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4月に国際的に大きな注目を集めた外惑星の生命体の信号は、新たな観測の結果、根拠が弱いことが明らかになった。

2025-08-08 | 科学最前線
 

124光年離れた惑星から「生命体の信号」が消えた

登録:2025-08-08 09:20 修正:2025-08-08 09:58
 
[クァク・ノピルの未来の窓] 
外惑星「K2-18b」の観測結果 
生命体の信号となる化合物は発見できず
 
 
124光年の距離にある太陽より小さい恒星とこれを公転する惑星「K2-18b」の想像図。新たな観測によって生命体が存在する可能性はほぼ消えたが、水が豊富な惑星という点は確認された=ケンブリッジ大学提供//ハンギョレ新聞社

 4月に国際的に大きな注目を集めた外惑星の生命体の信号は、新たな観測の結果、根拠が弱いことが明らかになった。

 英国ケンブリッジ大学のニック・マドゥスダン教授(天文学)が率いる研究チームは当時、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を利用して、124光年の距離にある恒星を公転する外惑星「K2-18b」の大気を2023年と2024年の2回観測したところ、地球において生命体の生命活動によって生成されるジメチルスルフィド(DMS)とジメチルジスルフィド(DMDS)の存在を強く示唆する信号を発見したと発表した。この物質は、地球の生物、主に海洋植物プランクトンである藻類のような微生物によって生成される。研究チームは「太陽系外での生物学的活動に対する史上最も強力な証拠」だと主張した。当時も観測データの解釈をめぐり議論があったが、合意点を見いだすことはできなかった。

 こうしたなか、米国航空宇宙局(NASA)の研究チームが、JWSTを利用してこの惑星をより詳細に観測したところ、ケンブリッジ大学の研究チームが生命の信号だと主張した気体の証拠は見つからなかったとして、プレプリントサーバーのarXiv(アーカイブ)に投稿した。ただし、NASAの研究チームは、水または液体の海の存在は確認した。

 NASAの研究チームはまた、この気体が存在したとしても、生命体ではなく、単純な化学反応を通じて形成された可能性があると主張した。生命体の信号は蜃気楼だった可能性もあるということだ。

 科学者たちは、惑星が主星の前を通る際に惑星の大気分子が恒星から出る光と反応して、波長がどのように変化するかを観測することによって大気の成分を把握する。研究チームは昨年、この方法によってこの惑星を2024~2025年の4回にわたり観測した後、ケンブリッジ大学の科学者たちと共同で、それまでの観測を通じて得たすべてのデータを詳細に分析した。

 
2023年、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を利用した初の観測で得た外惑星「K2-18b」の大気スペクトル=NASA提供//ハンギョレ新聞社

■水が豊富な惑星であることは確認…全質量の半分

 今回の研究を率いたNASAジェット推進研究所の胡仁宇(Hu Renyu)博士は、これによってK2-18bのいくつかの特性が明確になったと、ニューヨーク・タイムズに語った。

 一つ目は、この惑星にはメタンだけでなく二酸化炭素も存在するという点だ。

 二つ目は、この惑星は水が非常に豊富な天体だという点だ。水が全質量の最大で半分を占めることが判明した。

 研究チームは、水が正確にはどのような状態で存在するかは分かっていないと明らかにした。一部は内部で氷として存在し、また、一部は表面で液体の海を形成している可能性があると付け加えた。

 しかし、ジメチルスルフィドの存在を示す証拠は発見できなかった。研究チームは、この物質が存在する可能性もあるが、その濃度はきわめて低く、今後も明確には検出されないと予想した。

 オックスフォード大学のジェイク・テイラー教授は、科学専門誌「ニュー・サイエンティスト」に、観測の精度がより高まった点を指摘し、「ジメチルスルフィドが大気から検出可能なほど存在するのかどうかについての論争は終わったようだ」と述べた。

 研究チームは、特にこの物質の存在を生体の信号とみなすことに反対した。水素が豊富なこの惑星の大気は、地球とは根本的に違うためだという。研究チームは、この惑星の大気モデルを作成し、化学物質が相互にどのように反応するのかを解析した。すると、この惑星の大気では、有機体がなくてもジメチルスルフィドの生成が可能であることが判明した。これは、ジメチルスルフィドがあるからといって生命体の信号と判断してはならないことを意味する。

 胡博士は「宇宙望遠鏡で外惑星についてさらに詳細な情報が得られれば、場合によっては生命体の痕跡を発見できる可能性もあるが、外惑星が地球とどれほど違っているのかも理解しなければならない」と述べた。

 研究には参加しなかったシカゴ大学のジェイコブ・ビーン教授(天文学)はニューヨーク・タイムズに、「(それでも)今回の研究で、K2-18bは興味深い惑星となり、太陽系外での液体水の環境を研究できる扉を初めて開いた」と述べた。

*論文情報
A water-rich interior in the temperate sub-Neptune K2-18 b revealed by JWST.
doi.org/10.48550/arXiv.2507.12622

クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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科学者がジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による観測によって、地球外生命体の強力な証拠とみられる物質を発見した。

2025-04-19 | 科学最前線
 

124光年の距離の惑星に地球外生命体…

「史上最も強力な証拠」発見

登録:2025-04-19 08:34 修正:2025-04-19 10:19
 
[クァク・ノピルの未来の窓] 
海洋微生物が生成する物質を発見
 
 
124光年の距離にある太陽より小さい星とそれを公転する惑星K2-18bを描写した絵=欧州宇宙局提供//ハンギョレ新聞社

 科学者がジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による観測によって、地球外生命体の強力な証拠とみられる物質を発見した。

 英国ケンブリッジ大学の研究チームは、地球から124光年離れた距離にある星を公転する外惑星「K2-18b」の大気を観測した結果、地球において生命体の生命活動によって生成されるジメチルスルフィド(DMS)とジメチルジスルフィド(DMDS)の存在を強く示唆する信号を発見したと発表した。この物質は、地球の生物、主に海洋植物プランクトンである藻類のような微生物によって生成される。

 研究チームは「今回の発見は、太陽系外での生物学的活動に対する史上最も強力な証拠であり、この惑星に微生物が豊富に存在する可能性を示唆する」ことを明らかにした。ただし、実際に生命体を発見したわけではなく、生物学的な過程を示唆する物質を発見したものであるため、今後さらに多くの観測を行う必要があると強調した。

 K2-18bは、2015年にNASAのケプラー宇宙望遠鏡が初めて発見し、その後、2016~2017年にハッブル宇宙望遠鏡による観測によって、大気中に水があり、惑星表面では水を液体状態に保てる温度が維持されている可能性があると推定された。半径は地球の2.6倍、質量は約8倍で、地球より大きく海王星より小さいこの惑星は、太陽系にはない種類の惑星だ。赤色矮星のK2-18を、ハビタブルゾーンである2300万キロメートルの距離で33日に1回公転している。

 研究チームは2023年、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線観測装置を利用して、水の蒸気、二酸化炭素、メタンとともに、この物質の存在を暗示する手がかりを発見した。しかし、信号はきわめて弱かった。これを受け、研究チームはジェイムズ・ウェッブの中赤外線機器を利用してもう一度観測したところ、はるかに強力な信号を発見できたと明らかにした。

 研究チームは「2つの物質の濃度は100分の10以上と推定される」として、「これは、地球の大気での濃度に比べ数千倍高い」と明らかにした。研究チームの推定が正しければ、地球よりはるかに多くの生物学的活動が行われていることになる。

 研究チームは、2種類の物質の検出は、統計的な有意性では3シグマの水準だと主張した。これは、今回の発見が偶然である確率が1000分の3であることを意味する。科学者が科学的発見の基準とする数値は5シグマだ。これは、偶然である確率が350万分の1であることに相当する。

 
 
2023年、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線分光器から得られたK2-18bの大気のスペクトル=NASA提供//ハンギョレ新聞社

■追加検証が必要…不可能な可能性も

 ただし、科学専門誌「ニュー・サイエンティスト」は、

 

124光年の距離の惑星に地球外生命体…「史上最も強力な証拠」発見

登録:2025-04-19 08:34 修正:2025-04-19 10:19
[クァク・ノピルの未来の窓] 
海洋微生物が生成する物質を発見
 
124光年の距離にある太陽より小さい星とそれを公転する惑星K2-18bを描写した絵=欧州宇宙局提供//ハンギョレ新聞社

 科学者がジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による観測によって、地球外生命体の強力な証拠とみられる物質を発見した。

 英国ケンブリッジ大学の研究チームは、地球から124光年離れた距離にある星を公転する外惑星「K2-18b」の大気を観測した結果、地球において生命体の生命活動によって生成されるジメチルスルフィド(DMS)とジメチルジスルフィド(DMDS)の存在を強く示唆する信号を発見したと発表した。この物質は、地球の生物、主に海洋植物プランクトンである藻類のような微生物によって生成される。

 研究チームは「今回の発見は、太陽系外での生物学的活動に対する史上最も強力な証拠であり、この惑星に微生物が豊富に存在する可能性を示唆する」ことを明らかにした。ただし、実際に生命体を発見したわけではなく、生物学的な過程を示唆する物質を発見したものであるため、今後さらに多くの観測を行う必要があると強調した。

 K2-18bは、2015年にNASAのケプラー宇宙望遠鏡が初めて発見し、その後、2016~2017年にハッブル宇宙望遠鏡による観測によって、大気中に水があり、惑星表面では水を液体状態に保てる温度が維持されている可能性があると推定された。半径は地球の2.6倍、質量は約8倍で、地球より大きく海王星より小さいこの惑星は、太陽系にはない種類の惑星だ。赤色矮星のK2-18を、ハビタブルゾーンである2300万キロメートルの距離で33日に1回公転している。

