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「我々は来年度にもこのような級の戦闘艦船を建造する予定であり、できるだけ早い期間内により大きな巡洋艦とそれぞれ違う護衛艦も建造する計画だ」と語った。

2025-05-05 | 朝鮮民主主義人民共和国
 

金正恩委員長に勧告する…「遠洋作戦艦隊を作るべきではない」

登録:2025-05-03 06:57 修正:2025-05-05 07:20

 

クォン・ヒョクチョルの見えない安保
 
 
北朝鮮の金正恩国務委員長が出席したなか、5千トン級の新型多目的駆逐艦「崔賢」の進水式が先月25日、南浦造船所で行われたと、朝鮮中央通信が先月26日付で報道した/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は先月25日、南浦(ナムポ)造船所で開かれた5千トン級新型多目的駆逐艦「崔賢(チェ・ヒョン)」の進水式に出席し、「有事の際、海外武力増強の企図を拘束し遮断する上で最も信頼できる手段は、遠洋作戦能力を保有することだ」とし、「帝国主義侵略の代名詞と認識されてきた遠洋作戦艦隊を、これからは我々が建設する」と述べた。

 金委員長は駆逐艦「崔賢」を北朝鮮海軍力強化の「信号弾」とし、「2度目の信号弾は、ほかならぬ核動力(原子力)潜水艦の建造事業だ」と述べた。また、「我々は来年度にもこのような級の戦闘艦船を建造する予定であり、できるだけ早い期間内により大きな巡洋艦とそれぞれ違う護衛艦も建造する計画だ」と語った。「崔賢」に続き、原子力潜水艦と多目的駆逐艦、巡洋艦、護衛艦などを建造し、遠洋作戦艦隊を作るということだ。

 金委員長は「主権と国益を守るため、わが海軍の活動水域は領海だけに留まることはできず、海軍戦力は必ず遠洋へと拡大していかねばならない」と述べた。その理由として「最も反動的な軍事ブロックを形成し、朝鮮半島周辺を横行する我々の敵

は全て海洋国であり、彼らの海外侵略の橋頭保、武力の集結地、兵站基地も大洋と沿海に位置している」と説明した。朝鮮半島有事の際、韓国を支援するために投入される米軍の増員戦力は、米国本土をはじめハワイ太平洋司令部、米国領グアムと日本の沖縄に集まる。北朝鮮の遠洋艦隊構想は、北朝鮮海軍が西・東海の防衛だけでなく、有事の際に西太平洋まで進出し、米国の増援戦力を沖合いから圧迫し遮断することを目指している。

 結論から言えば、金正恩委員長は遠洋艦隊を建設すべきではない。北朝鮮が遠洋艦隊を建設して維持するためには莫大な資金が必要だが、北朝鮮の経済状況ではこれを支え切れないからだ。

 
 
5000トン級の新型多目的駆逐艦「崔賢」の進水式が先月25日、南浦造船所で行われたと朝鮮中央通信が先月26日付で報道した/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 韓国が2000年以降、大洋海軍の建設に乗り出すことができたのは、経済成長のおかげだ。韓国海軍は、1990年代までは海に侵入する北朝鮮スパイ船を捕らえる沿岸海軍だった。1990年代半ばに大洋海軍を建設すべきという声が本格的に高まりはじめ、2003年に「忠武公李舜臣」級駆逐艦(DDH-2・4500トン級)の1番艦が就役した後、同級を6隻、「世宗大王」級(DDH-3・7600トン級)イージス艦3隻を次々と戦力化した。

 海軍力の建設は国力に比例する。世宗大王級イージス艦1隻を作るのに1兆4000億ウォンが(約1400億円)かかり、年間運営維持費は300億ウォンにのぼる。忠武公李舜臣級駆逐艦1隻を作るのに3900億ウォンが投入された。「島山(トサン)安昌浩(アンチャンホ)」級潜水艦(3000トン級)の建造費用は1兆ウォンを超える。

 すべての国の海軍艦艇は3職制運用をする。軍艦1隻は作戦、1隻は整備、1隻は教育訓練で運用し、少なくとも3隻があってこそ1隻の役割を果たすことができる。北朝鮮が遠洋作戦艦隊を作るには、崔賢のような多目的駆逐艦、原子力潜水艦、巡洋艦、護衛艦などがそれぞれ3隻以上なければならない。ここに軍需支援艦、海上哨戒機のような支援戦力も必要だ。北朝鮮が遠洋作戦艦隊の戦力規模や予算などは具体的に明らかにしていないが、遠洋作戦艦隊を建設して維持するには、概算で少なくとも10兆ウォン以上はかかる。

 統計庁が発表した「2024年北朝鮮の主要統計指標」によれば、2023年北朝鮮の名目国内総生産(40.2兆ウォン)は韓国(2401.2兆ウォン)の60分の1(1.7%)水準だ。米国務省が公開した「2021年世界軍事費および武器取引報告書」によると、2019年の北朝鮮の軍事費は6兆2千億〜15兆8千億ウォンと推定された。同年、韓国の軍事費は63兆1千億〜87兆2千億ウォン水準と集計された。北朝鮮の経済規模を考慮すれば、遠洋作戦艦隊の建設は無理だ。世の中の他のことがそうであるように、望むからといって全て実行に移せるわけではない。

 
 
北朝鮮の金正恩国務委員長が、新型多目的駆逐艦の崔賢の進水3日目に行われた初の武装射撃実験を視察したと、朝鮮中央通信が先月30日付で報道した/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 核戦力の高度化に力を入れて来た北朝鮮が、通常戦力の強化にも乗り出している。北朝鮮が米国とは核軍備競争、韓国とは通常軍備競争に乗り出した場合、無理な軍備競争で滅びた旧ソ連の二の舞を踏む可能性が高くなる。一国が安保を堅固にするために軍事力を増強すれば、不安になった相手国も軍事力を増やすことになる。両者が互いに作用と反作用の軍備競争を行った結果、安保が全て脆弱になる逆説的な状況、つまり「安保ジレンマ」が発生する。

 「人民大衆第一主義」と「以民為天」(人民を天のごとく見なす)を強調する金正恩委員長にドワイト・アイゼンハワー米大統領の1953年4月の「平和のための機会」演説を一読することを勧めたい。

 演説でアイゼンハワー大統領は次のように述べた。「…作られたすべての銃と、進水されたすべての戦艦と、発射されたすべてのロケットは、究極的に飢えても食べられず、裸でも着られなかった人々から奪ったものです。武器に満ちた世界が消耗するのはお金だけではありません。これらの世界は、労働者の汗と、科学者の才能と、子供の希望を消耗しています。現代式重爆撃機1機の費用は、30以上の都市にレンガで作った現代式学校を建てる費用に相当します…私たちは駆逐艦1隻のために計8千人以上が住める新しい住宅に相当する値段を払っています…国家間の健全な信頼と協力努力をもとに私たちが追求する平和は、戦争兵器ではなく、小麦と綿で、牛乳と羊毛で、また肉と木材とコメで強化することができます」

 金正恩委員長には軍備競争ではなく、相互信頼に基づいた軍備統制の方へと進んでもらいたい。

クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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道路爆破は、金正恩総書記による「強硬な政治・軍事的立場」の表明後に取られた初の措置だ。金総書記は今月14日に会議を招集し、「無人機事態」を「敵による重大な共和国の主権侵害挑発事件」だと述べた.

2024-10-16 | 朝鮮民主主義人民共和国
 

北朝鮮、「南北和解の象徴」2本の道路を爆破

登録:2024-10-15 23:57 修正:2024-10-16 08:43
 
 
合同参謀本部によると、北朝鮮は15日、南北連結道路の京義線と東海線の一部区間を爆破した=合参提供の映像より/聯合ニュース

 北朝鮮は15日、南北連結道路の京義(キョンウィ)線と東海(トンヘ)線を爆破した。北朝鮮が「韓国の無人機(ドローン)による平壌(ピョンヤン)侵入」を主張し、南北の緊張が高まっていた中、南北をつなぐ道すら完全に切断してしまったということだ。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記兼国務委員長は「国防・安全分野協議会」を主宰し、「強硬な政治・軍事的立場」を明らかにした。道路爆破に韓国軍当局は対応射撃で応じた。統一部は「退行的行動」だとし、「すべての責任は北朝鮮にある」と糾弾した。朝鮮半島情勢は極度に危険な状態に陥りつつある。

 合同参謀本部(合参)はこの日、「北朝鮮軍は本日正午ごろ、南北連結道路の京義線・東海線の軍事境界線(MDL)以北の一部区間を爆破した」と発表した。北朝鮮は軍事境界線の10メートル先から京義線は70メートル、東海線はそれよりやや短い区間に数十の穴を掘り、各穴にTNT数十キロを設置して爆破した。合参によると、爆破には2本の道路にそれぞれショベルカー2台、ダンプカー4~5台が動員された。同区間に設置された高さ6メートルのビニールカバーは南側に破片が飛び散るのを防げなかったが、韓国軍に被害はなかったという。合参は「韓国軍は監視および警戒態勢を強化中」だとし、「警告放送と軍事境界線以南の地域への対応射撃を実施した」と明らかにした。

 北朝鮮が8月に鉄道の京義線と東海線を遮断したのに続き、この日、道路の京義線と東海線の一部区間まで爆破したことで、南北和解時代の象徴だった南北をつなぐ陸上交通路はすべて消え去った。北朝鮮は、断絶した南北連結道路にコンクリートの防壁を建てる要塞化工事を行うものとみられる。

