3日。注文していた本が届き、真夜中一気読みしてしまった。途中で止めることが出来なかった・・・
「踏切に消えたナオ」・・・・著者はノンフィクション作家ではなくて、サニーサイドアップという会社の社長、次原悦子さん。
1992年。彼女は25歳の時、ひとりぼっちの3歳のナオと仕事で訪れた養護施設で出会う。そしてナオが小学生の頃まで、施設を訪問したりホストファミリーになったりしてナオと心を通わせていく。しかしその後はある事情から面会も禁じられ会えなくなる。
中卒後、就職したもののすぐに失踪して行方が分からなくなったナオ。心配でたまらず彼をずっと探し続ける次原さん。個人情報の壁でなかなか見つけられない。10年ぶりにやっと見つけ出したナオは180センチの長身の男性になっていたが、体は垢だらけ、身も心もボロボロのホームレスになっていた。再会を喜んだのも束の間、死にたいと口走り続けたナオは僅か二ヶ月後に無残な姿に・・・。
「さよならを言うときが来た。アンティ(次原さんの愛称)・・・本当に有り難う」ということばを携帯で言い終わるや、遮断機をくぐり、迫ってくる中央線の電車の前に両手を挙げて立ちはだかったという。
幼いときから乳児施設、児童養護施設と「施設」ばかりで過ごしてきたナオ。施設の職員の大半は親身に面倒を見てくれたようだが施設にも学校にも居場所はなく,新聞に載るほどの暴行にもあうナオ。生まれつきの身体の障害で力仕事はだめだし、人とのコミュニケーションもへたで仕事はどれも長続きしないという状況だった。
唯一の親友はいつもおなかを出してる同じく施設育ちのオガちゃん。その他にも神父さんや施設のスタッフがそれぞれ関わって助けてくれていた・・勿論、次原さんも超多忙な中懸命にナオをフォローする。しかし、ナオにはうまく伝わらなかった・・・
私は読みながら、我が家の里子H君の事を重ね合わせずにはいられなかった。ナオと同じく乳児の頃から施設育ち。その間いじめにあっているのかいたのか、彼は一言も言わないので私たちには分からないが、長い集団生活は色々あったと思う。
幸いH君は高校に通えているし、親身な施設の職員に助けられて会うときはいつも明るい。我が家での滞在を終えて施設に帰るときは必ずお土産を買っていく優しい少年だ。周囲の人にも好感を持たれているので、その点は安心しているが・・・・
しかし、彼も一年半後高校を卒業すると独り立ちしなくてはならない・・・まだまだ本当に子どもなのに。 ナオ、H君に限らず、社会へ出てからの道は厳しい。オガちゃんはなんとか介護の仕事について一人で暮らしを立てているようだが、ナオのように生きる希望を失ってしまう子も少なからずいるのだろうと思うと辛い。
子どもを捨てる、虐待する・・・・そういうニュースには事欠かないが、その子どもたちにどう関わるのか、施設を出た後どうなっていくのかをもう少し私たちは関心を持って考えていかなければならないと思う。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます