大橋みつるの平和ト-ク・・世直しご一緒に!

世界の変化を見ながら世直し提言
朝鮮・韓国・中国・ロシアとの友好促進
日本語版新聞紹介

ロシアは同日、英国の外交官6人に対する資格承認も取り消した。ロシア連邦保安局(FSB)は彼らがスパイ疑惑と「ロシア安保威嚇」疑惑を受けており、「様々な非友好的な行為」に対する措置だと発表した。

2024-09-14 | アメリカの常識は世界の非常識
 

「西側兵器」によるロシア本土への攻撃を認めるか…

「ロシアと西側の衝突」危機高まる

登録:2024-09-14 06:04 修正:2024-09-14 08:28
 
バイデン大統領、西側の兵器によるロシア領内攻撃を認める方針を示唆 
プーチン大統領「NATOとロシア戦争を意味」…「適切に対応する」 
英国のスターマー首相、西側諸国の糾合に乗り出す
 
 
英国のキア・スターマー首相が12日、デービッド・ラミー外相とともに米ワシントンのアンドリュー空軍基地に降り立った。スターマー首相は、バイデン米大統領との首脳会談で、西側の長距離兵器によるウクライナのロシア本土攻撃を認めるよう求めた/AP・聯合ニュース

 西側がウクライナに供与した長距離兵器の使用制限が解除される可能性が高まったことで、ウクライナ戦争がロシアと西側諸国の衝突に飛び火しかねない新しい局面に入った。

 米国のジョー・バイデン米大統領が、西側諸国の長距離兵器でウクライナがロシア本土を攻撃することを認める最終決定を控えていると、ニューヨーク・タイムズが12日付で報じた。バイデン大統領は就任後初めてワシントンを訪問した英国のキア・スターマー首相とこの問題について議論した後、米国が供与した長距離兵器を除いた西側の兵器でウクライナがロシア本土を攻撃することを認める方向に傾いたと、同紙は報道した。

 英国はすでに自国の長距離兵器である「ストームシャドー」をウクライナに供与し、ウクライナのロシア本土攻撃を許可したいという方針を米国に知らせた。英国は米国、フランスとの協力戦略を誇示するために、バイデン大統領の明確な許可を望んでいる。バイデン大統領は、ロシアが中東駐留米軍に対するイランの攻撃を支援する対抗策を取りかねないという米国情報機関の警告を受け、米国兵器の使用許可を躊躇っていると、同紙は報道した。

 これに先立ち、ホワイトハウスの高官らは、ウクライナに対する米国の地対地長距離ミサイル「ATACMS」の使用許可について、「差し迫った決定はない」と主張したが、バイデン大統領はその制限の緩和を示唆した。バイデン大統領は10日、「ウクライナの長距離兵器使用に対する制限を解除するのか」という質問を受け、「私たちは現在、その問題に取り組んでいる」と答えた。

 トニー・ブリンケン米国務長官もポーランドのワルシャワで、「米国はロシアの侵略を効果的に防げるようウクライナが行使する手段に関することを含め、見直しを行っている」とし、「ロシアの方針に変化があり、戦場も変わっているため、私たちもそれに適応している」と述べた。これは、西側諸国がウクライナに供与した長距離兵器の使用原則の変更を示唆したものとみられる。

 これに先立ち、デービッド・ラミー英外相とともにウクライナを訪問したブリンケン長官は共同記者会見で、「ロシアの合法的な軍事目標物に対する米国と英国の兵器使用制限を解除することが重要だ」というウクライナのアンドリー・シビハ外相の発言を受け、「緊急に検討する」と述べた。

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、西側がウクライナにロシア本土への長距離兵器の使用を許可することは、北大西洋条約機構(NATO)諸国とロシアの「戦争」を意味すると強く警告した。また「これは紛争の本質を著しく変えるだろう」とし、「これはNATO諸国、米国、欧州諸国がロシアと戦争することを意味する」と述べた。

 さらに「その場合には紛争の本質の変化を考え、直面する脅威に基づいて適切な決定を下す」と強調した。クレムリン(ロシア大統領府)のドミトリー・ペスコフ報道官も「適切に対応する」とし、「このような決定はおそらくすでに下されたはずだ」と述べた。

 プーチン大統領は、「NATO加盟国が議論しているのは、西側の長距離兵器でウクライナがロシアを攻撃する可能性ではなく、ウクライナ戦争に参戦するかどうかだ」と主張した。彼は西側の長距離兵器を利用したウクライナのロシア本土攻撃は「ウクライナが保有していない衛星の情報を通じてのみ可能だが、一般的にNATO、欧州連合(EU)、米国衛星のデータ」と説明した。

 ロシアの警告にスターマー英首相は13日「ロシアがこの紛争を始め、違法にウクライナを侵略した」とし、「ロシアはこの紛争をすぐに終わらせることができる」として責任がロシアにあることを強調した。さらに「今後数週間、数カ月間、ウクライナと中東で本当に重要な展開があるだろう。だからこそ、多くの戦術的決定が下されなければならない」と述べた。スターマー首相は米国に続き、主要7カ国(G7)議長国のイタリアのジョルジャ・メローニ首相と会談するためローマを訪問する予定だ。

 西側諸国の立場の変化は、最近ロシアがイランから戦術ミサイルなどの追加支援を受けたことが明らかになったことによるものだ。

 もし西側の長距離兵器を使ったウクライナのロシア本土攻撃が認められた場合、ロシアがこの兵器の供与を阻むための攻撃を行うことが懸念されている。西側の兵器が供与されるルートであるウクライナに近いポーランドなどのNATO加盟国の補給基地や輸送路が、ロシアの攻撃対象になり得るということだ。NATO加盟国の領内が攻撃されれば、NATOの集団防衛体制が発動し、NATOとロシアは戦争状態に突入する恐れがある。

 一方、ロシアは同日、英国の外交官6人に対する資格承認も取り消した。ロシア連邦保安局(FSB)は彼らがスパイ疑惑と「ロシア安保威嚇」疑惑を受けており、「様々な非友好的な行為」に対する措置だと発表した。

チョン・ウィギル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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「米国の歴史において現大統領や大統領候補、著名な政治家が攻撃や銃撃、暗殺の対象になることは珍しくない」とし、「前大統領の参加する政治集会で、セキュリティ措置が取られていたにもかかわらず・・・