 研究チームは2023年、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線観測装置を利用して、水の蒸気、二酸化炭素、メタンとともに、この物質の存在を暗示する手がかりを発見した。しかし、信号はきわめて弱かった。これを受け、研究チームはジェイムズ・ウェッブの中赤外線機器を利用してもう一度観測したところ、はるかに強力な信号を発見できたと明らかにした。

 研究チームは「2つの物質の濃度は100分の10以上と推定される」として、「これは、地球の大気での濃度に比べ数千倍高い」と明らかにした。研究チームの推定が正しければ、地球よりはるかに多くの生物学的活動が行われていることになる。

 研究チームは、2種類の物質の検出は、統計的な有意性では3シグマの水準だと主張した。これは、今回の発見が偶然である確率が1000分の3であることを意味する。科学者が科学的発見の基準とする数値は5シグマだ。これは、偶然である確率が350万分の1であることに相当する。

 
2023年、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線分光器から得られたK2-18bの大気のスペクトル=NASA提供//ハンギョレ新聞社

■追加検証が必要…不可能な可能性も

 ただし、科学専門誌「ニュー・サイエンティスト」は、他の科学者たちは今回の観測結果については検証が必要であり、別の非生物学的な要因によって生成された可能性を排除するまでは慎重でなければならないという点を強調したと報じた。米国航空宇宙局(NASA)エイムズ研究センターのニコラス・ウォーガン博士はニュー・サイエンティストに「今回の証拠は2023年に比べるとさらに説得力はあるが、他の研究チームの検証が必要だ」と述べた。ウォーガン博士は来週にデータが公開されれば確認できるだろうが、データを解釈するには数週間、または数カ月を要する可能性があると補足した。

 もう少し懐疑的な反応もある。ミシガン大学のライオン・マクドナルド教授は「過去にも3シグマの水準の信号が検出されたことはあったが、詳細に調査した結果、完全に消失してしまった」として、「まるでオオカミ少年のような状況が展開されている」と述べた

 研究チームは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で最大24時間の追加観測を行えば、5シグマの水準に到達できると期待している。しかし、ウィスコンシン大学マディソン校のトーマス・ビティー教授は、大気観測の困難さを踏まえると、5シグマに到達することは根本的に不可能かもしれないと語った。

 マサチューセッツ工科大学(MIT)のサラ・シーガー教授は、非生物学的な要因による生成が不可能なことを立証することは困難であるため、今回の発見は、長期間有効な生体指紋の候補として残る可能性があると述べた。

 研究チームは今回の発見について、現在の観測機器だけでも生命体が存在しうる惑星から生物学的指標が検出できることを立証したという点で、大きな意味があると述べた。研究を主導したニック・マドゥスダン教授は「われわれは観測宇宙生物学の時代に入った」と語った。

クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

米国航空宇宙局(NASA)エイムズ研究センターのニコラス・ウォーガン博士はニュー・サイエンティストに「今回の証拠は2023年に比べるとさらに説得力はあるが、他の研究チームの検証が必要だ」と述べた。ウォーガン博士は来週にデータが公開されれば確認できるだろうが、データを解釈するには数週間、または数カ月を要する可能性があると補足した。

 もう少し懐疑的な反応もある。ミシガン大学のライオン・マクドナルド教授は「過去にも3シグマの水準の信号が検出されたことはあったが、詳細に調査した結果、完全に消失してしまった」として、「まるでオオカミ少年のような状況が展開されている」と述べた

 研究チームは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で最大24時間の追加観測を行えば、5シグマの水準に到達できると期待している。しかし、ウィスコンシン大学マディソン校のトーマス・ビティー教授は、大気観測の困難さを踏まえると、5シグマに到達することは根本的に不可能かもしれないと語った。

 マサチューセッツ工科大学(MIT)のサラ・シーガー教授は、非生物学的な要因による生成が不可能なことを立証することは困難であるため、今回の発見は、長期間有効な生体指紋の候補として残る可能性があると述べた。

 研究チームは今回の発見について、現在の観測機器だけでも生命体が存在しうる惑星から生物学的指標が検出できることを立証したという点で、大きな意味があると述べた。研究を主導したニック・マドゥスダン教授は「われわれは観測宇宙生物学の時代に入った」と語った。

クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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月の裏側のマントルの含水量が1グラム当たり2マイクログラム未満であることを初めて測定し、月の裏側のマントルが非常に「乾燥」していることが9日、中国科学院への取材で分かった。

2025-04-11 | 科学最前線

世界初! 中国の科学者が

月裏側マントルの含水量を測定

人民網日本語版 2025年04月10日15:53
 

中国の科学者は月探査機「嫦娥6号」の月サンプルを利用し、月の裏側のマントルの含水量が1グラム当たり2マイクログラム未満であることを初めて測定し、月の裏側のマントルが非常に「乾燥」していることが9日、中国科学院への取材で分かった。この成果は月の起源や進化に関する研究の強力なサポートとなる。関連論文は国際的学術誌「ネイチャー」にオンライン掲載された。新華社が伝えた。

「ネイチャー」の査読者は、この研究は月の裏側のマントルの含水量を初めて測定したもので、高い独創性を持ち、同研究分野における重要な発見であると評価した。

月のマントルは月の地殻と核の間に位置し、月の表面から約60−1000キロメートルの深さにある。月のマントルの含水量は月の起源、マグマ活動、資源・環境への影響などを解明する上で重要な意義を持つ。

嫦娥6号月サンプルの研究結果によると、月の裏側のマントルは表側のマントルよりも「乾燥」していることを示している。(画像提供:中国科学院地質・地球物理研究所)

嫦娥6号月サンプルの研究結果によると、月の裏側のマントルは表側のマントルよりも「乾燥」していることを示している。(画像提供:中国科学院地質・地球物理研究所)

嫦娥6号ミッションは、月の南極―エイトケン盆地から人類初となる月裏側からのサンプルリターンを行った。月のマントルの水の時空間的進化を認識するための重要なチャンスを提供している。

論文の筆頭著者で、中国科学院地質・地球物理研究所研究員の胡森氏は、「月の進化過程において、一部のマントルの岩石は溶融してメルトとなり、一部のメルトが月面に運ばれ玄武岩を形成した。そのためこれらの玄武岩を利用すれば、月のマントルの謎を探ることができる」と説明した。

チームは今回の研究において、嫦娥6号が採取した月のサンプルの玄武岩の岩屑を選定し、月マントル源の含水量の研究を行った。その結果によると、嫦娥6号玄武岩の月マントル源の含水量は1グラム当たり1−1.5マイクログラムしかなく、これまで報告されているデータの中で最も低い値となった。これは嫦娥6号玄武岩の月マントル源が月表側のマントルよりも「乾燥」していることを示している。(編集YF)

「人民網日本語版」2025年4月10日

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米国のあるスタートアップが世界で初めて空を飛ぶ電気自動車(EV)を開発したとして、自動車が垂直離陸する映像を公開し、話題になっている。

2025-02-23 | 科学最前線

4500万円の空飛ぶEV…いつ商用化されるのか

登録:2025-02-21 06:55 修正:2025-02-22 07:19
 
米国のスタートアップ、空飛ぶEVの映像を公開 
道路走行も可能で垂直離着陸機能を備え 
予約注文3300件…年末から生産予定
 
 
米国のスタートアップ、アレフ・エアロノーティクスのフライングカー「モデルA」の姿=「エレトリック」の画面よりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 米国のあるスタートアップが世界で初めて空を飛ぶ電気自動車(EV)を開発したとして、自動車が垂直離陸する映像を公開し、話題になっている。

 米国のスタートアップ「アレフ・エアロノーティクス」(Alef Aeronautics)が先日、フライングカー「モデルA」の飛行映像を公開した。米NBCとEV専門メディア「エレクトリック」が19日付で報道した。公開された映像には、黒いEVが道路走行中に空中に離陸する場面が含まれている。この車は、道路に駐車された他の白い車両を越えて約10メートルを飛行した後、再び地上に着陸した。「エレクトリック」は、道路走行中に実際に垂直離陸する自動車の映像が公開されたのは今回が初めてだと説明した。

 アレフはフライングカー「モデルA」が100%EVであり、道路での走行が可能で、垂直離着陸機能が搭載されていると説明した。アレフのCEOジム・ドゥホフニー(Jim Dukhovny)氏は「新しい交通手段が可能であることをアレフが人類に証明している」とし、「最初の歴史的映像」だと述べた。アレフはフライングカーの開発に10年余りを投資したスタートアップで、2022年「モデルA」というフライングカーを公開し、話題になった。その後1年も経たず、2023年7月にモデルAは米連邦航空庁から野外試験を許可された。

 フライングカー「モデルA」は今年末から本格的な生産が始まる予定だ。アレフは現在、モデルAの予約注文は3300件と明らかにした。予想販売価格は約30万ドル(約4500万円)。アレフは「誰が空を飛ぶ電気自動車を映画でしか見たことがないと言ったのか」とし、「アレフ・エアロノーティクスが垂直飛行する映像を公開し、歴史を刻んだ」と評した。

キム・ミヒャン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1183479.html韓国語原文入力: 2025-02-2022:15
訳H.J
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しかし、研究者たちはこの惑星の条件は生命体には適していないと述べた。星の表面温度は太陽より2500度低いが、主星に近すぎるため惑星の表面温度が125度にもなる。液体の状態で水を保つことはできない。

