拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

シンドバッド

2021-07-13 19:34:04 | 音楽
「オールで飲む」っていうからボートのオールの先端におちょこを乗せるか、又は先端のくぼみにお酒をたらして飲むのかと思ったら、「オールナイトで飲む」ことだそうだ(この言い回しと、SEXのことを「エッチ」と言うことと、「キャバクラ」と言う言葉が世に現れた時系列はどうなのだろう。三つとも私が成人するまではなかった)。私が想像した「オール」はボートを漕ぐ道具。「ボート」と言えば「海」。「海」と言えば「シンドバッド」。ドイツ語で読んでる千一夜物語にようやくシンドバッドが登場した。シンドバッドって(船を操船する)船乗りだと思っていたら、船に乗って方々で商売をする商人だった。その商人のシンドバッドが、荷役人のシンドバッドに7日間に渡って自分の冒険を語る、というお話だった。細部は異なるが、7つの冒険に共通してるのは、船に乗って商売をしてたら船が難破し、孤島にたどり着く。そこで死にそうになる。その際、なんで故郷を離れて旅などをしたのだろうと後悔する。だが、助けてくれる船が現れて、大もうけをして故郷に錦を飾る。そこで何不自由のない暮らしをしてるうちにまた旅に出たくなる。この繰り返しである。その際、前の旅で味わった苦難をころっと忘れている。人間は忘れやすい動物だが、シンドバッドは異常だ。なにせ、毎回、仲間はみんな溺れ死んだり、巨人や大蛇に食われたりしてシンドバッド一人が生き残る。それで生還できたのは奇跡的に運がよかったからと考えれば二度と旅には出ないだろうに、彼は出る。そして奇跡が7回続く。7回連続して万馬券に当たるようなものだ。まあ、そこがお話のお話たる所以だが。ところで、シンドバッドの物語は当初、千一夜物語にはなかった話で、後に加えられたそうだ。なるほどである。他の物語は、大概、男女のことが中心になり、うねうねと大河ドラマのように話が続く。そして、人物の思いは詩の引用で語られる。この点、源氏物語のようである。だが、シンドバッドの物語では女性はほとんど出てこないし(だから「満月のような」という形容も出てこない)、詩もほとんど詠われない。そして一話一話が短い。あっという間に助かって大金持ちになる。因みに、私は、ピンクレディーの歌の中で「渚のシンドバッド」が一番好きである。イントロの後、音楽が一変明るくなって、ミーとケイが左右にケンケンをするでしょ?あのケンケンが好きなのだ。で、今回改めて歌ってみると「ここかと思えばまたまたあちら」という歌詞がある。おおっ、シンドバッドの物語でも「von Land zu Land,von Insel zu Insel」(土地から土地へ、島から島へ)が決まり文句のように出てくる。原典に忠実でびっくり。歌謡曲、おそるべし!である(ただし、ピンクレディーの歌の方は、移り行く対象は土地や島でなく、異性であるが)。あと、サザンオールスターズの「勝手にシンドバッド」って歌もあるが、正直、「今何時?」のほか歌詞がよく聞き取れない。