2024-07-16 | アメリカの常識は世界の非常識

「トランプ銃撃は米国の民主政治に絶望したため」

登録:2024-07-16 08:07 修正:2024-07-16 10:07
 
 
14日、北京市内のショッピング街の大型スクリーンに、米国のトランプ前大統領の銃撃事件のニュースが映し出されている=北京/AFP・聯合ニュース

 中国官営メディアは米国のトランプ前大統領の銃撃事件について、「米国の民主政治に絶望したため」と評した。

 中国官営の環球時報は15日、「米国政治、暴力と両極化の悪循環」と題する専門家の論評を通して、トランプ前大統領銃撃事件は「現在の米国の直面する政治的ジレンマと国家統治の重大な危機をはっきりと示している」と伝えた。この論評は、北京大学国際政治経済研究センターの王勇主任によるもの。

 王主任は、「政治的両極化が政治暴力へとつながるのは、米国社会でますます多くの人が米国民主政治に対して絶望しているため」だとし、「立法や選挙では自分たちの要求と関心事は解決できないと判断し、競争者を傷つけたり邪魔したりする暴力的な解決策を模索している」と分析した。

 官営グローバル・タイムズも14日、中国の専門家の話を引用して「米国の歴史において現大統領や大統領候補、著名な政治家が攻撃や銃撃、暗殺の対象になることは珍しくない」とし、「前大統領の参加する政治集会で、セキュリティ措置が取られていたにもかかわらずこのような事件が発生したことは、米国でまん延する銃器の問題と、その問題の解決がどれほど難しいかを示している」と指摘した。人民大学のチョウ大明教授は、「今回の選挙は前職と現職の大統領の対決であり、本質的に米国の異なる2つのビジョンの衝突」だとし、「このような対決は米国社会をよりいっそう分裂させ、より多くの暴力的な爆発を誘発しうる」と評した。

 中国外務省も14日に記者との問答のかたちでウェブサイトに掲載した文章で、「中国はトランプ前大統領が銃撃事件の被害にあったことに注目している」とし、「習近平主席はトランプ前大統領にお見舞いを伝えた」と述べている。

北京/チェ・ヒョンジュン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 
 
 
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玉城デニー知事は28日午後、県庁内で記者団に「(昨年12月の)事件が明るみに出た矢先にこのような非人道的で卑劣な犯罪が再び発覚した。断じて許せるものではなく、強い憤りを禁じ得ない」と語りました。

2024-06-29 | アメリカの常識は世界の非常識

2024年6月29日(土)

米兵 5月にも女性暴行

1カ月超未公表、県議選のためか

沖縄

 那覇地検は28日、沖縄県読谷村で女性に性的暴行をしようとして、けがをさせたとして、在沖縄米海兵隊の男(21)を17日付で不同意性交等致傷の罪で起訴したことを明らかにしました。昨年12月に米空軍兵の男が沖縄県内で16歳未満の少女を誘拐し、性的暴行を働いた事件が25日に発覚したばかりです。

 玉城デニー知事は28日午後、県庁内で記者団に「(昨年12月の)事件が明るみに出た矢先にこのような非人道的で卑劣な犯罪が再び発覚した。断じて許せるものではなく、強い憤りを禁じ得ない」と語りました。

 起訴されたのはジャメル・クレイトン上等兵。起訴状によると、5月26日、読谷村内で性的な目的から女性の頭部を締め付ける暴行を加え、女性に結膜下出血など全治2週間のけがをさせたとしています。林芳正官房長官も同日午前の会見で事実関係を認め、米側に遺憾の意を伝えたことを明らかにしました。

 昨年12月の事件では、政府が6カ月以上も県に情報提供せず、隠蔽(いんぺい)してきたことに怒りが広がっています。今回明らかになった事件も1カ月以上公表されておらず、6月7日告示の県議選への影響を回避するため隠蔽してきたとの疑念はぬぐえません。

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上地市長は米軍に「憤りを感じる」と述べる一方、政府としてPFOSなどの排水基準を設けるよう求めました。

2024-05-26 | アメリカの常識は世界の非常識

PFOS公表 また拒む

米軍、横須賀流出の分析結果

 神奈川県の米海軍横須賀基地の排水処理施設からPFOSなど有機フッ素化合物が流出した問題で24日、防衛省は横須賀市に改めて米軍は水の分析結果の提供に応じないと伝えました。防衛省の大和太郎地方協力局長らが上地克明市長を訪問し伝えたと同日、市が発表しました。

 PFOSなどの除去のために設置されていた粒状活性炭フィルターが昨年10月、日本政府や市に断りもなく稼働停止していたことから、市長が排水のサンプリング分析結果の提供を求めていました。

 防衛省は在日米軍司令部の、「日本の法令にPFOS・PFOAの排水基準がなく、数値を提供する義務はない」「事案発生後、泡が発生するなどの特異な事象が確認されず、PFOS・PFOAの値は安定している」などの主張を伝え、容認する姿勢を示しました。また「原因の特定は困難」とする、これまで通りの米側の説明をくり返しました。

 上地市長は米軍に「憤りを感じる」と述べる一方、政府としてPFOSなどの排水基準を設けるよう求めました。

 日本共産党の大村洋子市議団長は「基準がないことが分析結果を公表しない理由にはならない。市と国は引き続き公表を求め、米軍はそれに応え市民の不安を払拭(ふっしょく)してほしい」とコメントしました。

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 しかも、メーカーは機体の欠陥について知りうる立場にありながら、「オスプレイの設計、運用、安全性について政府や兵士らに真実を伝えなかった」と述べ、「欠陥隠し」を厳しく追及しています。

2024-05-25 | アメリカの常識は世界の非常識

2024年5月25日(土)

オスプレイ事故遺族提訴

製造元が「欠陥隠し」

 2022年6月に米カリフォルニア州の演習場で発生した米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイの墜落事故をめぐり、死亡した乗組員5人中4人の遺族が23日(現地時間)、製造元のベル・テキストロン、ボーイング、ロールスロイスなどに損害賠償を求め、同州の連邦地裁に提訴しました。

 米海兵隊が23年7月に公表した事故報告書は、墜落に関して人的ミスは一切なかったと断定。「予期しない機械的故障」に見舞われ、エンジンの動力を回転翼に伝えるクラッチの不具合(HCE)の可能性を指摘しています。

 公表された訴状によれば、オスプレイは機体そのものが政府の基準を満たしておらず、「欠陥・危険」だと断定し、メーカーの責任を追及しています。

 しかも、メーカーは機体の欠陥について知りうる立場にありながら、「オスプレイの設計、運用、安全性について政府や兵士らに真実を伝えなかった」と述べ、「欠陥隠し」を厳しく追及しています。

 オスプレイは開発段階の1990年代から事故が多発し、65人の乗組員が死亡。昨年11月に鹿児島県屋久島沖で発生した墜落事故でも乗組員8人全員が死亡し、全機の運用が停止されましたが、米軍は今年3月に飛行再開を強行しました。

 陸上自衛隊もオスプレイ14機を配備。米以外で同機を配備しているのは日本だけです。

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駐日米国大使を務めたハガティ上院議員は、「韓米日の協力で大きな挑戦課題は、韓日の間に存在する歴史問題だと考えている。米国は数十年間、韓日関係がより緊密になることを望んできた。

2023-12-11 | アメリカの常識は世界の非常識
 

「設計者」米国が突き付けた中国けん制参加の明細書

…北朝鮮の核問題は優先順位にない

登録:2023-12-11 06:38 修正:2023-12-11 07:15
 
キャンプデービッド首脳会談から4カ月、韓米日協力をめぐる質問
 
 
尹錫悦大統領と米国のジョー・バイデン大統領、日本の岸田文雄首相が8月18日、ワシントンDC近くの米大統領別荘であるキャンプデービッドで開かれた韓米日首脳会談を控え、ローレルロッジ前で記念撮影をしている=キャンプデービッド/聯合ニュース

 今年アジアで最も重要な地政学的変化は「韓米日協力」の急速な進展だ。8月18日のキャンプデービッド首脳会談以来、韓米日は安保、経済、サプライチェーン、サイバーなど様々な分野において協力に拍車をかけている。9日には韓米日の安全保障担当高官がソウルで会議を開き、北朝鮮の核開発の資金源であるハッキングを直接遮断する「対北朝鮮イニシアチブ」を進めることにした。

 キャンプデービッド首脳会談から4カ月が経った今、韓米日の三角協力はどのように進められているのか、韓国の立場からどう評価し、どのような課題を解決すべきか。11月28日から今月8日まで韓日記者の共同取材に参加し、ワシントンとハワイ、日本とソウルで、多くの韓米日の政府高官や軍関係者、専門家らに会った。「設計者」の米国は、韓米日3カ国協力を通じて中国の浮上の牽制という目標に向かって精巧な案を用意していた。韓国の立場からすると、急速に危険になった北朝鮮の核能力や南北の衝突の可能性など切迫した課題を、韓米日協力の枠組みの中できちんと解決しているかについては、多くの疑問が残った。

中国か、北朝鮮の核問題か

 民主党と共和党の2大政党の対立が激しい米国では、どの政治家や専門家に会っても「脅威となる中国を牽制しなければならない」という点では一致していた。分裂が極限まで進んだ米国を繋ぎ止めているのが「中国脅威論」という接着剤ではないかと思えるほどだった。韓米日キャンプデービッド首脳宣言でも、最も主要な挑戦は中国、その次が北朝鮮だった。米国が韓米日協力を通じて中国牽制の戦略的目標に集中している間、北朝鮮の核問題に対する対応は後回しになった。ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ地区への攻撃が続き、台湾海峡の脅威が高まっている状況も、北朝鮮の核問題への対応から関心をそらす要因となっている。

 ブルッキングス研究所のシニアフェロー(韓国担当)、アンドリュー・ヨ氏は「ワシントンの専門家の間では今の北朝鮮政策では効果がなく、状況が悪化しているという認識が広がっている」とし、「ジョー・バイデン政権は北朝鮮といつでも対話すると言ってきたが、北朝鮮は応じていない」と述べた。ヨ氏は、北朝鮮との対話は必要だが、バイデン政権が乗り出す可能性は極めて低いと予想する。「米国が最終目標として非核化を放棄してはならないが、多くの専門家が北朝鮮と接触を維持する必要があり、少なくともリスクの低減と状況の安定のため、対話をする必要があるとみている。しかし、政治的観点からすると、バイデン政権は現在あまりにも多くの外交政策問題を曲芸でもするかのように同時に扱っているため、彼らにこれまでとは劇的に違う、新しい何かを試みる能力があるかどうかは分からない。選挙が近づいているため、バイデン政権は北朝鮮問題を交渉のテーブルに乗せたものの成果を得られない状況を望まないだろう」

韓米日対朝中ロの対立の余波は

 米政府当局者や専門家らは、中国と朝ロの利害関係は異なるとして、韓米日協力が強化されるほど朝中ロがさらに密着するようになり、朝鮮半島情勢の負担になっているという懸念に反論した。ラーム・エマニュエル駐日米国大使は「習近平主席と中国の外務省と安保担当者は、ロシアと北朝鮮の間で起きていることを快く思っていないだろう」とし、「朝中ロの3カ国の協力には限界がある」と述べた。

 朝ロ密着を中国があまり快く思っておらず、朝ロ密着は韓米日がキャンプデービッド首脳会議で3国協力を強化するずっと前に始まったという分析は正しい。2019年のハノイ朝米首脳会談が物別れに終わり困難に陥った北朝鮮が、2022年のウクライナ侵攻後に北朝鮮の助けが必要になったロシアと、戦略的密着で突破口を見出したためだ。米当局者や専門家らも、朝ロの軍事的協力を通じて、北朝鮮が衛星や潜水艦技術を発展させることが非常に深刻な脅威であることは認めている。だが、この問題に対する真剣で効果的な解決策はまともに稼動していない。

 ブルッキングス研究所のアンドリュー・ヨ氏は、中国との外交を通じた解決策に触れながらも、バイデン政権内部には北朝鮮の核問題の解決において中国が米国と協力するかどうかについて疑念を抱いている人が多いと語った。「APECを機に行われた米中首脳会談後、習近平主席が米国と若干協力する空間を望んでおり、北朝鮮問題がそれに当たるかもしれないという分析が出た。結局、習近平は北朝鮮が核能力を強化することを望んでいないだろうし、中国がロシアと北朝鮮の協力を歓迎するわけでもない。この点でロシアが北朝鮮により多くの物資と技術を伝授することを防ぐために、中国と協力する方法もあり得る。しかし、今のところ中国がこれに関して意味のあることをする政治的意志があるのかについて、バイデン政権内では懐疑的な見方が多い」