 道路爆破は、金正恩総書記による「強硬な政治・軍事的立場」の表明後に取られた初の措置だ。金総書記は今月14日に会議を招集し、「無人機事態」を「敵による重大な共和国の主権侵害挑発事件」だと述べたと、15日に労働新聞が報じた。金総書記は無人機事態に対する対応軍事行動計画について朝鮮人民軍の総参謀長から報告を受けた際、「国の主権と安全利益を守るための戦争抑止力の稼動と自衛権行使において堅持すべき重大な課業」を明らかにしたと同紙は伝えた。

 15日午後には、キム・ヨジョン朝鮮労働党中央委員会副部長が無人機事態後3度目となる談話で、「韓国軍部のやくざどもが朝鮮民主主義人民共和国の首都上空を侵犯する敵対的主権侵害挑発行為の主犯だという明白な証拠を確保した」とし、「挑発者は大きな代価を支払うことになるだろう」と述べた。ただしキム副部長は、確保した証拠がどのようなものなのかは公開していない。

 韓国は北朝鮮を強く批判した。合参の関係者は「軍事境界線付近で危険な爆破行為をおこなった北朝鮮にすべての責任がある」と述べた。統一部は、道路爆破は「明白な南北合意違反、非常に非正常な措置であり、強く糾弾する」と述べた。また、「4年前、対北朝鮮ビラを理由に南北共同連絡事務所を一夜にして一方的に爆破した行為をまたも見せたもの」だとし、「退行的な行動を繰り返す姿は嘆かわしい」と述べた。

パク・ミンヒ、クォン・ヒョクチョル、イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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金委員長とプーチン大統領はこの日午後、平壌の錦繍山迎賓館での4時間ほどの単独・拡大会談の終了後、共同メディア発表で、「包括的戦略パートナー協定」に署名したことを明らかにした。

2024-06-20 | 朝鮮民主主義人民共和国
 

プーチン大統領

「侵略されれば相互支援」…金正恩委員長「同盟水準へと格上げ」

登録:2024-06-20 07:34 修正:2024-06-20 08:30

 

朝ロ首脳会談、包括的戦略パートナー協定に署名 
相互支援「有事の際の自動軍事介入条項」なのかは不明確 
金正恩「同盟」言及、プーチンは応じず
 
 
北朝鮮の金正恩国務委員長とロシアのプーチン大統領が19日午後12時、平壌の金日成広場で行われた「国賓訪問」公式歓迎式に臨んでいる=平壌/AFP・聯合ニュース

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とロシアのプーチン大統領は19日、平壌(ピョンヤン)で首脳会談を行い、「包括的戦略パートナー協定」に署名した。金委員長は、朝ロは「同盟関係となった」と述べ、プーチン大統領は「侵略された場合、相互支援を提供する」と述べ、両国の協力が大幅に強まったことを強調した。

 金委員長とプーチン大統領はこの日午後、平壌の錦繍山迎賓館での4時間ほどの単独・拡大会談の終了後、共同メディア発表で、「包括的戦略パートナー協定」に署名したことを明らかにした。

 プーチン大統領は新協定について、「協定当事者のうちの一方が侵略された場合は、相互支援(mutual assistance)を提供する」と述べた。プーチン大統領の述べた「相互支援」が、すでに廃棄された1961年の「朝ソ友好協力相互援助条約」の「有事の際の自動軍事介入条項」の復活を意味するのか、2000年2月に締結された「友好善隣協力条約」の「遅滞なく接触、協議、協力」の強化された表現なのかは、確認されていない。

 金委員長は、「我々の関係は同盟関係という新たな高い水準に達した」とし、「変化した国際情勢と新時代の朝ロ関係の戦略的性格にふさわしい偉大な国家間条約を締結することになったことを、大変満足に思っている」と述べた。しかしプーチン大統領は共同メディア発表で、金委員長とは異なり、一度も「同盟」という表現は使っていない。

 プーチン大統領は、新たな協定は「画期的」であり、朝ロ関係を「新たな水準へと引き上げた」、「軍事技術協力の深化を排除しない」と語った。金委員長も、新協定の締結は「歴史的なこと」、「軍事を含め、協力を促進する」と述べた。ロシアの複数のメディアが伝えた。

 金委員長はプーチン大統領との拡大会談の冒頭発言で、「ロシアがウクライナで特別軍事作戦を遂行していることに、全面的な支持と連帯を表明する」とし、「ロシアのすべての政策を変わることなく無条件に支持するだろう」と述べた。プーチン大統領は「ウクライナ戦争を含めたロシアの政策に対する朝鮮民主主義人民共和国の一貫した確固たる支持に感謝する」と述べたとスプートニクが伝えた。インターファクス通信などは、プーチン大統領が「次回の会談はモスクワで行われることを期待する」と述べ、金委員長を招待したと伝えた。

 プーチン大統領の訪朝は2000年7月以来24年ぶりで、金委員長との首脳会談は昨年9月のロシアのアムール州ボストーチヌイ宇宙基地での会談以来9カ月ぶり。

 プーチン大統領は、当初予定されていた「18日夜」よりはるかに遅い19日午前2時22分に平壌国際飛行場に到着し、金委員長の出迎えを受けた。

イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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「中通」は、趙楽際・全人代常務委員長が「朝鮮労働党中央委員会と朝鮮民主主義人民共和国政府の招請」により、北朝鮮を「公式親善訪問」すると報じた。

2024-04-10 | 朝鮮民主主義人民共和国
 

中国序列3位の党常務委員長が訪朝へ…金正恩委員長の訪中を協議か

登録:2024-04-10 06:16 修正:2024-04-10 09:51

 

2019年の習近平主席の訪朝以来、最高位級の人物
 
 
           朝中親善の年の記念マーク/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 趙楽際・中国共産党政治局常務委員兼中華人民共和国全国人民代表大会(全人代)常務委員長率いる「中華人民共和国党および政府代表団」が北朝鮮を「公式親善訪問」すると、北朝鮮の「朝鮮中央通信」(中通)が9日付で報道した。趙楽際・全人代常務委員長は韓国の「国会議長」に当たり、中国の権力序列3位だ。

 「中通」は、趙楽際・全人代常務委員長が「朝鮮労働党中央委員会と朝鮮民主主義人民共和国政府の招請」により、北朝鮮を「公式親善訪問」すると報じた。

 趙楽際・全人代常務委員長は2019年6月、習近平・中国共産党中央委総書記兼国家主席の訪朝以来、北朝鮮を訪れた中国の最高位級の人物だ。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記兼国務委員長と習近平主席が今年1月1日に一緒に宣言した「朝中親善の年」を機に拡大された高官級交流の一環とみられる。

 中国専門家の成均館大学のイ・ヒオク教授は「全人代の趙楽際常務委員長の訪朝を機に新型コロナウイルス感染症の大流行以前に朝中間で合意した農業、人道支援、医療、観光の4分野の協力案を含む二国間関係と朝鮮半島情勢安定問題などを協議するものと予想される」と語った。

 趙楽際・全人代常務委員長の訪朝中に、金正恩総書記の年内中の訪中と関連した協議が行われるかどうかも関心事だ。これに先立ち、キム・ソンナム朝鮮労働党中央委国際部長率いる「朝鮮労働党代表団」が3月21~25日、中国北京と四川省を訪問し、王厚寧・全国人民政治協商会議主席、蔡奇・中国共産党中央書記処書記、王毅外相などと朝中両国関係について協議した。

 ただし、中国権力序列3位の趙楽際・全人代常務委員長の訪朝で、習近平主席や李強首相の年内訪朝の可能性はそれだけ低くなったとみられている。

イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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向導とは「進む方向を示す」という意味で、ジュエさんに指導者と同じ呼称を使ったことから、後継構図と関連し注目を集めている。

2024-03-21 | 朝鮮民主主義人民共和国
北朝鮮、金正恩国務委員長の娘に
「向導の偉大な方」…その意味とは
 
登録:2024-03-20 06:33 修正:2024-03-20 08:04
 
金正恩委員長とともに「向導」と表現
 
 
北朝鮮の金正恩国務委員長が15日、娘のジュエさんと江東総合温室の竣工および操業式典に出席したと、朝鮮中央通信が16日付で報道した/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 北朝鮮官営メディアが金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と娘のジュエさんが温室農場の竣工式典に出席した内容を報道し、ジュエさんについて「向導の偉大な方」という表現を初めて使った。向導とは「進む方向を示す」という意味で、ジュエさんに指導者と同じ呼称を使ったことから、後継構図と関連し注目を集めている。

 労働新聞などは16日付で、金正恩委員長が15日に温室農場の竣工式と空輸部隊の訓練を娘のジュエさんとともに視察したと報道した。金委員長が後継者候補とされる娘とともに、民生問題(人民の暮らしの問題)と安全保障の両方に気を配る姿を強調しようとしたものとみられる。

 労働新聞は、金委員長が娘のジュエさんとともに平壌(ピョンヤン)近くに作られた江東総合温室の竣工および操業式典に出席し、建設に参加した将兵たちの努力を称えたと報じた。これは咸鏡北道の中平温室農場(2019年完工)、咸鏡南道の延浦温室農場(2022年完工)に次ぐ3番目の現代式温室農場で、人民軍江東飛行場の跡地に建設された。北朝鮮当局は、大規模な温室農場を建設した理由として、「住民に四季折々の新鮮な野菜を保障する措置」だと説明している。

 金委員長は、航空陸戦兵部隊(空輸部隊)の訓練も指導したが、これにも娘のジュエさんを同行させた。朝鮮中央通信は、金委員長の娘のジュエさんが監視警戒所で双眼鏡で訓練を眺めている姿や、親子が兵士たちのすぐそばで射撃訓練を見守る姿などを報道した。金委員長は今月4日から14日にかけて行われた韓米合同演習「自由の盾」(フリーダムシールド・FS)に対抗し、連日軍事訓練を視察しているが、最近の一連の訓練視察現場に娘のジュエさんを連れて行ったのは今回が初めて。

 特に労働新聞と朝鮮中央通信はこの日、「進む方向を示す」という意味の「向導」という言葉を「向導者金正恩」、「党中央の向導」と共に「向導の偉大な方々が」(The great persons of guidance)という複数形でも使った。これは、ジュエさんも金委員長と同じく「向導」という表現したものといえる。

 労働新聞は「歓迎曲が鳴り響く中で、敬愛する金正恩同志が愛するお子様と共に竣工および操業式場に到着するや、暴風のような『万歳!』の歓喜の声が天と地を揺らした」とし、「向導の偉大な方々が党と政府、軍部の幹部らと共に江東総合温室を視察した」と報道した。

 労働新聞が金委員長とジュエさんに対して「向導の偉大な方々」という表現を使ったのは今回が初めてだと、専門家たちは指摘する。世宗研究所のチョン・ソンジャン朝鮮半島戦略センター長は、ジュエさんに対するこのような呼称が「キム・ジュエが金正恩に続き北朝鮮の次期指導者になることを強く示唆するもの」だと語った。北朝鮮の「朝鮮言葉大辞典」によると、「向導者」とは「革命闘争で人民大衆が進む前途を照らし、彼らを勝利の道に導く領導者」を意味する。ジュエさんに対する北朝鮮の労働新聞または朝鮮中央テレビの報道は今回で26回目だ。

 チョン・センター長は「現在、キム・ジュエの後継体系構築は基本的に『内政と後継授業』の段階にあるとみられるが、金正恩の公開的な性格によって、かつて金正恩後継体系の構築過程での『対内的公式化』と『対外的公式化』の段階で見られた現象まで現れている」とし、「キム・ジュエはまだ後継者の『内政と後継授業』の段階にあるが、将来彼女を自分の後継者として前面に出そうとする金正恩の意志がそれだけ強いことを示唆する」と分析した。

パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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プーチン大統領は今年、24年ぶりに北朝鮮を訪問する見通しだ。金委員長は昨年9月、ロシア極東のアムール州ボストチヌイ宇宙基地での首脳会談後に開かれた夕食会で、プーチン大統領に訪朝を要請した。

2024-03-19 | 朝鮮民主主義人民共和国
 

圧勝したプーチン大統領

訪朝を予約…北東アジア情勢への影響とは

登録:2024-03-19 06:32 修正:2024-03-19 07:24
 
 
北朝鮮の金正恩国務委員長が15日、娘のジュエさんと江東総合温室の竣工および操業式に出席したと、朝鮮中央テレビが16日付で報道した。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が金委員長にプレゼントした高級セダン「アウルス」が見える/朝鮮中央テレビ・聯合ニュース 
 
 
  「私はあなたと固く手を握り、時代の要求に応え、長い歴史的ルーツと伝統を持つ朝ロ親善の新たな転機を作る」

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は18日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の5期目が確定したことを受け、すかさず祝電を送った。朝鮮中央通信によると、金委員長は「両国人民の志向と念願である強国建設の偉業を力強く牽引していく」と祝電に書いた。また、「あなたの精力的で正しい導きのもと、(中略)国際的平和と正義を実現し、自主化された多極世界を建設するための偉業の遂行において必ず勝利すると固く信じている」として、プーチン大統領に祝いの言葉を送った。これに先立ち、ロシア大統領選挙投票が始まった日の15日、金委員長はプーチン大統領から贈られた高級セダン「アウルス」に乗って平壌(ピョンヤン)近隣の江東総合温室の竣工・操業式現場を訪問し、両国関係を対外的に誇示した。朝ロの密着は今後の北東アジア情勢に大きな影響を及ぼすものとみられる。

 プーチン大統領は今年、24年ぶりに北朝鮮を訪問する見通しだ。金委員長は昨年9月、ロシア極東のアムール州ボストチヌイ宇宙基地での首脳会談後に開かれた夕食会で、プーチン大統領に訪朝を要請した。その後、今年1月に北朝鮮のチェ・ソンヒ外相がロシアを訪問し、プーチン大統領と会談した。チェ外相のロシア訪問期間中、ロシア大統領府(クレムリン)のドミトリー・ペスコフ報道官は「大統領が近い将来(北朝鮮を)訪問するだろう」と述べ、プーチン大統領の訪朝の意思を確認した。

 プーチン大統領は、ロシアの指導者としては史上初めて北朝鮮を訪問した前歴がある。2000年3月の大統領選挙で初めて当選してから4カ月後の同年7月に北朝鮮を訪問し、金正日(キム・ジョンイル)総書記(当時)と会談した。当時のプーチン大統領の北朝鮮訪問は、ソ連解体後に冷え込んだ北朝鮮とロシアの関係修復に重点を置いたものだった。プーチン大統領が訪朝する5カ月前の2000年2月、ロシアは北朝鮮と朝ロ親善条約を結び、朝ロ関係をソ連時代の軍事同盟関係から経済協力パートナーに再定義した。

 最近、北朝鮮とロシアは軍事的協力関係の強化に方向を変えている。2022年2月に始まったウクライナ侵攻戦争の長期化に伴い、ロシアが北朝鮮からミサイルと砲弾の供与を受ける一方、北朝鮮はロシアから大陸間弾道ミサイル(ICBM)など関連技術提供を受けているのではないかという疑惑が絶えない。米戦略国際研究所(CSIS)は先月、昨年8月から北朝鮮とロシアが砲弾など兵器の船積みのために少なくとも25回往来し、250万発以上の砲弾と弾薬などを支援したと推定する内容の報告書を発表した。

 プーチン大統領は最近、核拡散防止条約(NPT)を無視し、北朝鮮の核保有国の地位を公に認める第一歩ともとれる発言をした。プーチン大統領は13日、国営放送「ロシア1」などのインタビューで、「北朝鮮は独自の核の傘を備えている」と述べた。

 ロシアと北朝鮮の密着は、北東アジアで韓米日の安全保障3カ国協力が強化される状況で、同地域に対する影響力の確保を目指すロシアの思惑を背景にしている。国立外交院のイ・テリム教授は「韓米日が今のような速度で関係が強化され、韓日が北大西洋条約機構(NATO)の協力パートナーとなる状況を、ロシアはこれまでになかった新たな脅威とみている」とし、「(このような状況では)北朝鮮との関係を強化するしかないというのがロシア内部の意見」だと語った。

 韓ロ関係は大きな困難に直面しているが、このような時こそ外交の空間を作る努力を続けなければならないと専門家たちは指摘する。イ・ソクベ元駐ロシア大使は、「ロシアは米国がアジア太平洋地域に新たな軍事ブロックを作っているとみている。韓国もすでに西側(勢力)の一員になったわけだ」としたうえで、「ロシアが米国と関係改善の余地がない以上、韓ロ関係もウクライナ戦争以前に復元するのは難しいだろう。だからこそ、韓国も両国の高官級対話チャンネルを引き続き開き、積極的に(ロシアとの)外交の空間を作る努力をしなければならない」と語った。

 ロシアは米国との関係が悪化した中国との協力も引き続き進めるものとみられる。ロシアと中国は今月11日から5日間、アラビア海オマーン湾でイランと合同軍事演習を行った。

チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は18日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の5期目が確定したことを受け、すかさず祝電を送った。朝鮮中央通信によると、金委員長は「両国人民の志向と念願である強国建設の偉業を力強く牽引していく」と祝電に書いた。また、「あなたの精力的で正しい導きのもと、(中略)国際的平和と正義を実現し、自主化された多極世界を建設するための偉業の遂行において必ず勝利すると固く信じている」として、プーチン大統領に祝いの言葉を送った。これに先立ち、ロシア大統領選挙投票が始まった日の15日、金委員長はプーチン大統領から贈られた高級セダン「アウルス」に乗って平壌(ピョンヤン)近隣の江東総合温室の竣工・操業式現場を訪問し、両国関係を対外的に誇示した。朝ロの密着は今後の北東アジア情勢に大きな影響を及ぼすものとみられる。

 プーチン大統領は今年、24年ぶりに北朝鮮を訪問する見通しだ。金委員長は昨年9月、ロシア極東のアムール州ボストチヌイ宇宙基地での首脳会談後に開かれた夕食会で、プーチン大統領に訪朝を要請した。その後、今年1月に北朝鮮のチェ・ソンヒ外相がロシアを訪問し、プーチン大統領と会談した。チェ外相のロシア訪問期間中、ロシア大統領府(クレムリン)のドミトリー・ペスコフ報道官は「大統領が近い将来(北朝鮮を)訪問するだろう」と述べ、プーチン大統領の訪朝の意思を確認した。

 プーチン大統領は、ロシアの指導者としては史上初めて北朝鮮を訪問した前歴がある。2000年3月の大統領選挙で初めて当選してから4カ月後の同年7月に北朝鮮を訪問し、金正日(キム・ジョンイル)総書記(当時)と会談した。当時のプーチン大統領の北朝鮮訪問は、ソ連解体後に冷え込んだ北朝鮮とロシアの関係修復に重点を置いたものだった。プーチン大統領が訪朝する5カ月前の2000年2月、ロシアは北朝鮮と朝ロ親善条約を結び、朝ロ関係をソ連時代の軍事同盟関係から経済協力パートナーに再定義した。

 最近、北朝鮮とロシアは軍事的協力関係の強化に方向を変えている。2022年2月に始まったウクライナ侵攻戦争の長期化に伴い、ロシアが北朝鮮からミサイルと砲弾の供与を受ける一方、北朝鮮はロシアから大陸間弾道ミサイル(ICBM)など関連技術提供を受けているのではないかという疑惑が絶えない。米戦略国際研究所(CSIS)は先月、昨年8月から北朝鮮とロシアが砲弾など兵器の船積みのために少なくとも25回往来し、250万発以上の砲弾と弾薬などを支援したと推定する内容の報告書を発表した。

 プーチン大統領は最近、核拡散防止条約(NPT)を無視し、北朝鮮の核保有国の地位を公に認める第一歩ともとれる発言をした。プーチン大統領は13日、国営放送「ロシア1」などのインタビューで、「北朝鮮は独自の核の傘を備えている」と述べた。

 ロシアと北朝鮮の密着は、北東アジアで韓米日の安全保障3カ国協力が強化される状況で、同地域に対する影響力の確保を目指すロシアの思惑を背景にしている。国立外交院のイ・テリム教授は「韓米日が今のような速度で関係が強化され、韓日が北大西洋条約機構(NATO)の協力パートナーとなる状況を、ロシアはこれまでになかった新たな脅威とみている」とし、「(このような状況では)北朝鮮との関係を強化するしかないというのがロシア内部の意見」だと語った。

 韓ロ関係は大きな困難に直面しているが、このような時こそ外交の空間を作る努力を続けなければならないと専門家たちは指摘する。イ・ソクベ元駐ロシア大使は、「ロシアは米国がアジア太平洋地域に新たな軍事ブロックを作っているとみている。韓国もすでに西側(勢力)の一員になったわけだ」としたうえで、「ロシアが米国と関係改善の余地がない以上、韓ロ関係もウクライナ戦争以前に復元するのは難しいだろう。だからこそ、韓国も両国の高官級対話チャンネルを引き続き開き、積極的に(ロシアとの)外交の空間を作る努力をしなければならない」と語った。

 ロシアは米国との関係が悪化した中国との協力も引き続き進めるものとみられる。ロシアと中国は今月11日から5日間、アラビア海オマーン湾でイランと合同軍事演習を行った。

チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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ロシアが尹大統領の北朝鮮関連発言を問題視したのは、朝ロの緊密な連携を誇示し、ウクライナ戦争でロシアに有利な状況を作るため、北朝鮮カードを最大限に活用しようとする意図を示している。

2024-02-12 | 朝鮮民主主義人民共和国
 

[コラム]プーチン大統領の危険な「北朝鮮カード」の使い方

登録:2024-02-07 06:24 修正:2024-02-12 08:12
 
 
ウラジーミル・プーチン大統領と金正恩委員長=キム・ジェウク画伯//ハンギョレ新聞社

 韓国とロシアが、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の北朝鮮関連発言をめぐり、猛烈な非難と大使の呼び出しなどの応酬で衝突した。尹大統領が先月31日、「北朝鮮政権は世界で唯一核先制使用を法制化した非理性的な集団」だと述べたことを受け、当事者ではないロシア外務省の報道官が乗り出して「著しく偏向した」、「忌まわしい」と非難したのは明らかに異例のことだ。北朝鮮とロシアの戦略的密着が韓ロ関係と朝鮮半島情勢に暗い影を落としている。

 ロシアが尹大統領の北朝鮮関連発言を問題視したのは、朝ロの緊密な連携を誇示し、ウクライナ戦争でロシアに有利な状況を作るため、北朝鮮カードを最大限に活用しようとする意図を示している。

 金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とウラジーミル・プーチン大統領による昨年9月の朝ロ首脳会談の前後に、北朝鮮はロシアに兵器を本格的に供与し始めたという。中国もロシアに兵器は支援していない状況で北朝鮮が供与する大量の砲弾とミサイルは、ウクライナ戦争の戦勢をロシアに有利に変える重要な要因となった。一方、ロシアは韓国に対し「ウクライナに砲弾を供与すれば、北朝鮮に先端軍事技術を渡す」と暗示することで、ウクライナへの砲弾の供与をできるだけ遮断しようとしてきた。

 最近ではロシアがさらに一歩進んで「北朝鮮カード」を活用し、北東アジアの緊張を意図的に高めようとしているという分析もある。ロシアの支援を受けて大胆になった北朝鮮が北東アジアで局地的挑発を行い、核・ミサイル脅威を強化すれば、米国とヨーロッパに続きアジアでもウクライナへの支援に対する関心が薄れるという算段だ。朝鮮戦争当時、スターリンが米国の関心をアジアに向けさせ、欧州でソ連に有利な情勢を作るために、金日成(キム・イルソン)主席の「南侵」計画を承認したのと類似した戦略だ。中国でも懸念の声があがっている。房寧前中国社会科学院政治研究所長(四川大学教授)は先月のフォーラムで、「ロシアが戦場の向こうの水を泥水にし、より多くの火薬庫を作って西側の注意を分散させることで、ロシアに対する圧力を減らそうとしている」とし、「中国の目の前で問題を起こそうとするロシアの潜在的な動きを警戒しなければならない」と警告した。中国の専門家たちは、ロシアが北朝鮮に先端ミサイル、偵察衛星、潜水艦技術などを提供することは、韓国はもとより中国にとっても問題になるとみている。

 プーチン大統領も金委員長も、米国内部で孤立主義が強まる中、「トランプ前大統領の帰還」が現実のものになれば、在韓米軍の撤退や米国の北大西洋条約機構(NATO)脱退もあり得ると見込んで、ますます大胆に動いている。

 韓国は、ロシアと北朝鮮が密着した危険な実状を正確に把握し、警戒しなければならないが、ロシアが大統領の発言を問題視したとして言葉の応酬を繰り広げるのは賢明な状況管理とはいえない。韓ロが激しく戦うほど、北朝鮮はさらに大胆になり、挑発の危険性は高まるだろう。韓ロ関係に「青信号」になるかもしれなかったロシアの外務次官の訪韓中に起きた騒ぎを見て、金委員長は笑みを浮かべただろう。

パク・ミンヒ論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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9月13日に行われた北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とロシアのウラジーミル・プーチン大統領の首脳会談の具体的な結果は、依然として霧の中にある。

2023-10-03 | 朝鮮民主主義人民共和国
 

「北朝鮮、ロシアの食糧支援の提案を断った」…

「変化した北朝鮮」の道とは

登録:2023-09-26 08:30 修正:2023-10-03 07:14
 
米中ロの敵対的競争、北朝鮮の戦略的地位を強化 
朝中ロの3者連帯、中国の台湾問題が最終的なカギに 
 
 
ロシアを訪問した北朝鮮の金正恩国務委員長が9月13日(現地時間)、ロシアのアムール州ボストーチヌイ宇宙基地で、ロシアのプーチン大統領と再会したと、朝鮮中央通信が9月14日付で報道した/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 9月13日に行われた北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とロシアのウラジーミル・プーチン大統領の首脳会談の具体的な結果は、依然として霧の中にある。両首脳は会談後の記者会見も行っておらず、声明や合意文の発表もなかったため、その後も推測が飛び交っているだけで確認されたものはない。特に、「危険な取引」と呼ばれた兵器取引。会談を前後して「北朝鮮はロシアに通常兵器を提供し、ロシアは北朝鮮に食糧と戦略兵器の開発を支援する取引が行われる」といううわさが流れたが、それが実現したかどうかは依然として不明だ。

 この過程でこれまで「聞きなれた北朝鮮」と「変化した北朝鮮」の違いも再び確認された。様々な国の政府とメディア、専門家らは、北朝鮮が深刻な食糧難を緩和するため、ロシアに食糧支援を要請し、ロシアもそれに応じると予想していた。このような見通しの主な根拠は、上半期に北朝鮮で餓死者が続出するほど食糧難が深刻だという尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の主張だった。ところが、北朝鮮は今回の朝ロ首脳会談で、ロシアの食糧支援の提案を断ったことが分かった。これと関連し、ロシアの駐北朝鮮大使は17日、「タス通信」を通じて、北朝鮮がロシアの食糧支援提案に対し「もうすべて大丈夫だ」と丁重に断ったとし、「今年、彼らは非常に豊作だった」と述べた。このような内容は、筆者が5月中旬に北京で会った中国の消息筋が伝えた内容とも一致している。当時、その消息筋は「北朝鮮で飢え死にした人が出たという情報はなく、むしろ食糧事情が改善されている」と語った。

 この事例は注目に値する。外部に「耳慣れた北朝鮮」は、住民たちが飢えており経済状況は非常に厳しいのに、金正恩政権は核の高度化にこだわっているといったものだ。また、北朝鮮が核武装にこだわる限り、国際的孤立も進むだろうと警告してきた。しかし、上の事例は「変化した北朝鮮」がそこまで危うい状態ではないことを示唆している。食糧と経済事情が良くなっているだけでなく、今後もこのような傾向が続く可能性をうかがわせる。北朝鮮は2013年、並進路線の宣言以降、特に2021年8回党大会を経て、自力更生や自給自足に拍車をかけてきた。そして今年下半期の国境封鎖解除後、朝中・朝ロ交易と経済協力も本格的に進めている。内的な力と外的な環境が大きく改善されているわけだ。

 北朝鮮が直面しているといわれる「国際的孤立」についても、見方を変えてみる必要がある。韓国と日本、そして米国など西欧との関係改善の放棄は金正恩政権みずからが選んだ道だ。韓米日の対話の呼びかけを無視し、無反応を貫いているのがこれをよく示している。一方、中国やロシアとの関係は1990年代初盤以来、最も良好だ。北朝鮮が核実験や弾道ミサイルの発射実験を行えば中国とロシアも制裁に加わっていた時代とは、状況が明らかに変わったわけだ。

 これが可能になった理由は何か。北朝鮮の「新たな道」は、米中戦略競争の激化とロシア・ウクライナ戦争、そして韓米日の結束とともに開かれた。それを受け、中国とロシアは北朝鮮の核問題を「核拡散防止」よりは「勢力均衡」の観点で捉え、北朝鮮の核を黙認する方向に転じた。友好国である北朝鮮の核武装が米国およびその同盟国のけん制に効果があると判断したのだ。北朝鮮も大国間の敵対的競争のすきを狙った。米中戦略競争の最前線である台湾問題、代理戦の様相を呈しているロシアとウクライナの戦争と関連し、中国とロシアの立場を全世界で最も強く支持している。これを踏まえると、北朝鮮は国際的孤立に直面しているというよりも、「韓米日との関係断絶と中ロとの関係強化」を選んだとみた方が妥当だろう。

 このように、納得することも、認めることも難しいだろうが、北朝鮮は国際舞台で無視できないアクターとして浮上している。国際社会の視線を集めた朝ロ首脳会談はこれを知らせる舞台だった。北朝鮮がロシアに通常兵器を供与するという「推測」を引き起こしただけで、かなり大きな波紋を広げた。これは、ロシアとウクライナの戦争が長期化し、米中戦略競争がし烈になり、韓米日が事実上の軍事同盟に進めば進むほど、北朝鮮の戦略的立場が強化されることを示している。

 朝ロ首脳会談後、中国の選択にも注目が集まっている。中国が韓米日のように朝中ロの結束を追求した場合、非常に大きな影響を及ぼす可能性があるからだ。これを意識した米国のジョー・バイデン政権は「中国はロシアと違う」と強調し、中国との意思疎通の強化に力を入れている。尹錫悦政権も中国に対する非難と批判を控え、韓中日首脳会談の実現に取り組んでいる。中国は、朝ロ首脳会談は「両国間のこと」だとし、まだ距離を置いている。北朝鮮およびロシアとの2者関係は重視するが、3者の結束にはまだ興味がないという意味だ。

 このような中国の立場をどう捉えるべきか。ひとまず、中国の外交政策基調の一つは「新冷戦反対」にある。これを根拠に、韓米日の軍事的結束の動きが新冷戦を招いていると強く反発してきた。だが、中国が朝中ロの結束を追求すれば、「反対」を掲げてきた新冷戦を固定化させる危険性が高くなる。また、中国は朝中ロの結束が韓米日の結束の強化など反作用を引き起こし、朝鮮半島の安定をさらに脅かす可能性も懸念している。

 中国が内心警戒することは、他にもあるとみられる。朝ロ間の兵器取引が現実味を帯びはじめ、国連安保理でこの問題が議論されることがまさにそれだ。北朝鮮とロシアの兵器取引は国連安保理決議に真っ向から違反するものであり、このようなことが起きれば安保理レベルの対応は避けられない。ロシアが拒否権を持っているため、制裁決議が出る可能性はないが、米国など他の理事国が中国の立場を強く追及することは目に見えている。中国としては、兵器取引を糾弾すれば、北朝鮮やロシアとの関係悪化を懸念しなければならないし、黙認すれば、国際的な評判や西側との関係悪化を心配しなければならない立場に追い込まれる可能性がある。このため、中国は北朝鮮やロシアに対し、兵器取引に反対する意思を非公開で伝える可能性が高い。

 中国はこれまでのところ朝中ロ3者の連帯に関心を示していないが、「核心の中で核心利益」と公言してきた台湾問題は重大なカギになりうる。最近、韓米日などは「力による現状変更に反対する」とし、「力による台湾海峡の現状維持」のために結束を強めている。このような状況で、来年1月の台湾総統選挙で民進党が政権交代に成功すれば、中国の戦略にも大きな影響を及ぼしかねない。台湾が独立を宣言し、米国などがこれを認める可能性はなくても、台湾が事実上の独立に向けた歩みを続け、米国などがこれを支援することは十分あり得る。これは中国にとっては「一つの中国」原則が根本的に揺さぶられ、平和統一の可能性が完全に消える事態として見なされかねない。ところが、台湾問題と関連し、中国の立場を最も強く支持しているのが北朝鮮とロシアだ。これは米国が同盟国を糾合して中国を圧迫・封鎖すればするほど、中国も今までとは異なる選択をする可能性が高まることを示唆する。

チョン・ウクシクハンギョレ平和研究所長(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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高角発射の場合、最高高度の2~3倍を正常飛行距離と推定するため、同日の弾道ミサイルを正常角度(30~45度)で発射した場合は、1万5000キロほど飛行できるものとみられる。米国本土が射程に入る距離だ。

2023-07-15 | 朝鮮民主主義人民共和国
 

北朝鮮のICBM、

6000キロの高度に1000キロ飛行…米本土打撃能力を誇示

登録:2023-07-14 06:40 修正:2023-07-14 07:15
 
 
北朝鮮が12日、金正恩国務委員長が見守る中、固体燃料を使った新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18型」の発射実験を強行したと、朝鮮中央通信が13日付けで報じた/聯合ニュース

 米軍の対北朝鮮偵察活動を非難してきた北朝鮮が12日午前、東海(トンヘ)上に3カ月ぶりに大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射し、脅威のレベルを高めた。キム・ヨジョン朝鮮労働党中央委副部長らが10月と11日、米空軍偵察機の東海上偵察飛行について「危険な飛行を経験することになるだろう」とし、撃墜の可能性を警告した直後、対米武力示威に出たのだ。これに対して尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は「強力な対応」に言及するとともに、国際協力を強調しており、朝鮮半島の緊張が高まっている。

 韓国軍合同参謀本部は同日、「北朝鮮の弾道ミサイルは高角に発射され、約1000キロ飛行した後、東海上に弾着」したと説明した。合同参謀本部は「情報探知能力が明らかになる」との理由で、北朝鮮弾道ミサイルの飛行時間や最高高度などは公開しなかった。しかし日本政府は「北朝鮮弾道ミサイルが午前11時13分頃、朝鮮半島の東約550キロの海上に落下し、最高高度は6000キロ」だと発表した。高角発射の場合、最高高度の2~3倍を正常飛行距離と推定するため、同日の弾道ミサイルを正常角度(30~45度)で発射した場合は、1万5000キロほど飛行できるものとみられる。米国本土が射程に入る距離だ。

 北朝鮮のICBM発射は今年に入って4回目。これに先立ち、北朝鮮は2月18日にICBM「火星15型」▽3月16日にICBM「火星17型」▽4月13日に固体燃料基盤の新型ICBM「火星18型」を発射した。ただし、同日発射された弾道ミサイルの機種をめぐっては分析が分かれている。昨年11月18日に発射された火星17型の最高高度が6049キロで、4月13日に発射された固体燃料火星18型の最高高度が3000キロという点で、最高高度から判断すると、同日発射されたミサイルは液体燃料を使用する火星17型の可能性がある。

 一方、飛行軌跡とロケットの段分離形態からすると、4月13日に発射された火星18型と似ているという。当時、火星18型は1段の場合、正常角度で飛行後に分離され、2段と3段は正常角度より高い高角方式で分離された。北朝鮮が液体燃料を使用する火星17型ではなく、発射準備時間の短さが強みとされる固体燃料基盤の火星18型を高度6000キロに引き上げたなら、有事の際に北朝鮮のミサイル発射の兆候を把握して事前に破壊するという韓国のミサイル防衛システム「キルチェーン」が形骸化する恐れがあると予想する専門家もいる。

 北朝鮮のICBM発射は、今月27日の停戦協定日(北朝鮮の戦勝節)を控え、北朝鮮内部の結束を図る狙いもあるものとみられる。

 北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席中の尹錫悦大統領は同日、国際協力を重ねて強調した。尹大統領はリトアニアのビリニュスで緊急国家安全保障会議(NSC)常任委員会を主宰し、「北朝鮮の不法な核・ミサイル開発は国際社会のより強力な対応と制裁に直面するだろう」とし、「韓米間、そして我々が独自に取る軍事・外交的措置を滞りなく実施するよう」参謀陣に指示した。尹大統領はまた、「北朝鮮の挑発は、グローバル安保協力について話し合うNATO首脳会議期間に行われたもの」だとその意味を喚起した。

 尹大統領はNATO同盟国・パートナー国首脳会議での演説で、「北朝鮮の核とミサイルはここビリニュスだけでなくパリ、ベルリンやロンドンまで打撃を与えかねない実質的な脅威だ」とし、「我々はより強力に連帯して糾弾し、対応しなければならない」と参加国首脳に協力を呼び掛けた。

クォン・ヒョクチョル記者、ビリニュス/キム・ミナ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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「我が国は宇宙条約の当事国、宇宙物体登録条約の当事国として、宇宙の探査と利用の分野で主権国家の権利を堂々と行使できるようになっており、我々の宇宙活動は国際法的に担保されている」

2023-06-04 | 朝鮮民主主義人民共和国
 

危機サイレン鳴るも逃げ場なし…

北朝鮮、再度衛星打ち上げの可能性(1)

登録:2023-06-03 05:25 修正:2023-06-03 09:02
 
[ハンギョレ21] 
安保理の無力な「決議違反」に 
中国「状況悪化防ぐには対話再開せよ」
 
 
2023年5月31日早朝、北朝鮮の平安北道鉄山郡東倉里の西海衛星発射場から、軍事偵察衛星「万里鏡-1号」を載せた宇宙ロケット「千里馬-1型」が打ち上げられている/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 北朝鮮の初の軍事偵察衛星打ち上げは失敗に終わった。北朝鮮は直ちに再度の打ち上げを予告した。韓米日は国連安全保障理事会(安保理)決議違反だと批判したが、中国は「双軌並進」(非核化と平和体制の同時推進)を改めて強調した。これは、新しい北朝鮮への制裁など安保理レベルの対応措置は容易ではないことを意味する。朝鮮半島情勢の緊張は高まる一方で、これといった突破口を見いだせない状況が長期化・固定化しつつある。