2024-10-12 | 科学最前線
 

太陽系から一番近い「単一の恒星」…惑星の“友だち”がいた

登録:2024-10-11 10:21 修正:2024-10-12 07:14
 
[クァク・ノピルの未来の窓] 
6光年の距離のバーナード星、5年の観測の末に惑星の存在を確認
 
 
太陽系に最も近い単星系の星である6光年離れたバーナード星(上の赤色)と惑星「バーナードb」を描写した絵=ヨーロッパ南天天文台提供//ハンギョレ新聞社

 太陽系に住んでいる私たちにとって、一つの恒星と複数の惑星が形成する太陽系の構造はきわめて自然に感じられる。

 しかし、銀河系に目を向けると、太陽系のような構造の惑星系はむしろ非主流に属する。惑星を8個も従えているケースはさらに珍しい。

 科学者は連星以上の多重星系が85%で大半を占め、一つの恒星だけで構成された単星系は15%程度と推定する。しかし、同伴星を持つ確率は星が小さいほど下がり、太陽級の質量を持つ星では多重星系が44%、単星系が56%であるとみている。

 太陽系に最も近い恒星であるケンタウルス座アルファ(α)星も多重星系だ。太陽系から4.37光年の距離のケンタウルス座アルファ星AとB、4.22光年の距離のプロキシマ・ケンタウリ)の3つの恒星で構成されている。

 では、太陽系のように一つの恒星だけで構成された惑星系のうち、最も近いものは? 6光年の距離にあるバーナード星(Barnard's star)だ。ケンタウルス座アルファ星に次いで2番目に近い恒星でもある。

 バーナード星は質量が太陽の16%、大きさは太陽の19%の赤色矮星だ。質量が太陽の8~50%である赤色矮星は、核融合が可能な恒星のうち最も小さく、太陽よりも温度が低く赤い色で輝く。

 発見から100年以上たったにもかかわらず、この星ではまだ惑星が発見されていなかった。2018年に地球より少なくとも3倍の大きさの惑星を発見したという発表があったが、のちに星の動きを誤って判断したことが明らかになった。

 
 
太陽系から4.3光年と最も近い恒星であるケンタウルス座アルファ三重連星(右)と6光年のバーナード星(左)が、太陽を基準にしてどれくらい離れているかを描写した絵=IEEC/Science-Wave - Guillem Ramisa提供//ハンギョレ新聞社

■地球の質量の40%…主星との距離は290万キロメートル

 欧州の天文学者たちが、チリ南部のアタカマ砂漠にあるヨーロッパ南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡(VLT)で5年間観測した結果、ついにこの星で惑星を発見し、国際学術誌「Astronomy & Astrophysics(天文学および天体物理学)」に発表した。

 この望遠鏡には、周囲の惑星の重力で微小に揺れる星の光を捉える視線速度法(radial-velocity)で太陽系外惑星を探索する分光器「ESPRESSO」が設置されている。研究チームは、スペインとチリの他の天文台でのさらなる観測を通じて惑星の存在を検証したと明らかにした。

 論文の筆頭執筆者であるスペインのカナリア天体物理学研究所のホナイ・ゴンザレス・エルナンデス博士は、報道資料を通じて「長い時間がかかったが、見つけられるという確信はあった」と語った。

 新たに発見されたバーナードbは地球の質量の40%に当たる惑星で、水星~太陽の距離の5%に過ぎない距離(290万キロメートル)でバーナード星を3.15日に一回ずつ公転する。

 研究チームは「これまで知られた系外惑星のうち地球より質量が小さいものは数少ないが、バーナードbはその中でも最も小さい方に入る」と述べた。

 
 
バーナード星の周辺の夜空。バーナード星は夜空で最も速く動く星だ。3種類の異なる露出(赤、黄色、青)で撮ったものを合わせた写真で、観測するたびに位置が少しずつ違うことがわかる=ヨーロッパ南天天文台提供//ハンギョレ新聞社

■表面温度125度…生命体には不適格な環境

 しかし、研究者たちはこの惑星の条件は生命体には適していないと述べた。星の表面温度は太陽より2500度低いが、主星に近すぎるため惑星の表面温度が125度にもなる。液体の状態で水を保つことはできない。

 研究チームは「この恒星には、地球より小さい惑星がさらに3つ存在する可能性もあることが分かった」と明らかにした。これはさらなる観測で確認する計画だ。

 現在アタカマ砂漠に建設中の周径39メートルの最大型望遠鏡(ELT)が完成すれば、恒星の周辺のハビタブルゾーン(生命居住可能領域)にある小さな岩石型の系外惑星をもっと見つけられるようになるだろうと研究チームは期待している。

 論文の共同執筆者であるアレハンドロ・スアレス・マスカレーニョ博士は「今回の発見は、宇宙の裏庭に質量の小さい惑星が数多く存在するということを示している」と語った。太陽系から最も近いケンタウルス座アルファ星系のプロキシマ・ケンタウリでは、これまで3つの惑星が確認されている。

*論文情報 
A sub-Earth-mass planet orbiting Barnard”s star. 
https://doi.org/10.1051/0004-6361/202451311

クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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 欧州と日本が共同で取り組んでいる水星探査計画「ベピコロンボ」の探査機から、史上最も近くから撮影した水星の写真が送られてきた。

2024-09-19 | 科学最前線
 

最も近くから見た水星…初の165キロの近接撮影

登録:2024-09-20 07:49 修正:2024-09-20 10:30
 
クァク・ノピルの未来の窓 
ベピコロンボ、史上最接近で飛行 
2026年11月に水星の公転軌道に進入
 
 
ベピコロンボ探査機が9月4日に水星に最接近したときに撮影した写真。撮影時の水星との距離は177キロメートルだった=欧州宇宙局提供//ハンギョレ新聞社

 欧州と日本が共同で取り組んでいる水星探査計画「ベピコロンボ」の探査機から、史上最も近くから撮影した水星の写真が送られてきた。

 欧州宇宙局(ESA)は、ベピコロンボ探査機が4日(韓国時間5日)に太陽に最も近い惑星である水星から165キロメートルの距離まで近接飛行し、128枚の写真を撮影したことを明らかにした。

 今回の飛行は計6回予定されている近接飛行の4回目。ESAの飛行力学チームが宇宙船の経路を調整したため、本来の計画より水星にさらに35キロメートル接近した。

 フライバイ(スイングバイ)と呼ばれるこの近接飛行を行う目的は、水星の軌道の進入に先立ち、水星の重力を利用して飛行スピードを下げ、宇宙船の太陽公転周期を水星に近くなるように合わせるためだ。

 今回の飛行でベピコロンボ探査機は、初めて水星の南極地域を近接撮影した。ESAは「宇宙船が水星の軌道に進入した後には、このような位置と角度で水星を観測する機会はない」と明らかにした。

 
 
水星の赤道付近のビバルディ・クレーター。ベピコロンボ探査機が水星から355キロメートル離れた地点から取った写真。左側の下が北極になる=欧州宇宙局提供//ハンギョレ新聞社

■水星独特の二重リング状の衝突盆地

 探査機はこの日、水星の夜に該当する地域から水星に近づき、3台の宇宙船モニタリング用カメラ(M-CAM)で水星をそれぞれ別の角度から撮影した。

 探査機は最接近の距離を通過し、4分後に水星独特の「ピーク・リング(peak ring)盆地」を相次いで撮影した。小惑星や彗星の衝突によって形成された二重リングのかたちのこの盆地は直径が約130~330キロメートルで、平たい底に輪形の峰が突き出ていることから付けられた名前だ。

 最初に撮影されたのはビバルディ・クレーターで、直径は210キロメートルと推定される。探査機が日の出のころに近付いたため、地形が鮮明にあらわれた。リングに若干のきずが生じているが、これは溶岩がクレーターの内側に流れていったためだとみられると、ESAは明らかにした。

 
 
ベピコロンボ探査機が撮影した水星のストッダート・クレーター。水星から約555キロメートルの距離のときに撮った写真=欧州宇宙局提供//ハンギョレ新聞社

 数分後には、幅155キロメートルの新たなピークリング盆地を捉えた。ESAの科学者らは、この盆地にストッダート・クレーターという名前を付けた。ストッダートは花の絵で有名なニュージーランドの画家マーガレット・オルログ・ストッダート(1865~1934)から取られた名前だ。

 二重リングの形のピークリング盆地がどのように形成されたのかについては、今もベールに包まれている。科学者らは小惑星や彗星との衝突過程で何らかの反発力が作用した結果だと推定している。

 水星にあるピークリング盆地の相当数には、火山の溶岩が流れた跡がある。ビバルディとストッダートにもそのような跡がある。

 
 
ベピコロンボ探査機が最近接飛行を終えた後、水星から遠ざかって3459キロメートル離れた地点で撮影した写真=欧州宇宙局提供//ハンギョレ新聞社

 ベピコロンボ探査機の次の水星近接飛行は、2024年12月1日、2025年1月8日にそれぞれ予定されている。

 探査機はこれを通じてさらにスピードを下げ、2026年11月に水星軌道に進入した後、2027年から本格的な探査活動を行う。探査機の推進機の問題で、軌道投入の時期は当初の計画より11カ月延期された。

 ベピコロンボは、ESAの「水星表面探査機」(MPO)と日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「水星磁気圏探査機」(MMO)の2つの探査機で構成されている。水星の軌道に進入すると2つの探査機は分離し、高度480~1500キロメートルの楕円軌道を回り、それぞれ1年ほどの間、独立して水星探査を行う。

 
 
