動艦砲体系を搭載した韓国艦艇の対応能力の方がより優れている」と指摘する。固定翼航空機の実弾射撃訓練の禁止については「韓国軍は飛行禁止区域の外郭でも効果的に対応できる」とし、「航空機搭載の空対空、空対地精密誘導兵器が不足している北朝鮮がむしろ不利だといえる」と話した。

ユ・ガンムン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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「朝米交渉に関する戦略的メッセージとは見られない」 

2018-11-17 | 戦争だけはやめてほしい

[ニュース分析]金委員長が新型兵器実験を現地指導した理由とは?

登録:2018-11-17 02:41 修正:2018-11-17 07:08
 
「労働新聞」、金委員長「新たに開発した先端戦術兵器の実験を指導」と報道 
2017年11月29日、ICBM級の火星15型実験の指導以来1年ぶり 
専門家「朝米交渉に関する戦略的メッセージとは見られない」 
「文在寅大統領の9月の3千トン級潜水艦進水式出席のような日常的な安全保障活動」 
「国内的には民心と軍心を安定させるための動きの可能性が高い」 
         「労働新聞」今月16日付の2面//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が「国防科学院の試験場を訪れ、新たに開発した先端戦術兵器の実験を指導した」と、「労働新聞」が16日付の2面トップで報じた。金委員長による新型兵器実験の現地指導は、2017年11月29日の「火星-15型」大陸間弾道ミサイル(ICBM)級実験発射の現地指導兼「国家核武力完成宣言」以来、1年ぶりだ。

 朝米両国が来年初めと予想される2回目の首脳会談の開催問題をめぐり熾烈な駆け引きを繰り広げている中、異例の行動であるため、金委員長の意図と朝鮮半島情勢に与える影響をめぐって、様々な解釈が飛び交う可能性がある。ただし、北側はこの兵器が「先端」だが、戦略兵器ではなく「戦術兵器」であり、攻撃用ではなく、「わが領土を鉄壁で保衛」するための防御用と主張することで、対米用ではないことを遠まわしに強調した。北側は「先端戦術兵器」が具体的に何なのかは公開しておらず、「労働新聞」2面に掲載された写真にも、金委員長など人物が登場するだけで、兵器は映っていない。さらに「労働新聞」1面全面にわたり、金委員長の「新義州市(シンウィジュシ)建設総計画」指導のニュースを報じることで、「先端戦術兵器」実験が金委員長の“最優先の関心事”ではないことをうかがわせた。

         「労働新聞」16日付の1面//ハンギョレ新聞社

 この「先端戦術兵器」について、金委員長は「偉大なる(金正日)将軍様が生前に直接種子を取り、特別な関心を注ぎながら開発完成に向けて一歩一歩導いてくださった兵器体系」だとし、「忘れ形見のような兵器」だと意味づけした。「労働新聞」は「優越で威力ある設計上の指標をすべて満足」させたとしながらも、「わが国の領土を鉄壁で保衛し、人民軍の戦闘力を各段に強化する点で、大きな意義を持つ」と評価した。要するに、金正日(キム・ジョンイル)総書記が2011年12月17日に死去する前から「特別な関心」を注ぎ、長い間開発してきた先端兵器だが、あくまでも攻撃用ではなく、“防御用”という主張だ。

 この「先端戦術兵器」は、金委員長の現地指導に随行した主要幹部の面々からして、戦術ミサイルや新型砲である可能性がある。「労働新聞」は「チェ・リョンへ、リ・ビョンチョル、リ・ジョンシク、チョ・ヨンウォン、キム・ヨンス、キム・チャンソン、パク・ジョンチョン同志が同行した」と報じた。このうち、人民軍出身の幹部は、労働党中央軍事委員のリ・ビョンチョル軍需工業部第1副部長とパク・ジョンチョン砲兵局長だ。リ・ビョンチョル副部長は昨年7月4日、金委員長が国防科学院を指導して研究開発したという「火星-14型」ミサイル実験発射の現地指導の際にも遂行した人物だ。