「予想外」の打ち上げ失敗の理由

 「朝鮮中央通信」の報道を総合すると、北朝鮮は2023年5月31日午前6時27分ごろ、平安北道鉄山郡(チョルサングン)の西海(ソヘ)衛星発射場から軍事偵察衛星「万里景-1号」を新型衛星運搬ロケット「千里馬-1型」に載せて打ち上げた。宇宙ロケットは通常3段で構成されるが、第1段エンジン分離後、第2段エンジンがきちんと作動しなかったため、推進力を失い西海上に墜落した。

 北朝鮮は打ち上げ失敗の原因を独自分析し、新型エンジンシステムの信頼性と安定性が欠けていたこと、使用した燃料の特性が不安定だったことなどをあげた。続けて「衛星打ち上げで現れた厳重な欠陥を具体的に調査解明し、これを克服するための科学技術的対策を至急講じ、様々な部分試験を経て、できるだけ早い期間内に2回目の打ち上げを断行する」と表明した。

 1998年8月31日、テポドン1号に搭載した「光明星1号」衛星の打ち上げを皮切りに、これまで北朝鮮は計7回の衛星打ち上げを試みている。2012年4月13日に「光明星3号」を載せた銀河3号が空中爆発するまでの4回の試みは失敗に終わったが、同年12月12日と2016年2月7日には、「光明星3号」2号機と「光明星4号」衛星を地球軌道に乗せるという成功を収めた。その後、北朝鮮は宇宙ロケットと同様に3段ロケットを使用する大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射能力を複数回誇示している。今回の打ち上げ失敗について「予想外」だとの評価が示されているのはそのためだ。科学技術政策研究院(STEPI)のイ・チュングン名誉研究委員は以下のように分析する。

 「ICBMは高度を最高値まで引き上げなければならない第1段エンジンが大きく、第2段エンジンの役割は補助的。一方で衛星は、第2段エンジンが低い高度で長く燃焼を反復しつつ衛星を望む軌道に乗せるという重要な役割を果たす。新型エンジンは真空状態で燃焼試験を行わなければならないが、北朝鮮にはそれだけの設備がない。北朝鮮が液体燃料として使用する四酸化二窒素(N2O4)はマイナス11度で凍り、プラス22度で沸騰する。ロケットが太陽から見て地球の裏側に入ったり、逆に表側に出て来たりすれば、真空状態で極端に温度が低くなったり高くなったりして液体燃料の管理が難しくなる。北朝鮮がムスダン系列のミサイル発射実験に何度も失敗しているのもこのためだ。偵察衛星の墜落直後、北朝鮮が失敗の原因は第2段エンジンと使用燃料だと明らかにしたことを考えると、事前に問題があることをある程度把握していた可能性が高い。にもかかわらず打ち上げ予告期間(5月31日~6月11日)初日の早朝に打ち上げを強行したのは、指導部の決定であれ実務陣の忠誠競争であれ、危険を甘受してでも日程を合わせなければならない理由があったとみられる」

 
 
北朝鮮が史上初の軍事偵察衛星を搭載した宇宙ロケットを打ち上げた5月31日午前、ソウル駅の待合室のテレビに、ソウル全域に警戒警報が発令されたという速報が流れている/聯合ニュース

再度の打ち上げに成功すれば、「報復抑止力」強化

 北朝鮮は、2023年上半期の党・国家機関の事業と経済状況、主要政策を討議するために「6月上旬」の開催を予告している労働党中央委第8期第8回全員会議の前に、偵察衛星の打ち上げを成功させようとしている。このような見通しが中国では示されている。ただし労働党のキム・ヨジョン副部長が6月1日の声明で、「朝鮮民主主義人民共和国の軍事偵察衛星は遠からず宇宙軌道に正確に進入し、任務遂行に着手することになると断言する」と強調したことをめぐっては、評価が割れている。ロケットのエンジンと燃料の欠陥を早期に解決すれば、予告した期間内に再打ち上げを行うだろうとの見通しもあるが、1回目の打ち上げが失敗して搭載していた衛星も失ったため、再度の打ち上げに必要な衛星を事前に確保できなければ、打ち上げはかなり延期されるだろうとも指摘されている。2012年の銀河3号打ち上げでは、1回目(4月)の失敗から2回目(12月)の成功までに約8カ月かかっている。

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は政権初期の2012年から「宇宙強国建設」を掲げ、「国家宇宙開発5カ年計画」を樹立している。また翌年の2013年4月に行われた最高人民会議第12期第7回会議では「国家宇宙開発局」を新設したほか、「宇宙開発法」を制定するなど、衛星打ち上げの意志を示している。特に2021年の第8回党大会では、軍事偵察衛星の開発を宇宙開発部門の最重大課題かつ戦略兵器部門の核心課題として提示した。「労働新聞」は軍事偵察衛星について、2022年3月10日付で金委員長の言葉を引用し「南朝鮮地域と日本地域、太平洋上での米帝国主義侵略軍隊とその追従勢力の反共和国軍事行動情報をリアルタイム」で確保し、「戦争準備能力を完備するための急務の事業」だと伝えている。世宗研究所のキム・ジョンソプ副所長は次のように指摘する。

 「軍事偵察衛星は常時相手側の標的に対して偵察を行うほか、誘導兵器を制御する役割も果たす。これまで北朝鮮が弱かった分野だ。北朝鮮は2022年の核武力政策法の制定とともに、様々な射程距離の弾道ミサイル発射実験と実機動訓練を実施しつつ、いわゆる『核戦争遂行能力』を強調してきた。偵察衛星まで確保すれば、従来の鈍重な攻撃方式がより細密かつ精密なものへと変わり、北朝鮮の主張するいわゆる対南・対米『報復・膺懲(ようちょう)抑止力』を強化できるとみられる」(2に続く)

チョン・インファン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 
 

危機サイレン鳴るも逃げ場なし…

北朝鮮、再度衛星打ち上げの可能性(2)

登録:2023-06-03 05:24 修正:2023-06-03 09:10
 
 
5月31日午前、全羅北道群山市沃島面の於青島の西約200キロの海上で、海軍が北朝鮮の打ち上げた宇宙ロケットと推定される物体を引き上げている=合同参謀本部提供//ハンギョレ新聞社

(1の続き)

宇宙ロケット打ち上げも北朝鮮が行えば違法

 北朝鮮は2009年3月5日、「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約(宇宙条約)」に加入。同年3月10日には「宇宙空間に打ち上げられた物体の登録に関する条約(宇宙物体登録条約)」にも加入した。北朝鮮国家宇宙開発局のパク・キョンス副局長は、2023年3月6日の「朝鮮中央通信」とのインタビューで「宇宙条約はあらゆる国が月やその他の天体を含む宇宙を差別なく平等に利用することについての原則、宇宙を平和的目的で研究および利用することについての原則、宇宙の開発と利用における国際的協力を強化することについての原則をはじめ、国際宇宙法の基本諸原則を規範化している。宇宙活動に関する専門分野の国際条約である宇宙物体登録条約は、宇宙に打ち上げた物体の登録に関する諸問題を規制している」とし「我が国は宇宙条約の当事国、宇宙物体登録条約の当事国として、宇宙の探査と利用の分野で主権国家の権利を堂々と行使できるようになっており、我々の宇宙活動は国際法的に担保されている」と述べた。キム・ヨジョン副部長が6月1日の声明で「誰であろうとも衛星打ち上げに対する我々の主権的権利を否定できない」と主張したのも、このような脈絡によるものだ。

 解釈の余地が全くないわけではないが、キム副部長の主張は現行の国際法体制に概して符合しない。国連憲章第25条は「国際連合加盟国は、安全保障理事会の決定をこの憲章に従って受諾し且つ履行することに同意する」と規定している。また第103条は「国際連合加盟国のこの憲章に基く義務と他のいずれかの国際協定に基く義務とが抵触するときは、この憲章に基く義務が優先する」と規定している。安保理決議は国際協定に優先するという意味だ。国連安保理は2006年7月15日の決議第1695号で、初めて北朝鮮に「弾道ミサイル計画に関連するすべての活動の停止」を要求した。さらに同年10月14日の決議第1718号では、北朝鮮の「弾道ミサイル計画に関連するすべての活動の停止」を決定し、兵器類やぜいたく品などの北朝鮮への禁輸措置を骨子とする制裁を発動した。これこそ、ICBMをはじめとする各種の弾道ミサイルはもちろん、宇宙ロケットの打ち上げも北朝鮮が行えば国際法的に「違法」となる理由だ。

2022年に初めて北朝鮮制裁決議案が否決

 問題は、安保理が事実上、本来の機能を失っていることだ。安保理は2022年5月26日、北朝鮮に対する原油や精製油の供給量を従来より各々25%削減することを骨子とする北朝鮮制裁決議案を米国主導で表決に付したが、中国とロシアが拒否権を行使したため否決された。安保理において表決で北朝鮮制裁決議案が否決されたのは、この時が初めて。この時、中国の張軍国連大使は「朝米対話の結果として北朝鮮が取った肯定的で先制的な措置に米国が応じなかったことが、今のような情勢へとつながった」と主張している。そして「朝鮮半島の緊張が高まる中、中国はすべての当事国に冷静を保ち、緊張と誤った判断を招きうる行動を控えるよう求めてきた」、「安保理は肯定的で建設的な役割を果たすべきであり、状況が統制不能状態に陥らないようにすべきだ」と強調した。その後、北朝鮮は様々な弾道ミサイルの発射を行ったが、安保理は法的拘束力のない議長声明すら一度も出せていない。