水星に向かって飛んでいるベピコロンボ探査機を描写した図=欧州宇宙局提供//ハンギョレ新聞社

■水星探査機を送ることが難しい理由

 水星は地球の直径の約3分の1の大きさで、平均5800万キロメートルの距離で太陽を公転する。太陽を2回公転する間に3回自転する。

 ベピコロンボの基本任務は、水星の表面を撮影して磁場を分析することだ。水星の巨大な核を形成している鉄成分も分析する。水星は全体の64%が鉄によって構成されている。

 水星が核が大きく地殻が薄い惑星になったのは、巨大な天体が水星と衝突してマントルの大部分を飛ばしてしまったためだと、科学者らは推定している。

 水星は太陽系惑星のなかでは太陽の重力の影響を最も強く受けるため、公転速度も秒速47キロメートルで、地球の1.5倍の速さだ。また、地表温度が昼間には400度、夜にはマイナス170度となり変化が激しく、宇宙船が水星の軌道に安定的に進入し、着陸することは容易ではない。そのため、これまで宇宙探査では後回しにされていた。

 2018年10月に地球を出発したベピコロンボ探査機は、1970年代の米国のマリナー10号、2000年代の米国のメッセンジャーに続く3番目の水星探査機だ。

 米国ジョージア工科大学のユン・ボグォン研究員(物理学)は、地球との距離がはるかに遠い木星や土星に比べ水星軌道船が遅れたのには、3つのハードルがあったためだと語る。

 1つ目は、太陽に最も近い惑星である水星を探査するためには、太陽の放射熱と太陽風から探査機を保護する装備が必要だという点だ。2つ目は、それによって探査機の重量がより大きくなるため、発射体もさらに強力でなければならないという点だ。3つ目は、水星の周囲を回る軌道に進入するためには、反動エンジンで減速しなければならないが、減速しなければならない速度が非常に大きいという点だ。

クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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 研究チームは今後、脳活動を判読する技術がさらに制度を上げる場合、脳損傷の患者たちも脳‐コンピュータ・インターフェース(BCI)を利用して意思疎通が可能になる日が来ると期待した。

2024-08-28 | 科学最前線
 

植物人間の4人中1人は話を聞いている

登録:2024-08-27 06:56 修正:2024-08-27 10:00
 
 
[クァク・ノピルの未来の窓] 
重度の脳損傷患者の25%が外部の指示に反応 
全世界の「隠された意識」の患者は最大10万人と推定
 
 
植物人間状態にある重度の脳損傷患者の相当数が実際には意識があるという研究結果が発表された=ウィキメディア・コモンズ//ハンギョレ新聞社

 深刻な脳損傷を受けて外部からの刺激にまったく反応しない状態が長期間続く患者を、よく「植物人間」と呼ぶ。しかし、意識障害に陥った脳損傷患者の相当数が、実際には意識があることが明らかになった。体をまったく動かすことができず、意思疎通はできないが、周辺を認識できるということだ。

 米国マサチューセッツ総合病院を運営している医療研究教育機関「マス・ジェネラル・ブリガム」(MGB)が中心となった国際研究チームは、重度の脳損傷患者241人を対象に機能的磁気共鳴映像(fMRI)撮影と脳波検査(EEG)を実施して分析した結果、4人中1人の割合で外部の指示に反応することを確認したと、国際学術誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表した。研究チームは、これらの人たちの脳活動の程度は、同じ検査を受けた健康な成人たちとまったく同じだったことを明らかにした。

 研究チームは患者らに、テニスをすることや、水泳、拳を握ること、家の中を歩くことなどの活動を想像するようさせ、脳反応を調べてみた。例えば、「拳を握って伸ばす姿を想像してください」と言った15~30秒後、「そのような想像を止めてください」と伝える手法だ。研究チームは、このような実験を5分間に平均7回繰り返した。その間に脳の血流の動きと脳波を測定した結果、患者の25%にあたる60人に、この指示を繰り返して従ったことを示す脳反応が現れた。

 表面上には何の反応がないようにみえるが、言語を理解して指示を記憶して注意力を維持できる状態を、専門用語で「認知‐運動解離」(Cognitive-motor dissociation)と呼ぶ。

 論文の筆頭著者であるイェレナ・ボディーン博士(神経学)は「このような結果は、重度の脳損傷の患者に対する倫理的、臨床的、科学的質問を投げる」と述べた。例えば、表面上には現れなかった認知能力を探知し、コミュニケーション・システムを構築することが可能かどうかが研究者の新課題になりうる。

 個人の「認知‐運動解離」現象を示す研究は、20年ほど前に初めて発表された。その後科学者たちは、外部の刺激に反応しない患者の約15~20%にこのような現象が現れることを発見した。2019年の米国のワイル・コーネル医科大学の研究では、このような「隠された意識」の現象が10人中1人の割合で現れると推定した。ただし研究チームは、今回の研究を通じて、その割合がこれよりはるかに高い可能性があることが判明したと明らかにした。今回の研究は、これに関する研究のなかでは歴代最大規模だ。

 研究を主導したワイル・コーネル医科大学のニコラス・シフ教授によると、全世界に意識障害を患っている人は30万~40万人いると推定される。シフ教授は「これは最大10万人が『隠された意識』を持っている可能性があることを意味する」と述べた。

 
 
機能的磁気共鳴映像(fMRI)は脳の特定部位が活性化する際に発生する血流変化を探知する手法で脳の活動を映像化する技術だ=コロンビア大学提供//ハンギョレ新聞社

■生命維持装置の除去決定に投げる質問

 今回の研究では、米国、英国、フランス、ベルギーの4カ国の6カ所の医療施設で約15年間に収集されたデータを活用した。患者たちは、交通事故や脳卒中、心臓まひのような外傷によって脳損傷を受けた直後に集中治療室に入院したり、けがや病気を患い数ヶ月~何年が過ぎてから療養施設や自宅で生活していた人たちだ。脳反応を示した人たちは、そうではない人たちに比べ、年齢が若く、外傷によって脳損傷を受け、より古い時期に脳損傷を受けた傾向があった。

 研究チームは、認知的自覚が生きていることだけが分かっても、これらの人たちに対する治療方法に変化を与えることができると明言した。例えば、医療スタッフがもう少し微細な信号にもさらに注意を払うことができ、患者に話しかけることも可能で、病室に音楽をかけることもできる。反面、「認知‐行動解離」を探知できない場合には、生命維持装置を早期に除去したり、リハビリの機会を逃すなどの深刻な結果を招く可能性もある。

 シフ教授は「今回の研究によって、認知能力がありながらも行動できない解離状態が、一般的ではないわけではないことがわかった」として、「今では、このような患者たちと交流して患者たちが世界とつながるよう助けることが、私たちの倫理的義務だと思う」と述べた。

 英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのラーナン・ギロン教授(医療倫理)は、科学専門誌「ニュー・サイエンティスト」に、「意識がない状態で生きるということは、多くの人たちにとって無意味で、より嫌いなものに近づくこと」だとしたうえで、「しかし、今回の研究が示唆するように、意識がないことが表面上にみえる状態であるにすぎない可能性が高いのであれば、生命延長治療を中断することに決める前に、自分の意思を聞いてほしいと望むことが予想される」と述べた。

 ただし、研究チームは、脳反応を測定する方法が標準化されておらず、機関ごとに異なる手法で検査しているため、データに偏差がある点を限界として挙げている。したがって、研究チームは、体系的かつ実用的な評価手法が開発され、より多くの患者がより簡単に検査を受けられるようにすべきだと明らかにした。

 今回の研究には、簡単な指示に反応した患者112人も含まれている。研究チームは、これらの人たちについては、かなり多くの人たちが脳画像と脳波検査ではるかに明確な反応を示すと予想した。しかし、実際には38%で大きな違いなかった。研究チームは、これは脳反応の基準値を高く設定したためだと推定した。

 研究チームは今後、脳活動を判読する技術がさらに制度を上げる場合、脳損傷の患者たちも脳‐コンピュータ・インターフェース(BCI)を利用して意思疎通が可能になる日が来ると期待した。マサチューセッツ総合病院の研究チームが参加して同日に同じ学術誌に掲載された別の論文には、ルーゲーリック病(筋萎縮性側索硬化症=ALS)によって話せなくなった40代患者の脳信号を脳‐コンピュータ・インターフェースで読み取り、患者が意図した話を97%の正確度で文字と音声に変換することに成功したという研究結果が載せられた。

*論文情報
DOI:10.1056/NEJMoa2400645
Cognitive Motor Dissociation in Disorders of Consciousness.

クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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しかし、今回の研究は、氷から生成される酸素の量だけを確認したものであり、そのうちどれほどの酸素が大気に向かい失われるのか、または、氷を突き抜けて海の中に入るのかは突きとめられなかった。

2024-03-06 | 科学最前線
 

木星の衛星「エウロパ」

1日に1千トンの酸素を生成…生命の神秘に一歩前進

登録:2024-03-06 08:20 修正:2024-03-06 10:12
 
木星探査機「ジュノー」、近接飛行の観測データーを解析 
氷が荷電粒子と衝突して酸素と水素に分解
 
 
2022年9月29日、木星探査機「ジュノー」がエウロパを近接飛行して撮影した写真。エウロパでは1日に1000トンの酸素が生成されると推定された=NASA提供//ハンギョレ新聞社

 地球の月よりわずかに小さい木星の氷の衛星「エウロパ」は、太陽系で生命体が存在する可能性がある有力な候補の一つだ。科学者らは、15~25キロメートルの厚い氷の表面層の下に塩分の多い水の海があると推定している。

 しかし、生命体が存在するためには、水だけでなく酸素が必要だ。エウロパの海には酸素があるのだろうか。

 天文学者らが米航空宇宙局(NASA)の木星探査機「ジュノー」が送ってきた観測データをもとに分析した結果、エウロパでは1日に1000トンの酸素が生成されるものと推定されると、国際学術誌「ネイチャー・アストロノミー」に発表した。

 研究を主導したプリンストン大学のジェミー・サライ教授(プラズマ物理学)は、「これは、私たちが期待していたよりも低い数値」だとしたうえで、「しかしこれは、生命体の存在の可能性を完全に排除するものではない」と述べた。科学者が過去に推定した最大値は、1秒あたり2245ポンド(1018キログラム)だった。

 地球では、バクテリアと植物、プランクトンが光合成を通じて酸素を供給する。しかし、エウロパで酸素が生成されるプロセスはまったく違う。宇宙から飛んできた荷電粒子が氷の表面層と衝突すると、氷の水を水素分子と酸素分子に分解する。サライ教授はニューヨーク・タイムズに「害となる宇宙放射線から海を保護する氷の皮が、一種の呼吸をしている」としたうえで、「氷殻はエウロパの肺のようなものだ」と述べた。

 
 
木星の荷電粒子がエウロパの表面に衝突して氷の水分子を酸素分子と水素分子に分解する様子。科学者たちは、こうして生成された酸素の一部が地下の海に入り込む可能性があると考えている=NASA提供//ハンギョレ新聞社

_________
地下の海に入り込み、生命体を作る可能性

 研究チームは、この酸素はエウロパの地下の海に移動でき、その場合、海底火山の物質と混じりあい、生命体を誕生させる化学的なプロセスが生じる可能性があると推定した。

 今回の研究は、ジュノーに搭載されたJADEという装置が、2022年9月にエウロパに354キロメートルの距離まで近接飛行して収集したデータを分析したものだ。飛行時間は数分に過ぎなかったが、エウロパの大気の近くのプラズマの構成を直接測定したのは今回が初めて。

 JADEが確認したものは、酸素ではなく水素だった。水素は最も軽い元素であるため、生成されるやいなや、大気圏の高さに浮び上がる。しかし、2つの分子はともに凍りついた水から出てきたものであるため、水素を測定すれば酸素の量を推定できる。

 研究チームはこれをもとに、エウロパの表面で1秒あたり26ポンド(12キログラム)の酸素が生成されているという事実を発見した。これは1日あたり1019トンに達する量だ。

 研究チームの一員であるコロラド大学ボルダー校のフラン・バジェナル博士は、ニューヨーク・タイムズに「生命体を作るためにはどれほど多くの酸素が必要なのかはわからない」としたうえで、「したがって、過去の希望的な推定値より低いという事実は、さほど大きな問題にはならない」と述べた。

 
 
エウロパの氷の表面層。表面で生成された水素は大気へとわき上がる=NASA提供//ハンギョレ新聞社

 しかし、今回の研究は、氷から生成される酸素の量だけを確認したものであり、そのうちどれほどの酸素が大気に向かい失われるのか、または、氷を突き抜けて海の中に入るのかは突きとめられなかった。

 2025年に任務を終えるジュノーは、今後はエウロパの近接飛行は行わない。したがって、この宿題を解く任務は、次のエウロパ探査機にまかせることになった。

 NASAは、10月に史上初となるエウロパ専用探査機「エウロパ・クリッパー」を発射する予定だ。この探査機は2030年に木星に到達する予定であり、エウロパが生命体の生存に適した条件を備えているかを確認できる9個の科学装置が搭載される。欧州宇宙局が昨年3月に発射した木星衛星探査機「JUICE」も、2031年には木星軌道に到着し、4年間にエウロパをはじめとする3個の氷の衛星を探査する。

*論文情報
doi.org/10.1038/s41550-024-02206-x
Oxygen production from dissociation of Europa’s water-ice surface.

クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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新たな汚染水の発生防止や廃炉を進めるための明確な展望もなく無責任に急ぐあまり「底抜けの甕に水を注ぐ」ような状況に直面することになりかねないという悲観的な見通しを示した。

2023-08-24 | 科学最前線

「汚染水放出」24日午後1時予告…

放出期間「30年→予測不可」

登録:2023-08-24 07:30 修正:2023-08-24 08:54
 
日本メディア「2051年廃炉の目標、すでに破綻」 
毎日100トンの汚染水発生、「底抜けの甕に水を注ぐ」
 
 
香港の漁業者が23日(現地時間)、現地の日本総領事館の近くで福島原発汚染水の放出反対のデモ中に日本の岸田文雄首相の顔写真に核汚染水を注ぐパフォーマンスをしている。香港当局は中国政府の方針に歩調を合わせ、24日から特定の日本産水産物に対する禁輸措置を施行する=香港/EPA・聯合ニュース

 日本の岸田文雄首相が、事故を起こした原発の廃炉のために必要だという名目で24日に汚染水(合計134万トン)の放出を開始することを決め、東京電力は23日終日準備作業に追われた。日本のメディアは、政府と東京電力の説明のとおり「約30年」で放出が終わるのか見極めるのは難しいとして、新たな汚染水の発生防止や廃炉を進めるための明確な展望もなく無責任に急ぐあまり「底抜けの甕に水を注ぐ」ような状況に直面することになりかねないという悲観的な見通しを示した。

 共同通信は23日、「(日本)政府と東京電力が、福島第一原発の処理水の海洋放出を24日午後1時にも始める方向で調整している」と報じた。24日から1日あたり460トンずつ、17日間で7800トンの汚染水を放出する。その後、今年は4回にわたり汚染水全体の2.3%にあたる合計3万1200トンを放出する。東京電力は「(放出)初年度なので慎重に進める」と説明した。そのため、汚染水1トンに海水1200トンを混ぜて薄めた後、放出直前に汚染水を集めておく水槽に移す作業を22日夜に終わらせた。

 日本メディアは、放出の終了時期は誰も予測できないとして、強い懸念を示した。日本の経済産業省は原発の廃炉について、第1段階として原発内に保管されている核燃料の搬出を2年以内に、第2段階として廃炉作業での最大の難関であるメルトダウン(炉心溶融)を起こした核燃料と周辺の構造物が混ざってできた塊(デブリ)を取り出す作業を10年以内に始めるという計画を立てている。その後、第3段階として原子炉の撤去など本格的な作業を初め、事故後30~40年以内(2041~2051年)に廃炉作業を終えるという計画だ。この過程で発生する新たな汚染水は、海に捨て続けざるをえない。

 
 
日本の市民たちが22日、東京の首相官邸前で福島第一原電に保管中の汚染水を24日に放出することを日本政府が決定したことについて反対集会をしている。ある参加者が「原発汚染水毒を海に流すな」と書かれたプラカード持っている=東京/AFP聯合ニュース
 
 
汚染水の海洋放出を2日後に控えた22日、福島第一原電の敷地に保管中の汚染水タンク=福島/ロイター・聯合ニュース

 日本政府の原子力政策の中枢を担ってきた人物はこの日、民放の日本テレビのインタビューで「廃炉が30年~40年で終わるとは誰も思っていない」と述べた。毎日新聞も同様に「『51年ごろ』とする廃炉完了を目指す工程表は事実上、破綻している」として、政府の対応を批判した。

 現在、福島原発の1~3号機の原子炉には、約880トンに達するデブリが残っている。そこからは、近づくと1時間以内に死亡するほど強い高線量の放射線が出ている。除去のためには精密な作業を担当するロボットが必要だが、開発は遅れている。朝日新聞は「2021年中に2号機から(デブリの)試験的な取り出しを始める予定だったが、装置開発の遅れなどで2度延期。今年度後半の開始をめざしているが、取り出す量はわずか数グラム」と報じた。1号機と3号機については、処理時期や方法などの計画さえない。

 雨水や地下水の流入などで毎日発生する汚染水を完全に防ぐ対策もない。地下水を汲み出し、1~4号機の周辺に凍土壁(土を凍らせて作った壁)を設けたが、今でも毎日90~140トンの汚染水が出ている。廃炉が遅れれば、汚染水の放出は「底抜けの甕に水を注ぐ」ことになりかねない。日本テレビは「(政府予想の)『約7.5年』とされた放出期間も『30年程度』と大幅に延長されている」と指摘した。

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

汚染水糾弾ろうそく集会に乗り出した韓国の最大野党…

週末には光化門一帯で総決起集会

登録:2023-08-24 06:41 修正:2023-08-24 07:26
 
イ・ジェミョン代表「核汚染水の海洋放出は第2の太平洋戦争」との発言も
 
 
共に民主党のイ・ジェミョン代表が22日午後、国会ロタンダホールの階段で行われた福島原発汚染水海洋放出糾弾大会で発言している=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 福島第一原発汚染水の海洋放出を翌日に控えた23日、韓国の最大野党「共に民主党」は国会でろうそく集会を行い、今後街頭デモと総決起集会を予告するなど、総力対応に乗り出した。

 民主党のイ・ジェミョン代表は同日午前、国会で開かれた最高委員会議で「過去の帝国主義侵略戦争で周辺国の生存権を脅かした日本が、核汚染水の海洋放出で大韓民国と太平洋沿岸国に再び取り返しのつかない災いをもたらそうとしている」とし、「核汚染水の放出は第2の太平洋戦争として記録されるだろう」と批判した。同党のパク・グァンオン院内代表は「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は国民に向けた記者会見を通じて、国民に(汚染水の放出に関する)明確な立場と計画を報告すべきだ」と述べた。

 民主党は汚染水放出が決まった22日から26日まで放出反対を促す「100時間緊急行動」を行う。23日午後には、現役議員らと補佐陣、党役員、首都圏の市区議員、権利党員など約1000人が国会本庁前の階段に集まり、「汚染水海洋投棄阻止ろうそく集会」を開いた。24日にはソウル龍山(ヨンサン)大統領室前で、「日本の汚染水放出はロンドン条約(廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約)違反」であることを訴える記者会見を開き、25日には尹錫悦政権の汚染水放出への対応を糾弾し、ソウル光化門(クァンファムン)から龍山の大統領室まで街頭行進する方針だ。週末の26日には光化門一帯で市民団体などと連帯して汚染水放出反対総決起大会を開く予定だ。野党「正義党」も23日午前、ソウル鍾路区(チョンノグ)の駐韓日本大使館前で汚染水放出糾弾記者会見を行い、リレー1人デモを行った。

 与党「国民の力」は、野党が国民の不安を助長していると批判した。同党のユン・ジェオク院内代表はこの日国会で開かれた政府与党緊急会議で、「民主党が(汚染水)放出を口実に扇動と政治攻勢を繰り広げるのは昨日今日に始まったことではないが、再び反日と恐怖マーケティングで国民を不安にさせ政争を助長している」と述べた。同党の「我が海を守る検証TF」委員長のソン・イルジョン議員も、「第2の牛海綿状脳症(BSE)問題を期待してろうそくを掲げると主張しているが、嘘は真実に勝てない」とし、「嘘と怪談のろうそくは真実と科学の松明によって溶けてしまうだろう」と述べた。

 イ・ジェミョン代表の「第2太平洋戦争」発言については、民主党内でも「宣伝の側面でも少し行き過ぎたところがある。国民の命と直結している問題であるだけに、もう少し緻密に追求して批判してほしい」(ある重鎮議員)という批判が出た。

カン・ジェグ、ソ・ヨンジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 
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グリーンランドで氷の縮小が急速に速まり、長きにわたり安定的な状態を維持していた氷河まで溶け始めたことが確認され、グリーンランドの氷の融解が取り返しのつかない段階に入った・・

2023-04-25 | 科学最前線

取り返しのつかない段階に突入?…

安定していたグリーンランドの氷河も急速に融解

登録:2023-04-24 05:23 修正:2023-04-24 09:35
 
 
 
最近、グリーンランドの氷が融解するペースが加速していることを示す研究結果が相次いで発表され、懸念を呼んでいる。写真は2019年8月15日夕方、1隻のボートがグリーンランド東部の町クルスク付近の氷河の近くを通り過ぎていく様子/聯合ニュース

 グリーンランドで氷の縮小が急速に速まり、長きにわたり安定的な状態を維持していた氷河まで溶け始めたことが確認され、グリーンランドの氷の融解が取り返しのつかない段階に入ったという懸念を呼んでいる。科学者らは、グリーンランドから氷がすべて消えるには数世紀かかるが、実際にそのようなことが起きれば、地球の海水面が7メートル以上上昇するとみている。

 全世界の科学者60人あまりが参加した「氷床質量バランス相互比較研究チーム」(IMBIE)は20日、科学誌「地球システム科学データ(Earth System Science Data)」に、2017~2020年の間に地球上で縮小した氷の量のうち3分の2がグリーンランドの氷床から生じたとする分析結果を発表した。

 研究チームが提示した2017~2020年のグリーンランドの年平均氷損失量は2570億トンで、20年前(1997~2001年)の年平均損失量480億トンより5倍多く、直前5年間(2012~2016年)の年平均損失量2130億トンに比べ20%増加している。

 
 
グリーンランドと南極の氷質量変化の推移。一番下の青色の部分がグリーンランドの氷の質量変化を示す。2010年代初期から急激に減り始め、2019年以降はそのペースがさらに速くなったことが分かる=地球システム科学データ//ハンギョレ新聞社

 また、米国オハイオ州立大学の研究者らが中心となった研究チームは19日、科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)」に、グリーンランド北部にあるステンストルプ氷河で、氷が海に排出される速度が2018~2021年で4倍増加し、氷河の厚さが約20%薄くなったことを発見したと報告した。研究チームは、ステンストルプ氷河の急速な後退は、大西洋の海水温度の上昇に反応し始めたことによるものだと推定した。この研究は、長期的に安定した氷河も突然急速に溶け始めることが起こりうることを示したものとして注目される。

 研究を主導したトーマス・チャドリー博士は報道資料で、「グリーンランドには1990年代以降、海水面の上昇に影響を及ぼした氷河が多くあるが、ステンストルプはその中の一つではない」とし、「氷河の後退速度がわずか数年で4倍に増加した事実は、巨大な氷塊が気候変動にどれほど早く反応しうるのかという新しい質問を提起する」と述べた。

 
 
グリーンランドのステンストルプ氷河の位置と変化の推移。年度別変化を示した左図から、氷河は2017年以降、急速に後退したことが分かる=ネイチャー・コミュニケーションズ//ハンギョレ新聞社

 延世大学の非可逆的気候変動研究センター長のアン・スニル教授(大気科学科)は「最近、地球温度が産業革命以前に比べわずか1~2度だけ増加しても、ティッピング(小さな変化が臨界点に達すると、突然大きな変化に変わること)が起きる可能性があるとする論文が相次いで発表されている」とし、「グリーンランドの陸氷や西南極の氷河なども、そのような可能性が高いとみられる」と述べた。

キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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JAXA関係者は取材陣に「今日の打ち上げは難しそうだ。まだ打ち上げていないため、失敗ではなく発射中止だ」と述べた。

2023-02-18 | 科学最前線
 

日本、新たな主力ロケット「H3」の打ち上げに失敗…

白い煙だけが立ち上った

登録:2023-02-18 06:25 修正:2023-02-18 07:35
 
約30年ぶりに新しいロケットを開発 
JAXA「補助エンジンに異常… 
失敗ではなく打ち上げ中止」
 
 
日本宇宙航空研究開発機構(JAXA)は17日午前10時37分、鹿児島県の種子島宇宙センターで「H3」の打ち上げを試みたが、ロケット発射台から白い煙が立ち上るだけで機体が離陸しなかった。補助ロケットが点火されなかったものと把握されている/AP・聯合ニュース

 約30年ぶりに開発された日本の新しい大型ロケット「H3」の打ち上げが実現しなかった。補助ロケットの着火に至らなかったものと把握されている。

 日本宇宙航空研究開発機構(JAXA)は17日午前10時37分、鹿児島県の種子島宇宙センターで「H3」の打ち上げを試みたが、ロケットの発射台から白い煙が立ち上るだけで、機体は離陸しなかった。宇宙センターは「メインエンジンは点火されたが、(ロケットの両側に付いている)補助ロケットが点火されていないようだ。状況把握に時間がかかる」とアナウンスした。

 補助ロケットは最も推進力が必要な発射初期段階に使われる装置で、発射0.4秒前に点火し、1分56秒後に高度43キロメートル地点でロケット本体から分離される予定だった。JAXA関係者は取材陣に「今日の打ち上げは難しそうだ。まだ打ち上げていないため、失敗ではなく発射中止だ」と述べた。JAXAは原因が見つかり次第、再び発射を試みる方針だ。

 「H3」は現在の主力ロケット「H2A」の後継機で、JAXAと三菱重工業が2014年から開発に着手した。NHKは「日本の大型ロケットとしては『H2』以来となるおよそ30年ぶりの新規開発で、総開発費2000億円余りの国家プロジェクトとして進められている」と報道した。

 「H3」は長さ63メートル、直径5.2メートルで、燃焼を終えると順に分離される2段式ロケットだ。日本政府の主力大型ロケットで、人工衛星の打ち上げと宇宙開発に活用される。年間5基前後の打ち上げを計画している。「H3」は以前にもエンジンの問題が発生し、当初2020年に打ち上げを予定していたが、2回延期した末、今回再び試みられた。日本経済新聞は「打ち上げが滞れば、国の宇宙戦略の見直しが求められる」と報じた。

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

 

 

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DARTの小惑星衝突実験は続編が予告されている。

2022-09-29 | 科学最前線

NASAが放ったDART、小惑星に命中…

人類初の地球防衛実験成功

登録:2022-09-27 20:45 修正:2022-09-28 08:47
 
昨年11月に出発したDART宇宙船 
地球から1080万キロメートル離れた空間で小惑星に衝突 
軌道変更を通じたリスク回避を打診
 
 
DART宇宙船が小惑星ディモルフォスに衝突する直前に搭載されたカメラが撮った最後のシーン=NASAテレビ提供//ハンギョレ新聞社

 宇宙船を衝突させ小惑星の軌道を変えることを目指した人類初の地球防衛実験が成功した。

 米航空宇宙局(NASA)は27日午前8時14分、DART(二重小惑星軌道変更実験)の宇宙船を地球から1080万キロメートル離れた宇宙空間で直径160メートル(サッカー場の1.5倍)の小惑星ディモルフォスに衝突させた。今回の実験はNASAテレビのYouTubeチャンネルを通じて生中継された。

 DARTチームのシステムエンジニアであるエレナ・アダムス氏は、宇宙船が小惑星の中心から約17メートル離れた地点に衝突したと明らかにした。NASAは今後、地上及び宇宙望遠鏡観測を通じて、軌道が実際に変更されたかを確認する予定だ。NASA関係者はロイターに「宇宙船が設計どおり働いたものとみる」と話した。

 小惑星衝突実験は、未来に起きるかもしれない小惑星の衝突を事前に防止するための地球防衛プログラムの一環として企画された。

 
 
ディモルフォスに近づくDART宇宙船。標的に向かい正確に飛んでいることがわかる=NASAテレビ//ハンギョレ新聞社

音速の18倍の速度で突進

 昨年11月に地球を出発したDART宇宙船(550キログラム)はこの日、衝突の4時間前にディモルフォスと9万キロメートル離れた地点で最後の飛行経路調整を実施した後、自動航法システムを利用して目標地点に向かって飛んだ。続いて衝突の2分30秒前にはイオンエンジンを消し、慣性で小惑星ディモルフォスに向かい突進した。衝突した瞬間の速度は秒速6.1キロメートルで音速の18倍だった。