 現在ジョージワシントン大学の訪問教授である国防大学のキム・ヨンジュン教授は「中国とロシアがライバル関係であるため、朝中ロの連帯が実際には長期的には可能ではないというのは『希望的思考』」だとしたうえで、韓国の立場では最悪のシナリオにも備えなければならないと強調した。「2018年以後、中ロ関係が根本的に変化し、ますます緊密になり軍事的なパートナーになった。北朝鮮をオブザーバーや参加国とし、朝中ロ共同軍事訓練に乗り出す可能性もある」と指摘した。また「金正恩(キム・ジョンウン)の戦略は、ハノイでのノーディール以降、根本的に変化した。今や北朝鮮は核兵器だけでなく、さまざまなオプションを考慮しており、中国やロシアとの共同訓練も選択肢になり得る」とし、「今は、中国が朝ロと緊密な軍事協力に乗り出さないよう、外交的努力を傾けなければならない」と語った。

 
 
                 ブルッキングス研究所のアンドリュー・ヨ・シニアフェロー(韓国担当)//ハンギョレ新聞社

トランプがホワイトハウスに戻ったら

 実施まで1年を切った来年11月の米大統領選挙を控え、多くの世論調査でトランプ前大統領がジョー・バイデン大統領をリードしていることが明らかになっている。トランプ前大統領が帰還する可能性に対する不安と懸念が、ワシントンに暗い影を落としている。だが、米国の政治家と専門家たちは、トランプ前大統領が復帰して韓米日協力のスピードが緩くなることはあっても、以前のような状態に戻るのは難しいとし、韓日をなだめようとしている。

 トランプ前大統領と親交がある人物として知られるビル・ハガティ上院議員は「トランプは大統領在任中、世界のどの地域よりもインド太平洋地域を多く訪問した。私も3回訪日に同行したことがあり、そのたびにソウルも訪れた。トランプは韓米日3カ国の協力を続けることに深い意味があると思っている」とし、「インド太平洋地域で同盟に対するトランプの立場を懸念する必要はないだろう」と語った。

 ハワイのシンクタンク「パシフィック・フォーラム」のアジア太平洋地域プログラムディレクター、ロブ・ヨーク氏は「トランプ政権が再び発足すれば、韓米同盟を弱体化させると脅す可能性は高いが、持続的に『障害物』にぶつかるだろう。トランプは、中国との競争が目標だと強調しているが、同盟とパートナーを弱体化させれば、その目標を実行することはできない」と語った。多くの専門家が、ホワイトハウスにトランプが戻ってきても韓米日3カ国協力を元に戻せないようにするために、様々な方面で韓米日協力の「制度化(institutionalize)」を急ぐこと、議会外交を強化すること、トランプが実際に戻ってきた場合には首脳間の個人的ネットワークを構築することを強調した。

 
 
  パシフィック・フォーラムのロブ・ヨーク・アジア太平洋地域プログラムディレクター//ハンギョレ新聞社

韓日の歴史問題から目をそらし続けるか

 ワシントンと東京で尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、韓米日3カ国の協力を可能にした「英雄」と称されている。駐日米国大使を務めたハガティ上院議員は、「韓米日の協力で大きな挑戦課題は、韓日の間に存在する歴史問題だと考えている。米国は数十年間、韓日関係がより緊密になることを望んできた。尹錫悦大統領と岸田首相が困難な歴史と政治的挑戦にもかかわらず、関係改善の意志を示したことを歓迎する」と述べた。

 韓日の歴史問題に関して、米国の立場は「韓日は過去は脇に置いておき、未来に集中すべきだ」というものだ。韓日の歴史問題の意味と敏感性、植民統治の被害者として韓国国民が「第3者弁済」という尹大統領の一方的な強制動員被害解決策にどれほど懸念を抱いているのかついては、深く考慮していない。「コップの半分を日本が満たさなければならない」という韓国の要求に対する関心はほとんどない。エマニュエル駐日米国大使は「米国を通じるより韓日両国が直接対話した方が良い」とし、米国の「仲裁」の役割には線を引いた。「過去の歴史問題を解決するためには持続的な努力が必要だ」としながらも、日本でK-POPの人気、韓国で日本アニメーションの人気がどれほど高いかを見てほしいと話した。新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの終息後、最近韓日両国間の観光客数が急増していることや、特に韓日の若い世代の間で互いに対する好感度が高い点も強調した。

 一方では、韓国で政権交代が起き、尹錫悦政権と異なる対日政策が推進される可能性を極度に懸念する雰囲気がワシントンと東京で明らかだった。

 
 
                                                   ビル・ハガティ上院議員//ハンギョレ新聞社

中国とのデリスキングは現実的か

 パシフィック・フォーラムのロブ・ヨーク氏は、「中国との半導体協力制限の目的は、中国が自主的な半導体製造能力を持つのを妨げることではない。それは不可能だ」と断言した。「中国は近いうちに自主的な半導体生産能力を発展させるだろうが、問題はこのような彼らの目標実現を遅らせることができるのかだ。半導体をはじめとするサプライチェーンの安全保障、南シナ海、台湾海峡の問題はいずれも大きな構図の一部としてつながっている。このような問題が解決されるまでの間、中国の半導体製造能力を数年遅らせるのが実際の目標だ。中国が隣国と米国に対して好戦的な態度を示している間は、彼らの浮上を遅らせることを目指している」と語った。

 ブルッキングス研究所のミレヤ・ソリス先任研究員も「中国が最近自主生産した先端半導体を搭載したとみられる華為技術(ファーウェイ)の携帯電話を公開したことは、米中先端技術競争が終わらないゲームであることを示している」とし、「中国は成果を出しており、米国は時間を稼ぐことが最善の目標」だと話した。

 中国が半導体など先端技術製造能力を確保する時間を少し遅らせることはできるが、結局韓国企業は大きな挑戦に直面する可能性が高い。米国が主導するCHIP4とインフレ抑制法(IRA)、サプライチェーンの再編で韓国の半導体・バッテリー企業が念頭に置かなければならない部分だ。

 この他にも、韓米日は発展途上国に対する援助、ロシア、中国、北朝鮮発のフェイクニュースと選挙介入に対しても共同で対応することにした。「設計者」の米国は、有能な同盟国たちにより多くの役割を果たすことを求めている。韓国が受け取った明細書と果たすべき役割は大きくなったが、韓米日協力の枠組みのもとで、韓国政府は果たして韓国に最も切実な問題を解決しようとする戦略と実行に向けた努力をしているのだろうか。

ワシントン・ホノルル・東京/パク・ミンヒ論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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ガザ地区の保健省はガザ地区全域で死亡した人員が1万6248人に達すると発表した。