 今回も状況は同じだ。韓米日は声を一つにして「安保理決議違反であり、明白な挑発かつ威嚇だ。応分の代価を支払うことになるだろう」と強く批判したが、中国の雰囲気は全く異なっていた。中国外務省の毛寧報道官は5月31日の定例ブリーフィングで「朝鮮半島情勢が今のような状況に至った脈絡は明らかであり、中国の望む姿でもない。状況悪化を防ぐ唯一の道は、関係当事国が朝鮮半島平和体制の不在に起因する問題点を直視するとともに、『双軌並進』の精神に則って意味ある対話を再開し、各自の合理的な憂慮をバランスよく解決することのみ」だと述べた。危機のサイレンは鳴るが、逃げ場はない。

チョン・インファン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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北朝鮮が「火星17型」ではなく「火星15型」を発射したのは、政治的目的をいっそう強く考慮したためとの解釈が出ている。

2023-02-20 | 朝鮮民主主義人民共和国

北朝鮮はなぜ「火星17型」を残して「火星15型」を発射したのか

登録:2023-02-19 19:34 修正:2023-02-20 06:48

 

3カ月ぶりのICBM…成功率を考慮したもよう
 
 
北朝鮮は、金正恩朝鮮労働党中央軍事委委員長の命令により、18日「大陸間弾道ミサイル『火星砲15型』を利用し奇襲発射訓練」を行ったと、19日に朝鮮中央通信が報じた/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 北朝鮮は今月18日に発射した大陸間弾道ミサイル(ICBM)が最新型の「火星17型」ではなく「火星15型」だと明らかにした。北朝鮮が約3カ月ぶりに発射する長距離ミサイルであるだけに、対外的な視線を考慮して成功率にさらに気を使ったのではないかとみられる。

 北朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は19日、「大陸間弾道ミサイル『火星砲15型』を最大射程体制で高角発射した」と報じ、最大高度5768.5キロメートル、飛行距離989キロメートル、飛行時間4015秒(1時間6分55秒)と明らかにした。韓国軍も北朝鮮が今回発射したミサイルを「火星15型」と把握しているという。

 「火星15型」は、北朝鮮が2017年11月29日に初の試験発射成功とともに「国家核武力の完成」を宣言した大陸間弾道ミサイルだ。今回発射されたミサイルは、初の試験発射(最大高度4475キロ、飛行距離950キロ)時より性能が向上した「改良型」とみられる。韓国航空大学のチャン・ヨングン教授は「通常、ミサイルを含むすべての兵器体系は、開発または戦力化配置以後も持続的に改良を推進する」とし「2017年の『火星15型』ICBM発射時より弾頭重量を最小限に減らし、一部エンジンの性能を改良して発射したと推定される」と話した。

 
 
18日 北朝鮮大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射グラフィック 資料:朝鮮中央テレビ、38ノース、他//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮が「火星17型」ではなく「火星15型」を発射したのは、政治的目的をいっそう強く考慮したためとの解釈が出ている。北朝鮮は17日、韓国と米国が予定中の合同演習を実行した場合には強力に対応すると警告したが、もし「火星17型」を発射して失敗すれば、武力示威の効果を出せないリスクがあるためだ。北朝鮮は昨年11月3日、「火星17型」と推定されるミサイルを発射したが、1・2段推進体の分離後に速度を上げられず墜落し、半月後に「火星17型」の発射に成功した。韓国の北韓大学院大学のヤン・ムジン教授は、「火星17型が北朝鮮では成功したとは言っても、まだ失敗する可能性が高い」とし、「失敗すれば北朝鮮の国内外で相当な批判に直面するため、火星15型を選択した」と述べた。

 北朝鮮が今月8日、朝鮮人民軍創建75周年記念軍事パレードで「新型固体燃料基盤の大陸間弾道ミサイル」を初めて公開したという分析も出ているが、18日に発射された大陸間弾道ミサイルは液体燃料方式だとみられている。北朝鮮は今回のミサイル発射を金正恩(キム・ジョンウン)労働党中央軍事委員長が命令した「奇襲訓練」と呼んだが、18日午前8時に発令された発射命令は約9時間後の午後5時22分頃に実行された。「火星15型」の液体燃料基盤ミサイルの起動に長い時間がかかったことを示したわけだ。

シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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一部の専門家から、ミサイル総局は核とミサイルの開発を専門に担当し米国や欧州などから制裁を受けている軍需工業部に属する「ロケット工業部」を格上げさせた組織だとみる分析が出たりもした。

2023-02-10 | 朝鮮民主主義人民共和国
 

米国務省、北朝鮮の「ミサイル総局」公開に「懸念」

登録:2023-02-10 05:46 修正:2023-02-10 08:19

 

平壌駐在ロシア大使「北朝鮮・ロシア間の列車運行を増やす」 
米、北朝鮮のロシアに対する兵器追加供給の可能性に触れる
 
 
7日、労働新聞などの北朝鮮メディアに公開された朝鮮労働党中央軍事委会の議場の様子。これまで北朝鮮側が公開しなかった「朝鮮民主主義人民共和国ミサイル総局」の旗が金正恩労働党総秘書の後ろに置かれている/聯合ニュース

 北朝鮮が最近、核とミサイルの専門担当組織と推定される「ミサイル総局」の存在を公開したことについて、米国務省が懸念を表明した。

 9日の「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」の報道を総合すると、米国務省は「新設されたミサイル総局が、すでに制裁対象となっているロケット工業部に匹敵する要注意組織とみなすか」という質問に「米政府は北朝鮮のミサイル開発への努力に対し長きにわたり懸念してきており、北朝鮮のミサイルプログラムによる脅威に対処するため、制裁を含む様々な手段を用いている」と述べた。

 これに先立ち北朝鮮は6日、金正恩(キム・ジョンウン)労働党総書記兼国務委員長が主宰した党中央軍事委員会拡大会議で、「朝鮮民主主義人民共和国ミサイル総局」と書かれた旗の写真を初公開した。これについて一部の専門家から、ミサイル総局は核とミサイルの開発を専門に担当し米国や欧州などから制裁を受けている軍需工業部に属する「ロケット工業部」を格上げさせた組織だとみる分析が出たりもした。

 一方、国務省報道室側は、最近ロシアの外交当局者が北朝鮮・ロシア間の列車の運行を増やすと言及したことについても懸念を表明した。これに先立ち、平壌駐在のアレクサンドル・マツェゴラ・ロシア大使は2日、自国メディアとのインタビューで「ロシア・北朝鮮間の鉄道輸送が昨年11月1日に再開された。輸送量はまだ多くないが、増やすよう努力している」と述べた。

 米国務省報道室の関係者はVOAに、「ウクライナ戦争関連でロシアに兵器を販売したという事実を北朝鮮は否定しているが、米国は北朝鮮が2022年11月にロシア政府の支援する民間軍事会社『ワグネル・グループ』に兵器を供給した状況を確認した」とし、「今後、北朝鮮がワグネルに追加で軍装備を供給することについて懸念している」と述べた。

チョン・インファン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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「(12日に発射された)2発の長距離戦略巡航ミサイルが、朝鮮西海上空に設定された楕円と8字型の飛行軌道に沿って1万234秒飛行し、2千キロ界線の標的を命中打撃した」と報じた。

2022-10-14 | 朝鮮民主主義人民共和国

北朝鮮、12日に長距離巡航ミサイルを2発発射…

金正恩委員長が現地指導

登録:2022-10-13 09:24 修正:2022-10-13 10:39
 
 
 
北朝鮮の金正恩国務委員長は、「敵と対話する内容もなく、またその必要性も感じない」と述べた。キム委員長は先月25日から今月9日までの人民軍戦術核運用部隊、長距離砲兵部隊、空軍飛行隊の訓練に参加した際にこのように述べたと朝鮮中央通信が10日に明らかにした//ハンギョレ新聞社

 「朝鮮中央通信」の13日の報道によると、北朝鮮は12日に2発の長距離巡航ミサイルを発射した。

 同通信は「(12日に発射された)2発の長距離戦略巡航ミサイルが、朝鮮西海上空に設定された楕円と8字型の飛行軌道に沿って1万234秒飛行し、2千キロ界線の標的を命中打撃した」と報じた。

 同通信はまた「金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が戦術核運用部隊のこの長距離戦略巡航ミサイルの発射実験を現地で指導した」とし、同氏が「核武力の無限大かつ加速的な強化発展に総力を尽くす」と述べたと報じた。

 金委員長は発射実験の結果に満足し、「任意の兵器体系による無条件の、機動的な、精密かつ強力な反撃で、敵を一挙に制圧しうる徹底した実戦準備態勢をまたしても立証した。本日鳴り響いたミサイルの爆音は、敵に再び送る我々の明々白々な警告」だとし、「我が国の戦争抑止力の絶対的な信頼性と戦闘力に対する実践的な検証であり、はっきりとした誇示」だと述べた。続いて「我々は任意の時刻に到来するいかなる厳しい軍事的危機、戦争危機も断固として抑止するとともに、主導権を完全に獲得できるよう核戦略武力の運用空間を拡大し続けなければならない。絶え間ない国家防衛力の強化は国の尊厳と自主権、生存権の死守のために少しもずらすことのできない、ずらしてはならない一貫した不変な我々の革命方針、闘争基調」だとし「国家核戦闘武力の無限大かつ加速的な強化発展に総力を集中しなければならない」と述べた。

 同通信は「発射実験は朝鮮人民軍の戦術核運用諸部隊に作戦配備された長距離戦略巡航ミサイルの戦闘的性能と威力をさらに向上させ、全般的な作戦運用体系の信頼性と技術的安定性を再確証することを目的として行われた」と伝えた。

ソン・ヨンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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北朝鮮の核とミサイルだけに注目するのではなく、韓米日の兵器庫に積まれている先端兵器も同時に見る知恵も求められる。最も重要なのは、北朝鮮の変化が外部との相互作用の産物だという点を直視することだ。