 DART宇宙船に搭載されたカメラは衝突の3秒前まで小惑星を撮影して地球に送った。

 実際、今回の衝突実験は容易には成功を確信できなかった。DART宇宙船のカメラでは衝突の1時間前までディモルフォスが捉えられないからだ。二つの小惑星の大きさの差が大きく、またああまりにも近い距離にあるため、ディモルフォスがディディモスに隠れて見えるせいだ。

 衝突後の状況は7日前に分離されたキューブサット「LICIAcube」が撮影任務を受け持った。イタリア宇宙局が製作した重量14キロのLICIAcubeは、ディモルフォスから55キロメートル離れた地点で衝突の3分後からカメラを作動させた。LICIAcubeが撮った最初の写真は衝突後24時間以内に確認できるとNASAは明らかにした。

 
 
小惑星ディモルフォスの現在の軌道(白線)と衝突実験後の予測軌道(青線)=米航空宇宙局提供//ハンギョレ新聞社

公転サイクルの10分短縮を期待

 初の地球防衛実験の対象となった小惑星ディモルフォスは、直径780メートルの小惑星ディディモスから1.2キロメートル離れて11時間55分の周期で公転する二重小惑星系の小さな惑星だ。NASAは今回の衝突実験をエジプトのギザのピラミッドにバスを突進させることに例えている。

 NASAは衝突の衝撃でディモルフォスの公転軌道がやや内側に変わり、公転周期が最大で10分短縮できると予想する。

 NASAの予測によると、DARTが小惑星に衝突すると100億ジュールの運動エネルギーが発生する。その結果、衝突噴火口が作られ、宇宙船の質量の10~100倍に相当する物質が噴出する。予測通りならば約100トンの岩石物質がこなごなに散らばり、ディモルフォスに幅10メートルの衝突口が生じる。

 この物質を押し出すのに必要な力は、ちょうど反対方向に小惑星を押し出す力として作用する。ロケットの推進原理に似ている。

 
 
小惑星衝突実験が成功したことを確認したNASAの職員が歓呼している=NASAテレビ//ハンギョレ新聞社

2年後に別の宇宙船を送り結果を確認する

 問題は、衝撃の強さを左右するディモルフォスの表面がどれほど硬いのかがわからないことだ。

 DART観測チームを率いるノーザン・アリゾナ大学のクリスティーナ・トーマス教授(惑星科学)は「サイエンス」に「私たちは小惑星が硬い岩だということを前提に、宇宙で巨大なビリヤードゲームをしている」とし「これは基本的に簡単な物理学の方程式で解決できるが、実際には当てはまらない場合が非常に多く起こっている」と話した。実際、米国と日本の探査船が訪れた小惑星リュウグとベヌは、当初の予想より表面が硬くなかった。

 ジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究所のアンディ・チョン首席研究員は「写真だけ見ても、それが岩石かどうかは分からない」と話した。岩石よりも強度が弱い場合、衝突の結果を予測するのははるかに困難になる。小惑星の表面が柔らかいほど、衝撃の余波が長くなり衝突口が大きくなる。

 NASAは今後、4つの地上天文台とジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡、ハッブル宇宙望遠鏡を通じてDARTの軌道の変化を観測する計画だ。ディモルフォスがディディモスの前を通過したときの光が、以前と比べてどのように変化したかを比較し分析する方法を用いる。今回の実験はNASA惑星防衛調整事務所の主管のもと、ジョンズ・ホプキンス大学応用物理研究所が受けもって進行した。

 DARTの小惑星衝突実験は続編が予告されている。

 欧州宇宙局は、今回の実験がどれほど成功したかを調べるために、2024年10月にHERAという名の探査船をここに送る。HERAは2026年末にここに到着し、搭載した高解像度カメラと2台のキューブサットで、2つの天体にどんな変化があったのか、2つの惑星の物質は具体的にどんな成分なのかを調べる予定だ。

クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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昼夜と季節の変化に関係なく、年中酸素を作り出す技術を確保した。マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究陣が中心になって開発した酸素発生器「MOXIE」を火星に持って行き、1年間実験した結果だ。

2022-09-04 | 科学最前線
 

火星の空気で呼吸する日が来た…火星で酸素生産に成功

登録:2022-09-03 06:59 修正:2022-09-03 07:43
 
米MITが開発した酸素発生器、火星の大気を活用し酸素生産 
宇宙飛行士が100分間呼吸できる量 
NASA、火星での実験に成功…ポルトガルでも類似した研究
 
 
 マサチューセッツ工科大学の研究陣が開発した酸素発生装置「MOXIE」=MIT提供//ハンギョレ新聞社

 2030年代に火星への有人着陸を目指している米航空宇宙局(NASA)が、大気密度が地球の100分の1に過ぎない火星で、昼夜と季節の変化に関係なく、年中酸素を作り出す技術を確保した。マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究陣が中心になって開発した酸素発生器「MOXIE」を火星に持って行き、1年間実験した結果だ。

 研究陣はMOXIEが2021年4月から年末にかけて、昼と夜、多様な季節にかけて試みた7回の実験で、1時間あたり平均5.4グラムの酸素を作り出すことに成功したと、国際学術誌「サイエンス・アドバンシス」を通じて明らかにした。

 今回の実験でMOXIEが作り出した酸素は計49.9gで、宇宙飛行士が約100分間呼吸できる量だ。酸素の純度も非常に高い。MOXIEはロボット探査車「パーサビアランス」に乗せられ、昨年2月、火星に到着した。

 研究陣の一員であるジェフリー・ホフマン教授は「今回の研究は、他の惑星表面にある資源を人間に有用な何かに変えられた最初の実証事例」だと述べた。

 
 
         パーサビアランス内にMOXIEが搭載された位置//ハンギョレ新聞社

木の光合成方式と類似

 自動車バッテリーのサイズのMOXIEが酸素を生産する方法は、二酸化炭素で酸素を作り出すという点で、木の光合成方式と似ている。

 この過程は火星の大気にある二酸化炭素を取り込むことから始まる。二酸化炭素は火星の大気の96%を占めるほど火星ではありふれた物質だ。二酸化炭素を吸収したMOXIEは、まずろ過装置を通じて二酸化炭素以外の不純物をろ過する。さらに加圧と800度の加熱過程を経て、固体酸化物電解槽(SOXE)から二酸化炭素を酸素イオンと一酸化炭素に分離する。すると酸素イオンは互いに結合して酸素分子になり、一酸化炭素は外に排出される。

 研究陣は「火星の大気は地球より変化が激しく、空気密度の変化幅は2倍、温度変動幅は100度に達する」とし、「今回の実験で、MOXIEはどの日どの時間帯でも酸素を作り出すことができることを示した」と話した。

 ニッケル合金が含まれた強力な耐熱性素材が太陽から来る赤外線熱を反射させ、金メッキなどが激しい温度変化の中でも一定の性能を維持できるようにした。研究陣は「私たちがまだ実証していない唯一のケースは明け方に、そしてホコリ暴風が吹き荒れる中での性能のみ」だと述べた。

 MOXIEがこれまで行った実験は火星の春と夏に当たる。研究陣は今後も試験を続けながら、秋と冬を含め四季全体で酸素発生が可能であることの立証に注力する予定だ。

 また、今後の実験では酸素発生装置の摩耗問題も綿密に調べる計画だ。火星探査で実際の酸素発生器を利用するためには、酸素発生装置が数百日間作動し続けなければならないためだ。

 
 
        火星1年間の大気密度の変化幅=サイエンス・アドバンシス//ハンギョレ新聞社

火星探査コストを大幅に削減

 火星で酸素を作って使うというアイデアは、実は宇宙飛行士の呼吸用よりは火星から地球に戻る時に使う上昇船のロケット推進剤を確保する必要性から生まれた。

 酸素は上昇船の質量の78%を占める。したがって、酸素を火星から調達できるなら、あえて酸素を地球から持っていく必要がなく、火星探査費用を大幅に減らすことができる。

 研究陣は酸素発生装置を時間あたり2~3kg生産できる程度に拡張すれば、次の火星旅行まで上昇船の発射に十分な量の酸素を生産できると説明した。地球と火星の公転周期を土台にした火星旅行の適正周期は26カ月だ。

 一方、ポルトガルのリスボン大学の研究陣は、MOXIEのように加熱と加圧装置がなくてもプラズマ状態の二酸化炭素を利用して酸素を生産できる装置を考案したと、国際学術誌応用物理学ジャーナル(Journal of Applied Physics)に発表した。

 同研究陣によると、火星の環境を再現した実験室で、重さ6キロのプラズマ反応器が時間あたり14gの酸素を生産した。これは重さ17.7キログラムで、時間あたり10グラムの酸素を生産するMOXIEよりはるかに効率性が高いと、研究陣は明らかにした。

クァク・ノピル先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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低レベル放射性廃棄物処分施設の1段階施設だ。200リットルの放射性廃棄物ドラム缶10万本を収納できる規模で建てられ、2015年から運用されている。バスから降りてトンネルの奥に歩いて入ると・・

2022-09-01 | 科学最前線

海抜マイナス95メートル、

慶州の放射性廃棄物処分場の洞窟施設に行ってみた

登録:2022-08-30 20:53 修正:2022-08-31 09:45
 
海抜マイナス80~130メートルの地下の6個のサイロに 
低レベル放射性廃棄物のドラム缶2万5578本を貯蔵 
運用開始から7年で全容量の1/4が埋まり 
ドラム缶12万5千本規模の表層処分場も着工 
原発使用済み核燃料の飽和時点が迫っても 
高レベル処分場選定の議論は進展なし
 