 専門家らは、金正恩(キム・ジョンウン)委員長の1年ぶりの兵器実験の現地指導は異例ではあるものの、朝米関係など朝鮮半島情勢に戦略的含意を持つ行動ではないと見ている。元高官は「朝米交渉に関する戦略的メッセージが盛り込まれていると見るには、パンチが非常に弱い」とし、「金委員長の今回の現地指導は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の潜水艦進水式への出席と同じ脈絡の、日常的な安保活動の域を出ていない」と話した。文大統領は金委員長との平壌首脳会談4日前の9月14日、韓国内で初めて開発された3000トン級潜水艦「島山安昌浩艦」の進水式に出席し、「『力を通じた平和』は韓国政府が追求する揺るぎない安保戦略だ」と強調した。慶南大学極東問題研究所のキム・ドンヨプ教授は「兵器の正体を具体的に明かさず、戦術兵器とした点で、国内向けのメッセージという意図が大きいものと思われる」としたうえで、「人民に経済にまい進することを求め(経済と核の)並進を放棄したため、軍に対する関心と支援も減らざるを得ず、安保に確信を持たせることが難しい状況の中、民心と軍心の離反を防ぐためには、対外的に多少否定的なメッセージを与える可能性があってもこのような現地指導活動をするしかなかったものと見られる」と説明した。

イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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中国が初の国外海軍基地を設置したジブチに自衛隊の拠点を維持し、中国をけん制するためとみられる。

2018-10-17 | 戦争だけはやめてほしい

日本の自衛隊、アフリカの角「ジブチ」に永久拠点を推進

産経新聞が報道…国際海路の要衝地 
海軍基地を設置した中国けん制狙う

ジブチ概要。 首都:ジブチ, 人口:81万人, 面積:2万3200平方キロメートル(朝鮮半島の1/10), 宗教:フランス語、アラブ語, 気候:熱帯性砂漠気候, 独立:1977.6.27(フランスから独立)//ハンギョレ新聞社

 日本政府がアフリカのジブチにある自衛隊の拠点を永久に維持する方針を固めたと、産経新聞が報道した。中国が初の国外海軍基地を設置したジブチに自衛隊の拠点を維持し、中国をけん制するためとみられる。

 産経新聞は15日付で、自衛隊がソマリア海賊撲滅のための自衛隊活動の一時的拠点をジブチに置いているが、海賊退治活動が終わった後もこの拠点を永久に維持する方針だと報じた。自衛隊は2009年からアデン湾一帯に頻繁に出没するソマリア海賊退治活動に参加しており、現在、護衛艦1隻とP3C哨戒機3台をアデン湾一帯に派遣している。ソマリア海賊対応の活動を名分に、2011年からジブチ国際空港の北西側に12ヘクタールの敷地を借り、自衛隊員の宿舎や事務所、整備格納庫を設置した。自衛隊史上初の国外拠点だ。

 ソマリア海賊活動のため、世界30カ国がアデン湾一帯に軍艦を派遣した。海賊活動がピークに達した2011年には海賊事件237件が報告された。しかし、2015年には0件、昨年も9件に急減し、自衛隊がジブチ拠点を維持する名分は弱まっている。

 日本はジブチがインド洋の要衝地にあるため、海賊退治活動が終わってからも、自衛隊の拠点として維持することを望んでいる。自衛隊を国外に平和維持軍(PKO)として派遣する際も、ジブチの拠点を物資輸送の経由地として活用できると見ている。実際、南スーダンに自衛隊を平和維持軍として派遣した際も、自衛隊装備の輸送経由地としてジブチ拠点が8回利用された。

 日本がジブチ基地を永久に使用するためには、現在の海賊対処を前提にジブチ政府と結んだ地位協定を改正しなければならない。 日本政府は、ジブチ政府を説得するため、自衛隊が使っていた中古車両などをジブチに提供し、整備支援も行うことを提示する案を検討していると、同紙は報じた。

東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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金氏と会談する予定だとしながら「国会会談について北が前向きな返答を送ってきたので、可能な限り年内に双方の国会が交流できるよう要請する」

2018-10-05 | 戦争だけはやめてほしい

訪朝の韓国与党代表 金永南氏と会談

2018/10/04 20:35

【平壌、ソウル聯合ニュース】2007年の南北首脳宣言(10・4宣言)の11周年記念共同行事「10・4 11周年民族統一大会」に出席するため訪朝した与党「共に民主党」の李海チャン(イ・ヘチャン)代表は4日夕、北朝鮮の金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長と会談した。

握手する李海チャン氏(左)と金永南氏(右)=4日、ソウル(朝鮮中央通信=聯合ニュース)
握手する李海チャン氏(左)と金永南氏(右)=4日、ソウル(朝鮮中央通信=聯合ニュース)

 会談では、南北が年内開催を推進することにした国会会談について具体的な協議が行われたとみられる。

 李氏は同日、訪朝前に記者団に対し、金氏と会談する予定だとしながら「国会会談について北が前向きな返答を送ってきたので、可能な限り年内に双方の国会が交流できるよう要請する」と述べた。

hjc@yna.co.kr

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