2022-07-29 | 朝鮮民主主義人民共和国
 

[寄稿]

北朝鮮の変化にどう対応すればいいのか

登録:2022-07-26 06:31 修正:2022-07-29 09:54

 

韓米日との関係改善、未練捨てたもよう 
北朝鮮の国連報告と韓国銀行の推定値に大きな差あり 
対北朝鮮政策見直しの出発点は「知彼知己」 

チョン・ウクシク|ハンギョレ平和研究所長
 
 
4月25日、北朝鮮が軍創建記念軍事パレードで登場させた新型ICBM火星17型。25日朝、北朝鮮は同ICBMを含む3発の弾道ミサイルの発射実験を行ったものと推定される/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 対北朝鮮政策を原点から見直すべきだという声が高まっている。最も大きな理由は、北朝鮮の核武装が取り返しのつかない水準に達したことにある。朝鮮半島の非核化が事実上不可能になっただけに、非核化を中核の目標にしてきた対北朝鮮政策にも変化が必要であるという指摘もこのような脈絡から出た。一理ある主張だ。

 同時に、核武装に比べてあまり目立たない、しかし非常に重要な北朝鮮の変化も直視する必要がある。次の3つの側面からだ。第一に、北朝鮮が韓米日との関係改善の未練を事実上捨てたように見えるという点。第二に、北朝鮮経済が外部で考えるほど厳しくない可能性が高いという点。第三に、経済制裁に対する北朝鮮の判断が変わったという点。

 1990年代初め以来、北朝鮮問題の中心には北朝鮮の核問題と韓米日間の相互作用があった。北朝鮮の核開発は、韓米日の対北朝鮮強硬策の原因であると同時に、北朝鮮の核問題を解決するためには対話と交渉に乗り出さなければならないという点で外交的課題でもあった。北朝鮮も時には瀬戸際戦術で、時には対話と交渉で、韓米日、特に米国との関係を解決するという目標を持っていた。そのような北朝鮮が、2019年末から対話の扉を固く閉ざしている。2018年から2019年上半期まであった南北・朝米首脳会談は、虚しい結果を残しただけで今後も期待することはないという判断が決定的に働いたものとみられる。

 北朝鮮の経済難がそれほど深刻ではない可能性にも注目する必要がある。「貧困にあえぐ北朝鮮」という認識は、対北朝鮮支援と経済協力、そして経済制裁の緩和を通じて北朝鮮の変化を図るべきという包容政策から、対北朝鮮制裁の維持と強化を通じて北朝鮮の変化を迫るか、崩壊を図るべきという強硬政策に至るまで、様々な形で展開されてきた。しかし、北朝鮮が外部で考えているほど貧しくないならばどうなるのか。北朝鮮は2021年7月に国連に「自発的国家レビュー」(VNR)を提出したが、「2015から2019年まで5年間の年平均経済成長率は5.1%」と報告した。同期間に対する韓国銀行の推定値より9.5%も高い。

 経済制裁に対する北朝鮮の考え方が変わったことも非常に重要だ。「制裁の解決」(Without Sanctions)の追求から「制裁と共に」(With Sanctions)への転換がまさにそれだ。「過去の北朝鮮」は米国主導の制裁に悲鳴を上げ、制裁を解除してほしいと訴えたこともあった。しかし、朝米首脳会談の虚しい結果を経験し、制裁を「自力更生」と「自給自足」を実現できる「良い機会」にするという立場に転じた。

 これら3つの変化は、北朝鮮の核武装に劣らず、対北朝鮮政策の見直しを迫る要因だ。韓米日との関係正常化は、非核化に対する重要な相応措置だった。しかし、北朝鮮がこのような外交的目標をほとんど放棄したということは、対北朝鮮政策の重要なテコが消える危機に瀕していることを意味する。対北朝鮮支援や協力で、あるいは対北朝鮮制裁の維持や強化で北朝鮮の変化を引き出そうとしたアプローチも、有効期間が過ぎた。

 ならば、変化した北朝鮮を相手に対北朝鮮政策をどのように再構成すべきか。「知彼知己(敵の様子を知り、また自国の実情もよく知ること)」が重要だ。実は、対北朝鮮政策ほどこの「知彼知己」うまくいかない分野もない。これからはそれぞれが望む北朝鮮ではなく、「ありのままの北朝鮮」を見ようとする努力が必要だ。同時に、陣営論理から離れ、これまでの韓米日の対北朝鮮政策も冷静に振り返らなければならない。また、北朝鮮の核とミサイルだけに注目するのではなく、韓米日の兵器庫に積まれている先端兵器も同時に見る知恵も求められる。最も重要なのは、北朝鮮の変化が外部との相互作用の産物だという点を直視することだ。

チョン・ウクシク|ハンギョレ平和研究所長(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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北朝鮮の武器庫に劣らず、自分たちの武器庫に積まれていく先端兵器も顧みる知恵が、韓米日に求められている。

2022-01-31 | 朝鮮民主主義人民共和国

[寄稿]北朝鮮はなぜ次々とミサイルを発射するのか

登録:2022-01-28 05:50 修正:2022-01-31 07:10
 
米国の関心を引くためでも、韓国の大統領選への介入でもない 
韓米日の兵器庫に積まれていく先端兵器にも注目すべき 

チョン・ウクシク | ハンギョレ平和研究所長
 
 
                                                       出典:朝鮮中央通信・聯合ニュース

 北朝鮮が今年に入って、矢継ぎ早にミサイル発射実験を行っている。5日と11日の極超音速ミサイルを皮切りに、14日には線路上の列車から「北朝鮮版イスカンデル」(KN23)を、17日には短距離戦術ミサイルを発射した。

 いったい北朝鮮はなぜこのような動きを続けるのか。アントニー・ブリンケン米国務長官は「我々の関心を引くために、ミサイル発射実験を繰り返している」とし、「以前もそうしてきたし、これからもそうするだろう」と述べた。これは、バラク・オバマ政府時代、国務長官だったヒラリー・クリントン氏が好んで使った表現だ。

 ところが、どうも腑に落ちない点がある。オバマ政権の対北朝鮮政策は「戦略的忍耐」だった。米国側は当時、対話と関連し北朝鮮に難しい条件を掲げ、朝米対話の敷居を高めた。そのため、北朝鮮が米国を対話のテーブルにつかせるためにミサイル発射で関心を引こうとしたという診断は一理あった。一方、バイデン政権は「戦略的忍耐」との決別を宣言し、北朝鮮に条件なしの対話を提案している。「いつどこでもあらゆる問題について話し合う用意がある」とし、「対話の扉は開かれている」と強調している。北朝鮮のミサイル発射実験を「米国の関心を引きつけるため」と規定したブリンケン長官は状況判断を誤っているのではないかと思われるのもそのためだ。

 一方、韓国政府と与党では、北朝鮮の相次ぐミサイル発射実験が3月9日の大統領選挙に及ぼす影響に神経を尖らせている。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は北朝鮮のミサイル発射に対して「懸念」を表明した理由の一つに「大統領選を控えた時期」という点を挙げた。共に民主党のイ・ジェミョン大統領候補は「韓国側の政治地形に影響を与えており、特定陣営の利益になるのは明らかだという点を明確に指摘する」と糾弾の声を高めた。

 これもいまいち腑に落ちない。確かに、北朝鮮のミサイル発射で安保危機が高まった場合、得をするのは国民の力のユン・ソクヨル大統領候補かもしれない。ならば北朝鮮は、韓国側の(南北関係において)保守的かつ強硬なスタンスの大統領選候補を助けるため、ミサイル発射実験を続けているのだろうか?うなずく人はそう多くないだろう。

 米国の関心を引こうとするわけでもなく、韓国の大統領選挙に影響を及ぼそうとしているわけでもないなら、北朝鮮の意図は何だろうか。北朝鮮が昨年から強調してきた二つの表現から、その答えを見つけることができる。「軍事力のバランス」と「戦争抑止力」がそれだ。すなわち、軍事的敵対関係にある韓米日を相手に最大限の軍事力バランスを取って戦争を抑制するのが北朝鮮の根本的な意図であり、目標であるという意味だ。

 これは「知彼知己(彼を知り己れを知る)」を通して優に推測できる。韓米日は北朝鮮の核とミサイル能力だけに注目するが、韓米同盟と米日同盟の軍事力は北朝鮮を圧倒する。ここのところ韓国と日本の軍事力も飛躍的な成長を遂げている。2017年に世界12位と評価された韓国の軍事力は、最近世界6位に跳ね上がった。特に「キルチェーン-韓国型ミサイル防御体制-大量報復」で構成された3軸システムが強化された。専守防衛の原則を掲げ攻撃用兵器の導入を控えてきた日本も、「敵基地攻撃論」を既成事実化するなど、変化を見せている。

 これに対抗して、北朝鮮は核とミサイルに「選択と集中」をしながら、新型ミサイルを保有することで軍事力のバランスと戦争抑止力を維持しようとしている。北朝鮮が最近発射しているミサイルの特性からも、これを確認することができる。極超音速ミサイルは韓米日のミサイル防衛体制(MD)を無力化しようという意図を、潜水艦や列車から発射するミサイルは発射プラットフォームを多様化し、2次攻撃能力を確保するという目的を持っている。

 では、北朝鮮の暴走を止める方法は何だろうか。対北朝鮮制裁の強化や先制攻撃論では阻止できない。終戦宣言や対北朝鮮支援の意思表明でも不十分だ。ならば、ほかに何が必要だろうか。北朝鮮の武器庫に劣らず、自分たちの武器庫に積まれていく先端兵器も顧みる知恵が、韓米日に求められている。

チョン・ウクシク | ハンギョレ平和研究所長(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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