 
慶州の中・低レベル放射性廃棄物の洞窟処分施設のトンネル内部。天井部分に1番サイロと2番サイロを示す表示が付いている=慶州/キム・ジョンス先任記者//ハンギョレ新聞社

 8月26日、韓国原子力環境公団が準備したバスに乗り、低い山の中腹にあるトンネル入り口から入りしばらく走った。間もなくトンネルの天井に「海抜マイナス95M・入口から1450M」と書かれた表示板が見えた。韓国国内で発生する中・低レベル放射性廃棄物の終着点である地下洞窟処分施設に到着した。バスが停まったところは、表示されているとおり海抜マイナス95メートル、海抜30メートルのトンネル入口から地下に125メートル下ったところだ。

 洞窟処分施設は、文武大王水中陵からほど近い慶尚北道慶州市文武大王面奉吉里一帯の206万平方メートルにある中・低レベル放射性廃棄物処分施設の1段階施設だ。200リットルの放射性廃棄物ドラム缶10万本を収納できる規模で建てられ、2015年から運用されている。バスから降りてトンネルの奥に歩いて入ると、左右に短いトンネルが掘られている。放射性廃棄物を貯蔵するサイロ(SILO)は、中央トンネルから分岐した3対のトンネルの両端に1つずつ、計6個が設置されている。

 高さ50メートル、内径23.6メートルの巨大な円筒形のコンクリートサイロ6個には、26日現在で放射性廃棄物ドラム缶2万5578本が貯蔵されている。運用開始から7年で全体貯蔵容量の約4分の1ほどをすでに使ったわけだ。放射性廃棄物は、放射能の濃度と熱発生率によって、使用済み核燃料の高レベル、原発解体の過程で多く発生する中レベル、放射能濃度が低い低レベルと極低レベルに区分される。洞窟処分施設には、そのうち原子力施設の放射線管理区域で作業者が使用した作業服や手袋などの低レベル放射性廃棄物が保管されている。現場を案内してくれた原子力環境公団のチョ・ビョンジョ疎通協力団長は「洞窟処分施設は中レベル放射性廃棄物もドラム缶3万本を貯蔵する計画だが、排出者が物量の多い低レベルから送ってくるため、まだ中レベルの貯蔵までは行われていない。今後、原発の解体がなされれば、中レベルの廃棄物が多く発生し搬入されると思う」と話した。

 
 
慶州の中・低レベル放射性廃棄物の洞窟処分施設の模型図=韓国原子力環境公団提供//ハンギョレ新聞社

 ドラム缶に密封された状態で処分場に到着した放射性廃棄物はひとまず、引き受け検査施設で検査を受ける。ここで表面放射線量率の測定、X線検査、核種分析などの検査を通過した放射性廃棄物ドラム缶は、厚さ10センチのコンクリートで作られた矩形処分容器に移される。この処分容器は、ドラム缶16本が入るよう製作されている。処分容器を載せたトラックが地下サイロの隣のトンネルの端に来て停まると、サイロの上に設置されている巨大クレーンが外に出て処分容器をつり上げ、サイロ内に一つずつ積み上げる。サイロが処分容器でいっぱいになると、砕石とコンクリートで隙間を埋めて閉鎖することになる。この閉鎖作業はまだ遠い将来の話だ。洞窟処分施設は、現在稼働中のすべての原発の廃炉過程で発生する中レベルの廃棄物まで収容してから閉鎖されるためだ。

 洞窟処分施設は、建設工事当時から多量の地下水漏れで論議が起きた。海水面より低い場所で、塩分の多い地下水がサイロ内に浸透し、放射性廃棄物が入ったドラム缶を腐食させ、その結果出てきた放射性物質が地下水に混入し、周辺環境を汚染する恐れがある。現場でブリーフィングをした原子力環境公団の関係者は「今は渇水期だから大幅に水が減ったが、平均的には1日1500トン程度発生する。安全のためにポンプを三重に設置し、事故が発生した場合にも問題なく外に水を汲み上げられるようになっている」と話した。

 
 
慶州の中・低レベル放射性廃棄物の洞窟処分施設に設置されている2番サイロ上部の様子。黄色いクレーンの下側に付いている正方形の物体が、放射性廃棄物のドラム缶が入ったコンクリート処分容器だ=慶州/キム・ジョンス先任記者//ハンギョレ新聞社
 
 
慶州の中・低レベル放射性廃棄物処分施設の訪問客センターであるコラジウム展示館に設置されている放射性廃棄物ドラム缶とコンクリート処分容器の実物大モデル=慶州キム・ジョンス先任記者//ハンギョレ新聞社

 しかし、慶州地域の環境団体と住民たちは最近、地下水排水管の不良施工疑惑も提起している。原子力環境公団が2021年5月に地下水配管の追加設置を終え、8月から本格運用に入ったが、12月から配管からの漏水が発生するなどの不良施工が明らかになったという主張だ。

 この日着工式を行った表層処分施設は、すでに運用中の洞窟処分施設に続く2段階の施設だ。低レベル放射性廃棄物ドラム缶12万5千本を貯蔵できる容量で設計された。地上に縦横縦各20メートル、高さ10メートル大の処分庫20個を設置し、処分容器を積み上げ、処分庫が満杯になれば閉鎖して持続的に管理するというのが原子力環境公団の計画だ。

 問題は、現在原発で保管中の使用済み核燃料の処理だ。中レベルと低レベル以下の放射性廃棄物処分場とは異なり、使用済み核燃料である高レベル放射性廃棄物の最終処分場は、敷地選定議論の第一歩すら踏み出せていない。昨年末、文在寅(ムン・ジェイン)政権は高レベル放射性廃棄物の中間貯蔵施設を敷地選定着手から20年以内に、永久処分施設を37年以内に確保する内容の「第2次高レベル放射性廃棄物管理基本計画」を確定した。この計画は、朴槿恵(パク・クネ)政権時の第1次基本計画が一方的に作られたという市民社会の主張により、公論調査を経て設けられた。しかし、市民社会からも歓迎されなかった。使用済み核燃料の原発敷地内での一時貯蔵を公式化し、原発地域を永久処分場にしようとしているとの疑いを消せなかったためだ。

 高レベル放射性廃棄物の管理は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が7月に確定したエネルギー政策方向にも含まれている。高レベル放射性廃棄物処分のための特別法を設け、コントロールタワーとして首相傘下に専任組織を新設し、推進することにした。26日、洞窟処分施設を訪れたイ・チャンヤン産業部長官は「高レベル放射性廃棄物処理特別法に、処分場の位置選定手続き、住民協議手続き、周辺地域支援に関する法的根拠をすべて含め、その法に基づいて透明で客観的な手続きを経ていく」とし、 「今年が高レベル廃棄物処分の元年になるようにする」と強調した。

 韓国水力原子力の使用済み核燃料貯蔵現況資料によれば、第2四半期末現在、全国の原発で保管中の使用済み核燃料は、貯蔵容量68万5460束の約75%にあたる51万6071束だ。ここから昨年拡充され多少余裕を持つようになった月城(ウォルソン)原発の乾式貯蔵施設(マクスター)貯蔵分を除けば、18万7460束の原発貯蔵容量の97%がすでにいっぱいの状態だ。

 2021年、韓国放射性廃棄物学会は、文在寅政権末期に樹立した第9次電力需給基本計画による原発稼働を反映した分析を通じて、古里(コリ)とハンビッ原発では2031年から、ハンウル原発では2032年から使用済み核燃料の貯蔵容量が飽和状態に入ると見通した。尹錫悦政権が明らかにしたように、設計寿命が切れたすべての原発で運転を続けるならば、飽和時点はさらに前倒しになる。

キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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クモヒトデは棘皮動物の中で最も種類が豊富で、約2100種が知られており、全世界の海洋に広く分布している。大半が海底に生息し、サンゴや海綿に付着するものもあり、海底生物の主な生態群の一つだ。

2022-07-08 | 科学最前線

またもや新種発見! 今度は深海から

人民網日本語版 2022年07月07日11:21
 

中国科学院深海科学・工学研究所の情報によると、同研究所の張海浜研究員のチーム及びその協力者が南中国海と北西太平洋の海域で、複数のクモヒトデの新種と新記録種を発見した。人民網が伝えた。

研究者が発見・命名した一部のクモヒトデの新種。画像提供は中国科学院深海科学・工学研究所

クモヒトデは棘皮動物の中で最も種類が豊富で、約2100種が知られており、全世界の海洋に広く分布している。大半が海底に生息し、サンゴや海綿に付着するものもあり、海底生物の主な生態群の一つだ。

深海は浅海と比べ、サンプル採取や観測技術の制限があるため、深海種への認識が現在も非常に限定的で、深海生物の多様性水準の評価に深刻な影響を及ぼしている。

研究チームは2016−21年に有人深海潜水船「深海勇士」号を通して、南中国海や北西太平洋などの海域で集めたクモヒトデのサンプルの形態学・分子系統学的研究を行った。4目、7科、15属の計36種のクモヒトデを識別し、うち7種は新種で、研究者はその記述・命名を行った(2新種は深海勇士号の名で命名)。さらに15種は南中国海または北西太平洋の海域で初めて発見されたものだ(新記録種)。これらの結果は南中国海と北西太平洋のクモヒトデの生物多様性への理解を深めるための重要なデータを提供した。(編集YF)

「人民網日本語版」2022年7月7日

 

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