2023-12-11 | アメリカの常識は世界の非常識
 

イスラエル、120万人密集するハンユニスを集中攻撃…

「遺体が転がっている」

登録:2023-12-07 06:28 修正:2023-12-07 07:45
 
 
5日、ガザ地区南部の都市ハンユニス東部のマアン学校への空爆で負傷したパレスチナ住民と子どもたちがナセル病院に移送された。寝床が不足して床に放置されている/ロイター・聯合ニュース

 イスラエル国防軍(IDF)がパレスチナのガザ地区北部に続き南部への攻撃を本格化し、人口120万人が密集する南部最大の都市ハンユニスで死傷者が続出している。

 5日、ロイター通信によると、この日ハンユニス付近では10月末から始まったイスラエル軍の地上戦の中で最も激しい戦闘が行われ、数多くのパレスチナ人死亡者と負傷者が病院に集まった。ハンユニスの主要医療施設であるナセル病院にはイスラエル軍の空爆で犠牲になった死傷者が集まっているが、廊下に遺体が転がり、まだ治療を受けていない患者が待機していた。負傷者らは、主に近くの学校や住宅街で爆撃を受けたと伝えた。ガザ地区の保健省は、ナセル病院に同日午前だけで43体の遺体が運ばれてきたと発表した。また別の医療施設のシュハダ・アルアクサ病院の院長、アイヤード・アルザブリ博士は同通信に「少なくとも45人が死亡した」と語った。

 今月1日の戦闘再開以後、ハンユニス郊外に兵力を集めてきたイスラエル軍は、この日ハンユニスを包囲したと宣言した。イスラエル軍のヘルジ・ハレヴィ参謀総長は5日、「戦争60日が過ぎた今、わが軍はガザ南部のハンユニスを包囲している」と述べた。イスラエル軍の南部司令官のヤロン・フィンケルマンド少将も同日の声明で「今日は地上戦が始まって以来最も激しい一日」だったとし、「今(わが軍は)ハンユニスの心臓部にいる」と話した。

 ハマスの武装組織アルカッサム旅団も、インターネットへの掲示物で自分たちの戦闘機がイスラエル軍用車24台を破壊し、隊員たちが少なくとも8人のイスラエル兵士を死傷させたと主張した。ニューヨーク・タイムズ紙も同日付で、「2カ月以上続いた戦争の中でイスラエル軍とハマス隊員たちが最も激しく衝突し、ハンユニス近隣で激しい市街戦が繰り広げられた」と報じた。

 
 
イスラエル軍がガザ地区南部のハンユニスへの空爆を本格的に行っている中、5日に負傷したパレスチナ人たちがナセル病院に運ばれている/ロイター・聯合ニュース

 イスラエル軍は、ハマスの指導者たちがハンユニスの住宅街の建物に隠れているとみて、ハンユニス付近を集中攻撃している。ハンユニスの住民はもともと40万人程度だったが、イスラエル軍が10月中旬にガザ地区北部の住民に南部への退避を通告し、北部からの避難民が押し寄せたことで、人口が120万人に急増した。ガザ地区全体人口220万人のうち半分以上がこの都市に留まっているわけだ。

 にもかかわらず、イスラエル軍はハンユニスを標的にしている。AP通信が5日に分析したハンユニスの衛星写真には、3日にハンユニス郊外にイスラエル軍の戦車と装甲車約150台が密集している姿が写っている。ハンユニスの救護団体「パレスチナ医療支援」の活動家、モハメド・アフアルクルディ氏は「ここ数日、イスラエルの空爆は極めて大規模だった」と語った。

 イスラエル軍は、ハンユニス一帯の住民に退避通告を行い、近くの保護所などに退避するよう指示したが、住民はこれ以上避難する場所がない状態だ。この日、ロイター通信がナセル病院で会った生後2カ月の乳児の父親、イブラヒム・エスベイタンさんは「(ガザ地区北部の)ガザ市で戦闘が行われるからガザ市を離れろと言われ、イスラエル軍の指示通り南に来た」とし、「しかし、私たちが南で発見したのは担架に乗せられた赤ちゃんだった。私たちに何ができるだろうか」と問い返した。

 この日、ガザ地区の保健省はガザ地区全域で死亡した人員が1万6248人に達すると発表した。

キム・ミヒャン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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今回の調査は、ベテランズ・フォー・ピース(平和を求める元軍人の会)が企画し、エルダー氏をはじめ沖縄の活動家・学者が、沖縄市、北谷町、宜野湾市など、米軍基地の隣接地18カ所を調査。

2023-11-10 | アメリカの常識は世界の非常識

2023年11月9日(木)

PFAS暫定値11倍

沖縄 嘉手納基地周辺で検出

米専門家ら調査

 米軍由来の化学物質を研究するパッド・エルダー氏は8日までに、9月中旬に沖縄県で実施した発がん性などが疑われる有機フッ素化合物(PFAS)の調査結果を公表しました。米軍嘉手納基地(同県嘉手納町・北谷町・沖縄市)隣接の廃棄場の浸出水からPFASの一種のPFOS・PFOA合算値で日本の暫定目標値の約11倍の値を検出。米軍由来の深刻な汚染の実態が明らかになっています。

 今回の調査は、ベテランズ・フォー・ピース(平和を求める元軍人の会)が企画し、エルダー氏をはじめ沖縄の活動家・学者が、沖縄市、北谷町、宜野湾市など、米軍基地の隣接地18カ所を調査。嘉手納基地の滑走路に隣接し、米軍の廃棄物を処理する民間施設(沖縄市倉敷)の浸出水からはPFOSが236・5、PFOAは316ナノグラムの値を検出したとしています。

 さらに同地で27種類のPFAS化合物を検出し、これらを含めた同地のPFAS合算値は1450・9ナノグラムにも上ったと報告。2型糖尿病などとの関連が疑われるPFHxSなど、従来のPFOS・PFOA以外のさまざまな種のPFASの危険性も指摘しています。

 PFASは魚など生き物の体内で濃縮され、数百から最大2000倍を超える濃度になることもあると指摘。日本政府は、汚染が疑われる全国の土壌、地下水、大気、水生生物などのPFASの値を調査し、規制に乗り出すべきだと求めています。

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子どもを含む民間人犠牲や生活必需品の不足に触れて「ガザの封鎖は集団懲罰だ」と批判し、国際人道法の順守を求めました。

2023-11-01 | アメリカの常識は世界の非常識

2023年11月1日(水)

ガザ封鎖は集団懲罰

国連幹部 イスラエル次々批判

 【ワシントン=島田峰隆】国連安全保障理事会は30日、イスラエルがパレスチナ自治区ガザで地上作戦を拡大したことを受けて、緊急の公開会合を開きました。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のラザリーニ事務局長がガザ地区の状況を報告。子どもを含む民間人犠牲や生活必需品の不足に触れて「ガザの封鎖は集団懲罰だ」と批判し、国際人道法の順守を求めました。

 ラザリーニ氏は、ガザの死者の約70%が女性や子どもだと強調し、29日時点で約3200人の子どもの死亡が伝えられていると指摘。病院や避難所の国連施設まで攻撃されており、「これはいわゆる“巻き添えによる被害”ではない」と厳しく非難しました。

 また燃料、食料、水、医薬品が不足しており、「ガザの通りは汚水であふれ始めており、まもなく大規模な健康被害が起きるだろう」と警告。民間人保護を定めた国際人道法の順守は「選択ではなく義務だ」と述べて、人道的停戦の実現を求めました。

 国連児童基金(ユニセフ)のラッセル事務局長は「ガザでは毎日、420人以上の子どもが死亡したり負傷したりしている」と述べました。パレスチナでもイスラエルでも子どもがトラウマを経験していると述べて、国連安保理に行動を求めました。

 国連人道問題調整事務所(OCHA)のリサ・ドーテン氏は、イスラエルがガザの病院に退避を求めていることについて「患者にとって安全な避難場所はない。生命維持装置を付けている人や保育器に入っている赤ちゃんにとって移動は死刑宣告に匹敵する」と非難しました。

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沖縄人民党が1973年10月に日本共産党へ組織的合流して50年になるのにあたって、たたかいの歴史を語るつどいが22日、沖縄県うるま市で開かれました。

2023-10-24 | アメリカの常識は世界の非常識

2023年10月23日(月)

沖縄人民党合流50年の歴史語るつどい

不屈の心継ぎ 野党まとめて

写真

(写真)日本共産党と沖縄人民党の歴史について語る、あかみね政賢衆院議員(中央)=22日、沖縄県うるま市

 米軍施政権下の沖縄で圧政や弾圧に抵抗し、日本復帰を実現するたたかいの先頭に立った沖縄人民党が1973年10月に日本共産党へ組織的合流して50年になるのにあたって、たたかいの歴史を語るつどいが22日、沖縄県うるま市で開かれました。共産党うるま市委員会主催で、党内外から参加者が集まりました。

 あかみね政賢衆院議員は、日本共産党史の概要を述べ、日米安保条約の廃棄と異常な対米従属の状態からの脱却を現綱領に引き継ぐ1961年綱領は、当時の沖縄県民のたたかいに学んでつくられたことを語りました。

 「ミサイル配備から命を守るうるま市民の会」の照屋寛之共同代表は日本共産党に対し、「不屈の政治家、瀬長亀次郎の思いを引き継ぎ、『にぬふぁぶし(沖縄の方言で北極星の意)』として野党をまとめていってほしい」と呼びかけました。

 合流後に県党の中部地区委員長を務めた高江洲義一さんは、中部での党県議の空白克服に向けた取り組みなどについて語りました。

 米軍の土地接収を断念させた昆布土地闘争について、佐々木末子さんは「人民党のみなさんなどの支えがあって、みんなでたたかおうと意思が強くなっていった。団結が一番大事」と話しました。

 写真家の嬉野京子さんは、米軍の監視や弾圧の中で、人民党の支えを受けながら人権が踏みにじられた復帰前の状況を写真に収めていったことを紹介。元教員は、昆布の闘争小屋に泊まり込んで支援した経験などを語りました。

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設計変更申請は、新基地建設予定地北側にある大浦湾の埋め立て予定海域で見つかった軟弱地盤の改良工事を行うためです。知事は申請を不承認にしました。

2023-09-25 | アメリカの常識は世界の非常識

辺野古・国交相勧告

新基地建設こそ「公益害する」

 沖縄県の米軍普天間基地(宜野湾市)に代わる名護市辺野古の新基地建設をめぐり、斉藤鉄夫国土交通相が、防衛省沖縄防衛局による埋め立て工事の設計変更申請を承認するよう、玉城デニー知事に「勧告」しました。知事が辺野古新基地に反対する沖縄の民意が政府に顧みられない実情を訴えるため、スイス・ジュネーブでの国連人権理事会に出席しているさなかに、勧告文書を知事不在の県庁に送りつけました(19日発送)。知事が政府の姿勢を「国際社会では異様なこと」(琉球新報20日付)と批判したのは当然です。

県の主張は生きている

 勧告は、知事に代わって国交相が沖縄防衛局の設計変更申請を承認する「代執行」に向けた手続きの一つです。

 設計変更申請は、新基地建設予定地北側にある大浦湾の埋め立て予定海域で見つかった軟弱地盤の改良工事を行うためです。知事は申請を不承認にしました。

 これに対し、沖縄防衛局は国民(私人)の権利救済を目的にした行政不服審査制度を乱用して国交相に審査請求をし、国交相は知事の不承認を取り消す「裁決」と、知事に承認を求める「是正の指示」を出しました。知事はこれらを違法として提訴しましたが、最高裁は知事の訴えを退ける不当判決を今月4日に言い渡しました。

 今回の勧告はこの最高裁の不当判決を受けたもので、27日までに設計変更申請を承認するよう迫っています。

 知事が勧告に応じなければ次に国交相は承認するよう「指示」を出すことができ、さらに応じない場合は高裁に訴えを起こすことができます。高裁が訴えを認めても知事が承認しない場合は、国交相が代わって承認する代執行を行うことができます。これらの手続きは地方自治法で定められていますが、放置すれば「著しく公益を害する」ことが明らかな場合に限り認められています。

 最高裁の判決は、行政不服審査制度の乱用による国交相の是正指示を手続き的に認めただけで、知事が設計変更申請を不承認にした理由についての判断は示していません。

 知事は不承認の理由として▽政府が計画している地盤改良工事は安全性に懸念がある▽絶滅危惧種ジュゴンをはじめ環境への影響が甚大である▽政府は地盤改良を含めた埋め立て工事に9年かかるとしているが、不確実であり、「普天間飛行場の危険性の早期除去」につながらない―ことを挙げていました。最高裁は新基地建設の妥当性に関しては結論を出しておらず、県の主張は生きています。

知事支える世論大きく

 デニー知事は国連人権理事会で、沖縄の現状について「米軍基地が集中し、平和が脅かされ、意思決定への平等な参加が阻害されている」と訴えました。また、政府は、県民投票という民主主義的な手続きによって明確に反対の民意が示されているにもかかわらず、辺野古の貴重な海域を埋め立てて、新基地建設を強行していると告発しました。

 岸田文雄政権が強権的に推し進めている新基地建設こそ「著しく公益を害する」のは明らかです。新基地建設阻止を掲げるデニー知事を支える運動と世論を大きく広げることが重要です。

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米国がATACMSの供与を決めたのは、ウクライナ軍の反撃作戦で戦線後方のロシア軍指揮部、兵器庫、補給路の打撃に効果的だとみているためだという。

2023-09-25 | アメリカの常識は世界の非常識
 

バイデン大統領、

ゼレンスキー大統領にATACMSミサイルの供与を約束

登録:2023-09-25 06:28 修正:2023-09-25 07:26
 
 
                                   韓国軍のATACMSミサイルの発射場面/AFP・聯合ニュース

 米国がウクライナに供与することを控えてきた長距離地対地ミサイル「ATACMS」を供与することにしたと、米国のマスコミが22日付で報じた。

 NBCは21日、ジョー・バイデン大統領がホワイトハウスを訪問したウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領にATACMSの供与を約束したと報道した。匿名の米高官らは「数週間以内に少量のATACMSミサイルを供与し、その後、量を増やす計画だ」と語った。バイデン大統領は首脳会談の際、3億2500万ドル(約480億円)の追加軍事援助を提供することを約束し、来週にはエイブラムス戦車がウクライナに到着するだろうと述べたが、ATACMSミサイルについては言及しなかった。

 ウクライナは開戦初期から射程距離が300キロに達するATACMSの供与を要求してきたが、米国はその規模の射程距離の兵器はロシア領内への攻撃に利用される可能性があるとの理由で、供与を見送ってきた。米国は同ミサイルの保有量が十分ではないという点も考慮してきた。

 米国がATACMSの供与を決めたのは、ウクライナ軍の反撃作戦で戦線後方のロシア軍指揮部、兵器庫、補給路の打撃に効果的だとみているためだという。ウォール・ストリート・ジャーナル紙はウクライナに供与するATACMSにはクラスター爆弾を装着する予定だと報じた。親爆弾の中に数十~数百発の子爆弾を入れるクラスター爆弾は、破壊力が大きいが、無差別殺傷につながる恐れがある。また、子爆弾の相当数は不発弾として残り、戦争が終わってから民間人、特に子どもたちの生命を脅かす。このため、2010年にクラスター爆弾の生産と使用、販売、保管を禁止する国際条約「クラスター爆弾禁止条約」が発効されたが、米国やロシア、ウクライナ、韓国、北朝鮮などは加入していない。米国はウクライナに同ミサイルの供与を決める際、ロシア領内への攻撃には使わないという条件をつけたという。冬を控え、ウクライナ軍の長距離攻撃能力が強化されれば、ロシア軍の戦線防衛はさらに難しくなるものとみられ、最近の米安全保障関連閣僚会議でATACMSの供与について話し合ったと同紙は報道した。

ワシントン/イ・ボニョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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「福島第一原発の汚染水の放出による環境放射線の問題について、『低線量は大丈夫だ』と言ってはならないというもう一つの根拠になりうる研究」だと語った。

2023-08-21 | アメリカの常識は世界の非常識
 

原子力従事者30万人疫学調査「放射線に安全基準値なし」…

国際共同研究の結果

登録:2023-08-21 07:54 修正:2023-08-21 09:39
 
最大規模の国際共同研究調査の結果 
「許容基準値以下の被ばくもがんによる死亡リスク高める」
 
 
福島第一原子力発電所にある汚染水貯蔵タンク。日本は原発事故で発生した貯蔵中の汚染水133万トンを30年かけて海に放出する計画だ/聯合ニュース

 放射線作業従事者に認められている年間放射線被ばく量の半分にも満たなくても、被ばくによってがん発症による死亡リスクは高まりうる。このような国際共同研究の結果が発表された。この研究結果は、少量の放射線被ばくも発がんリスクがあるという内容を含んでいるため、安全な「放射線被ばくの基準値」をめぐって波紋が広がるとみられる。

 国際がん研究機関(IARC)、米国立労働安全衛生研究所(NIOSH)、フランスの放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)などの研究者で構成された国際共同研究チームは先日、米国・フランス・英国の原子力産業従事者に対する調査の結果を「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(The BMJ)」に発表した。研究チームが今回行った疫学調査は、1944年以降の70年あまりの間に原子力産業に従事した米国・英国・フランスの労働者30万9932人のうち死亡者10万3553人の死亡原因を追跡したもので、これまでに行われた放射能の健康への影響を見る疫学調査の中で最大規模。

 研究の結果、累積放射線被ばく量が0~20ミリグレイ(mGy・グレイは単位質量あたりに吸収された放射線のエネルギー)の人の固形がんによる死亡の「過剰相対リスク」は、1グレイ当たり1.30だった。これは累積吸収線量が20ミリグレイ以下の低線量被ばくでも、血液を除いた臓器に発生する固形がんによる死亡リスクを1グレイ当たり130%高めることを意味する。

 20ミリグレイは、一般人が年平均3ミリシーベルト(mSv)被ばくする自然放射線を7年ほど蓄積すれば満たしてしまう量だ。レントゲンやCTを撮影する際に被ばくする医療用放射線も加えると、期間はさらに短くなる。また、これは放射線作業従事者に認められている年間被ばく量の50ミリシーベルトよりも低い。グレイ(Gy)は物質が吸収した放射線のエネルギーを表す吸収線量の単位であり、シーベルト(Sv)は放射線の種類によって異なる人体への影響を考慮した有効線量の単位であるため、基本的に大きさは同じとみなされる。

 この研究で特に注目されるのは、ごくわずかな累積線量であってもがん発生リスクを高めるということだ。研究者たちはこの論文で「累積線量と10年後の固形がんによる死亡率との関係は『線形モデル』で合理的に説明される。累積線量を0~200ミリグレイの範囲に制限しても、線形モデルで説明できる」と述べた。線形モデルとは、放射線被ばく量とがん発生との関係を、原点(0)を通る直線で表したモデル。放射線は被ばく量がいくら少なくても有害であり、有害度は累積する線量に応じて直線的に高まり続けるとみるものだ。

 
 
論文に示された低線量放射線の累積吸収線量(Cumulative dose)と固形がんによる死亡率の相対リスク(Relative rate)の関係。出典:「フランス、英国および米国労働者の電離放射線低線量被ばく後のがん死亡率(INWORKS):コホート研究」//ハンギョレ新聞社

 原発産業界と原子力学界は、低線量の放射線へのばく露は人体に影響がないと主張している。関係する労働者と一般人を放射線から保護するために政府が最小限の安全装置として設定した線量限度を絶対的な安全基準値とみなし、その基準線さえ超えなければ問題にはならないと考えているのだ。

 問題は、原発産業界が固く信じている線量限度は、主に第2次世界大戦中に日本に落とされた原子爆弾の生存者を対象とした研究にもとづいて設定されているということだ。これらの生存者の放射線被ばくはほとんどが原爆の爆発から1秒以内のものであり、低線量で長期間にわたって被ばくする原発労働者や一般人の状況とは異なる。

 研究チームはこの論文で「人々はしばしば、低線量被ばくは日本の原爆の生存者が経験した高線量被ばくに比べて発がんリスクは低いと考える。しかし私たちの研究は、低い線量の放射線にさらされる労働者たちの中からは、単位被ばく量当たりの固形がん発症リスクが低下する証拠を発見できなかった」と述べた。低線量が累積しても発がんリスクはあるということだ。

 原子力安全委員を務めた東国大学医学部のキム・イクチュン教授は「原子力界が『これくらいまでは安全だ』と言っていた低線量でもがん発生リスクの上昇が確認されたのは、『基準値以下なら安全だ』という話には根拠がないことを立証したもの」だと語った。またキム教授は「健康への影響を扱う疫学調査というものは調査対象が大きいほど正確な結果が出るが、今回研究した母集団の規模が大きいため、統計学的に被ばく量の小さい差がよく表れている」と付け加えた。

 ソウル大学医学部のペク・トミョン名誉教授(元ソウル大学保健大学院長)は、「放射線のリスクの影響が線形で説明できるということは、放射線量が少しでも多ければ影響も高まるという因果関係であるということ」、「福島第一原発の汚染水の放出による環境放射線の問題について、『低線量は大丈夫だ』と言ってはならないというもう一つの根拠になりうる研究」だと語った。

キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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中国や北朝鮮を念頭に日米・米韓の同盟をいっそう深化させ、インド太平洋地域やそれを超えた地域でも軍事的、経済的な協力を強める方向を打ち出しました。

2023-08-20 | アメリカの常識は世界の非常識

3カ国の安保協力強化

日米韓首脳会談で原則確認

共同訓練・会合を毎年

 【ワシントン=島田峰隆】バイデン米大統領と岸田文雄首相、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は18日(日本時間19日未明)、米首都ワシントン近郊のキャンプデービッド山荘で会談しました。3首脳は成果文書として、中長期的な指針と位置付ける「キャンプデービッド原則」と具体的な取り組みを盛り込んだ共同声明を発表しました。中国や北朝鮮を念頭に日米・米韓の同盟をいっそう深化させ、インド太平洋地域やそれを超えた地域でも軍事的、経済的な協力を強める方向を打ち出しました。

 日米韓の3カ国首脳が国際会議の場ではなく、独自に会談するのは初めてです。

 会談後の共同記者会見でバイデン氏は「インド太平洋地域での3カ国の防衛協力を前例のないレベルに引き上げる」と強調。「台湾海峡で平和と安定を維持し、経済的な威圧とたたかう約束を再確認した」と述べました。

 岸田首相は「3カ国の戦略協力を開花させることは不可避であり、今の時代に求められている。日米、米韓の同盟の調整が強化され、3カ国の安全保障協力は新たな高みに引き上げられる」と応じました。

 尹氏は「3カ国の安全保障協力の強化で合意した。新たな時代と可能性に向けたパートナーシップを確認した」と述べました。

 共同声明は「インド太平洋およびそれを超えた地域」で3カ国の協力を拡大し、「共有する野心を新たな地平へと引き上げる」と表明。日米韓の首脳会談や、外相・防衛相、安全保障担当高官の会合を毎年開催し、自衛隊と米軍、韓国軍の共同訓練を毎年実施するとしています。

 中国については、南シナ海で「危険で攻撃的な行為」を行っているとし、「現状を変更するいかなる一方的な試みにも強く反対する」と表明。台湾に対する3カ国の立場は変わらないとし、台湾問題の平和的解決を求めています。

 北朝鮮の核・ミサイル開発は国連安保理決議違反だと非難。北朝鮮によるミサイル発射の探知情報のリアルタイム共有を年内に始めるとしています。

 ウクライナを侵略するロシアについては、領土保全や主権の尊重などを求め、対ウクライナ支援の継続を確認しました。

 他方、共同声明は「東南アジア諸国連合(ASEAN)の中心性」を再確認し、「ASEANインド太平洋構想(AOIP)」の実践への協力を表明しました。

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第2回準備委員会では「非核保有国との協力も含め、核保有国による核兵器使用を防止するための対策」に焦点を当て議論するよう提案しました。

2023-08-13 | アメリカの常識は世界の非常識

2023年8月13日(日)

核兵器の役割縮小を

NPT再検討準備委 議長勧告

総括案の採択は見送り

 【ベルリン=吉本博美】ウィーンで開かれていた2026年核不拡散条約(NPT)再検討会議にむけた第1回準備委員会が11日、閉幕しました。ビーナネン議長は第2回準備委員会に向けて「安全保障政策における核兵器の役割縮小」や核被害者の救済に留意し、議論するよう勧告しました。

 議長勧告は、現在も偶発的に核兵器が使用される危険が依然として高く、準備委員会でも多くの懸念が出されたと指摘。第2回準備委員会では「非核保有国との協力も含め、核保有国による核兵器使用を防止するための対策」に焦点を当て議論するよう提案しました。

 加盟国から、核保有国の核軍縮の説明責任や透明性を強化することに強い関心が集まったとして、次回準備委員会の議題とすることも勧告しています。

 一方、議長による準備委員会の総括案は、イランが自国のウラン濃縮などを名指しされたことに反発。ロシアや中国も同調し、公式文書としての採択は見送りになりました。

 総括案では、核保有国の米ロ英仏中が昨年1月に「核戦争に勝者はおらず、決してたたかってはならない」と表明した声明を改めて確認するとして、核保有国に核兵器不使用の原則を順守するよう求めています。

 核兵器禁止条約の発効(21年)と第1回締約国会議の開催(22年)に「留意する」と明記。一方、核兵器の完全な即時禁止は「望ましくない結果を生む」と並記しました。

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